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スプリットイベントに関する考察

ドキュメント内 master thesis oonuki (ページ 47-53)

第 4 章 硬 X 線ピクセル型検出器の開発と評価

4.4 スプリットイベントに関する考察

42 第4章 硬X線ピクセル型検出器の開発と評価

4.11: 注目したピクセルと、それ以外のピクセルの様子。中央のピクセルのみがトリガー

信号の生成ができるようにし、それ以外の周囲の白色のピクセルからのトリガーは禁止した。

4.4.2 HVとスプリットイベントの割合

蛍光X線によるスプリットイベントと以外に、生成した電荷が電極へと輸送される過程で拡散 して複数のピクセルに信号がまたがることが考えられる。素子内での輸送時間が長いほど拡散の 度合いが大きくなると考えられるので、バイアスによる依存性を調べてみた。スプリットイベント の解析には、図4.10における40 V,100 V,300 Vの測定データと、同時に測定した200 Vのデー タを用いた。これら実験においても、注目している1つのピクセルからだけがトリガー信号を生 成できるようにしてある。

バイアス シングルヒット 2ヒット 3ヒット それ以上 40 V 10660 (53.3%) 7732 ( 38.7%) 1203 ( 6.02%) 405 ( 2.03%) 100 V 12534 ( 62.7%) 6559 ( 32.8%) 639 ( 3.20%) 265 ( 1.32%) 200 V 13183 ( 65.9%) 6023 ( 30.1%) 575 ( 2.88%) 219 ( 1.10%) 300 V 13225 ( 66.1%) 5964 ( 29.8%) 598 ( 2.99%) 173 ( 0.865%)

4.3: 印加電圧とヒット数の分布。−50 ˚Cで57Co線源を用いて測定した。

各測定における全20000カウント中に占めるヒットピクセルの数の結果を表4.3にまとめる。

周囲のピクセルに5 keV以上のエネルギーデポジットがあったとき、スプリットイベントと判別 した。図4.14に、シングルヒット、2ヒット、2ヒット以上のイベントの、全20000カウント中に 占める割合と電圧との相関関係を示す。40 Vにおいては47 %のイベントが複数のピクセルにま たがっているが、バイアス電圧が高くなるにつれて減少していくことがわかる。200 V以上にお いて割合がほぼ一定になり、シングルヒットが66 %、2ヒット以上が 33% となる。

4.4.3 シミュレーションとの比較

実験と比較するために、Geant4を用いたモンテカルロシミュレーションを行った。シミュレー ションでは、厚み0.5 mm、大きさ25 ×15 mm2 のCdTe素子に、測定と同じように40 cm離し た位置に57Co線源を配置し、素子に対して円錐状にガンマ線を放射させた。ガンマ線が、CdTe 内で相互作用した結果起こったエネルギーデポジットに、検出器の応答をかけてスペクトルを得 た。なお、実験室での測定では周囲の物質で散乱した光子が検出器に入射するが、シミュレーショ ンではその成分を考慮していない。

4.4. スプリットイベントに関する考察 43

4.12: 複数ピクセルにまたがるイベントの2次元プロット(左)とスペクトル(右)。122keV のラインガンマ線が二つのピクセルに分割されてデポジットされている。シングルヒットイベ ントで描いたスペクトルと比較して、全てのイベントで描いたスペクトルはより大きなテー ル成分を持っている。

4.13: マルチピクセル・イベント時のトリガーをたてたピクセルのスペクトル(左)。マル

チピクセル・イベントを足しあわせて再構成したスペクトル(右)

44 第4章 硬X線ピクセル型検出器の開発と評価

4.14: シングルピクセル・イベントとスプリットイベントの割合と印加電圧との相関図。バ

イアス電圧を増加にともない、スプリットイベントが減少する。

全イベント中にしめるシングルヒットイベントとスプリットイベントの割合は、全50610イベ ント中、シングルヒットイベントは42217(83.4 %)、2ヒットイベントは8258(16 %)、3ヒットイ ベントは134(0.3 %)、4ヒットイベントは1であった。実験と同様のプロットを、図4.15と4.16 に示す。2次元プロットから122 keVのガンマ線が光電吸収され、その時発生した蛍光X線が周 囲のピクセルにまたがって吸収されるイベントがみられる。シミュレーションでは、電磁相互作 用、コンプトン散乱、イオン化が考慮されており、電荷輸送における拡散の効果は考慮されてい ない。実験の2次元プロットと比較すると、122 keVのガンマ線の連続的に隣のピクセルにエネ ルギーがスプリットされておらず、蛍光X線によると見られるスプリットイベントが見られる。

シミュレーションから求められたスプリットイベントの割合は16.6 %であり、実測よりも小さい 結果を得た。

4.4. スプリットイベントに関する考察 45

4.15: モンテカルロシミュレータで求めた、中央のピクセルと隣のピクセルの

4.16: モンテカルロシミュレータで求めた複数ピクセルにまたがるイベントのみで描いた

スペクトル(左)、再構成したスペクトル(右)

46 第4章 硬X線ピクセル型検出器の開発と評価

4.17: 複数ピクセルにまたがるイベントの割合とシミュレーションでもとまった値

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