第 4 章 既存 DHC における河川水の再生可能エネルギー熱利用技術の実証
4.2 河川の再生可能エネルギー熱を利用した既存 DHC(箱崎地区)の概要
4.2.2 システム概要
(1) 河川水利用の概要
箱崎地区の河川水の取水設備の概要図を図4.2.3に示す。隅田川の水を堤防下に設置した3台の水 中ポンプで取水し、堤防に沿って設置した取水配管で送水して、建物地下2階の熱供給センターの 機械室に引き込んでいる。そしてオートストレーナーで混入物を除去し、熱源機で利用して、再び 隅田川へ放水する仕組みとなっている。また箱崎地区は隅田川の河口に近く、満潮時には海水が遡 上する汽水域のため、図4.2.1に示すように潮の干満の状況に応じて、取水口に対して放水系統を上 流側と下流側で切り替えて、放水された河川水を取水してしまうショートサーキットの防止を図っ ている。
隅田川
満潮時の川の流れ干潮時の川の流れ
▽満潮位
▽干潮位 隅田川
取水口
水中ポンプ
建物
熱供給 プラント チャッキ弁(逆流防止弁)
第4章
図4.2.4 河川水の取水設備の概念図(平面)と外観写真
(図4.2.3~4.2.4の赤点線部は同一箇所を示す)
図4.2.5 河川水の取水設備設置工事中の写真
第4章
(2) 熱源システムの概要
箱崎地区の改修前の熱源システム系統図を図4.2.6に、同改修後を図4.2.7に、改修前後の設備仕様
の一覧を表4.2.2に示す。系統図右側より隅田川の水を取水し、オートストレーナーで混入物を除去
した後、ヒートポンプ熱源機(RHP1、RHP2)及びターボ冷凍機(RTR1)へ送水し、各熱源機のチュ ーブで直接、熱交換をして、冷温熱を製造している。河川水には海水が混ざり塩分濃度が高く、チ ューブの腐食を防止するため、チューブの材質にはチタンを使用している。また各機、圧縮機を 2 台搭載し、100%運転と 50%運転が可能となっている。熱を利用した後の河川水は墨田川へ放水して いる。4槽の蓄熱槽を有し、夜22時から翌朝8時の夜間を優先に熱源機を運転している。なおバッ クアップ用に冷却塔を2台有している。
設備改修の概要を表4.2.3に示す。大きくは4つの観点から改修を実施し、河川水の最適利用では 熱源機チューブの洗浄方式や河川水流量制御方式などの見直しを、熱源システム廻りでは運用デー タに基づく熱源設備と搬送設備の機器容量の縮小、蓄熱システムの熱交換器の接続系統の見直し、
供給圧力の設定の見直しなどを行った。熱源機器の構成は改修前後で同じであり、ヒートポンプ熱 源機(熱回収型)2台とターボ冷凍機1台である。ターボ冷凍機(RTR-1)は今後更新予定であり、
本設備改修では、ヒートポンプ熱源機2台(RHP-1→RDBHP-1、RHP-2→RDBHP-2)を更新した。
蓄熱槽の改修は、部分補修や槽内清掃を行った程度である。
図4.2.6 設備改修前の熱源システム系統図
CT CT
RHP
2 RHP
1 RTR 1 地域
供給系統 メイン建物
供給系統
隅田川 560
m3 1,770
m3
950 m3
冷 水 槽 冷
温 水 槽 温 水 槽
冷 温 水 1,700槽
m3 水蓄熱槽 4,980m3
オートストレーナ
CT CT
RDBHP
1 RDBHP 2 RTR
1 地域
供給系統 メイン建物
供給系統
水蓄熱槽 4,980m3
560 m3 1,770
m3 950
m3 冷 水 槽 冷
温 水 槽 温 水 槽
冷 温 水 槽 1,700
m3
オートストレーナ
第4章
表4.2.2 改修前後の設備仕様の一覧
機器名称
主な仕様
改修前 台
数 改修後 台
数
ヒートポンプ 熱源機
[熱回収型]
【RHP-1、RHP-2】
(圧縮機2台構成)
冷却
:能力 20.2[GJ/h]、COP 4.47 加熱
:能力14.2[GJ/h]、COP 3.65 熱回収
:冷却能力20.2[GJ/h]
加熱能力14.2[GJ/h]
COP 5.88
2
【RDBHP-1、RDBHP-2】
(圧縮機2台構成)
冷却
:能力 14.0[GJ/h]、COP 5.45 加熱
:能力 8.9[GJ/h]、COP 4.60 熱回収
:冷却能力14.0[GJ/h]
加熱能力9.5[GJ/h]
COP 7.08
2
ターボ冷凍機
【RTR-1】
(圧縮機2台構成) 冷却
:能力 20.2[GJ/h]、COP 4.95
1 【RTR-1】・・・未更新
14.0[GJ/h]の能力にて更新予定 1
蓄熱槽
冷水槽 950m3 温水槽 560m3
冷温水槽 1、700m3、1、770m3
- 部分補修、槽内清掃、断熱防水 -
第4章
表4.2.3 熱供給システムの設備改修の概要 計
画 意 図
熱供給開始時の採用技
術 顕在化した課題
採用判断基準※1
改修時の採用技術・改善策
① ② ③ ④ ⑤
河 川 水 の 最 適 利 用
バースクリーン 特になし ● ● 既設流用 水中ポンプ
[定速ポンプ]
流量制御への対
応 ● ● ●
インバータによる低負荷へ の対応
干満に応じた放水口の
切り替え 特になし ● ● 既設流用
オートストレーナー
[エレメント回転型]
混入物の除去性 能(残渣量・動力 低減)
● ● ●
経年数の長い半数のオート ストレーナーを更新
[内面ブラッシング型]
熱源機チューブのブラシ
洗浄 洗浄性能 ● ● ボール洗浄方式の採用
熱源水入口温度による 制御
熱源水の流量配 分の偏りによる効 率低下
● ●
制御用センサの追加[圧 力・流量]
熱源水流量制御の見直し 河川水の直接利用 特になし ● ● ● 供給当初の考えを踏襲
熱 源 高 効 率 化
熱回収型ヒートポンプ [河川水直接利用] バックアップ用に冷却塔 を併設
経年劣化による熱
製造効率の低下 ● ● ●
機器単機容量の縮小 機器スペースの縮減
チタン製チューブによる
河川水直接利用 特になし ● ● 更新機器にもチタン製を採 用
熱源機チューブの管内面 加工
熱交換効率の向
上 ● ● ●
管内溝加工による熱交換 性能向上
ターボ冷凍機[河川水直
接利用] 容量適正化 ● ● ● 経年数が短く未更新【容量 を縮小して更新予定】
負 荷 平 準 化
縦型水蓄熱槽
[熱交換器を介して縁切 り]
温度ドロップの解 消
弁切替えの省力 化
● ●
縦型蓄熱槽の補修 蓄熱槽出入口の熱交換器 を撤去
搬 送 動 力 低 減
冷水及び温水ポンプを設 置し供給系統をバイパス 管で連携
[定速ポンプの台数制 御]
供給負荷の減少 に伴う低流量域の 動力削減、容量適 正化
● ● ●
供給系統ごとに圧力設定最 適化
搬送設備容量の縮小 インバータによる低負荷へ の対応
そ の 他
機械室給排気ファン常時
稼働 スケジュール運転 ● 運転時間の見直し
※1 採用判断指標:①~⑤はそれぞれ①運転データの蓄積,②河川水利用実績,③技術 の進歩,④既設流用,⑤建築上の制約をさす
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