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目次:
1. 太陽光発電に死角、 「売電損失」が生む商機 ………..……3
2. ケータイ 20 年の変遷 「ガラパゴス」競争力育たず……….9
3. 無線LAN、速度「ギガ」の時代に 新方式、来春にも国内解
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S13018042 陳冠宏 太陽光発電に死角、「売電損失」が生む商機
2012/9/11 7:00 日本経済新聞 電子版
太陽光発電は、天候の変化だけでなく機器の不具合によっても発電量が変動 する。太陽光パネルのひび割れや局所的な発熱現象が発電量を低下させるが、
これまではパネルなどの監視や保守への需要はほとんどなかった。しかし、固 定価格買い取り制度の施行により、メガソーラーが各地で稼働を始め、事業者 も増加。「売電損失」を防ぐための監視・保守ビジネスも広がりを見せ始めて いる。
再生可能エネルギーで発電した電気の固定価格買い取り制度(フィード・イ ン・タリフ1=FIT)が2012年7月に施行され、各地でメガソーラー(大規模 太陽光発電所)が発電を開始した。
固定価格買い取り制度が2012年7月1日に施行され、メガソーラーが次々と 誕生している。左はソフトバンクグループが7月に京都で運営を始めた施設。
当初、最大出力は2100kWだったのを、4200kwに拡大した。一方、大林組は 物流倉庫の屋上に982kWの太陽光パネルを設置した。(右)
買い取り価格が1kWh当たり42円(税込み)と高めに設定されたこともあ り、建設ラッシュが見込まれる。太陽光パネルやパワーコンディショナー2と いった関連設備や工事の需要が拡大する一方、新しい市場も生まれそうだ。発 電状況を監視し、設備の不具合などを発見、修理する監視・保守サービスであ る。
■2割の損失は当たり前
1 全名はFeed-in Tariff 和訳:固定価格買い取り制度
2 パワーコンディショナー(power conditioner):將太陽能發電產生之電流轉換成居家可利用的電 能的裝置。
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2012年度の太陽光発電の導入量は約200万kWを見込む。風力やバイオマス3
(生物資源)を含む再生可能エネルギー全体の8割を占める。
再生可能エネルギーの導入見込み量(2012年度) FITにより、再生可能 エネルギーの普及が急速に進みそうだ。2012年度は、太陽光発電が全体の8 割に相当する約200万kW導入される見通しである(出所:資源エネルギー 庁)。
従来、太陽光発電システムは、「メンテナンスフリー4(保守不要)」とさ れており、監視・保守の需要はほとんど無かった。ただ、実際には設備の不具 合などによって、発電量が低下しているケースが珍しくない。光熱費の節約や 環境への貢献が目的だった住宅用では大きな問題にならなかったが、発電事業 となると話は違ってくる。
FITの買い取り期間は20年間と長期にわたる。この間、想定した通りに発
電できなければ、事業が赤字になるリスクがある。2012年から監視・保守サ ービスを本格的に開始したNTTファシリティーズソーラープロジェクト本部 の岩渕安孝5部長は、「発電量の低下をいかに防ぐかが重要になる」と話す。
出力1000kWのメガソーラーの場合、売電による収入は年間約4000万円に
なる見込み。発電量が数%低下しただけで年間の損失額が数百万円に及ぶこと もある。監視・保守を含めた太陽光発電の運営代行に参入する環境経営戦略総 研グリーン・イノベーション推進部アライアンス6推進課の李賢映シニアアナ リスト7は、「海外では、監視しないで放っておけば、発電量は2割減るとい うのが常識になっている」と言う。
追加の費用を支払っても、発電量の低下による収入減をそれ以上に抑えられ れば、監視・保守サービスを利用するメリットはある。
3 英語はBiomass:取自植物等類的有機物質作為能源,並運用。
4Maintenance free:メンテナンスの必要はないこと
5 岩渕:いわぶち
6 英語はalliance:同盟
7 シニア アナリスト:資深評論家
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NTTファシリティーズの試算によると、1000kWの施設が法定耐用年数の 17年間に発電量が15%低下した場合、売電収入の減少分の10%を監視・保守 サービスに費やすことで損失の90%を防げるという。
監視・保守サービスの効果 不具合などによる発電量の低下に気づかないと 売電収入が減り、大きな「売電損失」につながる。出力1000kWの施設で15%
の発電量低下が生じた場合、損失額の約10%の費用をかけて不具合を早期に 発見、復旧させることで約90%の損失を防げるという(出所:NTTファシリ ティーズ)。
■3万枚の点検実績を武器に
FITに基づいて発電した電力を電力会社に売るためには、国に施設の認定を 受けなければならない。認定条件の1つには、調達期間中、性能を維持できる ような保証や保守体制が確保してあることを定めている。ただし、体制が整っ ていることと設備の異常を発見できる能力があるかどうかは別問題だ。
メガソーラー級の施設になると太陽光パネルの設置枚数は数千枚を下らな い。たとえ数枚の故障であっても、長期間放置し続けることによる損失は決し て小さくない。わずかな異常に気づくかどうかがサービス事業者の腕の見せど ころになる。発電量は気象条件によって、日々、変化する。発電量が減った原 因が、天候によるものなのか、設備の不具合によるものなのかを見極めるノウ ハウ8も必要だ。
8 Know How :知識と技術 または知的財産権
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太陽光パネルの外見だけからはわかりにくい不具合もある。特殊な検査機器を 使うことで、「ホットスポット」(上)やひび割れ(下)を発見できる(出所:
ネクストエナジー・アンド・リソース)
2012年2月に監視・保守サービスを開始したネクストエナジー・アンド・
リソース(長野県駒ヶ根市)は、太陽光パネルのリユース(再使用)販売を手 掛けており、これまでに3万枚を超えるパネルの性能を検査し、不具合の原因 を追究してきた。
外見だけではわかりにくいパネルのひび割れや、「ホットスポット」と呼ぶ 局所的な発熱現象など発電量の低下につながる不具合を検出する機器を持っ ており、ひび割れの方向を見れば故障が進行するかどうかもわかるという。
伊藤敦社長は、「問題のあるパネルが混ざることは十分考えられるし、工事 の際に落とす可能性もある。発電量が10%低下すると、下手をすれば利益が 吹き飛ぶ」と指摘する。
■「屋根投資」需要を開拓
環境経営戦略総研は、商業施設や倉庫などの屋根の上に設置する500~
2000kW級の施設が、監視・保守サービスの主戦場と見る。村井哲之社長は、
「『ソーラー・ルーフ・インベストメント9(SRI=屋根投資)』として、屋根 という資産を持っているところと一緒に太陽光発電を広めたい」と意気込む。
同社は、主力の省エネ支援事業の一環で、電力使用量を遠隔から監視する仕 組みを全国約4300カ所のスーパーやパチンコ店などに導入済み。これらの既 存顧客に太陽光発電システムの導入を提案。電力使用量を収集する仕組みを活
9 全名はSolar˙Roof˙Investment
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用して発電量も監視する考えだ。ストリングと呼ぶ太陽光パネルの小さなまと まりごとに発電量をきめ細かく監視することで、不具合を早期に発見できる体 制を整える。
4300カ所のうち、建物の改修工事をしないで大量の太陽光パネルを屋根の 上に設置できるなどの条件を考えると、発電事業として採算がとれそうな施設 は1~2割になる見込みである。既に、合計で8000kW以上の案件が固まって いる。2013年6月までに合計で出力3万kWの施設を設置し、設計・施工か ら監視・保守まで含めた事業全体で約40億円の売り上げを目指す。
住宅用の太陽光発電システムでも監視・保守サービスが広がる兆しがある。
NTTスマイルエナジー(大阪市)は2012年5月に、住宅に設置した太陽光発 電システムの発電量をインターネットで閲覧できるサービスを始めた。太陽光 発電システムを販売する事業者向けに販売する。太陽光パネルの価格競争から 抜け出したい販売事業者の需要を取り込みたい考え。既に数十社と契約した。
同社のサービスを利用するには、太陽光発電システムを設置した世帯の同意 を得て、パネルのメーカー名、枚数、設置方向、出力、種類、パワコンのメー カー名などをあらかじめ登録してもらう必要がある。発電量の実績を、日射量 のデータに基づいた推定発電量や、住んでいる地域や施設などの条件が同じほ かの世帯の実績と比較して不具合の早期発見に役立てる。
工務店や量販店にとって顧客満足度の向上につながるとともに、アフターサ ービスにかかるコストを抑えられるという。遠隔地から発電状況がわかるため、
施設が正常に稼働している顧客宅を定期点検で訪問する手間を減らせる。年間 200件販売する事業者が1年に1回定期点検を実施した場合、10年後には年 間の訪問件数は2000件に膨らむ。1回の訪問にかかる費用を1万5000円と すると、年間のコスト負担が3000万円になる。
■15年保証で格安パネルに対抗
住宅用太陽光発電システムでは、不具合などによって10年以内に設備を交 換した割合が、太陽光パネルで15%、パワコンで21%という調査報告もある。
パネルの配線を固定するはんだの不良などが原因で起こるホットスポットな ど、見た目にはわからない不具合も知られている。