• 検索結果がありません。

コモンモードノイズの見積り

ドキュメント内 master thesis tamura (ページ 49-52)

VLSI

4.5 コモンモードノイズの見積り

コモンモードノイズは、複数のチャンネルが同じ位相で揺れるノイズのことである。多チャン ネルのアナログ VLSIでは、1イベントごとに、信号が入力されていないチャンネルの波高値の 平均値をとり、信号が入力されたチャンネルの波高値から差し引くことで、この影響を低減する とともに、コモンモードノイズ以外の成分を調べることが可能である[25]。

ここでは、コモンモードノイズを中心に評価するために、データ取得のタイミングを変更した。

本VLSIの基本的な動作モードでは、信号を待ち受ける間はピークホールドゲートが開いており、

その中で最も高かった波高値が記録される。これは、回路の簡素化を狙って、コンパレータ入力を

4.5. コモンモードノイズの見積り 43

4.8: 入力容量と入力換算ノイズの測定結果とシミュレーション結果

ピークホールド入力と共用したために、トリガーを受けてからピークホールドゲートを開くモー ドでは、特に低い波高値の信号を正しく取得できないためである。これではコモンモードノイズ 測定が困難なので、図4.9のようにセットアップを変更した。具体的には、テストパルス入力と 同期して、ピーキングタイム後にサンプルホールドだけかけることにした。

測定は、13 ke 相当のテストパルスを入力して行ない、CSAの帰還容量は0.05 pFとした。ま た、CSAの減衰時定数を 12 µs、波形整形回路のピーキングタイムを 2.1 µs にそれぞれ設定し た。読み込んだ8チャンネルのうち、テストパルスを入力した1チャンネルを基準とした。1チャ ンネルはノイズが他のチャンネルと著しく異なっていたため、残りの6 チャンネルの平均をコモ ンモードノイズだと考えた。コモンモードノイズを差し引く前のスペクトルが、図4.11であり、

差し引いた後のスペクトルが図4.12である。ピークの位置が移動しているのは、DCオフセット の違いである。この測定の結果、コモンモード差し引きで、ノイズレベルが425 e から365 e に低減できることが分かった。

この測定を用いて、本セットアップでのノイズ成分を考察した。各チャンネルのノイズ成分が、

コモンモードノイズe2cmd と、チャンネル固有のノーマルモードノイズe2nml の和であるとし、全 チャンネルでこの値が同じだと仮定する。この時、N チャンネルを用いてコモンモードノイズの 差し引きをした時の、あるチャンネルのノイズレベルederived は、

ederived = s

e2nml+

N

X enml

N 2

(4.1) と与えられる。ederived は、ecmd がNの関数であることを用いて、実験結果を計算したところ、

enml = 340e と求まった。これによりこの測定におけるコモンモードノイズは、 217 e と求 まる。

本節の冒頭で述べたように、本アナログVLSIでは基本的にピークホールドゲートを開き続け る運用を考えてきたため、コモンモードノイズ差し引きの効果が出にくい。次のアナログVLSI を設計する時には、コモンモードノイズ差し引きがよりやりやすい工夫が必要である。一方で、

コモンモードノイズは外来ノイズに由来することが多いため、このようなノイズをより減らせる ように評価基板やセットアップを工夫すると同時に、外来ノイズの影響をより受けにくいVLSI 設計に工夫が必要であろう。この詳細については、第4.7節で述べる。

44 4 製作したアナログVLSIの検証と評価

generatorGate

generatorGate

VLSI

Register

set P/H gate S/H gate Trigger

P/H out

ADC

ADC start

input

DAQ board

Digital I/O

Test pulse

8ch

CPU

PCI bus differential current

TTL Pulse

generator

Trigger out

Trigger inhibit

8ch

8ch MUX

4.9: 変更後のセットアップ。

TP

10us

trigger out

S/H P/H

ADC start Pulse generator

Trigger inhibit

4.10: 変更後のタイミングチャート。

ドキュメント内 master thesis tamura (ページ 49-52)

関連したドキュメント