第 4 章 提案手法 43
4.5 提案手法の比較・考察
4.5.4 大規模入力結果の考察
LSI設計の現状を踏まえ,ノード数の多い入力に対する実験を行った.入力は 図4.13に示したEWFを複数個つなげることにより作成したCDFGを与えた.
第4章 提案手法
第4章 提案手法 EWFを2つ,3つ,4つつなげた入力に対しての実行結果をそれぞれ表4.5,4.6,
4.7に示す.
まず,EWF2連を入力とした場合である.今回は乗算器3,加算器4の制約の 下,時間オーバヘッドを最も削減できている結果を示している.この入力と演算 器制約のとき両手法において34ステップではfault-secure設計を施すことができ なかったため35ステップとなり,時間オーバヘッドは1ステップとなった.面積 オーバヘッドに関してはノード数の増加に伴いサブCDFG分割数が増えたため,
既存手法では13個の比較器が必要になる.提案手法でも分割数は増大しているが,
比較器共有を行うことで3個の比較器の付加で済んでいる.
次にEWF3連を入力とした場合である.2連のときと同様に乗算器3,加算器 4の制約の下,時間オーバヘッドを最も削減できている結果を示している.この 入力の場合,fault-secure設計を施すに際して既存手法では最小でも1ステップの 付加が必要となっている.提案手法では時間オーバヘッドの付加なしで実現でき ている.これは通常計算部のスケジューリングにより,全体のスケジューリング がステップ数の観点で柔軟に行われていることによると考えられる.面積オーバ ヘッドに関しては,既存手法が21個の比較器を必要とするのに対して,提案手法 では3個で済んでいるため,提案手法の方が有効であると言える.
また,表中には記載していないが既存手法のサブCDFG分割数が22であるのに 対して,提案手法では9で済んでいる.これは通常計算部をASAPでスケジュー リングすることで再計算部の可動度を大きくし,分割数を抑えるという本提案手 法の狙いが正しいということを示す結果であると言える.
最後にEWF4連を入力とした場合である.この入力の場合もEWF3連を入力 とした場合と同様の制約を与えている.得られた結果も同様に既存手法では1ス テップの時間オーバヘッドを必要としているが,提案手法では時間オーバヘッド を必要としていない.面積オーバヘッドについても提案手法ではサブCDFG分割 数が抑えられ,かつ,比較器共有により付加される比較器数の点で有利であると 言える.
これらの結果から総じて,入力のノード数が増加するほど本手法の狙い通り,時 間オーバヘッド,面積オーバヘッドの削減効果が上がっているということが言え る.また,既存手法と比較したときの提案手法の有効性が示されている.
第4章 提案手法
表 4.5: EWF2連を入力とした結果.
乗算器数 加算器数 比較器数 ステップ数 面積OH 時間OH
入力 2 3 0 34 – –
Wuらの手法 3 4 13 35 15 1
提案手法 3 4 3 35 5 1
表 4.6: EWF3連を入力とした結果.
乗算器数 加算器数 比較器数 ステップ数 面積OH 時間OH
入力 2 3 0 51 – –
Wuらの手法 3 4 21 52 23 1
提案手法 3 4 1 51 3 0
表 4.7: EWF4連を入力とした結果.
乗算器数 加算器数 比較器数 ステップ数 面積OH 時間OH
入力 2 3 0 68 – –