第 4 章 硬 X 線ピクセル型検出器の開発と評価
4.8 まとめと今後の課題
今回、一様性の高いCdTe素子と、2次元ASIC、In/Auバンプ接合技術を用いて、500µmピッ チの大面積ピクセル検出器を開発した。検出器を−50 ˚Cに冷却して動作させたところ、14 keV と60 keVのガンマ線に対して、0.67 keVと0.89 keVのエネルギー分解能(FWHM)を得た。複 数のピクセルにまたがって信号が観測されるスプリットイベントの詳細な解析の結果、全体の40
%程度がスプリットイベントとなることがわかった。検出器は優れたスペクトル性能と撮像性能 を示した。ピーク位置の分布はアナログ回路のゲインを補正した後に0.82 %のばらつきであり、
1056 chの平均のエネルギー分解能は1.04 keVであった。一方で、60 keVのピークカウントのば
らつきは8.9 %であることがわかった。これは、我々がこれまでにプレーナ型のCdTe素子で示
してきた結果と合致しない。この原因に関しては、現在も調査中であるが、DAQによるデッドタ イムのばらつきを仮定すると、ピークカウントのばらつきは2.1%以内におさまる。
ピーク面積のばらつきに関して、各チャンネルごとのカウントレートが時間変動することが実 験からわかっている。その原因は明確にわかっていないが、例えばリーク電流があるピクセルの ところだけ急激に増加しトリガーが多く生成されるといったことが考えられる。現在、この検出 器の1イベントの処理にかかる合計時間は40 msと長く、25 Hzが最大レートである。これを半 分の20 msにして、50 Hzのレートまで耐えられるMISC FPGAの開発がおこなわれている。こ のFPGAを用いて、高速読み出しを行い、時間変動の原因について詳しく調べる必要がある。
一方で、エネルギー分解能の高いことを生かして、より高効率な1 mm厚程度のCdTe素子を 接合した検出器の開発が考えられている。その場合、ピクセルサイズと厚みの比(W/L比)が0.4 となり、スモールピクセル効果が働くと考えられる。その時は、第4章の考察の成果を生かした 検出器の特性評価が行えるものと期待される。
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第 5 章 まとめ
スモールピクセル効果を利用して、従来では不可能だった高効率のCdTe/CdZnTe検出器を実現 するための基礎的な特性評価を行った。4 ×4 CdTe素子を-20˚Cで1000Vのバイアス電圧を加え て測定したところ、662keVのラインガンマ線に対して20keVのエネルギー分解能を得た。共通 電極側とピクセル電極側の二つの電極から得られる信号の相関性を素子のµτ を考慮したシミュ レータを開発し行った。その結果、得られた相関性をよく説明することができ、スペクトルの補 正を行ってテール成分を低減することができることを示した。一方で、ラインガンマ線から得ら れたエネルギー分解能が測定で得られたテストパルスの分解能から予想される値よりも大きいこ とが判明している。この原因については、より詳細な調査が必要となる。
高効率素子の開発とともに、硬X線CdTeピクセル検出器にとって不可欠な一様性を、1056 チャンネル、500µmピッチの大面積イメージャーで検討した。試作した検出器で、14keVのガン マ線に対するエネルギー分解能で0.61keVを達成した。また、1ヶ月にわたる長期試験を行い、
素子の安定性を実証した。素子の一様性にとって重大な、ピーク位置、エネルギー分解能の一様 性を検証した。ピーク面積に関しては、ピクセルごとにデッドタイムが時間変動するような現象 が見られており、今後詳細な調査が必要である。それとともに、より検出器の容量が小さく、高 効率な1mm厚程度の素子を利用した検出器を試作すれば、高いエネルギー分解能を生かした、ス モールピクセル効果の検討を行うことができと期待される。
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