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4. JCM 方法論の開発と GHG 削減ポテンシャルの推計

4.1 JCM 方法論

4.1.4 オフィスビル・商業施設における冷水生成のための排熱回収システムの導入

(1) 適格性要件

適格性要件は、表4-6のとおり。

表 4-7 検討中の冷水生成のための排熱回収システム導入の適格性基準

要件 1 冷水生成のため排熱回収(WHR)システムが既存のオフィスビルまたは商業施設に設 置されること。

要件 2 冷水生成のためプロジェクトが使用する冷媒に CFC、HFC、または HCFC が含まれる 場合、当該冷媒を大気へ放出しないための計画が準備されていること。

63 (2) リファレンス排出量の算定方法

リファレンス排出量は、WHRに回収される熱及び/またはガスを使用することにより生成 した冷水量に、既存チラーのCOP、及びプロジェクトが使用する電力源のCO2排出係数を 乗じて算出する。

インドネシアの空調の専門家によると、既存施設の多くは設置時にチラーの校正を適正に 行わないことから、全負荷時であっても、既存チラーの効率は仕様書の数値より落ちる。同 現地事情を踏まえ、本方法論では、次の手法を更に適用することで、リファレンス排出量を 保守的に設定する:

 クレジット期間中に既存チラーの寿命が来た場合:インドネシア国家基準(SNI)6390 の定めるCOPは、同国の専門家によれば既存チラーにはかなり厳しい基準であること から、これを適用する。

 クレジット期間後に既存チラーの寿命が来る場合:既存チラーのメーカー仕様書記載の 定格COPを適用することで、経年劣化分を考慮しない。

なお、チラーの寿命は、CDMの「Tool to determine the remaining lifetime of equipment」(version 01)に則り、15年とする。

リファレンス排出量は次の式で算出する。

REc p

CT RE p

aux RE RE

p PJ

p

Q EC EC EF

RE  [(

,

/  / 3 . 6 ) 

_ ,

_ ,

] 

i

p i aux CAP p

aux

RE

EC O

EC

_ , _ ,

i

p j CT CAP p

CT

RE

EC O

EC

_ , _ ,

REp 期間pにおけるリファレンス排出量 [tCO2/p]

PJ,p 期間pにおいてプロジェクトが生成した冷却エネルギー量 [GJ/p]

ηRE 冷却エネルギー生成リファレンス機器の効率 [-]

ECaux,p 期間 p においてプロジェクトにより撤去される既存チラーの電気補機に

よる消費電力量[MWh /p]

ECCT,p 期間pにおいてプロジェクトにより撤去される既存チラーの冷却塔によ る消費電力量[MWh /p]

EFRec 既存チラーが消費する電力のCO2排出係数 [tCO2/MWh]

ECCAP_aux,i プロジェクトにより撤去される補機iの定格出力の合計 [MW]

ECCAP_CT,j プロジェクトにより撤去される冷却塔jの定格出力の合計 [MW]

Op 期間p におけるWHRの稼働時間数 [hour/p]

(3) プロジェクト排出量の算定方法

プロジェクト排出量はWHRシステムに加え、プロジェクトにより導入された、冷水生成 のための機器や、ポンプ及び冷却塔を含むその他のすべての機器が消費した電力量から求め

64 る。算定式は以下のとおり:

𝑃𝐸𝑝= (𝐸𝐺𝑐ℎ𝑖𝑙𝑙𝑒𝑟,𝑝+ 𝐸𝐺𝐴𝑈𝑋,𝑝+𝐸𝐺𝐶𝑇,𝑝) × 𝐸𝐹𝑒𝑙𝑒𝑐

PEp :期間pにおけるプロジェクト排出量 [tCO2/p]

ECchiller,p :期間pにおける冷水生成機器の消費電力量 [MWh /p]

ECAUX,p :期間pにおけるプロジェクトで導入された電気補機の消費電力量

[MWh /p]

ECCT,p :期間pにおけるプロジェクトで導入された冷却塔の消費電力量 [MWh /p]

EFelec :プロジェクトが導入した機器が消費する電力のCO2排出係数 [tCO2/MWh]

(4) 事前(ex-ante)で固定するパラメータ

事前に固定するパラメータは次のとおり。

表 4-8 検討中の太陽光発電システム導入に係る方法論において事前に固定するパラメータ

パラメータ データの内容 出所

ηRec 冷却エネルギー生成リファレンス機器の効率 代替されたチラーが遠心式である場合には、JCM 承認方法論JCM_ID_AM001のデフォルト値が使用 可能である。

水冷式及び空冷式チラーについては、下記のデ フォルト値を適用する:

チラーのデフォルト値

A/Cタイプ COP*

空冷チラー < 150 TR (reciprocal) 2.8 空冷チラー < 150 TR (screw) 2.9 空冷チラー > 150 TR (reciprocal) 2.8 空冷チラー >150 TR (screw) 3 水冷チラー < 150 TR (reciprocal) 4 水冷チラー < 150 TR (screw) 4.1 水冷チラー > 150 TR (reciprocal) 4.26 水冷チラー > 150 TR (screw) 4.4

*エネルギー効率は、空冷式の場合は外気温 33℃、水冷式の場合は外気温30℃、または水冷 式コンデンサの場合には冷却水の入口温度30℃

として測定する。

方法論のデフォルト値(バリデー ション時点では、最新のインドネ シア国家基準 SNI-6390 が適用可 能である)

EFelec 表 4-5 同様の扱い

EGaux_cap,i プロジェクトにより撤去される補機iの定格出力の

合計

メーカー仕様書による

EGCT_cap,i プロジェクトにより撤去される冷却塔iの定格出力

の合計

メーカー仕様書による

65