第 3 章 側面衝突事故シミュレーションによる自動車乗員傷害予測手法の構築
3.2 側面衝突事故シミュレーションモデル
3.2.3 側面衝突シミュレーションモデル
Fig. 3.12 Seat extraction and scaling
Fig. 3.13 Side impact simulation model
Fig. 3.14 Modeling of door deformation
(1)初期姿勢
乗員の初期着座姿勢は,各関節を固定した乗員モデルをシートの上方から落下させ,静的釣 り合い位置を求めることにより決定した.シートの静的釣り合いを求める際,振動の減衰を待 っていると解析時間が非常に長くなってしまうため,釣り合い位置において乗員モデルの全ジ ョイントをロックし,固定するという手法をとった.Fig. 3.15にその様子を示す.
Belt Line 300 mm
Door window Door panel 1 (Belt Line)
Door panel 2 (H-Point) H-Point
Door deformation
Y-axis acceleration
X Y
Z
Fig. 3.15 Seat fitting
シートベルトは乗員モデル前方から後方へ並進移動させることで乗員モデルに接触させ,自 然な位置で乗員を拘束するよう配置する.Fig. 3.16にベルトフィッティングの様子を示す.
Fig. 3.16 Belt fitting
(2)車両加速度
衝突が起こると,乗員には車室から見れば見かけ上の加速度が発生する.その加速度は絶対 座標系から見た車両に発生する加速度の符合を反転したものとなる.したがって,再現シミュ レーションでは衝突試験車両の車両重心で計測された3軸加速度を用いた.
Fall Joint lock
(3)車室変形量
JNCAP衝突試験の報告書には衝突後の車室内変形量が記載されている.しかし,衝突中の車
両は塑性変形に加えて弾性変形をするため,それを含めて考えると,衝突中の最大変形量は報 告書の記載値よりも大きいはずである.弾塑性体の応力-ひずみ関係より,Fig. 3.17に示す力‐
変形量の図を書くことができる.衝突が開始し車両側面に荷重がかかると,車両側面の構造体 は変形を始める.荷重が材料の許容値を超えると塑性変形がはじまり,荷重が最大となったとき 変形も最大となる.荷重が除荷されると弾性変形の量だけ変形は戻り,塑性変形のみが残る.
したがって,車室変形量の履歴はFig. 3.18に示すような,スプリングバックをもつ波形である と考えられる.
側面衝突実験におけるドアのスプリングバックは 25%以下であること[26]から,衝突時の最 大変形量を試験後に計測された最終変形量の1.25倍とした.また,最大変形および最終変形と なる時刻はそれぞれ車両加速度が最大値に達する時刻および車両とMDBとの相対速度が0と なる時刻とした.
Fig. 3.17 Force – Deformation curve
Fig. 3.18 Door model deformation Plastic deformation
x
pla Elastic deformationx
elaGradient k
F
maxLoad [N]
Deformation [m]
0
Time
Displacement