The Japanese Association of Management Accounting
NII-Electronic Library Service
The Japanese Assooiation of Management Aooounting
日本管理会 計 学会誌
管理 会 計 学 20 9年 第 17巻 第 1号
実 際 消費資 源額 と 技術 力 評 価 額 の一 致度 と 政府 に よ る 価 格 設 定
一
経 済合 理 思 考 と 専 門 職 評 価 思 考
のバラ
ンス ー荒 井 耕
要旨
医療 購 入者 (支払者 ) と医療 専 門職 は 医 療サービスの価 格 設 定 において利 害が対立 し て
い
る.根本 的に は経 済 合理思 考に基 づいている実 際消 費 資 源額ベース の価 格 付 けを支 払 者は想 定して い るの に 対 して 医療専 門職は彼ら自身が主張 する技 術 力評 価 額ベースの価格付け 催 供 技 術 力の価 値の適正評価 を想定している. 本研究では (
D
各種手術サービ ス で実 際に消 費さ れ る資源額の各種 手術 間で の相 対的な価値と,各種 手術 サ ービ スの技術力評 価額の 各種 手 術 間で の相 対的な価値とがほ とん ど一致 しない こと, ま た各種手術サービス の実 際消 費資 源 額 (絶 対的な価 値 水準 ) と技 術 力評価 額 (絶対的な価 値水 準 ) もか な り乖 離 すること,を 明らか に し ている.こうした状 況の 下 では 政 府は各種手術サービスの相 対価 格 及 び絶 対的 な価額を決定 す
る に際して,経済 合理 思 考 と専門職 評 価思 考のどち らに基づいて価 格設定 をすべ き か熟 慮 する必要がある. 本研究では 政 府 は両 思 考を バ ラ ン スする形で相 対価格及 び絶対価 額 を設 定 していること が明 らか に なっ た キーワード
手 術 原 価 技術力,医療 価 格
ii
殳定 専門職Convergence
Level
ofWonh
ofPaidResouroes
With
Wo
益h
ofSki皿
s, andPricing PoHcy
b ゆ
eGovemment
:跏 oebetvveen
Rationalizing
Medical 聯
跏d
A 晦 M
醐 躪 祕
KO
ARAI
棚
R 戯 mdrnedicUl1m鯒 〔皿
dS
have
ccnfiicmg
雌登叡 s加 加ge覊 P曲 sp 【畿rpddng 圃 oncu 胆 並a tof3P厳
d
(丶vo hof画dr つ一 en珀皿yb鯏 αn廿鴉aαi血)deof‘晦 m 藍x五cal畷 ’・andm α五α旺
PD鬪 〔 kμ 兪 画洫g幟 d (l Siral)leammmtof m c dbytm (〔曲
d
短〔洫 (ガ齟 s’)一圃 y basedonth巳at廿tudeof‘acommodatfngmica 且rm s’.丗 s 曲dy紬 1be藤 w 励 (f
画d u【Des fUdiffCterrt幽ofs嶼 es a【Xithe鹹 縦 励 (rfpaidres moesihreachkmofsurgoyda n(覧o飭[ e麟 ywith曲 1d臘 a【虹 al)sbldbwuthOfSICills inthiS(血 職 曲 即v m 釦tn紬 to(鯔 (
kr
伽 pd〔)esSibOUIdbesetbased (mtlrepcrSpeCtiveof 衄 跏 ge騨 sα n雌 9醐 (蚣 wh 面 y衂 帥 曲 and 顱 h¢ am α血 (ガ画(罵 伽伽 of即 B釦帆 コ唹鵬 曲 w(Uldeg型v rmentdesi [
pal
出e祕 鴨 a【虹aヒmolide amourt ofPtioes inabalarpednmofbc}血viσ隠KcyW 曲
Sul
騨y,(斌 Wα1hof皿 H醜 Pdd lx)苴(N
,nn鬪 (膕 12008年5月17日 受 付 2008年9月12 日 受理
一橋 大 学 大 学 院 商 学 研 究 科
Submitted 17 May 2008 Accepted 12 September 2008
Graduate School of Co【nmerce and Management , Hitotsubashi University
25
N工 工一Eleotronio Library
管 理 会 計 学 第17巻 第 1号
1
.は じ め に
医療サービスの支 払者 (公 的医療 保 険 機 構 ・企 業 経 営者 ・財 務 省 ) と 医療 専 門職 (医 師 ) とはいろいろな 側 面において緊 張 関係にあ り,と りわ け診 療 報 酬の設定 をめ ぐって は し ばしば対 立 関 係にある,こうした 中, 今日,日本 医療界においては 支払者 医療専 門職 病院経営 者 ・病 院団体 政府 (厚 生 労働省)という医 療シ ス テ ム を構 成 する各 者 とも, 「原価」と診 療 報 酬とが 大 まかに一致 する こ とが 望 ましいという点では一 定の合意が ある と考え られる 腱保連
2007
;外保連2005
;全 国公私病院連盟2006
:医療経済 研究機構20051.し か し支 払 者等1が想定してい る原価は基本的に は実 際 消費資源額に基づく 「実際原価」であり,医 療 専 門職が想定して いる原価は自らが提供して い る技術力の価 値に見合っ た 「期 待原 価」 で あ る,別の言い方
をす るな らば 支払 者が想定し ている原 価 は 現行において実 際に消 費 さ れている資 源額の正 確な 把握を狙
いとする 「価 値移 転 的原価 計算 観 に立つ 伝 統 的 な原 価 計算 論にお けるところの原 価である一方 医療 専 門 職 が 想 定 している原価 は ア ウ トプッ トの真の価 値の評 価 を 狙いとする 「価 値 主 張 的原 価 計 算 観」に たつ原 価 計 算 論における原価である (荒 井,2007>.
こ こで問 題 となるのが 医療の支 払 者 が 考 える実 際 消 費資 源 額に基づく 「原 価」と医 療専 門職 が 考 える技 術力 評価 額に基づ く 「原価 がどの程 度一致 するのか で あ る.も し あ る程度一致 するので あ れば 今後
「原 価」 ベース で価 格 付 け をしていくこと によ りt価 格 をめ ぐる支 払者と 医療 専 門職との対 立 ・緊張関係 は 和ら い で い く こ と に な る.しか し も し ほ とんど一致し な い の で あ れば 今 後 「原 価」 ベース で
価格 付け を するとしても,どち らの 「原 価」 を重視 するのか をめ ぐって支 払 者 と医療 専 門職との対 立 ・緊 張 関係 は続 く
こ と に な る か らで あ る.
また実 際 消 費資源 額に基づく 「原 価」 と技術 力 評 価 額に基 づ く 「原 価」がほ とん ど一致 しない場 合,支 払 者と 医療 専 門職と の 間 に 入っ て価 格設定を し なけれ ばな ら な い政府は どの よ う な価格付け を し て い る の か が問題となる.経済合理思考に基 づく支 払 者の考える実 際 消 費 資 源額ベース の価格 設 定を しな けれ ば 医療
シ ス テ ム の継続的な 運営は 経済的に破綻す る こ と に な る一
方 医療専門 職と し ての高度な技 術 力を有する医 療サービ ス
提 供者である医師を適正 に評 価 する価格設 定でなければ 質の高い医 療を継 続的に提 供しつづ け られ る 医療シ ス テ ム を維持する こ と は で き な い か らで あ る.
従来 各 種医 療サービス の実際消費資源額 (インプッ ト基 準 評 価額) と技 術 力 評価 額 (ア ウ トプッ ト基 準 評 価額) とが どの程 度一致する のか につ い て の研 究は見 られ ない2.ま た政 府 が 経済 合 理 思 考に基づ く実 際 消 費 資 源額ベース の価 格 設 定と専 門職評 価思 考に基づく技 術 力評 価 額ベースの価 格 設 定の選 択のな かで,どの
よ う な価 格設 定を して い る のかにつ い て の研 究も見られ ない そこ で本研究においては 各種医療サービ ス
の実 際消 費 資源 額と技 術力 評価 額 との一致 度,及 び 価格 付 けに際する経 済 含理 思考 と専 門職評 価思考の相 対 的 な重視 度に つ い て分 析 する,
2
.研究枠組 み
本 研 究では 医療 サービ スの技 術 力が 最 も注 目される領 域である手術領域を対 象と して分析する.ま た診 療 報 酬 制 度上の手術 種類 区分 (Kコード)による支 払いが想 定 されてお帆 また 医療 専 門職 (医師 )に よ り 構 成 される外科系学会の社 会保険委員会の連合団体である外科系学会社会保険委員会連合 外保連
1
が技術力の反 映 を求 めている,手術の給 与 費 を対 象 に 「実 際原価」 と 「期待 原価」 の一致の程 度を分析 する.よ り 具 体 的 に は
1
実 際平均 給 与 と実 際 人数 時 間で測 定 される実 際 原価 と,医療専門職に必 要と さ れ る技術力を反 映させた給与及び必要と される 人数時 間に よ り測定さ れ る医 療専門職が理 想とする期待原価 との 「体 系」及The Japanese Association of Management Accounting
NII-Electronic Library Service
The Japanese Assooiation of Management Aooounting
実際消 費 資 源 額と技 術 力 評 価額の一一致 度と 政 府に よ る価 格設定
一経 済 合 理 思 考 と 専 門 職 評 価 思考の バ ラ ンス ー
び 「水準」 の一致 度を分析 する.こ こ に 「体 系」と は特定 手 術種 類を基 準と し た手術 種 類 間の相 対的 な 原価を 表してお り,一方 「水準
」 と は各 手術 種 類の絶 対 的 な原 価 額 (及び そ れ を係 数 化し た もの)を表し ている、 す なわち実 際の消 費資 源額 「体 系」及翁 肖費 資源額 「水準」 と医療 専 門 職 自身が評価した 技 術 力 「体系」及 び 技術 力 「水準」との一致 度を分析 する.
こ の実 際消 費 資 源 額と技 術力 評価 額の 「体 系」及 び 「水 準」 の比 較 は 提 供 している手術 サービスのイ ン プッ トベース の価 値 評 価と アウトプッ トベース の価 値 評 価との乖離の程度の分 析である ともいえ る.またこ
の一致 度 分 析 は 経 済 合 理 的 な経 営を求める支 払者のための (ある いは経済 合 理 的 な意 思 決定のた めに病 院 経 営者に よ り用い られ る4)原価情報と,医師が専門職と して の自身へ の評 価と して妥当 と考え る技 術 力を反 映 した 原価 情 報の一致 度 を検 討 し
ていることになる 俵
D
.こ の経済 合理思 考に立つ 実 際 消費 資源額と して の実 際原価 「体 系」 と専 門職 評 価思考に立つ 技術力評価と
し て の期待 原価 「体系」が一致 しない場 合,政府に よ る各手術 種 類に対する相対的な診療報酬額の設定 (っ
ま り診 療 報 酬 価格 「体系」 の設 計)において大きなジレ ンマが 引 き起こ され る,診療報酬 は実際消 費資 源額
を償 還 すべき か,それとも医療 専 門職の技 術 力に報いるべきか,す な わ ち診 療 報 酬は経 済合理 思考に基づい
て設定さ れ るべ き なのか,そ れ と も専門職評価思考に基づい て設定さ れ るべ きなのか,という選 択 が必 要に な る か らであ る.これは 医療財政が 回復し絶対 水準と して十分な診療報酬額が設 定さ れるよ う になっ た と し て も解決さ れ な い問題で あ る.なぜな ら,仮にすべ て の手術に お い て実際原価 以上の診療 報酬が設定され すべ て の手術が大いに利益が あ が る よ う に なっ た と しても,診療報酬 「体系」が実際消費資源額 「体 系」 に
基づい て設定され る な らば廴実際消費資源額 「体剰 と技術力 「体系」 が相似してい な い場 合には 診療 報 酬 「体 系」 は医療 専 門 職の相 対的な技術力を評 価していないこと になる からである.
そこで次に,政府に よ り設定さ れ て い る診療報酬 「体系」が 経済合理思考に基づいて実 際消 費資 源 額
「体 系J に沿って設 計さ れて いるのか,そ れ と も専 門職 評価 思考に基 づい て技 術 力 「体 系」 に沿っ て設 計さ れて いるのか を分 析 する.つ ま り,診 療 報 酬価格 「体 系」と実 際 原価 「体 系」 の相 似性 及び診療 報酬 価格
「体 剰 と期待原価 「体系」の相似性を調査する.加えて 現行診療報酬 「水準」の実 際原価 「水準」及 び 期待 原価 「水準」 との 関 係にお ける設 定 状 況 ならびに診療 報酬 「水 準」へ の 専門職評 価思考の影響状況に
つい て も分析する.
表
1
一致度の分析対象の整理実際原 価 診 療 報酬 価格 期待 原価
評価内容 実際 消費資源額 両者 技 術 力
評価 方 法 インプッ ト基準 確 立していない アウ トプッ ト基準5 評価の立場 支 払者等 政 府 (厚生労 働省 ) 医療 専 門職
基 本思考 経済 合理 思考 一 専門職 評価 思 考
3
.各種相対係数及び絶対係数 の 算 出方法
本 研 究では実 際 原価と期 待原 価の 「体 系」及 び 「水潮 の一致 度 を分 析 するた めに 12病 院か ら実 際原 価 を算 定するためのデータを収 集した データ 収集 対 象期 間 は 平 成 16年4月診 療月分か ら12月診 療月分の 間で 12月分か ら遡り提 供 可能な期 間と した つま り全12病 院から最 低 限 平 成 16年12月の 正ヶ月分のデー
タ を 入手し た 収集データは 以 下のと お りである.
27
N工 工一Eleotronio Library
管理会計 学 第 17巻 第 1号
表
2
収 集デ ータデータソース データ内 容 代 替 可 能 な データ 内容 関与 医師数 (麻酔科医除く) 関 与 医師数 (総数)
執刀時間 手 術 時 間 (入室か ら退室 まで) 関与麻酔科医数 関与 医 師 数 (総 数 )
手 術 台 帳
麻 酔 時 間 手術時間 (入室か ら退 室まで)
関与看護師数 一
手術時間 (入室か ら退室 まで) 一
レ セ プ ト・データ 手術コード 一
医 師平 均時給τ
人事部門 看護 師 平 均 時給 各職 種の平 均 月給および 法定勤務時間
麻酔科 医平均時給
こ の収集 データ を基 に 診 療 報 酬 点数表上 の手術種類区分 (
K
コード) 別の実 際 原価を病 院 ごと に算出した 具体的な算出方法は以下のとお りである.例 :
KOO5
(皮膚 皮 下腫 瘍 摘 出 術 儷 出 綱 ) サービ ス の1
回 当た り実 際 原価 = (KOO5サービス の平 均執刀時間×平均関 与医師数×医 師 平 均 時給 〉 + (KOO5サービ ス の平均手術時 間×平 均関 与 看護 師 数 X 看 護 師 平均 時 給 ) + (KeOSサービスの平 均 麻 酔時 間×平 均関 与 麻酔 科 医数 x 麻酔科医平均時給)その上 で まず病院ごとに ヘルニ ア手 術の実 際原 価を基 準 (つまり
D
と し て手術種 類 間の実際原価の相 対 係数 を作 成した 次 にこの 病院別相対係数の平均によ り, 医療 界 全体と して の手術種類別 「実 際原 価 相 対 係 数」 (表
3
列 a 以下,表3
−a と表現)を算 出 したs.な お本 収 集 データか ら,診 療 報酬 点数 表上の総 区 分 数964
種 類 肛コード三桁レベル沖409
種類の係数が 作成でき たが 複 数の病 院で係 数が作 成できたの は250 種類 ま た調査対象病院中の過 半 (7病 院 以 上)の病 院で係 数が作 成でき たのは48
種 類で あった 本研究では 幅 広い病 院で提 供さ れ て い る い わば主 要手術48種 類に焦点 を 当て て分 析する.9
一方 医療 専 門職の主張 する各手術に要 する技 術 力 を反映 した 期 待原 価につ い ては 本 研 究に おける実際 原価関連 データの収集 対 象年 度である平 成
16
年 度の診療報酬表上 の種類区分に対 応 させて公 表 され た 外 保連の 丁手術 報酬に関する外保 連 試 案 第
6
版』(外 保 連,2005)か ら入 手し た その際 同一手術 種 類 (K コ ード)内で場 合別の異 なる期待 原 価を設 定して い る手術種類につい ては 場合別期待 原価の単 純平 均 によ り
K
コードレベルの手術 種 類 別期 待原 価を算 定した1既 その上で,ヘ ルニ ア手術 (K633)の期待 価 格を基 準 (つ まり1
)として他の手術の期 待 価格を相 対 係数 化し, 「期待原価相対係数」 俵3
づ を算 出 した外保連とは 各 外科 系 学 会 か らの社会保 険上の要 望を取り ま と め て い る学会横断的な連 合 団体であり, 1982 年の試案第1版以降
「診 療 報酬 制度に おい て手術報 酬が科学的な根拠も な く決 められていることに対し,’
手 術 手技の適正な評 価のもと に手術轆 酬の合 理的な原価計算を試み て, その結 果 を手 術試 案 として公 表し て きた (外保連 2005,p5 )1 .外 保連 は
「こ の試案が適正 な診療報酬の算 定のた めに広 く活 用 されること
を期 待 している (外 保 連
2005
,ま え が きp2 )」,医療サービス の価 格 (診 療 報酬 ) は,医療 提 供側 支 払側 公 益代表と し ての学識 経験 者で構 成される中央 社会保 険 医療 協議会 (中医協)の場で審議さ れ るがそ のた た き台は厚 生労働 省保 険 局医 療課で作 成 される そのた たき台 作成 プロセスに お い て は外保連や 内保 連 (内科 系 学 会社会保険 連合)という医療 系学 会 組 織の影 響 力が無 視でき ない と さ れて いる (結城 2006,p 32)11.こ の外保連に よ る試 案 第6版 は 外保 連 加盟の 69学会に より,第
5
版後の医学 ・医療技術の進 歩 を 反 映させっ つ,平成16
年度診 療 報 酬 制度区分に対 応 させ て公 表 され た もの であるThe Japanese Association of Management Accounting
NII-Electronic Library Service
The Japanese Assoolatlon of Management Aooountlng
実 際消 費 資源額と技 術 力 評 価 額の一致 度と政府に よ る価 格設定
一経 済 合 理 思 考 と 専 門 職 評 価 思 考のバ ラン ス ー
外 保 連 試 案第
6
版に おける手術の適正評 価に際しては 「手術の技 術度 手術 協 力 者 数 手術の所 要 時 間(p5 )」がその基 礎とされ 手術の技 術度 は 「修 練 を開始し て か らの年限を 目安 (外保連 2005, p
5
)」 と し て 13段 階に分 け られている,す なわ ち診 療 報 酬 制度 上の各手術 種 類区分は その手 術 を実施 するの に必 要 な 医師の経験年数 (13
段階のいつ れか), 協力者数 (主執刀 医 協力 医師 看護師 技師別),所要時 間,を見 積 もられ た うえで,貨幣 評 価 されて いる1町 また基 本的に年齢給で あるた め,医師の経 験年数
と と も に給 与 水 準 自体は確実に 上昇す るが 外保連は その上昇 率が経 験年 数に伴う技 術 力の向上率に見 合っ ていないと し, 「技術度指魏 を設定している. 「外科医の技術は修練と努 力に より 日々向上する.しかし 給 与指数で見る限り初任医師 (修練開始後
3
年) が10
年を経て も約1
.6
倍に しか な らず技術の向上 に見合う だ けの報酬が算定され ていない 実際に は個人差は あ る に して も数倍の技術力を体得している はずである.そこ で給与指数を技術力に近 い指数に補完 する た め に設 けられ たのが技術度指数で あ る. (p92 )」 つま り 経 験年 数に伴う技術力の向上 に見合った給与 水準の上昇が既 存の 「国家公 務 員 医療 職 俸 給 表」 に は見 られ な
いため 給与水準の上昇率 を調整するた めの 「技術度 指数」を導入 し,給与水準を引 き上 げて い る且3.したが
って外保連は 経験年数 技術度指数 協 力者数 所 要時 間の
4
変数を活 用して 各手術種類の技術力 を その 「適正 な 」貨幣評価と し ての期待 原 価に反 映 させ て い る.
さらに診療報酬価格につい ては 本研究にお ける実際原価関連データの収集対象年度に対応す る 『診療報 酬 価格 表 平 成
16
−17
年 度 版』 か ら入手した,期待原価と同様に 同一手術種 類 区分内で場合別に異な る,轍 配分を して いる場合には 場合別点数の単純平均に よ りK
コードレベルの手術種類 別診療報酬価格を算定し 利用 した その上 で ヘ ルニ ア手術 (K633
)の診療報酬 価格を基 準 (つまりD
と して他の手術の診 療 報酬 価 格 を相 対 係 数 化しt 「診 療 報酬 相対 係 数」 俵3
−b
)を算 出したまた実 際原 価と期 待原 価と診療報酬 価格の 「水準」 を比 較 するための 「実際 原価 絶 対係 魏 「期 待原 価 絶 対係数」 「診療報 酬 絶 対 係数1 の作 成に際し ては ヘルニ ア手術
K633
)の実 際 原価 を基準 (つ まり 1) と した4 分 析 方 法 :各 種
一致 度 及 び 倍 率
の算 出 方 法
実 際 消 費資 源 額 「体 系」と技 術力 「体 系」との
E
致度を分析 するた めに, 手術 陲類区分 ごとに実 際 原価 相 対係 数 と期 待 原価 相 対 係 数の一致 度 を評 価する.具体 的には 手術 種類 ご とに実 際 原価 相 対係 数 を期待 原 価 相対 係 数で割ると,ヘ ルニ ア手 術を基 準と し た相 対 的実 際 消費 資源 額と相 対 的 技 術 力力浣 全に一致して い る 場合には数 値 が 1にな り,相 対的 実 際 消 費 資源 額と相 対 的技 術 力が乖離 するほ ど数 値は 1か ら乖離し てい く.そこで こ の 「実 際原 価 期待 原価 体 系一致 度iC}
Ei
3
−f)指標によ り,どの手術 種 類区分で どの程度 相対 的 実 際 消費 資 源 額は相対 的技 術 力を反映 する ものなのか を評 価でき る.ま たこ の指 標が1
に近い手術種類 区分が 多いほ ど,手 術の実 際 消費 資源 額 「体 系」 と技 術 力 「体 系」 が相似してい ること に な る.逆 に こ の係 数が 1に近い手術 種類 区分が少な い ほど 手術の実際消費資源額 「体 系」と技術力 「体 系」は相 似せず 支 払者が 妥 当 と考 える現 代経 済 社会に お い て支 配 的な経 済 合理思 考と医療専 門職 (外 保 連 〉が妥当 と考え る専 門 職評 価思考とは相 容れ ないということ になる.
また 実 際消 費 資 源 額 (実 際原 価 ) 「水 準」 と技 術 力 (期 待 原価 ) 「水 準亅 との一致 度 を分 析 するた めに 手術種類区分ごと に実際原価 絶対 係 数と期 待 原価絶対係数の 「水準亅差を評価する.具体的には 手術種類
ごと に期待原 価絶対 係数を実 際 原価 絶 対 係 数で割る と (つ まり技衛 力評価額 「水準」÷実際消費資源額 「水 準」),技術力 「水準」 と実 際消費資源 額 「水準」 と が完全に一致して い て 「水準」差が な い場含に は数 値 が 1になり,技 術 力 「水 準」が実 際消 費 資 源 額 「水 準」から乖 離 する ほ ど数 値は 1か ら乖離していく.そ こ で こ の 「期待 原 価 /実 際原価 倍 率」 俵 3−
kl
指 標により, どの手術 種 類区分でどの程 度 技 術 力評 価額 と実 際29
N工 工一Eleotronlo Llbrary
管理 会計 学 第 17巻 第 1号
消 費資 源 額は一
致するものなの か を 評 価でき る.この指標 が 1に 近い手術 種 類区分が少 ないほど 手 術 領 域
に おける実 際の消費資源額と専門職自身に よ る技 術 力評 価 額 は乖 離 していることにな り,支 払 者と医療 専 門 職 との対 立 は深 くな り妥 協が 困難になる.
次に、価 格 「体 系」 と実際消費資源額 「体系」の相似性 及び 価格 「体系」と技術 力 「体系」 の相 似 性 を 見るため に 手術 種 類区分ごと に診療 報酬 相 対係 数と実 際 原価 相 対 係 数 及び 診療 報酬 相 対 係数と期 待原 価相対係数の一致度を分析した こ の ことにより, 手術種類 ごとに, 価格が実際消費資源額及 び技術力評価 額を適切に反 映 している のか 過 大 あるいは過 少評 価 しているのかが 明 らか に な る,よ り具体 的には まず 手術種類 区分 ごと に診 療報酬 相対 係数を実 際 原価 相 対 係数で除して 「診療 報酬 実際 原価 体 系一致度」 俵 3−
d
脂 標 を算出 し,どの手術 種 類区分においてどの程 度 診 療 報酬 価 格 は実 際 原価 を他の手 術 種 類 との関 係に おいて過 大あ る い は過少評価し ている の かを明らか にする.ヘルニ ア手 術 を基 準 と した価 格及び実 際 消 費 資 源 額の相 対 評価が一致する場含に はこ の指 標は1
となり,この指 標 が1
を超 えると価 格 は 当手術 種 類の実 際 消 費資 源額を相対的に過 大評価1
未満 だと相対 的に 過少評 価し ている こ と になる.一方 で 診療 報 酬相 対 係 数を期待原価 相対係 数で除して 「診 療 報 酬/期 待原 価 体 系一致 度」 俵3
−e)指 標 を算 出 し,どの手 術種 類区分 においてどの程度 診 療 報酬 価 格は期 待 原 価を他の手 術 種類との関係に おい て過 大あ る い は過 少評価し て いるのか を 明確にする ヘ ルニ ア手術を基 準 とした価 格 及 び 技 術 力の相 対 評価が一致 する場 合に はこ の指 標は 1とな り,こ の指標 が 1を超 える と価 格は 当手 術 種類の技 術 力を相 対的に過大 評 価,
1
未満 だと相 対 的に過 少 評 価 していること になる.ま た手術 領域 全 体と し て 価 格 「体 系」が実 際 消 費資 源額 「体 系」 と技 術力 「体 系」 の どち らに より相 似 するか (つ ま りヘルニ ア手術を基準 とした 相対 価 格は相 対実 際 消 費資 源 額 と相 対 技術 力の どち らとの乖 離度 が 少 ないか)を 明 らか にするために、手術種 類区分 ごとに 診 療 報 酬 実 際原 価 「体 系」一致 度と診 療 報酬/ 期 待 原価 「体 系」一致 度のどち らの一致 度 指標 がより1に近いかを分析 する,両 指標を比較して より1に近
い方 に 当該 手稽 種類の診療 報 酬 制 度上の相 対 評価は 近い と いえる,よ り具 体 的にい えば 診 療 報酬〆実 際 原 価 「体 系」一致 度 指標の方が診 療 報酬 /期 待原 価 「体 系」一致 度 指 標よ りも1に より近い手 術 種類 数が 多 け れ ば 診 療 報 酬 制度 上の価 格 「体 系」は 実 際消 費 資源 額 「体 系」 によ り近い (経 済 合理 思 考 に主 と して依 拠 し ている) といえる.一方 診 療報酬 期 待 原 価 「体 系」一致 度 指標の方 が 診 療報 酬 /実 際原 価 「体 系」一致 度 指 標よ り も
1
に よ り近い手 術 種類 数 が 多 け れば 価 格 「体系」 は技 術 力 「体 系」に よ り近い (専 門 職 評価 思 考に主として依 拠 している) といえる.最 後 に 価格 (診療報酬 ) 「水 準」が 実際 消費資源額 (実際 原価) 「水準」及 び 技術力 (期 待 原価 )
「水 準」との 関 係においてどの ような レベルで設 定されてい るのか を分 析 するために,診 療 報 酬絶 対係 数と 実 際 原価 絶 対係 数 及び期待原 価 絶 対 係数を比 較し た,より具 体 的には 手術 種類 区 分 ごと にまず診 療 報酬 絶 対 係 数と実 際 原価絶 対 係 数を比較し (「診 療 報 酬/実 際 原価 倍 率」 俵
3
−j
)を算 出 し),各 手 術 種類の価 格が 実際消費資源額よ り もどの程度高くあ るいは低く設定さ れ ているのか を明らか にする14.一方で手術種類 区分ごと に診 療報酬絶対 係数と期待原価 絶 対係数を比較し (「期 待 原 価簓療 報 酬倍 率」 俵
3
−1
)を算 出し),各 手術 種類の価格 が技術 力評価額よ り もどの程度高くあるい は低く 設定さ れてい るのか を明らか に する.また 価 格 厂水 準」 と実 際消費資 源額 「水準」 と技術 力 厂水 準」の3
「水 準」の高さの順 番を手術 種 類 区 分 ごと に 分析し,手術領域に おける全体と して の3
「水準」の関係を明らか にする.さ ら に診 療報酬価 格 「水 準1への専 門職 評 価 思考の影 響 状況 (医療 専 門 職 団体の影 響 力)を見るた めに 期待 原 価/実 際原 価 倍 率 俵 3−
kl
と診療 報 醂/実 際原価 倍 率 俵 3−
j
)の関係や,期待 原 価 実 際原 価 倍 率 俵 3−kl
と期 待 原価 /診 療 報酬 倍 率 (表3−1
)の関係 を分 析 する,