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第7章 鋼インサート材を利用したアルミニウム合金/亜鉛めっき鋼重ね継手の

7.3 実験結果

7.3.2 ツール押し込み量と引張せん断強度の関係

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なお,以下,SPCC/GI鋼あるいはGA鋼の未接合部を鋼/鋼未接合部とする.Fig.7-5より,

鋼/鋼接合部ののど厚はSP/GIの方がSP/GAよりも大きいことが分かる.また,Fig.7-6より,

鋼/鋼接合部ののど断面積は,SP/GIの方がSP/GAよりも大きく,SP/GI,SP/GAともにツー ル押し込み量の増大に伴って大きくなっていることが分かる.

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約 3.9kN/点,約 3.2kN/点に達している.一方,第5章,第6章に示したとおり,インサー

ト材なしのA5052/GI鋼接合材及びA5052/GA鋼接合材の引張せん断強度は,それぞれ最大

で,約 2.6kN/点,約 2.7kN/点であった.これらと比較すると,インサート材の挿入により

最大引張せん断強度の向上が可能であることが分かった.

次に,Fig.7-8,Fig.7-9に,ツール押し込み量を1.4,1.8,2.2mmと変化させた際の,引張 せん断試験後の接合部近傍における断面SEM反射電子像を示す.図中の矢印は,GI鋼ある いはGA鋼を左方向に,A5052を右方向に引張ったことを意味している.それぞれ Fig.7-8

がSP/GI,Fig.7-9がSP/GAである.SP/GIは,ツール押し込み量1.4,1.6mmでは鋼突起接

合部近傍で,1.8~2.4mmでは鋼/鋼接合部近傍で破断した.また,SP/GAは,全てのツール 押し込み量において鋼/鋼接合部近傍で破断した.この現象及び,上記のSP/GIの引張せん

Fig.7-8 Cross-sectional SEM images of the SP/GI specimens after the tensile shear tests with various plunge depths. The left row shows the images on the compression side.

The right row shows the images on the tension side.

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断強度の方がSP/GAよりも大きくなることについては,次のように考察した.ツール押し

込み量が1.4,1.6mmのときは,A5052中に形成される鋼突起部高さが小さく,せん断荷重

に対する強度が小さいため,SP/GIでは鋼突起接合部近傍で破断が発生する.これに対して,

SP/GAでは鋼/鋼接合部ののど厚が小さいため,鋼/鋼接合部近傍で破断が発生し,引張せん

断強度はSP/GIよりも小さくなる.ツール押し込み量 1.8mm以上では鋼突起部高さが大き

くなり,せん断荷重に対する強度が大きくなるため,SP/GI,SP/GAともに鋼/鋼接合部近傍 で破断するようになる.しかし,鋼/鋼接合部ののど厚はSP/GIの方がSP/GAより大きいた め,引張せん断強度はSP/GIの方がSP/GAよりも大きくなる.また,Fig.7-6に示したよう

に,SP/GI,SP/GAともにツール押し込み量の増大に伴って鋼/鋼接合部ののど断面積が大き

くなるため,引張せん断強度は大きくなる傾向を示す.

Fig.7-9 Cross-sectional SEM images of the SP/GA specimens after the tensile shear tests with various plunge depths. The left row shows the images on the compression side. The right row shows the images on the tension side.

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