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Q18 BCG 接種後皮膚無反応
H25.5.16 に接種しています。接種後、8 週間たちましたが全く反応がありません。小
児科医に接種部位を見ていただきましたが、反応は認められないとの事でした。
Q&A(平成23年度版)には「無反応であれば3か月後にはツ反判定を」とありました が、今回も同様のケースも同様の対応で問題ないでしょうか?ご教示よろしくお願いい たします。
A18
基本的には以前の回答と同様です。再掲載+αします。
BCG はもともと毒性が強く、皮下あるいは皮内注射で、1 か所に接種すると局所の 副反応が非常に強く出るために、わが国では現在の 18 か所に少量ずつ接種する管 針方法がとられるようになっています。また BCG は他の予防接種と違って、血液中の 抗体価を上昇させるのではなく、BCG の菌株に対するリンパ球の反応性(次に本当の 結核菌が体内侵入しようとしたら、リンパ球の記憶により菌を排除するように働くという 意味)=細胞性免疫を獲得させるための予防接種です。すなわち、発赤や瘢痕の数 や、体内に入ったBCG株の菌量でなく、菌が皮内に侵入して反応が起こっていれば、
自分自身のリンパ球は十分免疫メモリを獲得していると言えます。
教科書的には少なくとも9 か所の発赤あるいは瘢痕があれば免疫が十分できるとい う記載があるものもありますが、9 か所以下なら免疫が落ちるとか、18 か所に比べて 9 か所は半分の免疫しかつかないかという検討はなされていませんので、9 か所の科学 的根拠も怪しいものです。
ただし、今回のケースでは2ヶ月経過して全く発赤や瘢痕がないとなると、心配では あります。まず 3 カ月後である 8 月中旬にツベルクリン反応を実施して判定してくださ い。ツ反が陽性であれば問題ありません。
もし結果的にツ反応陰性であれば、稀なケースですが原発性免疫不全症(特に T 細胞機能の異常を伴うもの、MSMD、慢性肉芽種症等)が潜んでいて、BCGに対する 応答性が低下している可能性は否定できませんので、一度岐阜大学医学部附属病院 小児科(寺本貴英DR、大西秀典 DR)に受診いただくことをお勧めください。場合によ ってはツ反を実施する前にご紹介いただいても構いません。
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Q19 BCG 後腋窩リンパ節腫大
現在9カ月の方で、平成 25年6 月15 日にBCGを接種されている方についての 質問です。
接種後2 か月で左腋下にしこりができたため病院を受診したところ、BCG接種後の しこりだろうと診断され、様子をみるよう指示されているそうです。しこりについては経過 観察となり、次回10月下旬に受診する予定となっています。
BCG 後のリンパ節腫大かと思われますが、リンパ節腫大がなくなるまで予防接種を 控えた方が良いかと母よりと質問がありました。
他の予防接種を差し控える必要があるかどうかお伺いしたいと思います。
A19
おそらくBCG接種側の腋窩リンパ節腫大と思われます(頻度は約1%)。大きさがわ かりませんが一般には2cm以下なら経過観察。2~3cmの場合は症例毎の判断、3cm 以上は抗結核薬(INH)内服を考慮するとされています。今回経過観察ということのよう ですので、おそらく2cm以下と想像され、6ヶ月以内に改善すると思われますが、今回 腫大したリンパ節が BCG 接種側なのか、またリンパ節の大きさもご確認されると良いと 思います。補足ですが、稀に化膿性の経過をとり、皮膚に穿孔し排膿することもありま すが、清潔に保てば治癒します。副反応と思われますので、接種医からは適切にご報 告いただくよう、ご指導ください。すでにご報告いただいているのであれば結構です。
さて、経過観察で良い状態であれば、他の予防接種は通常通りで結構です。治療 しなければならないリンパ節炎、化膿したような場合は治癒するまで予防接種を控えた ほうが良いと思います。なかなか治癒しない場合、リンパ節腫脹が他の部位にも出現 する、あるいはさらに関節炎や骨髄炎の病変を伴うようであれば、原発性免疫不全症 を考慮する必要がありますので、岐阜大学医学部附属病院小児科にご紹介ください。
この場合も、当然予防接種は見合わせてください。
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5.肺炎球菌
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Q20 小児用肺炎球菌複数回接種
現在2歳1カ月の児で、誤って5回目の接種をしてしまいました。この場合の、人体への影 響について教えてください。
接種歴は、下記の通りです。
1回目24.1.31、2回目24.3.12、3回目24.5.24、4回目24.12.21、5回目25.10.2
A20
結論から言うと、抗体価が上がるのみで、医学的なデメリットはありません。日常生活 の中で肺炎球菌に曝露されることもあるのですから、それと同じように考えたら比較的 わかりやすいでしょう。念のため通常の接種の場合と同じように、数日間は副反応に注 意してください。規定通りの接種の場合よりリスクが高いから注意するということではな いので誤解のないようにお願いいたします。
どのような経緯でこうなったかわかりませんが、医学的に問題ではないものの、わが 国の定期予防接種制度上インシデントであることは間違いありません。今後同様のミス が生じないように、貴センターおよび接種担当医療機関の職員のみなさんと話し合っ たうえで、善後策を反映したマニュアルを確認いただければ幸いです。費用について も負担がかからないように考慮してあげてください。
なお、11月以降PCV-7からPCV-13に全面的に切り替わりますが、この場合海外で
推奨されているPCV-7の接種完了者に対するPCV-13でのSupplemental dose(=補 助的追加接種;健常児では24カ月~59ヶ月まで、基礎疾患を持つ児では24カ月~
71ヶ月までに1回接種)は、わが国では定期接種にはなりませんが、医学的には有効 性があると考えられているので、任意接種で実施することは意味があると思います。接 種医がそのあたりの情報を誤解されている可能性があるかもしれません。11 月以降は メーカーのファイザー㈱が責任を持って PCV-7 の在庫を引き取ると言っていますので、
任意接種希望者で PCV-7 を用いて補助的追加接種を実施することはなくなるはずで すが、接種担当医へは貴センター、保健医療課から注意喚起していただくとよいかも しれません。補助的追加接種のみならず、規定通り接種していない児の対応はどうす るかも含め、再度ご確認、徹底願います。
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Q21 PCV13 補助的追加接種の是非
平成19年11月27日生まれの児です。小児肺炎球菌追加まですべて接種済です。
保護者からの相談で、「13価を(任意で)接種したほうがよいか、接種しなくてもよいか」
という内容です。
A21
接種した方がよいと思います。ご承知のように日本では、定期接種として実施するこ とについては、費用対効果の点で社会全体に対する利益は限定的である(別添
「PCV-13 導入についての検討資料」、とのよくわからない理由で、定期接種からは外
されましたので、任意接種になりますが、米国では、下図のように PCV-7 で接種完了 者もPCV-13で「補助的追加接種」を1回(14~59か月、最後の接種から8週以上間 隔を空ける)行うべきと推奨しています。
理由は、以下の研究結果によります。
PCV7接種完了者(12か月齢以上の乳幼児)に対し、PCV13の1回接種により追 加6(=13-7)血清型に対する抗体産生を誘導することができる。
PCV7接種完了者(12か月齢以上の乳幼児)に対するPCV13接種により、肺炎球 菌の感染伝搬が減少し、潜在的な PCV13 血清型の鼻咽頭保菌率が低下すると いう間接的な効果が期待される。
IPD だけでなく肺炎・中耳炎のような粘膜感染が多く、PCV13 接種によりこれら疾 患の減少が期待される。
PCV13接種により、インフルエンザの二次感染の抑制効果が期待される。
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Q22 PCV 不規則接種
現在、接種間隔が不規則になった場合、実施要領では
(1)生後2~6か月の間に接種開始の場合で、2回目・3回目を生後12か月までに実 施できなかった場合、それを接種しないで追加接種を実施(接種回数は、計2~3回)。
(2)生後7~11か月の間に接種開始の場合で、2回目を生後13か月までに実施でき なかった場合、それを接種しないで追加接種を実施とあります(接種回数は、計 2 回)。
しかし、貴センターの平成24年度Q&A集(Q29 38ページ)では、「不規則になった 時点で、それまでの接種はなかったことと考えて対応することは・・・」とあります。
Q&A集のQ29のケースの場合、現在の実施要領に従って、定期接種をすると3回
目を飛ばして追加接種を受け、計3回接種で完了となります。しかし、貴センターの見 解を参考にし、「3回目(任意)+追加接種(定期)」で接種(計4回接種)という考え方 は、可能でしょうか。
また、ワクチンの効果としては、どのような接種方法が良いでしょうか。
A22
PCV-13 は標準スケジュールで2~6 か月で開始した場合は合計4 回、7~11か月 の場合は合計3回。12か月から24か月の場合は合計2回、24か月以降の場合は1 回のみとなることはご承知の通りです。侵襲性肺炎球菌感染症(髄膜炎、菌血症、肺 炎)の好発年齢のこと、すでに社会環境で肺炎球菌に少なからず曝露されていること、
成長とともに少ない回数でも免疫を獲得しやすくなれることなどが要因で、医学的には 他のワクチンと若干考え方が違って開始時期により接種総回数が異なるのです。