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③Gr{m甜の分類法によると、グループ学習における相互作用のタイプは、

  生徒相互の協同性を前提とした「レベルの異なる者同士の協同作業」にほ   ぼ該当する。

④ グループ学習の対話モデルを用いると、グループ学習で生起した生徒の   発話は、「対話空間」を介して相互に共有され、生徒同士の言葉による相   互作用の源になると考えられる。

⑤グループ学習では、個々の生徒の「自己参照的活動」並びに、生徒相互   の「間個人的モニタリング」と「間個人的コントロール」が推進力となつ   て問題解決の進展に貢献すると思われる。

⑥グループ学習での生徒同士の相互作用には、「課題に関連した質問と説   明」や「アイデアの提示と検証」などがあり、特に「課題に関連した質問   と説明」については、対話的なコミュニケーション、援助・被援助、メタ   認知部活動などの機能があると考えられる。

 グループ学習には、上述したように認知的側面および情意的・社会的側面に関 わる様々な特徴がある。それは、グループ学習が複雑な生徒同士の活動を伴って いるからかもしれない。それらの特徴の中には、一斉学習や個別学習を補完する 機能を果たすものも見出される。特にグループ学習の認知的特徴である「発言回 数の増加」は、そこでの生徒同士の言葉による相互作用の源であるとも考えられ

る。

 生徒の発言が、生徒同士の対話やコミュニケーションを引き起こすとき、グル ープ学習は協同性の高い活動になると考えられる。そして、グループ学習の中で、

例えば「課題に関連した質問と説明」や「アイデアの提示と検証」などの相互作 用的な活動が活発に展開されるなら、問題解決の進展は容易になるであろう。そ れは仲間との「協同的認知」(Artzt他,1992)と呼ばれる活動であるかもしれない。

 生徒の発話が、仲間に共有されるメカニズムは明らかではないが、本研究では

「対話空間」を想定することで、生徒の発話は「対話空間」を介して仲間に共有 されると解釈した。これによって、例えば問題解決の推進力になると考えられる メタ認知に関連して、「問個人的モニタリング」や「間個人的コントロール」と いう間個人的なメタ認知的活動を概念化することができた。

5.1.2認知プロセスに関する実証的分析のまとめ

 ここでは、グループ学習による数学的問題解決の認知プロセスについて、文献 データ並びに事例調査を基に、第3章および第4章で行った実証的分析から得ら れた知見を総括する。

①グループ学習による成功的な数学的問題解決には、仲間の貢献による「エ   ピソードの漸進的な変容」が伴う。

② グループ学習による成功的な数学的問題解決では,生徒同士の間で様々   な「エピソードの共有」が生じている可能性がある。その「エピソードの   共有」は、「エピソードの共有」は,生徒同士の言葉による相互作用的活   動である「課題に関連した質問と説明」を契機として生起することがある。

③「エピソードの変容」の契機には、「課題に関連した質問と説明」、「アイ   デアの提示と検証」、「教師の教授的行為」などがあり、それらによって「エ   ピソードの漸進的な変容」がもたらされる可能性がある。

④仲間の「間個人的なメタ認知的活動」による「エピソードの内容の深化」

  が、グループ学習における数学的問題解決の進展に寄与する可能性がある。

⑤ 仲間の「間個人的なメタ認知的活動」による「エピソードの変容」が、

  グループ学習における数学的問題解決の進展に寄与する可能性がある。

 これらの知見を総括すると、グループ学習による数学的問題解決の認知プロセ スに関して次のように言えよう。すなわち、グループ学習による成功的な数学的 問題解決では、問題解決の進展にとって必須であると思われる「エピソードの漸 進的な変容」が伴っている。そこでは、生徒同士の相互作用的活動である「課題 に関連した質問と説明」や「アイデアの提示と検証」、あるいは発問や指示など の「教師による教授的行為」が、その「エピソードの変容」の契機となる場合が ある。また、仲間の「間個人的なメタ認知的活動」による「エピソードの内容の 深化」や「エピソードの変容」も、問題解決の進展に寄与する可能性がある。そ して、グループ学習による成功的な問題解決にとって重要な「エピソードの共有」

は、「課題に関連した質問と説明」などの生徒同士の相互作用的活動よって生起 することがある。

 なお、グループ学習による成功的な問題解決の意味については、本研究では次 のように捉えた。すなわち、それは個人活動を超えて仲間と協同しながら生徒同 士の相互作用によって問題解決を達成するような解決活動である。関連して、「成 功とは、正しい答え以上のことを意味する。問題に没頭したり解決への企てを維 持したりするようになることも成功である」(p.63)とクルーリック他(1985)が述 べているように、情意的・社会的側面を積極的に評価するならば、グループ学習 における「成功」の意味もまた異なるものになるであろう。それに関する更なる 議論は今後の課題としたい。

5.1.3実証的分析に用いた方法論について

 ここでは、A彪t&Amlor−Thomasのエピソード分析と発話カテゴリーに基づく 発話分析に関連して、分析の枠組みの特性および実証的分析の結果を踏まえ、本 研究で実証的分析に用いた方法論を振り返り、その有用性を考察する。

(1)変容過程に対する時系列的な図式化による把握

 本研究では、A丘zt&A㎜or−Thomasのエピソード分析モデルを用いる際に、

Schoenfbldによるプロトコル解剖図を組み合わせて使用することを工夫した。プ ロトコル解剖図は、個人の問題解決過程を時系列的に図式化するもので、エピソ ードの変容過程を視覚化できる特徴を持っている。このようなプロトコル解剖図

を応用することで、グループ学習における問題解決過程の進展状況を時系列的に 図式化でき、またそれをマクロ的に把握できると期待した。

 第3章、第4章で事例調査を基に作成したプロトコル解剖図は、グループ学習 による問題解決過程を時系列的に図式化し得ることを例証した。実際、そのよう なプロトコル解剖図によって、エピソードの変容の観点から、複数の生徒から構 成されたグループ学習に伴うダイナミックな問題解決過程をマクロ的に把握する ことができた。このことから、グループ学習における問題解決過程の研究に対し ては、Altzt&Armor−Thomasのエピソード分析を基にSchoe㎡bldのプロトコル解 剖図を応用する方法が、1つの有効な分析法に成り得ると考えられる。

(2)マクロ的な分析へのミクロ的な視点の導入 、

 協同的な学習の形態であるグループ学習は、22節で考察したように、対話や コミュニケーションを増加させる環境であり、対話やコミュニケーションによる 生徒同士の相互作用を基底とする学習形態である。したがって、そこで起きてい る相互作用的な活動を捉えるためには、生徒同士の相互作用の観点からの分析が 必須であると判断した。そこで本研究では、相互作用的な活動に焦点化した条件 分析的な分析を行った。すなわち、茂呂や佐藤の研究を参考に、「質問」と「説 明」、「アイデアの提示」と「検証」などの相互作用的な活動を表す発話カテゴリ ーに基づく発話分析を導入した。  、

 事例調査の分析では、生徒の各発話プロトコルの各発話アイテムに対して、そ のような発話カテゴリーをラベリングする。それは、エピソード分析によって既 にある程度の大きさに分節化された発話プロトコルに対する分析よりも精緻な分 析であり、「一貫した行動の巨視的(マクロ)なまとまり」を分析するエピソード

分析をミクロな視点から補完するものである。

 このような発話カテゴリーに基づく発話分析によって、グループ学習で生起し た生徒同士の相互作用的な活動がより顕在化されるようになったと考える。具体 的には、このような一連の分析によって、「エピソードの共有」や「エピソード の変容」が、生徒同士の相互作用と深く関連していることが明らかになった。こ れらは、グループ学習における生徒同士の相互作用が、問題解決過程へ与える影 響について、エピソードの観点から、例えば「エピソードの変容」の契機や仲間

との「エピソードの共有」と関連づけて具体的に説明するものになっている。

 しかしこのような発話分析の成果は、実はA噸他のエピソード分析によるマ クロ的な分析の結果に依拠したものである。このように、マクロな分析結果とミ クロな分析結果を摺り合わせることが重要なことである。

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