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理研 BRC-JCM における文書のマネージメント

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Academic year: 2024

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(1)

─ 139 ─

Vol. 22,  No. 2

1.はじめに

 微生物系統保存事業では,業務の中のさまざまの 局面において文書やフォーム類が使用され,また記 録として管理されている.微生物の「寄託を受けた 株のアイデンティティーチェック」,「その株に関わる 各種文献データ」,「保存および在庫管理」,また「提 供に関すること」等である.本稿では理研バイオリ ソースセンター微生物材料開発室(Japan Collection  of Microorganisms, 以下,理研 BRC-JCM)で行って いるこれらのマネージメントについて紹介する.

2.理研 BRC-JCM の特徴

 理研 BRC-JCM は健康や環境に関わる細菌(放線菌 を含む),アーキア,糸状菌および酵母を収集・維持・

保存し,提供を行っている.平成 18 年 4 月 1 日現在,

バイオセーフティーレベル 2 以下の微生物株 12,571 株(細菌 5,049,放線菌 2,780,アーキア 279,糸状菌 1,857,酵母 2,585 およびその他 21)を保有しており,

約 8,000 株を公開している.平成 17 年度は,656 株の 寄託を受けた.内訳としては,約 1/4 が国内,また約 1/2 が国外からの寄託で,我々スタッフが開発した微 生物リソースも 10%強を占めている.このように外 部機関からの寄託が多いというのが理研 BRC-JCM の 特徴である.また,3,144 株を国内外の機関に提供した.

3.社会と研究コミュニティーのニーズに応えるために  生物遺伝資源(バイオリソース)としての微生物を 考えると,「寄託」や「提供」という生物遺伝資源の 移転の際には注意を払うべき事項が多くある.主なも のとして,

 1) 生物多様性条約

 2) 植物防疫法,家畜伝染病予防法,外国為替及び 外国貿易法等の法律およびガイドライン  3) 知的財産(特許権,その他の知的財産),「研究

開発成果としての有体物の取扱いに関するガイ

ドラインについて」文部科学省 平成 14 年 7 月 31 日 14 振環産第 22 号

が挙げられる.そこで理研 BRC では,寄託もしくは 譲渡にあたっては,寄託者もしくは譲渡者の権利を 明確にすることを目的に,「生物遺伝資源寄託同意書」

もしくは「生物遺伝資源譲渡同意書」を寄託もしくは 譲渡機関と理研 BRC との間で締結している.また提 供にあたっては,利用者の権利と義務を明確にするた め,「生物遺伝資源提供同意書」の締結を行っている.

これら同意書はいわば機関間の契約書であり,相手機 関は公印(もしくは知的財産権に関する管理責任者が 任命されている機関では管理責任者の署名捺印)を,

理研 BRC はセンター長印を捺印する,事業において 最も重要な文書である.

 同意書類は正本を 2 部作成し,双方の機関が一部ず つ保有している.有効期限は,「生物遺伝資源寄託同 意書」および「生物遺伝資源譲渡同意書」は永久であ る.すなわち,寄託・譲渡時に利用条件が付加された 株は,同意書が新たに締結されない限り当該の条件は 永久に有効である.一方,「生物遺伝資源提供同意書」

では,研究担当者および研究責任者が同じでかつ使用 目的が同じ限り有効である.なお,寄託・譲渡の際の,

「寄託依頼書(データシートを兼ねる)」や,提供の際の,

「提供依頼書」,「BSL2 微生物株利用誓約書」および「提 供承諾書」は理研 BRC-JCM のみで保管している.

4.提供の流れ

 提供の流れを図 1 に示した.提供は,同意書が締結 された後,同意書,送り状等とともに微生物株を利用 者に送付し,利用者はこれらを受領後,微生物株受領 書を理研 BRC-JCM に送付する,という流れである.

5.寄託・譲渡

 寄託・譲渡は図 2 に示したように,各種検査の後,

受託番号を発行し,保存を行うという流れである.こ の作業の中で,以下の 2 種類の文書を発行している.

 1) すべての株に対して:「JCM受託番号のお知らせ」

Microbiol. Cult. Coll. Dec. 2006. p. 139 140

理研 BRC-JCM における文書のマネージメント

高島昌子

独立行政法人理化学研究所 バイオリソースセンター 微生物材料開発室 

〒351‑0198 埼玉県和光市広沢 2‑1

Data management through documents and forms at the Japan Collection of  Microorganisms, RIKEN BioResource Center

Masako Takashima

Microbe Division/Japan Collection of Microorganisms, RIKEN BioResource Center  2-1 Hirosawa, Wako, Saitama 351-0198, Japan

E-mail: [email protected]

(2)

実務担当者会議報告

─ 140 ─     → 受け入れ検査の後,受託番号を発行する.

 2) 依頼に応じて:「Certificate of Deposition and  Availability of a Microorganism」

    → 保存,保存後検査の終了後に発行する.

(International Journal of Systematic and  Evolutional Microbiology, IJSEM に新種等 をする場合,あるいは Validation List に 新種等の掲載を依頼する場合,当該種等 の基準株が 2 ヵ国以上のカルチャーコレク ションに寄託され,一般に公開されること の証明が求められる.)

 なお,理研 BRC-JCM で行われている保存と在庫管 理については大和田(2005)を参照いただきたい.

6.内部フォーム類

 JCM は 1980 年の設立以来今日まで,カタログや ニュースレターの発行,ホームページおよび JCM メー ルニュース等を用いて,保有株についての情報を公開 してきた.我々が JCM データベースと呼んでいるシ ステムは,26 年の間に大型計算機,dBASE III を経 て sybase と何度も更新されてきたシステムで,微生 物株の各種情報等,データの公開に必要なものをここ に格納,蓄積している.また在庫管理等も,このシス テムを使用して行っている.各種の内部フォーム類は,

これらを管理,運営していくための原始帳票となるも のである.

7.おわりに

 理研 BRC-JCM は,多くの方々のアドバイスをいた だきながら,現在のシステムを作り上げてきた.最近,

理研 BRC-JCM では理研 BRC 遺伝子材料開発室と協 力して微生物ゲノム DNA の試験提供を開始した.社 会と研究コミュニティーのニーズに応えるためには,

それまでの流れに若干の変更を加える必要も出てく

る.システムを担当する方にいつもお願いばかりして いるのが現状である.

 JCM オンラインカタログは http://www.jcm.riken.

go.jp,JCM メールニュースのお申し込みは http://

www2.brc.riken.jp/lab/info/mailnews1.php です.ど うぞご利用ください.

〈演題に対する質疑〉

Q:寄託を受付けてから菌株の間違いがあった時,ま た学名が変わった時の対処は?

A:寄託を受付けた段階の受け入れ検査で,その株が 間違っていることが発見される場合はある.寄託 後に学名が変わった時は文献等に応じデータベー スやフォーム類もそのように対応させている.

Q:バイオセーフティーレベル暫定 2 という菌の分譲 を受けたが,その後レベル 1 に変わることもあ る?

A:理研 BRC-JCM では,バイオセーフティーレベル は理化学研究所の微生物等取扱規定に基づいてい る.新種等で受け入れた場合は,当該の種が微生 物等取扱規定に収載されていないため,レベル 2 に相当すると思われるものを暫定 2 としている.

従って,その後レベル 1 に変わることはあり得る.

Q:火災・地震時の災害に対してどのような対応をし ているか?

A:災害時対策として,菌株は凍結チューブを 1 本他 機関へ保存している.データについては分けて管 理はしていない.

文 献

大和田 勉(2005).BRC/JCM における微生物株 の保存および在庫管理.Microbiol. Cult. Coll. 21:

73‑76.

1

 提供の流れ

生物遺伝資源提供同意書 依頼者

提供依頼受付

必要な場合 問い合わせ

出庫形態確認 最終検査

必要な場合 問い合わせ

発送 MTA 提供依頼書

梱包 分譲票

BSL2 微生物株 利用誓約書 提供承諾書

請求処理 入金処理 各種チェック

微生物株 出庫

書類送付:

MTA締結

2

 譲渡・寄託の流れ

** 生物遺伝資源譲渡同意書もしくは生物遺伝資源提供同 意書

譲渡・寄託者 譲渡・寄託依頼

受付 MTA 締結

問い合わせ

微生物株 各種検査

問い合わせ

保存 MTA** 寄託依頼書

培地および保存法選定

番号通知

certificate

(依頼により)

書類送付:

(シード作製)

参照

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