●アメリカ
(スライド3)アメリカでは,2004年の大統領一般 教書で,IT によって医療ミスを減少して医療の効率化 を行う……と。これはどの国でも言っていることです。
担当官を指名して,NHII(National Health Informa-tion Infrastructure)というものをつくりました。標 準化の話もいろいろありますが,スライドのいちばん
下にあるRHIO(Regional Health Information Organ-ization),地域医療情報センターというんでしょうか,
これを州ごと,郡ごと,あるいは病院チェーンごとと かでつくるという方向です。そして,願わくば将来的 にはそれをつなぎたい,そういうプロジェクトです。
(スライド4)それがどういうかたちをとるかとい うと,これがXDS(Cross-Enterprise Document Shar -ing;施設間ドキュメント共有)という仕組みです。
例えば,患者さんが救急センターに担ぎこまれた。
そうすると,処置されて救急レポートができます。そ
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︱ 医 療 情 報 の 標 準 化・ 電 子 紹 介 状 と 患 者 へ の 情 報 提 供︿ 静 岡 県 か ら 全 国 へ
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の人が入院することになった。そうすると,そこには 当然手術記録や退院サマリーができます。退院されて,
この人がいつどこにかかったという情報が地域データ ベースに登録されます。その後,この患者さんが外来 診療所に行ったときに,この患者さんが認めたなら,
ドクターはデータを見にいって,「ああ,あなたはあ そこに担ぎこまれて,あそこに入院していたんです か」ということをデータを見て知る。その後,例えば ほかのケア施設に行くなり,ほかの検査施設で画像を 撮ってくるなりといったことがあればやはり見ること ができる,というのがXDS の仕組みです。
しかし,アメリカのように外来の時間を十分にとれ れば,医師はこういうのをたくさん探してきて見る時 間もあるんですが,我が国で 3分間 でこれをする ことは非常に困難です。読む時間がとれません。しか し,「見落とした」と訴えられるかもしれません。だめ と言うのではありませんが(現実に内閣官房のIT 戦 略でも,重点計画でこういうかたちがすすめられる方 向に向いています),まあ,日本での運用をよく考えま しょうということです。
●韓国:半官半民で EHR 研究開発センター
(スライド5) 韓国は,Interoperable EHR R&D Center(相互運用可能なEHR 研究開発センター)が 2005年に半官半民でできました。標準化が整備して いない間にお金を使ってもきっと無駄になる……,私 は韓国のいろいろな人にこう言い続けていたのですが,
そろそろかなということで,2005年にスタートした わけです。
そこでやっていることは,各種規格を翻訳し,「 . NET」(ドットネット)でのいろいろなツールをつく って公開して,ドキュメントレジストリーをつくると いったところです。
官の費用をどうやって出すかというのもポイントで,
これは審査を合理化して,そのペーパーワークを電子 的にやって審査機構がコストを出すという,非常に現 実感があるビジネスモデルだと思います。
(スライド6)先月,ソウルEHR フォーラムという のに呼ばれて話してきたんですが,オープニングで韓 国の 柳 時敏 厚生大臣(保健福祉部長官)が挨拶されま
ユ シミン
した。そのあと,私は行けなかったんですが,同行の 先生が副厚生大臣の執務室に呼ばれて,こんなことを やっているという説明をいただきました。非常に意思 決定の早い国ですが,何せあの国は5年ごとに大統領 が変わって,一気に政策が変わるというリスクがあっ て,来年の後,どうなるのかなというのがちょっと心 配なところがあります。この柳時敏厚生大臣は,今の 盧 武 鉉 大統領の懐刀というか,医療の活性化という
ノ ム ヒヨン
ので,かなり深く盧武鉉大統領と関係しておられる方 なので,ひとごとながら将来が少し心配です。
●ソウル国立大ブンダン分院――ドクターはファイ ルを開かない
スライド7はソウル国立大学のブンダン分院での 写真です。モニターが4面もあって,ドクターがいま す。たまたま2人いますが,普通はお1人です。エイ ドナースというクラーク,この人が画面を開くんです。
画面を開いたら,医師はもう患者としゃべっていると いう流れです。1つの画面はどちらかというとオーダ ー系の内容で,予約を取ったりできる。臨床系のデー タはもう1つのほうで出す。すごいのは,患者さんを 診察・治療すると,ドアの向こうにもう1つ同じ診察 室があって,別の患者さんが待っていて,クラークは ファイルを開けて待っている。要するに,ドクターに は医療をさせる。ファイル開けさせたりはしないとい うかたちです。何せ医師の時給が高いから。もうちょ
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っと言うと,こういう病院では患者特診料がすごく高 くて,教授がたくさん診たほうが収入が上がるという ことです。診療をたくさんした人にそれなりの給料を つけるという発想をすると,ひょっとしたら日本でも こういうクラークのような人を雇うようになるかもし れない。でも日本は結局,給料が同じだから個人的に そこまで踏み込んではやらないわけです。まあ,ちょ っと面白いケースです。
●ヨンセイ大学――SE 室に130人
(スライド8) 延 世 大学は,韓国の慶應大学みたいな
ヨン セイ
ところで,私立ですが,3,000床くらいの大病院を建て ています。多分,ペーパーレス電子カルテの世界最大 の病院だと思います。その規模もすごいんですが,レ スポンスはそんなに遅くはないです。いちばん驚いた のはSE 室(スライド8の右下)で,130人いました。
私は日本で40人以上のところをまだ見たことがない。
これならすぐデバッグ(プログラムの誤りを取り除く)
はできるし,データベースのチューニングもできるだ ろうと思います。
●海外では費用をどこから出しているのか
国家的な費用負担の部分をどこから出すかというこ とです(スライド9)。 イギリスは医療費全体から出 すようになっています。イギリスは,いまほとんど医 療 のIT化 が な さ れ て い な い の で,PACS(Picture Archiving and Communication System)をつくった り,マイクロソフトがボキャブラリー・データベース をつくったりしています。
イギリスは医療費を無理やり下げすぎて,例えば入 院するのに半年待ちという状況ですので,少しでも効 率化すれば,それは評価されるだろうという気がしま す。もしも,日本が無理やり医療費を下げ続ければ,
多分イギリスのような状況になる……という気がしま す。ああいう医療が荒廃した状況にはなるべくしたく ないものです。
韓国,北欧は,支払い基金とか審査機構とかが,そ のネットワークの維持の部分を支える。というのも,
韓国や北欧はネット基盤が整備されているという点と,
支払いの料金表が単一ですから,そういうことがしや すいわけです。
アメリカがあまりいいアイデアがないんです。まず,
地元の補助金でスタートして,医療施設の自助努力で やるとか,でも多分それは無理だろう,保険会社が出 すだろうとか,製薬会社にデータを売るとか,いろい ろなビジネスモデルを言うんですが,あまりいい感じ
のものはありません。
●今後の EHR の論点
(スライド10)今後のEHR の論点は,電子カルテを 導入すれば,どんどんデータが出るという幻想は捨て ようという点です。「捨てよう」と言ってるのは我々学 者で,皆さんはもうすでに捨てているということがわ かりますが,とにかく合目的的に導入するということ です。何をしたいのか。部門間の情報共有をしたいの
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