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テスターと音響機器

ドキュメント内 2 (ページ 126-133)

(1930年頃)

その頃の電圧測定は第111図のようなメーター が使用された。可動鉄片型で内部抵抗はボルト当 たり10Ω程度で,動作電流はB電圧を測ると200mA くらい流れたから,A,Bともに蓄電池のうちはよ かったがエリミネーターとなるやまったく使用で きなくなった。当時の読者投稿の中につぎのような記事がある。

……バイアスでも測定しやうと二五Vの直流電圧

111図 

計(時計型で卸値五十五銭でした)を買つて来まし た。所がこの抵抗

まさ

正に二〇〇オーム,電流計に使 用した方が良ささうですから校正表を作りました。

第五図(第112図)の様な素晴しい? カーブが出 来上りました。早速セットのマイナス側に入れて 測定しますと一五Vを指します。即ち七五MAで す。…(中略)…安メーターですから校正表無しで は使用出来まいとは思つて居ましたが,電圧計が電 流計にならうとは思ひませんでした。…(後略)…

112図 

B電源の良否はドライバーで出力側をショートし,“パ チン”と音がして火花が出ればOKというのが当時の鑑 定法であった,また交流100V用のネオンランプも便利 であった。これは交流の場合はスパイラルの両側が点 火し,直流の場合は片側が点火した。なれれば光度か ら大体の電圧を推定することもでき,導通テスターに もなった。

つぎに示す記事は「無線と実験」1930年(昭和5年)

2月号掲載の「Bパワーサプライを設計する」の一部分で,筆者は柱白人氏である。

…(前略)…「えゝ,それはあります。がその通りに組立てるのが不安なの です。真空管に一体何ボルトの電圧が加はつているのか判らないし――,何 でもBエリミ〔ネーター〕の電圧は特殊な高抵抗のボルトメーターでないと 測定出来なく,そのメーターは安くない上に,放送局の相談部にも無いとい ふ話ではありませんか……」

これは技術者とアマチュアの対話である。また同記事のおわりに,

……出来上つたパワーサプライの電圧測定が出来るなら誠に申し分ないこと です。前記一アマチュア氏も云はれた

ごと

如く,Bエリミ〔ネーター〕の電圧は 普通のボルトメーターで測定することは出来ません。一千オーム,パーヴォ ルト〔Ω/V〕位の高抵抗を有する特殊のボルトメーターを必要といたします。

東京の方なれば,次のやうなところへお持ちになれば安価で測定して頂けま せう。

無線と実験社研究部,屋井ラヂオ研究所

ブル〔ジョア〕の方で,Bエリミ〔ネーター〕測定用ボルトメーターを一個 手もとに置かうと御考へのアマチュア氏の為,品名,価格を次に記しませう。

ウェストン・ジヴェルは輸入されてゐます。申すまでもなく内部抵抗は大 きいほどよろしいのです。

ウェストン四八九DC

五〇/二五〇ボルト,二重 市価六十五円位(これでは電圧が低くてやゝ 物足りないと思ひます。UX二八一型のBエリミには使へませんから)

七五〇/二五〇/一〇ボルト 三重 市価九十円位(これなれば申し分あり ません)

ホイトBエリミ〔ネーター〕用ボルトメーター 一〇〇/五〇〇ボルト 二重 米定価 二十八

ドル

弗(アマチュア用として手 頃でせう)

ジヴェルBエリミ〔ネーター〕テスター 五〇/二五〇ボルト 二重 市価 六十円位 二五〇/五〇〇ボルト 二重 市価 八十円位

ウェストン・ホイトは一ボルトにつき一千オーム,ジウェルは一ボルトに つき八百オームの内部抵抗です。…(後略)…

果たして何人くらい「無線と実験」研究部に自作セットのB電圧を測ってもら いに訪れたであろうか。

つぎに示すのは初期のテスターの製作記事で,「無線と実験」1929年(昭和4 年)1月号に掲載されたもので,筆者は近藤多喜氏である。

セット・テスターの戯作(第113図)

随分古くからこの様な記事はありました。古くは昭和二年二月号の「無線 電話」に井上氏,「無線と実験」には山本仁氏の二年八月号,三年八月号と 記憶出来ない位沢山あります。…(中略)…

R3は十ミリ以上のカーレントを

113図 

計るためで,その用法は,

たと

例へば十 ミリアンペア迄の目盛のあるもの なら,八ミリアンペア位進んだら シャントを応用した方が安全であ る。シャントを電流計に結ぶ方法 は,

先づ十ミリアンペア総目盛の あるものから五ミリアンペアのプ レート電流が流れる様にCバイア スの電圧を加減して,其の電流を一

定にして置いて,次いで抵抗器を並列に結合し電流計の指針が一ミリの目盛 に下るまで抵抗器を加減する。さうすれば今抵抗器を装置した電流計の指針 は実際通じている電流の五分の一

丈けの処を指示するから,電流計で読んだ 数字を五倍すれば其の実数が得られる(以上は本誌昭和二年八月号山本仁氏 より)。

尚ほ私の考へとしては,このシャントレオスタットは普通のものは時計の 針の進む方向に廻すと抵抗が次第に低くなるものですが,ここに用ひるには 反対廻りに改造した,即ち普通のレオ〔スタット〕の方向に廻したる時は段々 と抵抗が高くなり,

つい

終にはオフとなる様に細工をした方が他の(大抵のレオ

〔スタット〕はシリースに入るゝも此処ではパラレルのため)レオ〔スタッ ト〕との比較上便利な様です。

尚ほこのセットの欠点は

114 115

一,グリッドバイアスの七・五V以上が測れぬこと。

二,又Bも百五十以下なるため,パワーチューブ〔真空管〕の測定に応用さ れざること。

三,ACバルブ〔真空管〕のフィラメントを測れず。

四,Bエリミネーターはボルトメーターの抵抗(安物)のため測られず。

改良すべき点

一,Cバイアスが+となりたる時も測れる

ごと

如き装置を附加すること。

二,フィラメントカーレント〔電流〕測定のアンメーターを附加すること。

ただ

但しフィラメントカーレント〔電流〕は知れざるもボルトメーターのみ にて我慢すべし。

三,グリッド電流測定用の一MA又は一・五MA位のミリアンメーターを用 ひること。

ただ

但し,目下の処市場にメーター類払底にて,我々

ごと

如きプロ〔レ タリア〕ファンの手に入らず。前述の二個のメーターを買ひ入るゝに約 一ケ月の時日を空費したり(ボルトメータ二五円,アンメータ三〇円)。

尚ほ私は御承知の通り素人のファンに過ぎません。御遠慮なく御批評御教 導下さいまし。又こんな機械でも御入用の方がありましたらよろこんで御

貸し致します。

もっと

尤 も私の宅より持ち出すことは御断り致します。それは私 の

ごと

如きプロ〔レタリア〕にとっては大問題ですから,そして御使用のお方は 時間の打ち合せのためあらかじめ御葉書下さいませ。B二百五十ボルト,C 十ボルトは何時でも用意してあります。乱筆多謝(東京市外目黒九八七番地 にて)。

この記事は,ボルトメーターの内部抵抗が不明であるが,Bエリミネーターは 測れないといっているから,動作電流は20mAくらいではないであろうか。そ れにしても筆者は何故シリース抵抗を増加してレンジを広げなかったのであろ う。……同誌1930年(昭和5年)2月号の記事はだいぶ進んで来ている。メー ターはウェストン506型を使用したと記してある。筆者は大阪のT.K生氏で,表 題は「バルブ及びセットテスター」となっている。ここには配線図(第114図)

と写真(第115図)のみを示す。セレンを使って交流電圧が測れるようになった のは1935年頃である。

116図 

最後に1934年頃の高級テスターを第 116図に示す。これは附属のプラグを セットに差込み,テスター本体にバルブ

〔真空管〕をそう入すれば,EpIp等が直 ちに測定できるものであった。メタル チューブのソケットはまだ取り付けら れていない。塚本電機の製品であった。

このあたりで音響機器をふりかえっ て見よう。「ラヂオ新聞」1925年(大正 14年)12月21日付けに,すでに今日

のステレオを暗示している記事があるのは誠に興味深い。

右左の耳へ違つた波長で一つの音楽を届かす放送

ベルリン

伯林のラ会社が成功した試み 二重放送は最近

ド イ ツ

独逸ベルリン市ランドファンク会社の放送に依りて,

いよいよ

愈々 成功確実となつた。同会社放送室には二個のマイクロホーンを装置し,各 別々の波長を以て放送せられた。所が受信者は一方の波長で受けた音楽は片 つ方の耳話器にて受信し,又一方の異なつた波長で発せられた分は他の一方

117 118 119

120 121 122

の耳話器に受けて,左右両耳別々の波長で聞く。すると其音楽は実に明瞭で 細密で

ほとん

殆 ど完全なものであつたと云ふ事である。

さらに下って,第117図は「無線と実験」1927年(昭和2年)3月号に掲載された 広告である。当時は一般にこのようなホーン型スピーカーが使用されたが,1929

〜30年項にはマグネチックスピーカー,およびダイナミックスピーカーも続々 入って来るし,国産品も出回るようになった。第118図のマグナボックスおよび

RCA106は,アマチュア・プロフェショナルともにずいぶん愛用したダイナミッ

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