第 3 章 クリーンダッカ・プロジェクトの事例分析
3.7 おわりに
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われた。終了時評価は、廃棄物管理局の機能化、WBAの広範な普及、全収集車 の稼働のためにプロジェクトの延長を提言し、2年間の延長が決まった。2011年 3月には、最後の年次報告書であるプロジェクト完了報告書が作成され提出され た。
第5サイクルは、2011年2月以降の延長フェイズである。プロジェクト計画 は、延長フェイズ開始時にプロジェクト・スタッフがPDMおよび活動計画表を 作成し、それにしたがって終了時評価で指摘された 3 つの課題を達成するべく 活動がおこなわれた。2012年 11 月に延長フェイズの終了時評価がおこなわれ、
WBA導入区の増加、新規収集車の完全稼働が確認され、2013 年 2 月に、13 年 間におよんだダッカ市廃棄物管理への開発援助は終了した。
以上のことから、JICAの技術協力プロジェクトが、計画・実行・評価の3つ のフェイズからなるサイクルを反復的に繰り返すスパイラル・プロセスになっ ていることが確認された。また、最初期の計画には数年をかけているが、ひとた びプロジェクトが現地での活動を始めると、ひとつのサイクルが日本の会計年 度と一致していることが確認された。また、評価のプロセスでは、外部者による 評価以外にチームメンバーによるプロジェクトの進捗確認が定期的におこなわ れていること、ならびに評価および進捗確認の結果はその後の計画に反映され ていることが確認された。
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いう形式知を創造しているので、Planが適切と思われる。実行フェイズでは、計 画を目安にしつつ、状況適応的な対応、すなわち学習しつつ行為している。その ため、漠然としたDoに替えて、より能動的なActをもちいる。反省は、Seeは 漠然としているため、Reid(1993)やCARE International(2014)の用語もちいて
Reflectionとする。また、開発援助プロジェクトの適応的・実験的、すなわち動
的な側面を表現するために、日本語・英語ともに動名詞 に し、「計画する
(Planning)」「実行する(Acting)」「反省する(Reflecting)」とするのが適切と考 える。
「計画する」フェイズの、最初期の計画調査は、数次にわたっておこなわれ ことが多い。しかし、調査相互の連携が十分でないために、調査結果は相互に分 断的な知識創造(Disjointed Knowledge Creation)になりがちである。加えて、問 題のシステム分析がおこなわれないと、問題が個別に分析され、解決策が個別に 考えられるため、分断的プロジェクト計画の傾向がさらに強まる。
また、プロジェクト計画に先だって、援助側と被援助側が可能な限り広範で 的確な現状認識を共有する必要がある。そのためには、被援助側からの文脈固有 の知識すなわちローカルナレッジの共有が必須であるが、複数の理由からそれ は制限されがちになる。そのため援助側の現状認識が表面的になり、現状認識が 具体的でないと、援助側のローカルナレッジの共有も制限される。その結果、文 脈を離れた抽象的な知識であるグローバルナレッジの集合からなる計画が立て られることになる。ここでもまた分断的知識創造の傾向に拍車がかかる。このよ うして策定されたプロジェクト計画は、合理主義的計画であるが、その合理性は 相当程度に限定された、限定合理的プロジェクト計画(Bounded Rational Project Plan)となる。
プロジェクト計画が分断的であり限定合理的であるため、「実行する」フェイ ズは計画どおりにはいかない。プロジェクトは、相手国の真の文脈固有の問題に 直面して、難航する。だがそれは、言い換えると、真の問題が具体的に見えてく るということである。そのため、現状に適応的な対応が可能になる(Adaptive
Knowledge Creation)。具体的には、実験を繰り返して現状に最適な解決策を見出
していくことである(Experimental Knowledge Creation)。予測にもとづいて事前 に用意された解決策、すなわち計画をひとつの目安としながらも、現地の文脈に 適応し、実験し、悪戦苦闘しながらなんとかして切り抜ける(Muddling Through) のが、プロジェクトの「実行する」フェイズの実態である。
「反省する」フェイズでは、体系的な査定である評価と、進捗報告を通した 学習者(プロジェクト実行者)自身による学習の振り返りがおこなわれる。いず れも、プロジェクト実行中に創造された実践知を統合し(Integrated Knowledge
Creation)、評価では広く未来のプロジェクトのために、進捗報告では当該プロジ
ェクトのために教訓(Lessons Learned)を抽出し、それらを報告書という形で形
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式知化する。
実践知が統合されると、プロジェクトの知識プロセスは「計画する」フェイ ズに戻り、統合知を反映する形でその後の計画が修正される。これによって予測 的で分断的であった計画は、当初のグローバルナレッジに加えて、援助国・被援 助国双方のローカルナレッジを取り込んだ、相手国の文脈に適応的な計画へと、
徐々に修正されていく。
以上の発見事項をもとに、次章では、開発援助プロジェクトにおける知識の 創造・共有・活用プロセスを明示する理論的モデルについて考察する。
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