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こませ網漁業

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5. 漁業操業実態

5.2. こませ網漁業

(1) こませ網漁業

備讃瀬戸各航路と周辺海域で、1月中旬から11月(最盛期は2月から8月初めまで、8月以 降は少ない。)の操業許可期間に操業されている独特の漁法で、袋待網漁業の一種。本漁法は、

袋網を海中に沈設して、潮流に乗ってくる魚が袋網に入るのを待って引き揚げるものである。

投網と揚網は転流時に行い、転流から転流までは移動しない。網の固定は錨を入れて行い、網

の幅は150〜200メートルであり、漁船は網の中央で網を開口している。数隻が横に連続して

並ぶことが多くある。

網の固定錨は海面にオレンジ色の「錨だる」で標示し、網は白色の「はなだる」で標示され る。夜間にかかる場合の灯火は、「錨だる」と「しりダル」に、通常4秒1閃の黄色や白色等 で標示される。

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図 5.2-1  こませ網漁業漁具、漁法図

(参考:瀬戸内海水路誌  書誌第103号)

(2) 海面漁業調整規則

各都道府県の漁業調整規則は、漁業法及び水産資源保護法(昭和26年法律第313号)その 他漁業に関する法令とあいまって、水産資源の保護培養、漁業取り締まり、その他漁業調整を 図り、あわせて漁業秩序の確立を期することを目的として、免許漁業・知事の許可漁業、許可 証、許可の定数、採捕の制限等、漁具漁法の制限及び禁止、一部漁種の夜間操業の禁止、漁具 の標識、罰則等について規定が設けられている。

 

(3) こませ網漁業の主な操業海域と漁期

漁場は備讃瀬戸・玉野市地先・水島灘・笠岡諸島の島周辺、岬又は瀬端等の潮流の速い海域 であるが、潮流が瀬の斜面に沿って浮きあがる瀬の前部水域が好漁場の条件となる。主要漁場 となっている場所は、備讃瀬戸東部の高瀬付近、備讃瀬戸東航路中央4号〜6号ブイ付近、宇 高東・西航路交差部付近、水島航路交差部及び六口島付近である。

こませ網漁業の好漁場となっている場所を図 5.2-2に、こませ網漁業許可状況一覧(平成15 年)を表 5.2-1に示す。

 

漁  期 

いかなご 1月15日 〜 6月30日 最盛期 3月〜4月 餌料いわし 7月1日 〜 7月31日 最盛期 7月 い  か 4月20日 〜 6月30日 最盛期 5月 まながつお 6月1日 〜 9月15日 最盛期 7月〜9月 大型イカ 4月20日 〜 6月20日

小型イカ 4月20日 〜 6月20日 小型まながつお 6月21日 〜 8月31日 魚こませ 7月1日 〜 11月30日

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  図 5.2-2 こませ網漁業の好漁場となっている場所(参考海域図) (資料:瀬戸内海海上協会 5年春報 4航行安全業務連絡会資料

香川県

岡山県 小豆島 豊島玉野

浅口 広島

本島 三豊

仲多度郡

丸亀市坂出

高松木田 大川郡

土庄

千振 葛島蕪埼 土庄 小豊

池田湾余島 地蔵

大兜 大島 庵治 屋島 屋島

高島 馬ヶ

大串 志度 志度 志度 津田

牟礼

長崎鼻 高松港

女木

大崎ノ鼻

男木

西

東 航 路

柏島向島 荒神

宇野 直島

局島 家島

井島 多度津

宇多津町丸亀港

小槌

大槌 小瀬居 牛島

与島

六口

日比港

琴浦 味野 竪場島

水島

下ノ町

玉島 帆埼寄島 上水下水 手島 小手 大島 小島 佐柳

真鍋島 高見 粟島 志々

多度津港備讃

詫間 詫間町 仁尾町 仁尾

三崎

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表 5.2-1 こませ網漁業許可状況一覧(平成15年)         (資料:海上保安庁 香川県籍岡山県籍計1月2月3月4月5月6月7月8月9月10月11月12月 4141 4141 426 426 1414 1616 88 (13〜15年)四 88 5192415年新規許可 55単年)与島、本岡山 4040真鍋島6統(期5/10〜6/30 笠岡市地先 4747 426 426  51722 年新規許可 55 99  99 昼夜間2121  2020 452166 463379 4040 3333 55 55

※日毎に 時間限定 注:下段の数字は、平成14年の許可受有漁船統数

612283 7341114 まながつお 香川地先昼夜間

餌料いわし 岡山

日出〜 日没 地先日出〜 日没

岡山

いかなご 大型いか 小型いか いか 地先 地先禁止 区域あり香川

昼夜間 昼夜間 小    型 まながつお香川高松沖昼夜間

まながつお香川 中讃地区

高松沖土庄町讃 岐千振島 周辺昼夜間 岡山地先昼夜間

中讃地区昼夜間 ※

香川香川高松沖昼夜間 香川高松沖昼夜間

香川地先日出〜 日没 岡山地先日出〜 日没

漁種許可県許可区域操 業 時 間許可統数操業期間 1/156/30 2/1 2/1

6/30 6/30 4/206/20 4/206/20 4/20 4/205/31 6/21 6/21 9/15 7/17/31 7/17/31 7/111/30

(単 年)女木島直島 年)  瀬戸内、香西、下笠居 (単 単年) 単年) (単 単年)

(1517瀬戸内、女木島、香西 (1517庵治、与島、高見箱浦 6/30 5/314/20 8/31 6/1

6/15 8/31

8/31

(4) こませ網漁業の漁ろう体数・出漁日数・漁獲量統計

岡山・香川県ともに漁ろう体数は増減しているが、岡山県では昭和 52 年頃から、また香 川県では平成元年から年次につれ減少している。これに伴って出漁日数も増減しながら、減 少傾向となっている。

表 5.2-2  県別の漁ろう体数・出漁日数・漁獲量統計

漁ろう体数 出漁日数 0〜3トン 3〜5トン 5〜10トン 10〜20トン 漁獲量ton 実漁船数

昭40 163 5,598 47 116 0 0 1,122

昭43 121 4,308 28 92 1 0 1,701

昭44 55 4,065 5 50 0 0 1,296

昭47 - - 2,569

昭49 48 3,704 7 41 0 0 5,932

昭52 133 6,649 1,808

昭55 130 6,411 2,327

昭57 121 6,392 1,894

昭60 98 5,576 752

昭62 99 5,758 527

平1 77 5,925 866

平3 73 5,443 626 44

平5 73 4,432 480 42

平7 60 2,602 303 43

平9 56 3,713 354 44

漁ろう体数 出漁日数 0〜3トン 3〜5トン 5〜10トン 10〜20トン 漁獲量ton 実漁船数

昭30 220 0 0 0 220

昭40 48 61 8 0 117

昭41 95 - - - - - 7,257

昭46 100 9,078 13 39 28 20 21,224

昭50 95 8,229 3 16 26 50 10,254 78

昭52 101 7,712 0 7 21 60 7,427

昭55 124 8,769 0 5 23 92 23,321

昭57 122 8,655 7 7 102 9,779

昭60 111 6,973 0 6 7 98 5,749 75

昭62 117 6,763 0 1 9 105 5,134

平1 146 5,826 0 0 11 135 2,350

平3 137 8,587 0 2 12 123 7,896 85

平5 123 6,650 0 1 8 114 6,302 84

平7 101 5,606 0 4 2 95 2,525 90

平9 93 4,637 0 2 4 87 2,481 86

岡 山 県

香 川 県

注)漁ろう体数:昭和40、43年は着業統数、昭和44年以降は漁ろう体数(統数)を示す        余白欄:袋待網の仕分け資料なし。

  注)漁ろう体数:

漁船隻数とは異なる。漁業を営む漁ろうの作業単位で、複数操業の場合はそれらの漁船が集まって構成す 1組をいう。表中の漁ろう体数は、「その他敷網」統計値を示したものである。 

出典:岡山県・香川県水産統計年報、香川県漁業史等

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(5) こませ網漁業盛漁期における巨大船等の船舶通航実態

備讃瀬戸航路及び周辺海域は、同一水域を利用して船舶航行と漁船操業が競合する状況に ある。春先のこませ網盛漁期中は、海上交通安全法により設定されている水深の深い航路内 が、いかなご・ふぐ類目的の好漁場となり、錨で固定された漁具が航路内にも複数敷設され ることにより、可航幅が300m未満となる航路閉塞状況が発生し、特に運動性能の悪い巨大 船にとっては制限水域において運航が阻害される実態となっている。いかなご、こませ網の 操業区域は、地先海面として許可されており航路内においても特定の場所において集団操業 が営まれ、巨大船等が航路外航行を余儀なくされている問題がある。

主な閉塞海域は、主要漁場となる備讃瀬戸東航路高瀬付近、5 号灯浮標付近、礼田埼沖海 域、高松前(宇高東航路〜宇高西航路の間)海域、水島航路交差部海域、六口島海域である。

①  備讃瀬戸東航路(男木島以東)海域

最も航路閉塞の多い海域は、男木島以東の備讃瀬戸東航路高瀬付近、5 号灯浮標付近、

礼田埼沖海域となっており、高瀬付近では、2月下旬から3月にかけて「ふるせ(いかな ごの親魚)」を目的とした集団操業に伴い航路閉塞が発生し、4月には「しんこ(いかなご の稚魚)」を目的とした集団操業により発生する。また礼田埼南方〜5号灯浮標付近では4 月上旬から5月上旬にかけて「ふぐ」を目的とした集団操業に伴い、航路閉塞が見られる。

5月中旬になると「ふぐ」が採れなくなり、庵治水道等の浅場での「ちりめん(しらす)」 目的の操業に切り替えられるため、備讃瀬戸東航路内での操業が少なくなり航路閉塞もな くなる。

②  高松前(男木島〜大槌島の間)海域

高松前海域には操業許可区域が設定されているが、許可区域から外れて操業することに よりまれに航路閉塞状況がある。

なお、4月下旬から8月にかけて、「いか」「まながつお」の漁により、夜間操業が盛ん に行われている。

③  水島航路と備讃瀬戸南北航路との交差部周辺(水島交差部・乃生埼北方)海域

水島航路と備讃瀬戸南北航路との交差部周辺海域には、操業許可区域が設定されている が航路閉塞状況は見られない。

なお、4月下旬から8月にかけて、「いか」「まながつお」の漁により、夜間操業が盛ん に行われている。

④  水島航路(六口島東)海域

水島航路では、漁業関係者等による「こませ網適正化協議会」を通じて、自主協定区 域が設定され、第六管区海上保安本部の安全指導に協調し、現状では航路の約半分が可 航水域として確保されている。

⑤  その他の海域

備讃瀬戸北航路では、広島南西方海域と高見島北方海域で、備讃瀬戸南航路では、多度 津沖の6号ブイ付近の海域で、まれに閉塞することがある。

 

(6) こませ網漁業による巨大船の衝突回避

航路閉塞及び巨大船の衝突回避回数は、増減を繰り返し推移しているが、平成3年、平成 5年、平成8年には、漁獲量回復による出漁日数増加に伴うピークがあるが、平成10年には 大幅に減少している。表 5.2-3及び図 5.2-3に航路閉塞回数、巨大船の衝突回避回数の推移、

図 5.2-4及び図 5.2-5に巨大船の衝突回避実態事例、図 5.2-6及び図 5.2-7にこませ網漁業の 操業事例を示す。

表 5.2-3  航路閉塞回数(300m未満)・巨大船の衝突回避回数推移   

3月〜8月 1日平均

昭 和 58 年 243 77 2,186 11.9 1 0

昭 和 59 年 353 110 2,610 14.2 1 0

昭 和 60 年 433 88 2,489 13.5 0 0

昭 和 61 年 352 87 2,307 12.5 2 0

昭 和 62 年 396 115 2,351 12.8 2 (1)

昭 和 63 年 341 77 2,381 12.9 3 0

平 成 元 年 316 104 2,300 12.5 3 0

2 336 88 2,299 12.5 3 0

3 423 137 2,450 13.3 2 0

4 373 85 2,315 12.6 4 (1)

5 471 109 2,297 12.5 12 (3)

6 369 111 2,260 12.3 2 0

7 337 95 2,322 12.6 2 (1)

8 411 102 2,121 11.5 6 (1)

9 367 83 2,109 11.5 1 0

平 成 10 年 269 76 1,987 10.8 10 (2)

平 成 11 年 318 48 1,859 10.1 1 (1)

平 成 12 年 409 93 1,818 9.9 4 0

平 成 13 年 289 71 1,943 10.1 5 0

平 成 14 年 460 94 2,002 10.6 8 (1)

平均 363 92.5 2,220 12.0 3.6 (0.6)

注: 巨大船の通航隻数は、各航路ごとに通航した隻数を合計した延べ隻数である。

注: 調査期間は、3月1日〜8月31日。(ただし、平成13年は2月21日〜、平成14年は2月25日〜)

注: ( )内は巨大船に係る事故。事故件数には、船舶衝突のほか、漁網切断を含む。

事故発生件数 航 路 閉 塞 回 数

(300m 未 満 )

巨 大 船 の 衝 突 回 避 回 数

巨大船の通航隻数

(3月〜8月)

(資料:海上保安庁)

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