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インド外国為替管理法上の問題

ドキュメント内 インド会社設立手続き (ページ 126-152)

第 2 章 会社

第 7 節 会社の清算

2 インド外国為替管理法上の問題

日本企業の現地子会社または合弁会社を清算する場合、現地の資産を全て 処理した後に残る金額を本国に送金する必要があるが、この送金については インド準備銀行(RBI)の事前認可が必要とされる(これは、支店や駐在員事 務所の閉鎖の場合も同様である)。

しかしながら、インド準備銀行の送金認可を得ることは必ずしも容易では なく、債務が残っている場合や、会社について訴訟が係属するなど紛争が生 じている場合には、送金認可の取得が困難となる場合がある。。また、特段の 問題がない場合であっても、送金額が大きい場合には送金認可に時間がかか ることもある。

本文以上

別紙1

非公開会社への適用除外規定一覧

(本別紙において、各項目の文章記載部分は公開会社に適用される規定内容を、

文末括弧内の条文は、当該規定が非公開会社において適用除外となる根拠条文 を表す)

(1) 会社設立時の株式割当の際に、会社登記局に趣意書(statement iin lieu of

prospectus)を提出しなければならないとする規定(70条3項)

(2) 自己株式の購入や親会社の株式購入のための借入れの禁止(77条2項)

(3) 株主総会特別決議なくして、または株主決議普通決議およびインド中央 政府の認可なくして、第三者に対して新株発行を行ってはならないとする 規定(81条3項(a))

(4) 種類株式についての各種規定(株式の種類を資本株式(equity share)お よび優先株式(preference share)の2種類とする規定(85条)、新株として 発行できる株式の種類も上記2種類に限定される旨の規定(86条)、株式の 議決権に関する規定(87条)、インド会社法の施行時にすでに存在した過 度の議決権に関する規定(89条))(90条2項)

(5) 一定の場合における、会社法委員会(Company Law Board)の事前許可な しでの株式の売買の禁止(111条13項)

(6) 会 社 登 記 局 に よ る 営 業 開 始 証 明 書 (Certificate of Commencement of

Business)の交付前の業務開始の禁止(149条7項)

(7) 法定株主総会(statutory meeting)の開催義務(165条10項)

(8) 株主総会の招集、定足数、議決権行使等について定める171条から186条 を強行規定(条文上「附属定款で別の定めができる」と明文で規定されて いる場合を除き、附属定款で別の定めをしたとしても無効)とする規定(170 条1項(ii))

(9) 取締役およびマネージャーに対する報酬の合計上限金額を当期純利益の 11%とする規制(198条1項)

(10) 会社登記局に提出した損益計算書を、株主以外の者が閲覧できるとする 規定(220条1項)

(11) 取締は3名以上でなければならないとする規定(252条2項。なお、同項は、

公開会社以外の会社も最低2人以上の取締役を持たなければならない旨定 めているため、非公開会社についても最低2人以上の取締役を選任する必要 がある)

(12) 定員の3分の2以上の数の取締役を、ローテーションにより退任する取締 役(任期の長い者から3分の1またはそれに最も近い数ずつ、定時株主総会 において退任していく取締役)としなければならないとする規定(255条1 項)

(13) 取締役に就任しようとする者は、取締役選任が予定されている株主総会 の14日以上前までに、会社に対して、自己が取締役候補者となることにつ いての自著による表明通知を行わなければならないとする規定(257条2項)

(14) 12人を超える数の取締役を選任する場合または附属定款で定めた取締役 の人数を超える数の取締役を選任する場合、インド中央政府の認可が必要 となる旨の規定(259条)

(15) 取締役選任においては、個別の取締役ごとに株主総会普通決議による選 任決議を行わなければならないとする規定(263条1項)

(16) 取締役に選任された者について、就任承諾書を会社登記局に提出しなけ ればならないとする規定(264条3項)

(17) 附属定款に、取締役となるための株式取得要件(share qualification)を定 めた場合における、取締役選任手続についての規定(266条5項、273条)

(18) マネージング・ディレクター、常勤取締役またはローテーションで退任 する取締役以外の取締役の選任に関する規定(基本定款、附属定款、契約 いずれの規定であるとを問わない)を修正する場合、インド中央政府の認 可が必要とされる旨の規定(268条)

(19) インド会社法別紙13(schdule XIII)の要件(一定の法令上の罰則により 処罰を受けた事がないこと、25歳以上70歳未満であること、インド居住者

(ここにいう「インド居住者」の要件は、満12ヶ月以上継続してインドに 居住していること)であること等)をみたさない者を、公開会社のマネー ジング・ディレクターまたは常勤取締役に選任する場合に、インド中央政 府の認可を得る必要があるとする規定(269条2項、インド会社法別紙13

(schdule XIII))。

(20) 取締役の不適格要件の限定列挙(274条3項が、非公開会社については、

附属定款に規定することにより、同条1項に規定される以外の不適格要件を 定めることができる旨規定していることの反対解釈として、公開会社につ いてはこれら以外の不適格要件を附属定款で定めることはできないと解さ れている。274条3項)。

(21) 1人が15社を超える会社の取締役を兼任することの禁止(278条)

(22) 取締役の資格喪失事由の限定列挙(283条3項が、非公開会社 について は、附属定款に規定することにより、同条1項に規定される以外の事由を資 格喪失事由とすることもできる旨規定していることの反対解釈として、公

開会社については、これら以外の事由を附属定款の規定により資格喪失事 由とすることはできないと解されている。283条3項)。

(22) 監査委員会の設置義務(292A条1項)

(23) 取締役会の権限の制限(293条1項。なお、別紙3の(19)を参照)

(24) インド中央政府の事前承認なしに、会社が取締役またはその一定の関係 者に対して貸付、保証および担保の差入れを行うことの禁止(295条2項)

(25) 利益相反取引において、利益が相反する取締役が、当該利益相反取引に ついての取締役会決議に参加することの禁止(300条2項)

(26) 会社登記局に登記される取締役情報において、取締役の誕生日を記載し なければならないとする規定(303条1項)

(27) マネージング・ディレクター、常勤取締役以外の取締役に対する報酬の 上限額規定(309条9項。なお、別紙4の(18)を参照)

(28) 取締役報酬を増額の方向で変更する場合に、インド中央政府の認可を必 要とする規定(310条)。

(29) 取締役の再任または取締役のマネージング・ディレクターもしくは常勤 取締役への就任に際して、その報酬を増加させる場合に、インド中央政府 の認可を必要とする規定(311条)

(30) 既に他の会社のマネージング・パートナーまたはマネージャーとなって いる者を、会社のマネージング・パートナーまたはマネージャーに選任す る場合において、取締役会全員一致の賛成のほか株主総会普通決議を必要 とする規定(316条2項、386条2項)

(31) マネージング・ディレクターの任期を最長5年とする規定(317条4項)

(32) 純利益の確定方法および減価償却費の計算に関する一定の規定(349条、

350条および355条)

(33) 公開会社において、会社の払込済み株式資本の60%または準備金の100% のいずれか高い方の額に相当する金額を越えて、法人間貸付、投資または 保証を行う際に、取締役会全員一致の賛成のほか、株主総会特別決議を必 要とする規定(372A条8項)

(34) マネージャーの兼任上限および報酬上限規定(388A条)

(35) インド中央政府が、取締役会の構成を変更できるとする規定(409条3項)

別紙2

非公開会社(

Private Company

)設立モデル手順

※ 以下は、マハラシュトラ州での設立モデル手順を念頭に置いている。デリ ー連邦直轄領その他の州、地域においては、別途の手続が必要となる可能性 もあるため、留意されたい。

STEP 1 電子署名認証(Digital Signiture Certificate (DSC))の取得

2008年5月現在、会社設立申請は、一部の手続を除き、全てインド企業省

(Ministry of Company Affairs (MCA))のウェブサイト

http://www.mca.gov.in/index.html

を通じたオンライン申請で行われている。

会社設立のための一連のオンライン申請においては、仮DINの取得申請を除 き、設立申請の全てのステップにおいて、取締役となる者(発起人)の電子署 名を提出する申請書フォームに添付することが必要とされるため、設立手続を 開始するに先立って、電子署名の作成を行い、電子署名認証(Digital Signiture

Certificate (DSC))を取得する必要がある。

電子署名認証を取得する場合、電子署名の作成と認証登録を代行する専門の 登録請負業者(10社程度)のいずれかに依頼する必要がある。登録請負業者は、

電子署名を作成し、それを当該署名者の署名として当局に認証登録する。

専門の請負業者に依頼して、印鑑の代わりに電子署名を作成、認証登録し、

これをオンラインでの書類提出に貼付(添付)するというイメージである。

電子署名の作成と認証登録が完了した後、請負業者からCDロム、メモリース ティックといった記録媒体に電子署名が記録されたものを受領する。これをコ ンピュータに挿入し、オンライン申請の画面上の署名欄をクリックすると、署 名の選択画面が出るので、自己の署名を選択すると、オンライン上の署名欄に 電子署名が貼付される。

STEP 2 取締役識別番号(Director Identification Number (DIN))の取得 1 仮DIN(provisional DIN)の取得

インド企業省のウェブサイトから、オンラインで仮DIN(provisional DIN)の 申請を行う(なお、後述のとおり、本DINの申請の際は、会社を設立しようと する地域(州)を管轄する会社登記局に対して、書類で申請する必要がある)。

(1) ユーザー登録

インド企業省のウェブサイトからオンライン申請を行う場合、最初にユー ザー登録を行う必要がある。

ユーザー登録は、インド企業省のウェブサイトのポータルサイト http://www.mca.gov.in/index.html

の一番右にある「New User Registration」をクリックして行う。

ユーザー登録を行うことにより、支払領収書(challan。下記2、(1)、イ参 照)による申請手数料の支払いが可能となる。

(2) 仮DINの取得申請

ユーザー登録完了後、仮DINの取得申請を行う。

仮DINの取得申請は、DIN申請の窓口サイト

http://www.mca.gov.in/MinistryWebsite/dca/din/DIN.htm の左のタブの「Apply for DIN」をクリックして行う。

クリック後の画面のうち、FORM DIN-1に、必要事項を記入しSubmitをク リックする。なお、このFORM DIN-1には、電子署名を貼付する必要はない。

FORM DIN-1中、*マークのついた項目(氏名、父親の名前、生年月日、現

住所等)は全て記入する必要がある。

なお、本籍地(Permanent residential address)の郵便番号について、本籍地 の郵便番号は住民票に記載されていないことから、本DINの取得の段階(下 記2参照)で、本籍地の郵便番号について別途証明を求められることもある。

必要事項が全て適切に記入されていれば、Submitの後、画面上で仮DINが 記入されたFORM DIN-1が表示される。これをプリントアウトし、本DINの 取得申請の際に会社登記局に提出する。

2 本DINの取得

仮DINから60日以内に、会社を設立しようとする地域(州)を管轄する会 社登記局に対して、正式な DIN(以下、説明の便宜上、「本 DIN」という)

の取得を書面で申請する必要がある。

ドキュメント内 インド会社設立手続き (ページ 126-152)

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