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エクイティ REIT の投資対象資産

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第 4 章 米国 REIT

第 3 節 エクイティ REIT の投資対象資産

NAREITではエクイティREITを投資対象によって大きく8セクターに、サブセクターを

含めると13セクターに分類している(図表32)。

34 UPREITOPがあたかも傘(Umbrella)のように見えることから、Umbrella Partnership REITと呼ばれ ている。

現物出資 (譲渡益課税 は繰り延べ)

REIT株転換件付き パートナーシップ

持分権(OPユニット) 不動産 現物出資 REIT

(ジェネラル・パートナー)

オペレーティング・パートナーシップ(OP)

リミテッド・

パートナー

(元の所有者)

リミテッド・

パートナー

(元の所有者)

不動産

OPユニット

REIT株や現金に 転換した時点で 課税される

図表 32  エクイティREITのセクター別銘柄数及び時価総額       

  (単位:億ドル)

セクター サブセクター 銘柄数 時価総額

(サブセクター)

時価総額

(セクター)

オフィス 18 526

インダストリアル 7 283

インダストリアル/

オフィス

混合型 5 121 930

ショッピング・センター 16 458

リージョナルモール 9 570

リテール

フリースタンディング 5 73 1,101

賃貸マンション 18 631

レジデンシャル

マニュファクチャードホーム 4 22 653

複合型 10 278

ホテル 16 313

セルフストレージ 4 196

ヘルスケア 12 248

スペシャルティ 7 170

※  銘柄数、時価総額は2007年3月末時点の数字である。

(出所)NAREIT webサイトより筆者作成  

以下では各セクターについて説明する。

①インダストリアル/オフィスセクター

このセクターは、オフィス、インダストリアル(産業施設)、両者の混合型の3つのサブ セクターに分けられる。オフィスと産業施設とでは特徴などが異なるが、ともに企業向け に賃貸され、オフィス併設の産業施設も多いことから同セクターに入れられている。

a  オフィス

  オフィスセクターでは純粋なオフィスビル全般に投資するREIT以外にも、金融機関の所 有していた不動産に特化して投資するAmerican Financial Realty Trust(AFR)や、バイオテ クノロジー企業向けオフィスに特化して投資する Alexandria Real Estate Equity(ARE)、

BioMed Realty Trust(BMR)、政府や自治体などの入居するビルに特化して投資するHRPT

Properties(HRP)、Corporate Office Properties(OFC)、Government Property Trust(GPT)など、

特殊なアセットに特化しているREITも多い。

  オフィスセクターでは、ローカル知識が強く求められるため、純粋なオフィスビルに投 資するREITの多くは特定の地域に特化して投資しており、全国のオフィスビルに投資する 分散型よりも高い評価を得ている。特にCBD(Centre of Business District)と呼ばれる都心 中心部のオフィス街に位置する有名ビルを保有するREITが高い評価を得る傾向がある。

b  インダストリアル

  インダストリアルREITは、物流施設や倉庫、工場などの産業施設、研究施設などに投資 するREITである。2007年3月末の時点で7銘柄が上場しているが、Prologis(PLD)1社で インダストリアルセクターの時価総額の58%を占めている。

  このセクターの資産は、輸送ルートとの近接性が重要である。また通常シングルテナン トに長期リースされるのでテナントの定着率は高く、テナントが資産の運営コストを負担 するのでREIT側の管理負担は少ない。

c  混合型

  このセクターの REIT の多くは米国内の特定地域に特化して開発を手掛ける会社であり、

通常Aクラス35の郊外オフィスや産業施設(通常ビジネスパーク36)を購入・開発する。

②リテール

  このセクターはショッピング・センター、リージョナルモール、フリースタンディング の 3 つのサブセクターに分けられる。リテールセクターでは、商業施設のタイプによって 入居するテナントや運営に必要なノウハウなどが異なるため、ほぼ全てのREITが自社の得 意とする分野に特化して投資を行っている。

a  ショッピング・センター

  このセクターのREITは、商圏3〜5マイルの近隣型センター、15マイル圏まで対応する 中商圏型(コミュニティ)センターとパワーセンターなどの比較的小振りの商業施設に投 資している。

  近隣型ショッピング・センターは、アンカー・ショップと呼ばれる基幹店であるスーパ ーマーケットを核として建設され、食品、薬などの日用品の販売とドライクリーニングや ヘアサロンなどの個人向けサービスを提供する。コミュニティセンターもアンカー・ショ ップとしてスーパーマーケットを収容しているが、小型百貨店や巨大ディスカウントスト アなどを取り巻く形で建てられることもある。パワーセンターには、1つ以上のビッグボッ クス(大型の箱状建物)に入った小売業者、おもちゃ、オフィス用品、電気製品、ホーム アクセサリーなどの特定商品を扱う巨大な専門店が収容されている。

  90年代前半には6銘柄が上場していた、アウトレットセンターに投資するREITもこのセ クターに含まれているが、M&Aや倒産などにより現在はTanger Factory Outlet Center(SKT)

1社のみとなっている。

b  リージョナルモール

  ショッピング・センターは主に生活必需品を提供するが、リージョナルモールはアパレ ルやインテリア用品など幅広く商品を提供し、映画館や遊戯施設などを併設するものも多 い。リージョナルモールには、1店または2店の大型百貨店を中心につくられる大商圏型(リ ージョナル)センターと 3 店以上の大型百貨店を取り囲んで建設される超大商圏型(スー

35 優良な立地と交通の利便性を持ち、ビルの状態も非常に良好で、新築物件と同水準の賃料設定が可能な もの。

36 オフィス空間主体の構造となっているが、倉庫やショウルームとして使用できる空間も備えている施設。

パーリージョナル)センターの2つの形態が存在する。

  リージョナルモールは規模の利益が働きやすいこともあり、全REIT中最大の時価総額の Simon Property Group(SPG)やGeneral Growth Properties(GGP)などは大規模化している。

c  フリースタンディング

  このセクターのREITは、特定テナントのために店舗を建設し、テナントと長期の賃貸借 契約を結ぶ形態や、セール&リースバックなどの形態を用いてフランチャイズのフリース タンディング店舗37などに投資している。通常、トリプルネットリースというテナントが資 産の所有者にリース料を支払うだけでなく、固定資産税、保険料、メンテナンス費用など の全ての経費を負担する賃貸借契約の形態をとるため、REITは資産所有に伴う負担の大半 が不要となる。

③レジデンシャル

  このセクターは賃貸マンションとマニュファクチャードホームの 2 つのサブセクターに 分けられる。

a  賃貸マンション

  賃貸マンションは、主要都市の中心部にある高層複合住宅と郊外にある低層の庭園型住 宅(ガーデンレベルコミュニティ)の 2 つのタイプに分類することができる。賃貸マンシ ョンの契約は平均 1 年と短く、テナントの交代は高い頻度で発生している。しかし、マン ションの需要は他のアセットと比較して予測しやすく、賃貸期間も短いので賃料の引上げ は容易である。

このセクターには学生寮に特化して投資する American Campus Communties(ACC)、

Education Realty Trust(EDR)などのように、特定の分野に特化したREITも上場している。

b  マニュファクチャードホーム

  マニュファクチャードホームとは、工場で生産され現地で組み立てられる住宅のことで ある。REITはマニュファクチャードホームコミュニティと呼ばれるインフラが整備され区 画分けされた土地を所有し、テナントに貸し出す。テナントは借りた土地に自らマニュフ ァクチャードホームを注文して建てるか、以前のテナントからマニュファクチャードホー ムを購入する。REITが所有しているのは土地のみであり、建物はテナントの所有であるた め、テナントの回転率は一般的に低く資本支出の必要性も少ない。

  マニュファクチャードホームは、注文住宅と比較して半分程度の費用で入手することが できるため老齢者と中流家庭に人気があり、ほとんどのマニュファクチャードホームコミ ュニティは双方の住民で構成されている。

④複合型

  オフィスとインダストリアルの混合型を除いて、2 つ以上の種類のアセットに投資する REITはこのセクターに含まれている。このセクターのREIT は、投資対象資産は多様化し ていても特定の地域に特化して投資するエリア特化型や、トリプルネットリース方式の賃

37 フリースタンディングとは、店舗の建物が独立したロードサイドへの出店形式のこと。

貸借契約をテナントと結んだアセットに絞って投資するREITが多い。

⑤ホテル

  ホテルは新規参入が比較的簡単で景気変動の影響も受けやすいため、比較的リスクの高 いアセットである。しかし 1 日単位で賃貸しているため、料率をマーケット状況によって 調整しやすいというメリットを持つ。またホテル REITは自社及び TRSでのホテル運営が 禁止されており、外部運営を行わなければならない。

  2007年3月末の時点で16銘柄が上場しているが、マリオットコーポレーション(現マリ オットインターナショナル)を出自とするHost Hotels & Resorts(HST)がこのセクターの 時価総額の43%を占めている。

⑥セルフストレージ

  セルフストレージは比較的短期間、個人向けに収容スペースを貸す、日本でいうトラン クルームのことである。このアセットは、比較的低コストで購入・建設が可能なため新規 参入が容易であり、また集約的な管理を必要とするため、高リスク資産に分類されている。

2007年3月末の時点で4社が上場しているが、Public Storage(PSA)がこのセクターの時価

総額の82%を占めている。

⑦ヘルスケア

  このセクターには、病院、メディカルオフィス、介護施設などに特化して投資するREIT が含まれる。ヘルスケア産業は年間個人消費の 16%を占めるといわれ、全米最大の産業の 1つとして期待は大きい。しかし、収益の多くを直接または間接的に政府や自治体からの補 助金などに頼っているので、法律改正などの影響を受けやすい。1990 年代後半に政府の社 会保障費削減が行われたことにより、2000年前半には介護施設に投資するREITが倒産して いる。

  一般的にREITと事業者の賃貸借契約はトリプルネットリース方式のため、REITは保有 資産の大半を運営することはないが、健全な資産ポートフォリオ構築のためには、ヘルス ケア産業に関する知識、信用力のある事業者との関係、個々のアセットの潜在的な収入に ついての適切な評価能力など、他のアセットに比べ専門的なノウハウが求められる。この ため新規参入は容易ではなく、このセクターのREITの多くは1980年代から存在している。

⑧スペシャルティ

  このセクターには上記の7セクターに分類されない特殊なアセットに投資するREITが含 まれる。2007年3月末の時点で7銘柄が上場しているが、そのうち4社が森林に投資し、

森林から切り出される木材の売り上げを収益とする森林REITである。その他にはデータセ ンターなどハイテク関連施設に投資するDigital Realty Trust(DLR)、シネマコンプレックス に投資する Entertainment Properties Trust(EPR)、鉄道路線に投資する Pittsburgh & West

Virginia Railroad(PW)が上場している。2006年末までは携帯電話の電波塔などに投資する

Global Signal(GSL)や刑務所に投資するCentraCore Properties Trust(CPV)が上場していた が、いずれも買収されている。

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