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ÅCl/! ?

ドキュメント内 熊本大学学位論文  (ページ 84-89)

第 3 章  Non-hydroxylic クラスレートホストの包接能の検討

Scheme 3. 1 H NMR spectral data for conformational isomers due to restricted rotation about a N–Ar bond in 5c

N- フェニル環にハロゲン原子を置換したホスト 5j–r では,メチル基を置換したホスト 5d–f 以上にその 置換基の位置によりゲスト選択性を示す結果となった.たとえば Cl , Br 原子をそれぞれ 2’ 位に置換した

10.00 ÅCl/! ?

3.625 C(H)/Cl ?

3.583(4)

C(H)/!

3.331 C(H)/!

3.631

C(H)/!

3.629 C(H)/O

3.368(4)

C(H)/O 3.343(4)

C(H)/!

3.393 11.34 Å

10.00 Å Cl/! ?

3.518

Cl/! ? 3.526

centroid Cl/! ? 3.518

C(H)/!

3.595

Figure 72. Crystal packing of (a) 5n•p-xylene (1 : 1) complex and (b) 5e•p-xylene (1 : 1) complex

 

5n•p-Xylene

包接体において,

! C4’–Cl•••!-centroid

85.5º

であり

Cl

原子は

C4’–Cl

結合軸に対して垂直

方向の

nucleophilic

部分で

!

平面と接近していた.

Cl

原子と対面する芳香環平面との距離は

3.518 Å,その

重心との距離は

3.526 Å

であった.ここでも各原子の

VDW

半径を考慮し,

(C4’–)Cl•••!-plane

間の距離が

3.45 Å

以内 (1.75 Å for Cl, 1.7 Å for Csp2

)

30) にあれば相互作用する可能性が高いと推察したが,実際の距離 はその範囲内に存在しなかった.また,二量体相手の

phenanthrene

平面と

Cl

原子の

electrophilic

部分との 相互作用に関しても,

Cl•••!-plane

間の距離は

3.625 Å ( ! C–Cl•••!-centroid, 153.4º)

と若干離れており,

5n•

p-xylene

包接結晶中において

C4’–Cl/!

相互作用が効果的に働くかどうかは疑問である.ところで,隣接ホ ストの

phenanthrene

環と

Cl

原子の距離 (C•••Cl) は

3.583(4) Å

であり,

VDW

半径の和

3.75 Å (2.0 Å for CH

3

,

1.75 Å for Cl)

30) よりも接近していた.しかしながら,

VDW

半径を基準とする

CH/Cl

型水素結合の証明に は疑問を呈する報告32m–n) もあり,

CH/Cl

型水素結合の存在を実証すること自体が容易ではないと考えら れる.

 

5n•p-Xylene

の包接様式は

5e•p-xylene

包接体で観察された構造と類似しており,ゲスト放出温度につい

ても

5e•p-xylene (110 ºC)

5n•p-xylene (105 ºC)

ではほとんど差が認められなかった.結果として

VDW

半径を基準とした

CH/Cl

型水素結合や

C­Cl/!

相互作用がホスト間ネットワークの強化に寄与することを 証明することはできなかった.一般に,ハロゲン相互作用は他に強い相互作用が働いていない状況におい て,結晶格子を決定づける作用を示す傾向があるとされているが,実際に

5n•p-xylene

包接体において効 果的な働きは確認できなかった.

2

項  ホスト

5l

のX線構造解析 [5l•m-xylene (1 : 1), 5l•acetone (2 : 1) complex]

 

5l•m-Xylene (1 : 1)

包接体では,4’-メチル置換体ホスト

5f

m-xylene

包接体と同様に,ホストの

A

領 域間に挟む込む形で芳香族ゲストを包接した

(Fig. 73)

.また,

B

領域を介した

parallel-displaced

型構造や

C-C

領域対面構造も形成され,maleimide >C=Oを介した

CH/O

型水素結合によりホスト‒ゲストが交互に 連結するネットワーク(S領域)も紙面の垂直方向で観察された.各相互作用距離を比較しても両者のネ ットワークに大きな差は認められず,前節で推測した「

4’

位置換体ホストによる芳香族ゲストの包接では その置換基の違いに影響されず共通のホスト間ネットワークを形成する」ことが明らかとなった.しかし ながら,5f•m-xylene包接体の

98 ºC

に対して

5l•m-xylene

包接体では

165 ºC

とそのゲスト放出温度は大幅 に上昇していた.

5l•m-Xylene

包接体のネットワークを観察すると,空間的に接近しやすい位置に存在す る

4’位 F

原子とそれを取り囲むように接近する隣接ホストの

phenanthrene

環水素との間に

CH/F

型水素結 合が形成されている可能性が考えられる (Fig. 74).また,F原子はゲスト

m-xylene

とも直接

CH/F

型水素

結合

[C•••F, 3.51(1) Å]

を形成していた.このように,

CH/F

型水素結合がホスト間だけでなくホスト‒ゲ

スト間の連結をも強めることで高い溶媒放出温度に繋がったものと推察できる.ホスト

5l

において,4’

位に導入した

F

原子は共通のホスト間ネットワーク構築を妨げず,しかもその

CH/F

型水素結合能により 強固なホスト格子を形成することが明らかとなった.

(a) 5l•m-Xylene (1 : 1) complex (b) 5f•m-Xylene (1 : 1) complex

C(H)/F 3.51(1)

3.630 3.750 3.550

12.87 Å 12.64 Å

3.731 3.739 3.505

Figure 73. Crystal packing of (a) 5l•m-xylene (1 : 1) complex and (b) 5f•m-xylene (1 : 1) complex.

3.637(7) 3.881(7)

C(H)/F 3.51(1) C(H)/O 3.660(9)

C(H)/O 3.47(1)

Figure 74. Host–guest network by CH/O and CH/F type hydrogen bonds in 5l•m-xylene (1 : 1) complex

  次に,幅広い包接を見せたホスト

5l

はケトン類を

2 : 1

の比で包接したが,

5l•acetone

包接結晶において は

exo

位メチン水素との

CH/O

型水素結合 [C•••O, 3.10(2), 3.23(2) Å] 以外にゲスト分子の保持に直接関与 する相互作用は確認できなかった

(Fig. 75a)

.また,これまで

maleimide

系ホストに共通して観察されて きた

B

領域を介した

N-フェニル環同士の認識は確認されなかった.しかしながら,ゲスト acetone

を中心 にそのホスト間ネットワークを観察すると,CH/O 型水素結合や

CH/!

相互作用による結びつきをさらに 強化する形で

CH/F

ネットワークが効果的に働いていた

(Fig. 76)

4’

F

原子と隣接する

phenanthrene

環 水素との間に働く

CH/F

型水素結合 [C•••F, 3.32(1), 3.50(2), 3.59(2) Å;

! C–H•••F, 147.1(7), 152.3(9), 140(1)º]

(Fig. 75b, 76)

は,強固なホスト格子を構築する上で重要な役割を果たしており,

200 ºC

を超えるほど上昇

したゲスト放出温度

(211 ºC)

はゲスト包接空間の安定性を反映していると考えられる.

C(H)/O 3.10(2) 3.23(2)

(a) (b)

3.50(2) C(H)/F 3.32(1)

3.59(2) 3.70(2)

Figure 75. Crystal packing of 5l•acetone (2 : 1) complex: (a) Host–guest network by CH/O type hydrogen bonds;

(b) Host–host network by CH/F type hydrogen bonds.

CH/!

CH/O CH/F

(a) (b)

Figure 76. Crystal packing of 5l•acetone (2 : 1) complex: (a) Host–host network by CH/F type hydrogen bonds;

(b) Host–host network by CH/O, CH/! and CH/F interactions surrounding guest acetones.

  このように,前項の

Cl

原子を介した相互作用と比較して,5l•acetone 包接体における

CH/F

型水素結合 の働きは顕著であった.この結合能の高さは

F

原子の電子陰性度の高さに起因すると考えられる.

3

項  ホスト

5o

のX線構造解析 [guest-free 5o, 5o•benzene (1 : 1), 5o•p-xylene (1 : 1) complex]

  ところで,ホスト

5o

においては幸いなことに

guest-free

結晶を得ることができた.これまで

4’

位置換体 ホストで結晶構造が分かったものは包接体のみであり,そのゲスト包接機構を明らかにするためにも基本

となる

guest-free

のホスト間ネットワークの検討が不可欠であった.実際に

guest-free 5o

結晶構造を観察

すると,そのホスト間ネットワークは

5f•m-xylene

の包接様式を予測した際に組んだモデル構造

(Fig. 68a)

と酷似していることが分かる (Fig. 77a).モデル構造では図示した構造で空間を埋めようと

head-to-tail

連 結を推測していた.事実,guest-free

5o

ではその予測通りに

head-to-tail

でホスト間を連結している様子が 確認された,しかしながら,実際には

C

領域でのホスト認識は

head-to-tail

連結だけでなく,同時に

C-C

領域対面構造も形成されていた (Fig. 77c).このように

induced-fit

型の柔軟なホスト間ネットワークが構 築できるのも,maleimide環カルボニル酸素を介した

S

領域での

CH/O

型水素結合が効果的に働いている ためと考えられる.また,

guest-free 5o

では

A

領域で

phenanthrene

環同士が重なり合ったスタッキング構 造が観察された (Fig. 77b).Guest-free

4d

4d•benzene

包接体で観られた

!/!

相互作用においては,その 重なり部分はフェニル環半分ほどしかなかったが (Fig. 44),今回の

guest-free 5o

においては

phenanthrene

の両端の環がそれぞれ半分以上も重なり合っていた.その

phenanthrene

環同士の距離は

3.875 Å

であり,

guest-free 4d (3.408 Å)

4d•benzene (3.641 Å)

と比べて

0.2 Å

以上も離れていたが,

phenanthrene

環同士の 重なり面積が広い分,面間距離が遠くても十分な相互作用(!/!相互作用)が得られるものと推察した.

O X

O

O X

O

O X

O

O X

O O

X

O

O X

O

O O

O X

O

X

(b) (a)

(c)

(Fig. 68a)

Figure 77. (a) Crystal packing of guest-free 5o; (b) !/! Interaction between phenanthrene rings; (c) Host–host

network by both head-to-tail connection and facing structure through each other’s regions C.

  次に

5o•benzene (1 : 1)

包接体と

5o•p-xylene (1 : 1)

包接体の充填様式を比較した (Fig. 78).ゲスト分子 はそれぞれの結晶格子内で同様の位置に存在していたが,

CH/O

型水素結合の距離で判断すると

p-xylene

の方が強い包接であるように見える.しかしながら,両者の

phenanthrene

2

位炭素と

Cl

原子との距離 を比較すると,5o•p-xylene 包接体の方が

5o•benzene

包接体よりも

0.1–0.2 Å

ほど離れていた [C•••Cl,

3.680(4)

3.802(2) Å; 3.775(4)

3.954(2) Å]

.さらに,両者のゲスト放出温度を比較すると,

benzene

接体の

136 ºC

に比べて

p-xylene

包接体では

96 ºC

であり,p-xylene包接体の方がより不安定なことが判明

した.

3.954(2) 3.802(2)

C(H)/Cl ? 3.699(2)

C(H)/O 3.615(3) C(H)/O

3.379(3)

3.459(3) (b)

C(H)/O 3.744(9) C(H)/O

3.778(9)

3.775(4) 3.680(4)

C(H)/Cl ? 3.70(1) (a)

Figure 78. Crystal packing of (a) 5o•benzene (1 : 1) complex and (b) 5o•p-xylene (1 : 1) complex.

  各包接体において芳香環ゲストはそれぞれ

maleimide >C=O

の間に挟まれるように包接されていた.メ チル基の分だけかさ高い

p-xylene

が間に入ることで隣接するホスト分子の接近を妨げ,それに伴うホスト 間ネットワークの減弱がゲスト溶媒の保持力に影響を与えた可能性が考えられる.これらの包接体の検討 を通じても

C

aryl­

H/Cl

の存在は疑わしく,密な結晶を構築する過程において隣接ホストが

Cl

原子に接近 し,結果として相互作用が疑われる距離に

Cl

原子が位置したと推察した.

3

節 

Non-hydroxylic

ホストに関する考察(小括)

  N-phenylmaleimide

誘導体ホストでは,置換基の位置が

3’位と 4’位とで二種類のネットワークを形成す

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