6. 事業実施計画
6.4 オフィスビル
6.4.1 オフィスビル A
(1) 導入技術と効果
1)エネルギー削減量
今回の計画によるエネルギー削減量を以下に示す。
ビル管理業者への聞き取りによると、当ビルの年間電気使用量は、10,300MWh である。
更新後の最新の空調システムを導入すると、1,000MWh削減され、9,300MWhとなる。これ は、空調エネルギーに対し36%の削減、建物全体でのエネルギー削減は10%となる。
高効率機の電力削減量を電気料金に換算すると、削減額は1,200,000Rp/年になる。
図 6-13 エネルギー削減量
2)CO2削減量
今回の計画によるCO2削減量を以下に示す。
更新後の最新の空調システムを導入すると、730t削減され6,780tとなる。これは、空調 のCO2排出量に対し36%削減、全体のCO2削減量に対しては10%削減となる。
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図 6-14 CO2削減量
3)効果のまとめ
表 6-1 削減効果まとめ
これまでに説明した削減効果のまとめを表 6-1に示す。今回の更新計画に対する建設費は
21,600 million Rpとなる。また、これに対する単純回収年数は18年となる。
インドネシアのインフレ率や電気料金の値上げ情強を考慮しても、早めに改修を行うこと が良いと考えられる。
119 (2) 事業計画案
1)事業スキーム(案)について
以下に事業スキーム(案)について示す。
図 6-15 事業スキーム(案)
現時点では、ビル事業者の最終的な意向は決定していないが、三菱総合研究所と三菱UFJ モルガン・スタンレー証券が事業実現のためのスキームを構築する。
共同事業者としては、インドネシア側のビルオーナーと日本側の兼松、冷凍機メーカー、
九電工のジョイントオペレーションを構成する。
環境省
JCM事務局
三菱総研
三菱UFJMS証券
ビルオーナー
兼 松
九電工
冷凍機 メーカー
冷凍機メーカー 現地法人
BEMS工事
現地法人 配管・ 電気工事 現地法人 共同事業者 補助金
支援
工事業者
支援
対象ビル
オーナー窓口 補助事業経験者 技術窓口
インドネシア政府
JCM協定
調整 調整
120 2)工事施工計画(案)
図 6-16 工事施工計画(案)
今回改修対象建築物の工事施工計画について、図 6-16に示す。工事は、計画、設計、施 工、フォローアップの順に行う。計画ではお客様の要望事項を把握し、方針決定を行う。設 計はコンカレント方式を導入し、打合せを行いながら施工の準備を行う。施工では、安全・
品質確保のために様々な確認を行う。
工事完了後も運用確認のために、BEMSを利用したフォローアップを行っていく。
121 3)工事工程案
図 6-17 工事工程案
今回改修対象建築物の空調システム更新工程について、図 6-17に示す。
工事前の準備として、調査・設計に2.5ヶ月、機器製作に5.5ヶ月の計8ヶ月、機器完成 後の工事に2.5ヶ月必要となる。
工事にあたっては、残置する機器も活用し、空調能力をできるだけ減らさない方向で行っ ていく。
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