A Development of the Metadata Model for Video Game Cataloging
3. オランダ・韓国 Global Applied Game Jam(GAG) オランダは人口が我が国の約 13% であるが,約
400社あるゲーム制作会社の約3分の1がシリアス ゲーム(オランダではApplied Gameとも呼ぶ)開 発を専業としており,我が国とは違ってシリアスゲ ームが世の中の諸問題解決に役立つ事が認知されて いる国である[5].しかし,社会的に認知されるまで には,防衛を目的としたシリアスゲームの開発と運 用の歴史を経た後,官学産共同による研究開発の成 果で得られたシリアスゲームの普及が貢献したと考 えられる.代表的なのはABI(後天性脳損傷)の子供の リ ハ ビ リ テ ー シ ョ ン 支 援 を 目 的 と し た Project
DREAM[7]と,市長の危機管理能力向上を目的とし
た“Mayor Game”[8]である.
上述した研究開発活動に加えて,オランダでゲー ム開発を教える大学における教育プログラムの中で はシリアスゲームがカリキュラムに組み込まれてい ることである.その中心的な大学が HKU である.
HKUのGames & Interaction学部ではカリキュラ ム の 一 環 と し て 3 年 生 の 学 生 全 員 約 100 名 が GGJ(Global Game Jam)に参加する.更に,2013年か ら韓国の複数大学とGlobal Applied Game Jam(GAG) を共催し,両国で交互に開催を続けて2017年8月には 第8回GAGを韓国の浦項工科大学(POSTEC)で実施さ れた.なお,2016年8月の第6回GAG及び2017年 8 月の第 8回には我が国から日本大学の学生 1名がそ れぞれ参加し,筆者は運営側の一人として参加した.
図2 第8回GAG表彰式後の集合写真 (2017年8月) GAG は回を重ねる毎にマニュアルの整備が進むと ともに様々なアクティビティの追加が試みられている.
以下にGAGの特徴を列挙する.
(1) HKU が大学のカリキュラムの一環としてオラ ンダ・韓国の両国で主催している.韓国側ホスト 校はPOSTECが実施しているが,カリキュラム に組み込まれているわけではない.
(2) シリアスゲーム制作を通した国際化教育が目的 の中核である.そのため,参加するためにはゲー ム制作の各スキルが高いことと,英語によるコ ミュニケーションができることが原則求められ,
各大学で選抜により参加者が決定される.例え ば,韓国で実施された第 8回 GAG に参加した HKUの学生は6名で,航空券はHKUが支給,
宿泊はPOSTECが寮を提供した.
(3) 当初はオランダと韓国の 2 国で実施していたが,
第6回からは中国の吉林動画学院から6名の学 生が参加した他,日本からも 1 名の学生が参加 して更に国際化が進んだ.吉林動画学院では HKUと同様に学内で選抜が実施され,航空券は 吉林動画学院が支給,宿泊はPOSTECが寮を提 供した.一方日本からの学生は希望者を募って 参加し,航空券は自己負担,宿泊はPOSTECが 寮を提供した.
4. 中国:国際シリアスゲームジャム
中国ではシリアスゲームのことを机能性游戏ジ ー ノ ン シ ー ユ ー シ
(機 能性ゲーム)と呼び,社会的認知は高くないものの,
先述した第 6回 GAGには吉林動画学院が学生を送 り込む等近年期待が高まってきた.そして,2017年 10 月には国際シリアスゲームジャム(CGJ)を吉林動
画学院が主催した.
図3 第1回CGJ表彰式後の集合写真 (2017年10月) 以下にCGJの特徴を列挙する.
(1) 主催は吉林動画学院で,今後大学のカリキュ ラムの一環として組み込むべく,第 1回を実 施した.CGJの実施に対する大学側の取り組 みには強い意志が感じられ,学長主催による パーティや全学のイベントとして授賞式が実 施された.更に,審査員・スポンサとして Tencent社(2017年 11月には株価の時価総 額がFaceBook社を超えた中国のゲーム会社)
及びNetEase社を迎えた他,韓国モバイルゲ ーム協会も共催組織として入る等,国を超え てエンタテインメントゲーム業界との連携の 強さを強調した.
(2) シリアスゲーム制作を通した国際化教育を目 的の中核としてとらえ,中国各地の大学に加 えて,韓国,シンガポール,日本の 4カ国の 参加を第1回目から実現した.
(3) 参加者に対しては吉林動画学院から寮が提供 され,航空券については各大学にまかされた.
5. 我々が目指す方向性
2〜4章で述べた通り,現在3つのシリアスゲーム ジャムが各国で定期的に実施されており(SGJ:日本,
GAG:オランダ・韓国・中国・日本,CGJ: 中国・韓 国・シンガポール・日本),相互に運営者レベルで交 流している.また,英国でも同様のイベントが実施さ れる[6]等各国で広まりつつあると考える.
DiGRA JAPAN教育SIGがSGJを主催する目的 は“シリアスゲームの社会的認知度向上”であるが,
この目的達成のためにSGJとして目指す方向性を以 下に列挙する.
(1) SGJで制作するシリアスゲームの公開と普及 が不可欠である.第6回SGJでは実行委員会 によるリリースサポートの実施を新たに含め たが,今後のフォローと検証が重要である.
(2) SGJとGAG及びCGJの違いは,前者は参加 が公募制,後者は各大学内での選抜過程を経 ての参加である点である.その結果,作品の試 遊時における平均的なゲームとしての完成度 の高さは,GAGとCGJの方が高い.ただ,
SGJは実質30時間の制作時間であり,GAG 及びCGJは48時間であることから単純な比 較はできず,完成度の向上の実現に向けては 今後更なる検討が必要である.
(3) 国際化に関しては,SGJでは遠方からの参加 者に交通費と宿泊費の負担を課すため,海外 在住者の参加における障害となる.対策の一 案としては,海外のゲームショウ実施組織と の連携等が考えられる.その一歩として,2018 年 1 月に 台北で実施され た Taipei Game Show(TGS)で主催者である TCA の代表と会 談し,台湾からの参加者がSGJに参加するた めのスカラシップについて検討することとな った.また,相互理解向上のため,SGJ成果 のTGSでの出展についても話し合った.
(4) SGJの運営資金は主として一般企業等からの 協力金により実施している.一方,GAG及び
CGJは中核となる大学の資金に加えて,その 国を代表する大企業のスポンサがついている.
特に,CGJは世界を代表するゲーム会社がス ポンサとなっている.SGJは今後ゲーム業界 との連携を深めることが重要であることが言 うまでもないが,そのためには,社会的認知度 の向上の早期達成が必要である.
6. おわりに
本稿では,代表的なシリアスゲームジャムである SGJ, GAJ, CGJ の概要を紹介するとともに,今後 SGJが目指す方向性について述べた.SGJによって シリアスゲームの我が国における社会的認知度が向 上し,SGJが今後も継続的に実施できる環境が醸成 されることを期待する.
文 献
[1] 藤本徹(2007),シリアスゲーム 教育・社会に役立つデジ
タルゲーム,東京電機大学出版局.
[2] 岸本好弘,古市昌一,“シリアスゲームジャム開催の歩み –第1回から第4回シリアスゲームジャムまで-”, 日本 デジタルゲーム学会 2016年年時大会予稿集 (2017).
[3] 古市 昌一,岸本 好弘,藤原 正仁, 粟飯原 萌,“第5回 シリアスゲームジャム ~みんなのバリアフリー~第 1 回シリアス&アプライドゲームサミット”,日本デジタ ルゲーム学会 2016年年時大会予稿集 (2017).
[4] 粟飯原萌,岸本好弘,松尾学,髙澤有以子,小野憲史,
三上浩司,藤原正仁,古市昌一,“第 6回シリアスゲー ムジャム ~えいごでコミュニケーションEnglish Please!
~の実施報告, 日本デジタルゲーム学会 2017年年時 大会予稿集 (2018).
[5] 古市昌一,Micah Hrehovcsik,Neils Keetels,Marjanne
Paardekooper,“オランダにおけるシリアスゲーム教育
状況 〜国際化教育と2国間シリアスゲームジャム〜”
日本デジタルゲーム学会 2015年年時大会予稿集 (2016) [6] Romana Ramzan, Andrew James Reid,“The Importance of Game Jams in Serious Games”, in Proceedings of the 10th European Conference on Games Based Learning, pp. 538-546 (2016)
[7] Remco Veltkamp (ed): “Rehabilitation Through Game Play:
Project DREAM”, Results From the GATE Research Project, pp. 34-35 (2012)
[8] Hester Stubbé, Josine G. M. van de Ven, Micah Hrehovcsik,
“Chapter3: Games for Top Civil Servants: An Integrated Approach, Cases on the Societal Effects of Persuasive Games”, pp. 32-50, IGA Global (2014)
Serious Game Jams in Other Countries and Our Future Goals
Masakazu FURUICHI Megumi AIBARA
Nihon University, Graduate School of Industrial Technology 1-2-1 Izumi-cho, Narashino, Chiba, Japan
E-mail: [email protected], [email protected] ,
Abstract: Although game is one of the typical Japanese culture known over the world, the awareness of the importance of serious games in a society is very lower comparing to other countries. In order to increase such awareness, we have been organized serious game jam(SGJ). On the other hand, the Netherlands and Korea are organizing Global Applied Game Jam (GAJ) and China has started China International Serious Game Jam (CGJ) in 2017. In this paper, overview of SGJ, GAJ and CGJ are introduced, and the future goals of SGJ and the expected process are discussed.
Keywords: Serious Game Jam, Serious Game, Game Jam, SGJ, GAG, CCJ
日本デジタルゲーム学会 第8回 年次大会 予稿集 Digital Games Research Association JAPAN Proceedings of 8th Conference
企画セッション ゲーム教育 SIG 活動報告:
「第 6 回シリアスゲームジャム」開催とシリアスゲームジャムの未来 Game Education SIG Activity Report : Lessons Learned from the 6th Serious Game Jam
and the Future of Serious Game Jam
セッション概要
ゲーム教育 SIG(Special Interest Group)では,社会問題の解決・啓蒙に役立つシリアスゲームの普及のため,
2014 年以降毎年シリアスゲームジャムを開催してきた.過去5 回のシリアスゲームジャム開催の歩みと,昨年 12 月に開催した「第6回シリアスゲームジャム ~えいごでコミュニケーションEnglish Please!~」開催報告を行う.
併せて諸外国におけるシリアスゲームジャム実施の動向を報告し,今後のシリアスゲームの普及活動について議論 する.
キーワード シリアスゲーム,ゲームジャム,アプライドゲーム,英語教育,オランダ,ゲーム教育
発表者
岸本 好弘 東京工科大学 メディア学部 古市 昌一 日本大学大学院 生産工学研究科 粟飯原 萌 日本大学大学院 生産工学研究科 藤原 正仁 専修大学 ネットワーク情報学部
各発表の概要
1) シリアスゲームジャム開催の歩み(岸本) 15分
岸本好弘,古市昌一ら,“シリアスゲームジャム開催の歩み -第1回から第5回シリアスゲームジャムまで
-”, デジタルゲーム学研究 2017 Vol.9 No.2 (2017).
2) 「第6回シリアスゲームジャム ~えいごでコミュニケーションEnglish Please!~の実施報告」(粟飯原)15分 予稿あり,インタラクティブセッション発表もあり
3) 諸外国におけるシリアスゲームジャム実施の動向及び我々が目指すもの(古市)15分 予稿あり
4) 会場も含めてディスカッション(岸本,古市,粟飯原,藤原) 15分
合計60分
インタラクティブ発表
日本デジタルゲーム学会 第8回 年次大会 予稿集 Digital Games Research Association JAPAN Proceedings of 8th Conference
キネクトを用いた視覚障害者向けゲームの制作事例
安樂 清禎
ⅰ松隈浩之
ⅱⅰ九州大学 芸術工学府 〒815-0032 福岡県福岡市南区塩原4丁目9-1
ⅱ九州大学 芸術工学研究院 〒815-0032 福岡県福岡市南区塩原4丁目9-1 E-mail: ⅰ[email protected], ⅱ[email protected]
概要 デジタルゲームは、その形態や遊び方の多様化とともに、より多くの層に楽しまれるようになってきた。
その一方で、視覚的な情報が中心であるデジタルゲームは、視覚障害者が晴眼者と同じようにプレイし、楽しむこ とは非常に困難なものである。視覚障害者をターゲットとしたゲーム作品もいくつか公開されてはいるが、音の情 報のみで構成されたゲームは晴眼者にとって難易度が高い傾向がある。このことから、視覚障害者と晴眼者、その 両方が楽しく遊ぶことのできるゲームはほとんど存在していない。そこで、視覚障害者と晴眼者がどちらも楽しむ ことができるゲーム「はたあげユニバース」を制作した。本報告では、制作したゲームについて述べる。
キーワード Kinect,体感ゲーム,視覚障害, リズムゲーム
1. 背景
近年、家庭ゲーム機の普及やスマートフォンを用い たソーシャルゲームの発達、パソコンによるオンライ ンゲームの興隆により、多くの人が日常的にゲームに 慣れ親しんでいる。その一方で、ゲームを遊びたくて も遊ぶことのできない人々も存在している。そのなか の一部が「視覚障害」を持つ人々である。視覚障害と は、眼鏡やコンタクトを使用しても視力が著しく低い、
もしくは、視野が狭い状態を指す。そのなかでも明暗 の判別も出来ず、一切視力を持たない状態を全盲と呼 ぶ。
今日発売されているゲームは、ゲーム画面から得ら れる視覚的な情報を元に遊ぶものがほとんどであるた め、画面を見ることの出来ない視覚障害者にとって、
晴眼者と同じように遊ぶことは非常に困難、あるいは 不可能である。
その一方で、視覚障害者に向けて制作されたゲーム 作品もいくつも発表されており、その中の一部はイン ターネットを介して簡単に手に入れることができる。
しかし、視覚障害者に向けられたゲーム作品は、音の 情報のみで構成されていることが多いため、晴眼者に とって難しく感じてしまったり、味気なく感じてしま うことが多い。これらのことから、晴眼者と視覚障害 者の両方が同様に楽しむことのできるゲーム作品は非
常に少ないといえる。そこで、視覚の障害に関わらず 楽しむことのできるゲームの制作に取り組んだ。次章 から、制作したゲーム「はたあげユニバース」の概要 と、制作にあたってどのような課題が見つかったか、
それらにどのように取り組んだのかについて述べてい く。