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第 8 章 提案内容の総合評価

8.3 アンケート分析

8.3.1 アンケート徴求先

本研究で提案した移動型クリニック車による地方部の病院や診療所での検診 の実用性について、研究対象国であるインドで開催された遠隔医療国際学会の 参加者および日本の医療従事者にアンケート調査を行い、結果をもとに分析し た。具体的なアンケート調査先及び人数は、インド・ムンバイ市で開催された International Telemedicine Congress(ITC2011)(医療従事者 20人)、インド・ハイ ダラバード市で開催された Transforming Healthcare with IT 2012(医療関係者 34 人)とインド・コインバトール市で開催された International Telemedicine

Congress(ITC2012)(医療従事者 14人)、Keio Photonics Research Institute 主催の

ICAPP2011(応用化学系インド人留学生3 人、日本人 3人)、日本医学教育学会(ド

クター5人)、在京インド大使館での Indian Scientist Association in Japan(ISAJ) (イ ンド人 9人)、荻窪の杉並区医師会(医療従事者、9 人)、また、システムの観点 から太平洋アジア情報システム学会(IT 研究者 19 人)等で最終的に 120 人以上 のアンケートを回収し分析を行った。

8.3.2 アンケート内容分析

アンケート内容は、質問項目をクロスして表を作成するクロス集計に加えて、

回答者の属性の分析をおこなった。例えば、検診内容を診る質問として、医業 についての専門的な内容が医療従事者以外の対象者に質問として出すのは意味 がない。質問は、提案内容に即して的確な対象者からのアンケート回答となる ことが必要である。この考え方からアンケートを作成するとき、闇雲に作るわ けではなく、何らかの要因を考えて作る必要がある。全体的に見て、個々の因

子を組み合わせたとき、アンケート全体が全ての提案内容を網羅しているかど うかが重要であると考えた。

遠隔医療システムや移動型クリニック車の地方部への導入において使用意図 へ与える影響、地方拠点病院や地方部の病院や診療所の医療従事者にとって有 意な影響を与えるかが質問票のポイントであった。そこで、質問票を求める対 象者は男性女性の別、年齢は 40 歳未満、40歳から 60歳、60歳以上と区切った 3段階とし、研究対象国インドの国籍か否か、職業が医療従事者か否かとした。

そ し て 、 評 価 分 析 は 5 Very Satisfied 、 4 Somewhat Satisfied 、 3 Neither Satisfied Nor Dissatisfied、2 Somewhat Dissatisfied、1 Very Dissatisfied の 5 段階に分けた。

以下表 8.1にアンケート対象者の属性分類、表 8.2 に各アンケート実施場所に 対する回答者の属性分析表を示す。

表 8.1 アンケート対象の属性分類

被験者間因子

性別

1 91 男性

2 33 女性

年代

1 49 40歳未満

2 61 40歳から60歳未満 3 14 60歳以上

国籍 1 42 インド国籍以外 2 82 インド国籍

職業 1 89 医者、医療従事者 2 35 その他一般

表 8.2 アンケート実施場所と回答者の属性分析表

67

性別・年齢 男性 女性 20~39 40~59 60歳以上

Mumbai 16 4 6 13 1

Hyderabad 27 7 18 12 4

Coimbatore 12 7 8 8 3

インド大使館

シンポジウム 4 5 6 2 1

太平洋アジア情報

システム学会 14 5 7 10 2

杉並医師会 9 0 2 4 3

POF学会 4 2 4 1 1

日本医学教育学会 4 1 0 4 1

また、表 8.3 は各アンケート実施場所ごとの、提案システムに対する評価結 果を示したものである。アンケートの評価結果から、移動型クリニック車の活 用は地方村地域の医療の質、受診の有意性、地域全体の医療の優位性に繫がる ことが確認できた。

表 8.3 アンケートの評価結果

評価内容 5 4 3 2 1

Mumbai 9 2 8 0 1

Hyderabad 12 8 8 5 1

Coimbatore 7 4 5 2 1

インド大使館シンポジウム 4 1 4 0 0

太平洋アジア情報システム学会 7 6 4 2 0

杉並医師会 6 1 1 0 1

POF学会(Plastic Optical Fiber学会) 2 0 4 0 0

日本医学教育学会 4 1 0 0 0

私立病院(日本) 3 0 0 0 0

5 Very Satisfied 4 Somewhat Satisfied

3 Neither Satisfied Nor Dissatisfied 2 Somewhat Dissatisfied 1 Very Dissatisfied

本研究の 4 項目の提案内容に対するアンケートの評価結果をまとめると、

図 8.1 の通りであり、「賛成/ほぼ賛成」」が半数以上を示した。、

0 10 20 30 40 50 60 70

4 3 2 1

5

注 評価:5 Very Satisfied、4 Somewhat Satisfied、3 Neither Satisfied Nor Dissatisfied、2 Somewhat Dissatisfied、1 Very Dissatisfied

図 8.1 アンケートの総合分析結果

次に、アンケート評価結果に対する分散分析を行った。結果は、表 8.4 の通 りで、どの要因に関しても有意性はなく、属性により評価結果に影響がないこ とが分かる。

表 8.4 アンケートの分散分析

ソース タイプ

平方和 自由度 平均平方 F値 有意確率 修正モデル 29.898a 16 1.869 1.557 0.094

性別 0.035 1 0.035 0.029 0.865

年代 0.161 2 0.080 0.067 0.935

国籍 0.377 1 0.377 0.377 0.576

職業 0.096 1 0.096 0.080 0.778

性別・年代 4.520 2 2.260 1.883 0.157 性別・職業 1.581 1 1.581 1.317 0.254 年代・国籍 2.546 1 2.546 2.121 0.148 年代・職業 0.292 2 0.146 0.121 0.886 国籍・職業 0.593 1 0.593 0.494 0.484

8.3.3 アンケートのコメントの自由記載内容の一例

アンケートでは、自由記載として以下のコメントを得た内容は概ね提案内容 に賛同的であった。

・患者の生命を維持するために遠隔医療の導入は必要である。

・ 病院、診療所から検査データが通信されることは、患者が移動されることと 同じことになる。

・ 医療費捻出のためのマイクロ保険はプライマリーケァーに役に立つ。

しかし、商品知識がインドの地方住民には十分に知られていないので、保険 専門家が地方に必要である。

・ マイクロ保険の浸透は地方住民にとって役に立つ。