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実 測 値;ワ イ ブル ・プ ロ ッ ト,実 線:平 方 根 指 数 型 最 大 値 分 布,破 線:ガ ンベ ル 分 布 図2.2平 方 根 指 数 型 最 大 値 分 布 と ガ ン ベ ル 分 布 の 適 合 度 の 比 較
(大 阪,年 最 大10分 〜48時 間 雨 量)
以 上 よ り,年 最 大 ピー ク雨 量 に 対 して は ガ ンベ ル分 布 が,年 最 大 一 雨 総 雨 量 あ る い は年 最 大 数 〜48時 間 雨 量 に 対 して は,平 方 根 指 数 型 最 大 値 分布 が 適 合 度 が 高 くな る と結 論 す る こ とが で き る。 これ は 前項 の 最 後 に述べ た,理 論 的予 想 に も合 う結 論 で あ る。
何 時 間 雨量 か ら,ガ ンベ ル 分 布 よ りも平方 根 指数 型 最 大 値 分 布 の 方 が 適 合 度 が 高 く な る の か は,興 味 の あ る とこ ろ で あ る。 表2.2よ りわか る よ うに,大 阪 の 雨 の 場 合 に
一25一
は,2時 間 を境 に して,そ れ 以 上 で は平 方 根 指 数 型 最 大 値 分 布 の 方 が 適 合 度 が 高 く, そ れ 未 満 で は ガ ンベ ル 分 布 の方 が適 合度 が 高 い。
(3)全 国 の 目雨 量 に対 す る適 用
降 雨観 測 期 間 の 長 い56気 象 台 を選 び,そ の年 最 大 日雨 量 資 料 に上 記2種 の 分 布 関 数 を あ て は め た。 結 果 を表2.3に 示 す。 表 中右 端 は二 つ の分 布 の尤 度 を比 較 した もの, あ とは 推 定 され たN年 確 率 日雨 量 と実 績 最 大 日雨 量 を比 較 した もの で あ る。Nは 観 測 期 間 で あ る。 実績 最 大 日雨量 の方 が 大 き くな った 場 合 に □ 印 を付 して い る。 も しN 年 確 率 日雨 量 が 正 し く推 定 され て いれ ば,過 去N年 間 の実 績 最 大 日雨 量 は,N年 確 率 値 よ り小 さ く な る もの が 約37%,大 き くな る もの が約63%と な るは ず で あ る。
表2.3平 方 根 指 数 型 最 大 値 分 布 と ガ ン ベ ル 分 布 の 尤 度 の 比 較 (年 最 大 日雨 量,全 国56地 点,観 測 開 始 〜1980)
既往 最大値 とN年 確 資 料 年 数 率 日雨量の大小関係
尤 度 の 比 較 地点番号
N ガ ンベ ル 平方根指数型
分 布 最 大値 分 布
407 83 口 口 E
409 91 0 0 G
412 ., 口 0 E
890
..
895
..
.,
89
ロロ日 ○ロロ EEE
全56地 点81〜105年平 均 間 84.4年 間 ま と め と 年 を 除 くた だ し欠 測
備 考
○;実 績 最 大 の方 が 小E:平 方 根 指 数 型 口:実 績 最 大 の方 が 大 最 大 値 分 布 が 大 実 績 最 大 の 方 が 小 の 割 合G:ガ ンベ ル 分 布 が 大 4/56=119/56‑
7。i4%33.9%E:G=44:12
表23よ り,ガ ンベ ル 分 布 を用 い た場 合 に は,93%の 地 点 で す で に,N年 確 率 日 雨 量 を 上 回 る雨 が 生 起 して い る こ とに な る。 同様 に,100年 確 率 日雨 量 を 上 回 る雨 が 生 起 して い る 地 点 は56地 点 中50地 点 と な っ た。 平 均 資 料 年 数 は84.4年 で しか な い に も か か わ らず,実 に90%の 地 点 です で に100年 確 率 値 以 上 の 日雨 量 が 生 起 して い る こ とに な っ て しま うこ とが わか った。
ガ ンベ ル 分 布 を用 い て推 定 した 雨 量 よ りもは る か に 大 き な雨 が 生起 す る こ とは,長 年 個 々 の河 川 の 治 水 計 画 担 当者 を悩 ませ た 問題 で あ るが,こ の よ うな 事 態 は,全 国 あ
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らゆ る地 域 で 生 じて い る こ とが わ か っ た。
平 方 根 指 数 型 最 大値 分布 を用 い る と,こ の 問題 は ほ ぼ完 全 に解 決 す る こ とが で き る。
す な わ ち平 方 根 指 数 型 最 大 値 分 布 を用 い た 場合 には,表2.3よ り,実 績 最 大 日雨 量 の 方 が 小 さ くな る地 点 が 約34%,大 き くな る地 点 が約66%と な る。 理 論 値 に 比 べ て わ ず か3%の 差 で あ る。
平 方 根 指 数 型 最 大 値 分 布 を用 い た 場 合 に も,56地 点 の うち4地 点 で,実 績 最 大 日 雨 量 が1,000年 確 率 値 以 上 とな っ た。 一方 理 論 上,観 測 期 間 内 に1,000年 確 率 値 以 上 の 雨 が 降 る確 率 は8.1%で あ る。 これ に56地 点 をか け る と地 点 数 で は4.5地 点 とな る。
した が っ て,こ の 値 につ い て も平 方 根 指 数 型 最 大値 分 布 を用 いれ ばs理 論 的 予 測 と実 測 値 か ら得 られ る結 果 は ほ ぼ 完 全 に 一 致 した。 この場 合1,000年 確 率 値 以 上 と評 価 さ れ た 雨 も,決 して 異 常 値 で は な く,確 率 的 にみ て生 ず るべ く して生 じた 雨 とい うこ と に な る。
明 治29年(1896年)に 彦 根 で:aさ れ た 日雨 量59α9㎜ は7,800年 確 率 雨 量(ガ ン ベ ル 分 布 で は700万 年確 率)と 評 価 され る。 これ ま で,著 者 ら も この 観 測 値 の信 頼 性 に は疑 念 を抱 い てい た。 しか し この値 が この80数 年 間 に,56地 点 の い ず れ か で 生 起 す る確 率 は1.1%と な り,こ れ に地 点 数 を か け る とo.s地 点 に1回 は こ の 程 度 の値 が 生 ず る こ とに な る。 した が って,こ の 雨 もま た 降 るべ く して 降 っ た 雨 だ と い うこ とに な る(補 遺2.5参 照)。
まだ 偶 然 こ の よ うな結 果 が 得 られ た の か も しれ ない とい う不 安 は残 る が,我 が 国 の 年 最 大 日雨 量 資 料 を用 い る 限 り,平 方 根 指 数 型 最 大値 分布 を適 用 す る こ とに よ っ て, 大 雨 の 頻 度 分 布 にお け る,い わ ゆ るoutlierの 問題 は ほ ぼ完 全 に解 決 され た よ うに 見 え る(補 遺2.1参 照)。
表2.3よ り,約80%の 地 点 で 平 方 根 指 数 型 最 大 値 分 布 の 方 が ガ ンベ ル 分 布 よ り も 適 合度 が高 くな る こ とが わ か る。 少 な い とは い え5地 点 の うち1地 点 で は ガ ンベ ル 分 布 の 方 が 適 合 度 が 高 い わ け で あ るが,大 雨 の観 測記 録 は本 来 ラ ン ダ ム に 大 き く変 動 す る もの で あ る か ら,よ り長 い観 測記 録 が そ ろ っ た時 に,こ れ らの地 点 で ま だ ガ ン ベ ル 分布 の 方 が 適 合 度 が 高 い か ど うか は疑 問 で あ る。
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(4)ま とめ
以 上 よ り,全 般 的 な 適 合 度,変 数 値 が 大 きい とこ ろ で の推 定 値 の 安 定 性 ・妥 当性, 理 論 的 な背 景 の 有 無,簡 便 性 の いず れ の面 か ら見 て も,一 雨総 雨 量,あ るい は 日単位 程 度 の 雨 量 の 年 最 大 値 系 列 に対 して,平 方 根 指 数型 最 大 値 分布 を適 用 す る こ とが 妥 当 で あ る こ とが 明 らか に な っ た。 ま た これ が,こ れ ま で 解 答 ら しい解 答 が 与 え られ て い な か っ たoutlierの 問 題 に 対 す る,説 得 力 の あ る説 明 の 一 つ と な る可 能 性 が 高 い こ と が 示 され た。
2.2.3平 方根 指数 型最大値分布の実際の計画策定への適用
平 方 根 指 数 型 最 大 値 分 布 を用 い る こ とに よ って,こ れ ま で異 常 な豪 雨 な ど と よば れ て い た よ うな 大 雨 の 多 くは,決 して 異 常 で もな く,十 分 起 こ り うる 雨 で あ る こ とが 示 され た。 した が っ て,こ の よ うな実 績 豪 雨 を対 象 と して 治 水 計 画 を策 定す る こ との 妥 当性 が 支持 され る。
ま た,か な り大 き な 雨 が これ ま で想 定 され て い た よ り も高 い頻 度 で発 生 す る こ とに な る か ら,治 水 工 事 の経 済 効 果 が 大 き くな る。
次 に,将 来 的 に 予 想 外 の 大 雨 が 降 る可 能性 の 高 い地 域 を予 測 す る。 平 方 根 指 数 型 最 大 値 分 布 を用 い て 推 定 され るN年 確 率値 と同程 度 の 大 き な 雨 が ま だ 降 っ て い な い 地 域 を考 え る。 前 項 で 用 い た 日雨量 資 料 を使 って,ど の 地 域 が そ の よ うな 地 域 に あ た る の か調 べ てみ る。 た だ し地 点 数 が 少 な い の で,十 分密 で,精 度 の 高 い 推 定 は で き ない。
あ くま で も利 用 の方 法 の例 を示 す にす ぎな い こ とを 断 わ っ てお く。
観 測 開始 以 来 の 全 資 料 を用 いて 実 績 最 大値 を確 率評 価 し,再 現 期 間 を等 高 線 表 示 し た もの が 図2.3で あ る。 同様 に,第 二 次 大戦 後(1946年 以 後)の 最 大 値 を確 率 評 価
した もの が 図2.4で あ る。 これ は,現 在 の 大河 川 の 当 面 の 治 水 目標 水 準 が 戦 後 最 大 値7}で あ る こ とに 対応 す る。
全 資 料 を用 い た 場 合 に は(図2.3),北 海 道 南 部 お よび 西 部,甲 州 信 州 地域,阿 武 隈 山地 周 辺 が ま だ本 格 的 な豪 雨 の 洗 礼 を受 けて い な い こ とに な る。 これ らの 地 域 に お け る既 往 最 大 値 は50年 確 率 降 雨 規模 で あ る。
戦 後 最 大 値 を用 い た 場 合 に は(図2.4),東 北,甲 州 信 州 東 海 地 域,瀬 戸 内 中部 で
一28一
あ ま り大 きな 雨 が 降 っ て い な い こ とが わ か る。 特 に,東 北 で は広 い 範 囲 に わ た っ て確 率 年 の低 い地 域 が 分 布 して い る。 これ らの 地 域 にお け る戦 後 最 大 値 は,
雨規 模 で あ る。
25年 確 率 降
図2.3実 績 最 大 日 雨 量 の 再 現 期 間 の 等 高 線 表 示(観 測 開 始 〜1980年)
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これ らの 地域 に お い て は,実 績 最 大値 主義 に よ る治 水 計 画 は か な り危 険 な 計 画 とな る。 た だ し,用 い た 資 料 が1980年 まで の 日雨 量 記 録 で あ るか ら,そ れ 以 後 現 時 点 ま で の 約15年 間 で 上 述 の 地 域 の豪 雨記 録 はす でに 塗 りか え られ た 可 能 性 もあ る。 実 際, 北 海 道 南 部,東 北,九 州 南 部 で は,1980年 以 降 に既 往 最 大 の 大 雨 が 降 っ た こ とは記 憶 に新 しい。 一 方,ピ ー ク 雨量 に 関 して は時 間 雨量 を も とに して 分 析 す る必 要 が あ る
の で,上 記 の 結 果 とは 異 な る結 果 が得 られ るはず で あ る。
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2.3確 率分布 関数の適合度 の客観的な検定手法
2.3.1基 本 的 な 考 え 方
既 往 最 大値 付 近 で の確 率 分 布 関数 の適 合 度 の 良否 を評 価 す る客 観 的 な 手 法 を新 た に 提 案 す る。 この 手 法 は,既 往 最 大 値 の再 現 期 間 の理 論 分布 を利 用 した 方 法 で あ る。
① 統 計 年 数(N)が 同 じで,で き る だ け 長 い 期 間 の 年 最 大 値 資 料 を,多 くの 地 点 に つ い て 収 集 す る。 こ の場 合,各 地 点 間 の資料 は独 立 で な け れ ば な らな い。
② あ る地 点 にお け る年 最 大 値 資料 をtrainingdataとcheckingdataと に 分 け る。
す な わ ち,trainingdataを す で に観 測 され た 資料,checkingdataを 未 知 の資 料 と考 え る(補 遺2.9)。
③ 分布 関 数 を仮 定 し,trainingdataで そ の分布 関数 の母 数 を推 定 す る。
④ 推 定 した母 数 でcheckingdataの 最 大 値 の 再現 期 間 を求 め る。
⑤ 各 地 点 に っ い て,② 〜 ④ を行 う。 既 往 最 大値 の 再 現期 間 の 資 料 が,地 点 数 分 だ け得 られ る。
⑥ これ ら と次式 で 表 され る既 往 最 大 値 の 再 現期 間 の標 本 分布 の 理 論 分 布 と の適 合 度 をK‑S検 定 に よ り調 べ る(補 遺2.10)。
FT(T)=(1‑1/T)H (T>1) (2.2)
こ こ に,Tは 既 往 最 大 値 の 再 現 期 間,Nは 資 料 年 数,FT(T)はN年 間 の 資 料 の 最 大値 の 再 現 期 間 がTを 越 えな い確 率 で あ る。
この 検 定 に お け る帰 無 仮 説 は,「 式(2.2)の 理 論 式 と,当 て は め た 分布 関数 を用 い て評 価 した既 往 最 大 雨 量 の 再 現 期 間 の分 布 は適 合 して い る」 で あ る。 これ が棄 却 され た場 合,当 て は め た分 布 関 数 は適 合 して い ない とい うこ とに な る。 この とき の 有 意 水 準 は,帰 無 仮 説 を棄 却 した 場 合 の危 険 度 で あ る。 た と えば,帰 無 仮 説 を有 意 水 準20
%で 棄 却 した な ら,そ の 『棄 却 』 に 対 して5回 に1回 は過 誤(第 一 種 の 過 誤)を 犯 し て い る可 能 性 が あ る とい う こ と を示 して い る。 ま た,有 意 水 準 を1%に し た 場 合, 100回 に1回 は過 誤 を犯 す 可 能 性 が あ る。 す な わ ち この検 定 法 は,有 意 水 準 が 高 い ほ
ど棄 却 され や す くな って い る。
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