見 る 赤 松 の 誇 リ ー
︵ 一︶ 本
章 第 一節 で 述 べ た と お り
︑ 別﹃ 所 記
﹄ の 作 者 が
︑ 三 木 合 戦 に 参 戦 し た 別 所 氏 譜 代 の 家 臣
︒ 来 野 弥 一右 衛 門 で あ る に も か か わ ら ず
︑ 敵 方 の 秀 吉 の 自 己 宣 伝 の た め に 書 か れ た 播﹃ 州 御 征 伐 之 事
﹄
︵以 下
︑ 征﹃ 伐 之 事
﹄ と 略 す
︶︒ を 全 面 的 に 取 り 入 れ
︑ そ れ に 別 所 方 武 士 た ち の 活 躍 を 書 き 加 え て 別﹃ 所 記
﹄ が 成 っ た こ と は 明 ら か で あ る
︒ 別﹃
所 記
﹄ 翌 十 八 日 城 中 ノ 者 ド モ ヲ 出 シ
︑ 悉 ク 助 ラ レ 候
︒ 秀 吉 ハ 三 人 ノ 首 京 都 へ 上 セ
︑ 信 長 卿 ノ 実 検 二 備
︒ 播 州 ニ テ ハ
︑ ゴ チ ヤ ク
︑ 志 方
︑ 魚 住
︑ 此 等 ノ 城 ド モ 同 時 二 攻 伏 給 ヒ
︑ 其 後 信 長 卿 ヨ リ 武 勇 卜 云 ヒ 調 略 卜 云 ヒ
︑ 無 比 類 ト ノ 感 状 ヲ 給 フ
︒ 誠 弓 馬 ノ 面 目 何 事 力 如 之 哉 依︒ 秀 吉 三 木 ノ 城 二 移 り
︑ 地 ヲ 清 メ 堀 ヲ サ ラ ヘ
︑ 今 度 退 散 ス ル 人 民 ヲ 引 モ ド シ
︑ 法 度 ヲ 定
︒ 当 国 ノ 儀 ハ 不 及 申
︑ 但 州 諸 士 着 到 ノ 旨 二 任 セ 可 在 城 ノ 由
征﹃ 伐 之 事
﹄ 扱 秀 吉 二 人 之 首 上
■示 都
・備
・御 実 検
︑ 井
御 着 ︑ 志 魚︑ 住 之 城 敗 北 但︑ 馬 一国 属 L 篇
︒ 此 外 西 国 四 国 之 使 札
︑ 日 々 到 来 之 旨 達 二上 聞 L 云 レ武 勇 云 レ調 略 無 北 類 之 由
︑ 御 感 不 浅
︒ 嘉 弓 矢 之 面 目 不 レ過 レ之
︒ 例 秀 吉 移
≡ 一木 城 郭
■ 清 レ地
︑ 硫 レ堀
︑ 改 レ家
︑ 引
﹁直 此 先 退 散 人 民 ヽ呼
﹁出 町 人
■ 門 前 成 レ市
︒ 当 国 之 大 名 不 レ及 Lム
︑ 但 州 備 州 之 諸 侍 任
・着 到 之 旨
︑ 可 レ有 在 城 之 由 厳 重 之 間
︑
相 触
︒ 人 々 門 戸 ヲ 並 ベ ユ ヽ シ カ リ シ 事 共 也
︒ 別﹃
所 記
﹄ 冒 頭 部 別 所 小 二 郎 長 治 ハ 村 上 源 氏 具 平 親 王 二 十 六 代 ノ 孫
︑
人 々 構 二屋 敷
・双 二門 戸
■ 不 レ経 レ日 工半 一数 千 間 之 家 L 皆 人 所 レ驚 二耳 目 一也
︒
︵ マ マ
︶
赤 松 入 道 円 心 之 末 葉 也
︒ 領 播 州 東 入
こ れ は 別﹃ 所 記
﹄ と 征﹃ 伐 之 事
﹄ の 末 尾 部 分 で あ る
︒ 秀 吉 へ の 賛 美 と と も に 戦 後 の 復 興 を 遂 げ て い く 三 木 の 町 を 書 い て い る が
︑ 別﹃ 所 記
﹄ は こ れ さ え も そ の ま ま 取 り 入 れ
︑ 秀 吉 を 誉 め る 言 葉 で 末 尾 を し め く く っ て い る
︒ こ の 他 に も 別﹃ 所 記
﹄ が 征﹃ 伐 之 事
﹄ を そ っ く り そ の ま ま 取 り 込 ん だ 箇 所 は 多 く あ り
︑ 征﹃ 伐 之 事
﹄ を 全 面 的 に と り い れ た 跡 が よ く わ か る の で あ る が
︑ 唯 一︑ 例 外 的 に
︑ 別﹃ 所 記
﹄ が 征﹃ 伐 之 事
﹄ と は ま っ た く 違 っ た 描 き 方 を し て い る 点 が あ る
︒ 長 治 の 叔 父 二 人
︱ 賀 相
︵吉 親
︶ と 重 棟 に つ い て で あ る
︒ ま ず 征﹃ 伐 之 事
﹄ と 別﹃ 所 記
﹄ の 冒 頭 部 分 を 比 べ て み よ う
︒ 二 つ の 作 品 の 末 尾 部 分 が 酷 似 し て い る の に 対 し て
︑ 冒 頭 部 分 に は か な り の 違 い が 見 ら れ る
︒ 征﹃
伐 之 事
﹄ 冒 頭 部 抑 播 磨 東 八 郡 之 守 護 別 所 小 三 郎 長 治
︑ 対 二羽 柴 筑 前 守 秀 吉 ヽ 尋 生 二矛
楯 之 濫 腸 ヽ 天 正 六 歳 二 月 之 初
︑ 秀 吉 承 将 軍 之 御 下 知 ヽ 西 国 為 二征 伐 之 備
・下 三向 彼 地
・事
︑ 長 治 一味 同 心 之 故 也
︒ 同 月 七 日
︑ 秀 吉 至 二千 播 州 国 衛 一布 レ陣
︒ 愛 二 有 下謂 二長 治 伯 父 別 所 山 城 守 賀 相 俵 人
・﹂
︒ 相 二語
長 治 一日
︑ 秀 吉 入 二此 地
・有 自 由 之 働
︒ 殊 終 可二 卜
√ 及 レ身
︑ 逆
2 レァ 式 従 三中 途 一帰
︑ 楯 二籠 於 三 木 城 郭 L 同 名 孫 右 衛 門 尉 重 棟
︑ 与 秀 吉 為 二久 要 蔦 依 レ之 左 右 之 半
︑ 其 理 雖 レ草 二数 十 ヶ 度 一︑
彼 議 人 賀 相 破 レ事 不 レ用
︒
‑107‐
郡 在 三 木 城
︒ 得 武 将 之 誉
︑ 其 門 葉 繁 昌 シ テ 風 俗 異 千 他
︒ 同 姓 ノ 侍 大 将 山 城 守 吉 親
︑ 舎 弟 之 孫 右 衛 門 尉 重 棟 両 人 執 権 政 道 明 也
︒ 永 禄 年 中 三 好 修 理 大 夫 企 悪 叛 奉 討 大 樹 義 輝 卿
︒ 御 舎 弟 義 昭 公 従 南 都 牢 々 シ テ 往 濃 州 岐 阜 頼 織 田 信 長
︒ 追 討 三 好 一族 刻
︑ 別 所 ガ 館 ヱ 可 為 合 カ ノ 由 被 成 御 教 書
︒ 故 一家 会 合 シ テ 孫 右 衛 門 ヲ 撰 出 シ
︑ 軍 勢 以 三 百 人 令 上 洛
︑ 京 白 河 ノ 戦 二 畿 内 無 陰
︑ 尽 粉 骨 追 払 敵
︒ 依 之 三 好 ガ 残 党 敗 北 シ テ 義 昭 卿 被 遂 御 本 意 ノ 後 ︑ 一番 二 孫 右 衛 門 ヲ 被 召 出
︑ 蒙 御 感 ︒ 家一 ノ 名 望 也
︒ 依 之 修 高 大 ニ シ テ 在
︶ 一族 ノ 侍
︑ 剰 舎 兄 山 城 守 ヲ モ 侮 ル 故 兄 弟 不 和 二 成
︑ 吉 親 方
︑ 重 棟 方 卜 二 派 二 成
︑ 背 法 者 多 シ
︒ 当 家 滅 亡 ノ 端 也
︒ 然 バ 今 度 秀 吉 卜 度 々 ノ 合 戦 ニ モ 味 方 失 利 ︑ 一家 右 往 左 往 ニ ナ リ シ モ 此 故 也
︒ 征﹃
伐 之 事
﹄ は 俵﹁ 人 賀 相
﹂ が 信 長 に 同 意 し て い た 長 治 を そ そ の か し た こ と を 別 所 氏 滅 亡 の 原 因 と し て い る の に 対 し て
︑ 別﹃ 所 記
﹄ は 三 好 氏 追 討 に 功 績 の あ っ た 重 棟 の 奢 り に よ る 兄 弟 仲 の 悪 さ に 原 因 を 求 め て い る
︒ こ の よ う に 賀 相 と 重 棟 の 描 き 方 は
︑ そ の ま ま 別 所 氏 滅 亡 の 原 因 の と ら え 方 に つ な が る 問 題 で あ る と い え る
︒ 長 治 の 二 人 の 叔 父
︑ 特 に 別 所 一族 の 中 で た だ 一人 秀 吉 方 に つ い た 重 棟 の 虚 像 と 実 像 を 追 い な が ら
︑ 別﹃ 所 記
﹄ が 征﹃ 伐 之 事
﹄ と は 違 っ た と こ ろ に 別 所 氏 滅 亡 の 原 因 を 求 め た わ け を 探 っ て い き た い
︒
︵一 一︶ 一旦
は 信 長 の 傘 下 に 入 り な が ら
︑ 何 故
︑ 別 所 長 治 は 秀 吉 を 裏 切 っ た の か
︑ そ の 理 由 に つ い て 別﹃ 所 記
﹄ は 次 の よ う に 書 い て い る
︒ 別 所 氏 の 協 力 を 期 待 し た 織 田 信 長 は
︑ 毛 利 氏 攻 略 の た め 秀 吉 を 播 州 へ 出 兵 さ せ る
︒ そ こ へ
︑ 別 所 山 城 守 賀 相 と 三 宅 治 忠 が
︑ 軍 評 定 の た め 秀 吉 と 面 会 す
る
︒ 不﹁ 日 二 檎 敵 ス ル 謀 計 モ ヤ ア ル
﹂ と の 秀 吉 の 問 い に
︑ 治 忠 は 別 所 家 に 代 々 伝 わ る 兵 法 を 延 々 語 る
︒ 現 実 に は 意 味 を 成 さ な い 長 談 義 に 退 屈 し た 秀 吉 は
︑ 各﹁ ハ 先 手 ノ 役 ニ テ 候 ヘ バ
︑ 働 等 ノ 事 随 分 被 入 精 候 へ
︒ 得 勝 利 下 地 ハ 大 将 役 二 此 方 ヨ リ 差 図 可 申
﹂ と ニ﹁ ク テ イ
﹂ に 言 っ た と す る
︒ 閉 日 し て 三 木 城 に 帰 っ た 賀 相 が
︑ と
族一 を 前 に し て 言 う と
︑ 長 治 は
︑ 信﹁ 長 昨 今 ノ 取 立 漸 ク 侍 ノ マ ネ ヲ ス ル 秀 吉 ヲ 大 将 ニ シ テ
︑ 長 治 カ レ ガ 先 ニ テ 軍 セ バ
︑ 天 下 ノ 物 笑 タ ル ベ シ
﹂ と ま で 言 い 切 っ て 秀 吉 に 反 旗 を 翻 し
︑ 籠 城 の 支 度 を 始 め る
︒ 征﹃ 伐 之 事
﹄ が 先 に あ げ た よ う に 長 治 の 翻 意 を 譲 人 賀 相 の せ い と 簡 単 に す ま し て い る の に 対 し て
︑ 別﹃ 所 記
﹄ は
︑ か な り 詳 し く 別 所 氏 の 内 情 を 書 い て い る
︒ 別﹃ 所 記
﹄ の 賀 相 が
︑ 信 長 は 偽 り を 専 に す る 武 将 で あ り
︑ ゆ く ゆ く は 秀 吉 に 播 州 を 与 え る こ と は 明 確 で あ る
︑ と 述 べ て い る と こ ろ は
︑ 征﹃ 伐 之 事
﹄ が 俵 人 賀 相 が 長 治 を そ そ の か し た と す る と こ ろ に 呼 応 し て い る よ う で お も し ろ い
︒ 別﹃ 所 記
﹄ は
︑ 征﹃ 伐 之 事
﹄ が 賀 相 を 俵﹁ 人
﹂ と し た 理 由 を 説 明 し て い る か の よ
ナ 諦 多 ツ 田 信 ノ 今 ガ ハ シ ア 信 長 ミ 度
ラ 初 °
り 玄 ノ ナ 秀 謀 ノ 唯 ° `
謀 ラ 吉 二 変 今 武 織 計 ズ 当 乗 約 思 士 田 卜 `
国 ラ `
案 ノ 信 存 剰 エ ン 往 ス 敵 長 ズ 我 下 コ 々 ル ヲ ` °
下 向 卜 長 二 計 上 其 人 シ`
治 `
ル 杉 子 ノ テ 武 ヲ 秀 謀 輝 細 如 ` 士 退 吉 略 虎 ハ ニ 近 夕 治 当 ハ 也 `
挨 国 ラ シ 国 各 °
近 拶 他 ン 播 工 別 其 年 シ 国 者 州 下 ノ 内 東 `ニ 似 ハ 向 事 信 国 国 威 無 秀 ノ 也 長 ノ 人 ヲ 思 吉 内 °
ノ 沙 二 振 慮 二 談 信 武 汰 首 フ° 可 ハ 長 勇 ヲ ヲ ° 此 与 `
ハ カ 聞 上 別 方 行 先 偽 タ ク サ 所 ヨ 信 長 ヲ キ ニ セ ノ リ 長 治 専 ハ `
ヌ 家 色 ノ ニ 成 表 関 様 臣 ヲ 心 中 シ 裏 東 ニ ニ
ラ昴ワリ弟
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移 先 ニ ー 四 コ 遠 鏡 手 ヨ 也 大 卜 慮
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°1子 心 モ
敵 サ 家 表 ° 底 ナ ノ セ 風 裏 北 ヲ ク 表 `
下 二 條 察 我 裏 西 々 善 氏 ス 意 ヲ 国 迄 悪 康 ル ヲ 知 於 軽 ノ `
二 振 り 静 薄 二 武 `
舞
‑ 109‐
う で あ る
︒ こ の あ た り を 読 む と
︑ 別 所 氏 が い か に 赤 松 氏 の 流 れ を 汲 む 血 筋 に 誇 り を 持 っ て い た か が わ か る で あ ろ う
︒ そ れ は
︑ 別﹃ 所 記
﹄ が 別﹁ 所 小 二 郎 長 治 ハ 村 上 源 氏 具 平 親 王 二 十 六 代 ノ 孫
︑ 赤 松 入 道 円 心 之 末 葉 也
﹂ と い う 文 章 で 始 ま る こ と や
︑ 敵﹁ 引 取 バ 付 慕 ヒ
︑ 敵 返 サ バ 城 二 引 篭
﹂ 戦 法 が
︑ 当﹁ 家 ノ 累 祖 赤 松 円 心 苔 縄 ノ 城 ヨ リ 打 出
︑ 右 ノ 手 立 ヲ シ テ 敵 ヲ 攻 亡 シ
︑ 上 二武 名 一末 代 被 賞
︒ 元 弘 ノ 吉 例 二 候 カ シ
﹂ と の 別 所 甚 太 夫 の 意 見 に よ っ て 取 り 入 れ ら れ た こ と を 見 て も 明 ら か で あ る
︒ 秀 吉 と の 対 立 の 始 ま り を 三 宅 治 忠 の 兵 法 論 議 と し た 理 由 は
︑ 松 林 靖 明 氏 の ご 指 摘 に も あ る よ う に
︑ 赤 松 氏 の 末 裔 を 以 て 任 ず る 別 所 氏 に と っ て
︑ 南 北 朝 以 来 の 兵 法 の 家 と し て の 面 目 を
︑ 成 り 上 が り 者 の 秀 吉 如 き に 侮 辱 さ れ た の は 許 し 難 い こ と で あ り
︑ 播 磨 に あ っ て 赤 松 氏 を 知 る 者 に と っ て は 納 得 し や す い こ と だ か ら で あ ろ う
︒ 信﹁ 長 昨 今 ノ 取 立 漸 ク 侍 ノ マ ネ ヲ ス ル 秀 吉
﹂ の 指 図 で 動 く こ と を
︑ 赤 松 氏 末 流 と し て の プ ラ イ ド が 許 さ な い の で あ る
︒ 別﹃ 所 記
﹄ は
︑ た と え 有 能 な 武 将 で あ っ た と し て も
︑ 氏 素 性 の わ か ら な い 秀 吉 の 風 下 に 立 つ こ と を 長 治 が 拒 ん だ 理 由 も 十 分 に 描 き き っ て い る と 言 え る
︒ 別 所 の 逆 心 に 慌 て た 秀 吉 は
︑ 重 棟 を 呼 び 寄 せ 真 意 を 尋 ね た 後
︑ 彼 を 通 じ て 長 治 へ 文 を 送 り
︑ 長 治 を 説 き 伏 せ よ う と 試 み る が 失 敗 に 終 わ る
︒ 重 棟 が 別﹃ 所 記
﹄ に 登 場 す る の は
︑ こ の 場 面 が 最 後 で あ る
︒ 史 実 の 上 で は
︑ こ の 後 も 彼 に は か な り の 活 躍 が 認 め ら れ る の だ が
︑ 何 故 か 別﹃ 所 記
﹄ は 重 棟 に つ い て は こ れ 以 上 触 れ て は い な い
︒ そ の 理 由 を 探 る 前 に
︑ 三 木 合 戦 に お け る 重 棟 の 足 跡 を 史 料 に 見 て み よ う
︒
︵ 一︶ 別
所 重 棟 は
︑ 元 亀 元 年
︵一 五 七
〇
︶ ご ろ か ら
︑ 長 治 を 伴 っ て 度 々 上 洛 し て 信 長 に 謁 見 し
︑ ま た
︑ 天 正 五 年 二 月 に は
︑ 重 棟 と 長 治 は 信 長 の 雑 賀 攻 め に 従 っ て い る
︒ 別 所 氏 が 信 長 に 組 す る に 至
っ た 契 機 を 武﹃ 功 夜 話
﹄ が 伝 え て い る
︒ 播
州 別 所 氏 は 元︑ 播 州 の 地 頭 赤 松 円 心 の 後 胤 播︑ 州 印 南 郡 別 所 の 郷 よ り 起 る 筋 目 の 家 な り
︒ 始 め 大 蔵 少 輔 安 治
︑ 播 州 東 三 郡 を 領 す
︑ 三 木 城 に 拠 る 嫡 子 小 三 郎 な り
︒ 大 蔵 少 輔 安 治 の 舎 弟 孫 右 衛 門 は
︑ 去 る 天 正 乙 亥 年 信 長 公 に 一和 の 人
︒ 此 度 蜂 須 賀 彦 右 衛 門 尉
︑ 伊 丹 の 荒 木 摂 津 守 仲 人
︑ 三 野 庄 の 別 所 小 二 郎 を 諭 し 信 長 公 に 同 心 候 な り
︒ 別 所 賀 相 は 孫 右 衛 門 尉 の 舎 弟 な り
︒ 播 州 飾 西 郡 五 着 の 城 主 小 寺 藤 兵 衛 尉 子 な き ゆ え
︑ 族 の 国 行 庄 姫 路 の 城 主 小 寺 美 濃 守 な る 人
︑ 美 作 の 岩 屋 城 責 口 に 討 死 名 を 宗 円 と い う
︒ そ の 子 加 賀 守 ま た 討 死
︑ そ の 後 藤 兵 衛 尉 の 家 老 小 寺 右 近 大 夫 な る 者 目 代 と 相 成 り 姫 路 の 山 城 を 守 る と こ ろ な り
︒ そ も そ も 此 度 五 着 城 主 小 寺 藤 兵 衛 尉
︑ 信 長 公 に 一身 同 心 の 濫 場 は
︑ 蜂 須 賀 彦 右 衛 門
︑ 荒 木 摂 津 守 を し て 五 着 城 主 小 寺 藤 兵 衛 尉 政 職 を 説 得
︑ こ の 両 名 の 者 ︑ 和一 別 所 孫 右 衛 門 を 引 き 入 れ
︑ 別 所 在 城 の 三 野 庄 別 所 小 三 郎 を 諭 し 候 な り
︒
︵中 略
︶ 先 頃 西 国 毛 利 輝 元
︑ 信 長 公 に 御 敵 の 色 を 立 て
︑ 大 坂 石 山 本 願 寺 の 顕 如 上 人 に 同 心
︑ 五 百 有 余 艘 の 軍 船 を も っ て 難 波 木 津 口 に 乗 り 入 れ
︑ 余 勢 を も っ て 播 州 を 窺 う と こ ろ
︑ 三 木 本 城 の 別 所 族 中 の 意 見 ま ち ま ち
︑ す な わ ち 孫 右 衛 門 尉 兼 て よ り 信 長 公 に 同 心 の 者 に 候 も
︑ 伯 父 御 の 別 所 賀 相 な る 人 猜 疑 の 念 あ り
︒ 本 城 の 小 二 郎 も 仲 々 も っ て 決 着 仕 ら ず の と こ ろ
︑ 彦 右 衛 門 尉
︑ 荒 木 摂 津 守 並 に 小 寺 藤 兵 衛 同 座 し て 説 得 候 な り
︒ 此 度 の 筑 前 様 播 州 表 へ 出 向 に 付 き
︑ 右 の 旨 相 伝 え 質 子 を 進 上 し 同 心 候 な り
︒
︵巻 六 織 田 信 長 公
︑ 別 所 長 治
︑ 小 寺 政 職 と 拝 謁 す る 事
︑ 黒 田 官 兵 衛 孝 高 の 事
︑ 播 州 表 の 事
︶
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