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河川の再生可能エネルギー熱利用システムへの既存 DHC の更新を想定したシミュ

第 2 章 ヒートポンプが供給する再生可能エネルギー熱の定量評価手法の検討と大気熱利

3.5 河川水の再生可能エネルギー熱利用による効率向上効果のシミュレーションによる

3.5.4 河川の再生可能エネルギー熱利用システムへの既存 DHC の更新を想定したシミュ

モデルの設定

(1) シミュレーション概要

3.5.3にて機器更新を想定したシミュレーションモデルを設定したが、本節では、河川水の再生可

能エネルギー熱を利用するシステムへ機器更新することを想定したシミュレーションモデルを設定 する。

シミュレーションモデルの設定方法は 3.5.2 と同様とし、更新する機器の仕様は 3.5.3 と同様とし た。

図3.5.37にシミュレーションモデルの設定フロー図を示す。3.5.3で作成したシミュレーションモ

デルを基に、初期設定の外気湿球温度に加え河川水利用の熱源水温度の設定を行い、熱源システム の設定ではHTHP、TRを河川水利用の想定とし、河川水の取水ポンプを加えシミュレーションモデ ルを設定した。

(2) 熱源機器の設定

図 3.5.38に河川水利用を想定した対象地区のシステム概念図を示す。HTHP と DBHP が河川水を

100%利用する機器と想定した。河川水の取水・放水時の温度差は、夏期では 5℃、冬期では 4℃と

して設定を行った。熱源機器に関しては、4.6で設定した機器更新をした機器を用いるが、HTHPの 温水専用運転における定格COPと熱媒入温度と機器効率変化曲線が異なるため、以下にまとめる。

図3.5.37 シミュレーションモデル設定フロー

第3章

a) HTHP【温水専用運転】

図 3.5.39に HTHP の機器更新前後の性能曲線の比較を示す。右図の熱源水・ブライン入温度によ

る機器効率変化曲線に示すように、河川水による熱源水利用とブライン利用で用いる温度帯が大き く異なるため、定格 COP は約 50%向上していることが確認できる。熱媒入温度による機器効率変 化曲線をみると、熱源水が 2℃前後までは熱源水利用仕様の方が効率が高く、効率の向上の度合も 大きいことが確認できる。河川水熱を利用することで、熱源水入温度は10℃前後となるため、機器 単体COPも大きく向上することが予想される。

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0

0 20 40 60 80 100

機器単体COP[-]

0.0 1.0 2.0 3.0 4.0 5.0 6.0 7.0

-10 -5 0 5 10 15 20 25 30 35

機器単体COP[-]

負荷率[%] 熱源水・ブライン入温度[℃]

朝潮運河 豊洲運河

取水 放水

チューブ型シェル 熱交換器

商業施設 W棟 ホールX棟 Y棟 Z棟

CS CR HS HR

受入施設

冷水槽 Z-1 4,700㎡

冷水槽 Z-2 4,700㎡

冷温水槽 Y-2 4,700㎡

冷温水槽 Y-3 4,700㎡

温水槽 Y-1 260㎡

DB-1 HT TR-2

HP-1 HT TR-1

HP-2

CT-1

DB-2 CHT-2

河川水熱利用 冷却塔利用

図3.5.38 対象地区のシステム概念図(河川水利用時)

更新後熱源水利用仕様

更新後ブライン利用仕様

更新後熱源水利用仕様

更新後ブライン利用仕様

第3章 b) 取水ポンプの設定

対象地区で河川水利用する際の取水設備は、箱崎地区の取水設備と同様と想定した。図 3.5.40 に 箱崎プラントにおける河川水取水量と取水ポンプ電力消費量の関係を示す。河川水取水量に対する 電力消費量は0.09[kWh/㎥]と算出され、これをシミュレーションに用いた。

(3) 河川水利用時の熱源水温度の設定

河川水利用時の熱源水温度は、箱崎地区の河川水温度を基に設定した。河川水利用時にシェルチ ューブ型の熱交換器により熱交換することを想定し、冷水製造時は箱崎地区の河川水温度に+3℃、

温水製造時は同温度に-3℃した値を熱源水温度とした。また箱崎地区の河川水温度は、熱負荷の代 表日として選定した日の実績値を用いた。

図 3.5.41 に各代表日の河川水利用時の熱源水温度と冷却加熱塔の冷却水・ブライン温度を示す。

冷水製造時は冷却塔利用による冷却水入温度と河川水利用による熱源水入温度にほとんど差がみら れなかった。温水製造時は加熱塔利用によるブライン入温度と河川水利用による熱源水入温度に 10℃前後の差がみられた。

y = 0.0931x R² = 0.9544

0 50 100 150 200 250 300 350 400

0 500 1,000 1,500 2,000 2,500 3,000 3,500

電力消費量[kWh]

河川水取水量[㎥/h]

図3.5.40 箱崎プラントにおける河川水取水量と取水ポンプ電力消費量の関係

第3章

a) 夏期の河川水温度の状況

図 3.5.42に夏期の実績値より HTHP が稼働した時刻の冷却塔を利用した場合の冷却水入温度と、

その時刻に河川水を間接利用した場合の冷却水入温度の関係を示す。グラフの黄色の着色部分が、

河川水利用の方が冷却水温度が低く、HTHP の効率向上が見込まれる温度域(河川水利用有効温度 域)である。6、7、8、9月における河川水利用有効温度域に該当する運転時間は、それぞれ約56%、

約81%、約35%、約60%であり、過半数を大きく上回った月は7月のみであった。

16 18 20 22 24 26 28 30 32 34

16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 16

18 20 22 24 26 28 30 32 34

16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 16

18 20 22 24 26 28 30 32 34

16 18 20 22 24 26 28 30 32 34 16

18 20 22 24 26 28 30 32 34

16 18 20 22 24 26 28 30 32 34

河川水間接利用想定温度[]

冷却水入温度[℃] 冷却水入温度[℃] 冷却水入温度[℃] 冷却水入温度[℃]

5 10 15 20 25 30 35

0 - 1 5 - 6 10 - 11 15 - 16 20 - 21 1 - 2 6 - 7 11 - 12 16 - 17 21 - 22 2 - 3 7 - 8 12 - 13 17 - 18 22 - 23 3 - 4 8 - 9 13 - 14 18 - 19 23 - 24 4 - 5 9 - 10 14 - 15 19 - 20 0 - 1 5 - 6 10 - 11 15 - 16 20 - 21 1 - 2 6 - 7 11 - 12 16 - 17 21 - 22 2 - 3 7 - 8 12 - 13 17 - 18 22 - 23 3 - 4 8 - 9 13 - 14 18 - 19 23 - 24 4 - 5 9 - 10 14 - 15 19 - 20 0 - 1 5 - 6 10 - 11 15 - 16 20 - 21 1 - 2 6 - 7 11 - 12 16 - 17 21 - 22

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

-10 -5 0 5 10 15 20

0 - 1 5 - 6 10 - 11 15 - 16 20 - 21 1 - 2 6 - 7 11 - 12 16 - 17 21 - 22 2 - 3 7 - 8 12 - 13 17 - 18 22 - 23 3 - 4 8 - 9 13 - 14 18 - 19 23 - 24 4 - 5 9 - 10 14 - 15 19 - 20 0 - 1 5 - 6 10 - 11 15 - 16 20 - 21 1 - 2 6 - 7 11 - 12 16 - 17 21 - 22 2 - 3 7 - 8 12 - 13 17 - 18 22 - 23 3 - 4 8 - 9 13 - 14 18 - 19 23 - 24 4 - 5 9 - 10 14 - 15 19 - 20 0 - 1 5 - 6 10 - 11 15 - 16 20 - 21 1 - 2 6 - 7 11 - 12 16 - 17 21 - 22

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

冷却水入温度[]熱源水・ブライン入温[]

図3.5.41代表日パターン毎の現状の熱媒入温度と河川水取水温度

〔上:冷却水入温度、下:熱源水・ブライン入温度〕

冷却塔利用冷却水入温度

〔外気湿球温度+6℃〕

河川水間接利用冷却水入温度

〔河川取水温度+3℃〕

加熱塔利用ブライン入温度

〔外気湿球温度-4℃〕

河川水間接利用熱源水入温度

〔河川取水温度-3℃〕

河川水熱 利用有効帯

第3章 b) 冬期の河川水温度の状況

図 3.5.43に冬期の代表日におけるのHTHPの機器単体COPを示す。パターン1は平日高負荷のグ ループ、パターン2は平日低負荷のグループ、パターン3は休日の代表日を示している。河川水を 利用することで、12月は各パターンで50%前後向上し、月平均で約52%向上した。1月、2月、3 月では、各パターン44%前後向上し、月平均でそれぞれ約44%、約45%、約43%向上した結果とな った。

図3.5.44に冬期の実績値よりHTHPが稼働した時刻の加熱塔を利用した場合のブライン入温度と、

その時刻に河川水を間接利用した場合の熱源水入温度の関係を示す。グラフの白色部分が、河川水 利用の方が熱源水温度が高く、HTHP の効率向上が見込まれる温度域(河川水利用有効温度域)で ある。冬期は河川水利用有効温度域に運転する時間が概ね100%となった。

-5 0 5 10 15 20 25

-5 0 5 10 15 20 25

-5 0 5 10 15 20 25

-5 0 5 10 15 20 25

河川水間接利用想定温度[]

3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5 6.0

現状再現 機器更新 機更+河川 現状再現 機器更新 機更+河川 現状再現 機器更新 機更+河川 現状再現 機器更新 機更+河川

パター ン1

パター ン2

パター ン3

月合計 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5

現状再現 機器更新 機更+河川 現状再現 機器更新 機更+河川 現状再現 機器更新 機更+河川 現状再現 機器更新 機更+河川

パター ン1

パター ン2

パター ン3

月合計 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5

現状再現 機器更新 機更+河川 現状再現 機器更新 機更+河川 現状再現 機器更新 機更+河川 現状再現 機器更新 機更+河川

パター ン1

パター ン2

パター ン3

月合計 3.0 3.5 4.0 4.5 5.0 5.5

現状再現 機器更新 機更+河川 現状再現 機器更新 機更+河川 現状再現 機器更新 機更+河川 現状再現 機器更新 機更+河川

パター ン1

パター ン2

パター ン3

月合計

機器単体効率[-]

10日 11日 10日 10日 9日 12日 10日 10日 9日 10日 12日 9日

図3.5.43冬期における代表日パターン毎の機器単体効率の比較〔HTHP〕

〔左から12月、1月、2月、3月〕

HTHP稼働時熱源水入温度〔実績値〕

箱崎河川水取水温度〔実績値〕-3℃ シミュレーション代表日

河川水熱 利用有効帯

第3章 c) 年間の河川水温度の状況

図3.5.45に河川水の再生可能エネルギー熱利用による熱源(冷却)水温が、大気利用に比べ、HTHP

の効率向上が見込まれる運転時間の割合(河川水熱利用有効割合)と、HTHP の省エネルギー率を 示す。夏期〔6~9 月〕においては河川水熱利用有効割合にばらつきがあり、省エネルギー率も 3% 前後となった。7、8 月の同割合は約 71.6%、約 25.1%となり、8 月の省エネルギー率は-1.7%とな った。6月においても河川水熱利用の有効割合が50%を下回るが、これは6月におけるHTHPの現 状実績の冷却水入温度が 22~26℃と低い温度帯の冷却水を用いているため、有効割合が小さくなっ たと考えられる。

冬期〔11~4 月〕においては、河川水熱利用の有効割合が概ね 100%を示しており、熱源機の省エ ネルギー率も30%前後と夏期と比較しても効果が大きいことが確認できる。11月における省エネル ギー率が約 35.8%と最大となる。5・10月においては、現状でHTHPの稼働がほとんどなかったた め、河川水熱利用の有効性を検証できなかった。

以上より、河川水熱利用は夏期においては有効性にばらつきのあるものの、冬期においては有効 性が期待できる。

図3.5.45年間における河川水熱利用の有効割合と熱源機器の省エネ率〔HTHP〕

0 20 40 60 80 100

河川水熱利用有効割合[]

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

-20 0 20 40 60 80 100 120

省エネルギ[]

放熱源利用〔冷却水利用〕

採熱源利用〔熱源水利用〕

第3章 (4) シミュレーション結果

a) 電力消費量

図3.5.46に電力消費量のシミュレーション結果を示す。

冬期においては、河川水の再生可能エネルギー熱利用への機器更新は、大気利用のまま機器更新 に比べ、HTHP の電力消費量が大きく減少し、約 17.7%の省エネルギーとなった。現状の熱源機器 での河川水利用は約6.8%の省エネルギーとなった。

中間期においては、河川水利用への機器更新は約2.8%の省エネルギーとなった。これは中間期に は、河川水を利用しない設定の TR による冷水製造と、DBHP の熱回収運転による冷温水製造が主 となるためと考えられる。

夏期においては、河川水利用への機器更新では電力消費量が約 2%増加する結果となった。これ は熱源機の主機の電力消費量はほぼ同等だったが、取水ポンプを含めると電力消費量が増加するこ とを確認した。

年間では、河川水利用への機器更新は約 6.0%の省エネルギーに、現状の熱源機器での河川水利 用は約1.8%の省エネルギーとなった。

図3.5.46電力消費量のシミュレーション結果

0 200 400 600 800 1,000 1,200 1,400 1,600

現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水 現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水 現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水 現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水 現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水 現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水 現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水 現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水 現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水 現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水 現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水 現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水

4月 5月 6月 7月 8月 9月 10月 11月 12月 1月 2月 3月

0 1 2 3 4 5 6 7 8 9 10

現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水 現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水 現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水 現状再現 河川水利用 機器更新 機器更新+河川水

中間期 夏期 冬期 年間

電力消費量[MWh/] 電力消費量[TWh/]