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理研 BRC-JCM の広報活動について

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飯田敏也 理研 BRC-JCM の広報活動について

─ 78 ─ 1.はじめに

 国立研究開発法人理化学研究所バイオリソース研究 センター(理研 BRC)微生物材料開発室(JCM)は,

微生物系統保存施設/Japan Collection of Microorgan- isms として理化学研究所内に設置され,1981 年より 微生物株の収集・保存・提供を行う微生物系統保存事 業を実施してきた.2004 年には理研 BRC に統合さ れ,分類学の基準となる微生物株に加え,「健康と環 境の研究に資する微生物」に焦点を当てて,社会と研 究コミュニティーのニーズに沿った独自のバイオリ ソース事業を展開することで,微生物に関連する研究 の支援とその発展に貢献することを目指している.多 くの研究者・技術者の皆様にご支援をいただくなかで 広報活動についても模索してきたが,年々増加するリ ソースの維持管理やさまざまな手続きの複雑化などに 時間を取られるなかで,必ずしも十分な広報活動が実 施できている状態ではないが,近年のわれわれの取り 組みについて簡単に紹介する.

2.JCM の活動について

 JCM のカルチャーコレクション業務は,微生物材 料開発室長の下で,菌株の培養・保存・品質管理業務 を担当する菌株担当者(7 名),ならびに在庫管理や寄 託提供事務およびデータベース運用管理の担当者(2 名)が中心となり,パートタイマーや派遣職員を含む 30 名のスタッフで実施している(2019 年 8 月現在).

設置後 39 年目を迎え,約 28,700 の微生物株を保有し,

その内訳は細菌約 19,300 株,アーキア約 800 株,真菌 約 8,600 株である.ここ 10 年においては,寄託受入数

が約 750 株/年,提供数が約 3,700 株/年である.寄託 の 6 割以上が海外からで,特に韓国や中国の研究者か ら多くの寄託を受け入れている.一方で,提供の 7 割 程度が国内向けである.また,存続が危惧される貴重 な微生物リソースの救済活動も行っており,2016 年 には高松塚・キトラ古墳の壁画などからの 753 分離株 が文化庁から JCM に移管されている.2007 年 8 月に は,品質マネジメントシステムに関する国際規格 ISO 9001 の認証を取得し,微生物リソース製品およびサー ビスの品質向上に取り組んでいる.

3.研究者・技術者に向けた広報活動

 われわれの所属母体である国立研究開発法人理化学 研究所は,2017 年 3 月に創立百周年を迎えた歴史あ る自然科学の総合研究所である.理研 BRC は,研究 開発を主体とする理研内の他の部署とは趣が異なり,

研究者・技術者に向けた研究関連のサービス提供を主 体とする基盤センター群の一つであり,マウス・植 物・細胞・遺伝子・微生物といった主要なバイオリ ソースを同一組織内で取り扱う“リソース総合研究機 関”として活動している.理研 BRC のウェブサイト からこれらの多様な生物リソース情報へのアクセスが 可能であり,JCM が微生物以外の対象を扱う生物系 研究者の目に多く触れる機会となっているであろう.

また,理研 BRC の各リソース部門(開発室)はナショ ナルバイオリソースプロジェクト(NBRP)の中核的 拠点整備プログラムに採択されており,NBRP を通 した広報も期待できる.

 JCM が主体的に取り組む広報活動の一つは,学会 等へのブース出展である(図 1).年に 3~4 回の活動 であるが,微生物リソースを扱う研究者・技術者が集 Microb. Resour. Syst. 35(2):78─79, 2019

理研 BRC-JCM の広報活動について

飯田敏也

国立研究開発法人理化学研究所バイオリソース研究センター微生物材料開発室

〒305-0074 茨城県つくば市高野台 3-1-1

Public relations activities of RIKEN BRC-JCM

Toshiya Iida

Microbe Division/Japan Collection of Microorganisms, RIKEN BioResource Research Center 3-1-1, Koyadai, Tsukuba, Ibaraki 305-0074, Japan

E-mail: [email protected]

(2)

─ 79 ─

Microb. Resour. Syst. Dec. 2019 Vol. 35, No. 2

う学会へのブース出展は,JCM の活動をアピールす る場としてのみならず,寄託や提供でつながりのある 方々と直接意見交換を行うことができる貴重な機会と なっている.ブース展示においては,理研 BRC や JCM の紹介パンフレット等に加えて,菌株担当者が 中心となって作成した JCM 微生物株を紹介するチラ シを配布している.また,研究者・技術者向けのメー ルニュースを配信している.JCM からの各種お知ら せ,菌株担当者によるリソース紹介,新規公開微生物 株といった内容で,海外向けも含めて年 4 回程度の発 行である.加えて,微生物の取り扱いに関する技術研 修を年に 1 回実施している.研修内容は毎年異なり,

座学と実技の指導を 2 日間で行い,例年好評を博して いる.

 JCM の名前が研究者・技術者の目に触れる大きな 機会の一つは,JCM 微生物株の論文等への掲載であ ろう.2007 年からの 12 年間で,JCM 株が利用され た原著論文が 5,300 報以上発表されており,Nature や Science 等のトップジャーナルへの掲載例も含まれ ている.また,同期間において 1,200 件以上の公開特 許で JCM 株が利用されている.残念ながら利用者か らの成果論文等のフィードバックを得ることは難しい

ため,データ検索作業は JCM スタッフの大きな業務 となっているが,JCM 株の情報を遅延なくカタログ に反映できるよう努力している.JCM のホームペー ジでは,カタログ情報のほかに JCM 株が利用された 研究成果情報をまとめたページや,菌株の特性に基づ いた酵母株の検索ページ,JCM より入手可能なゲノ ム塩基配列決定株を高次分類群から絞り込んで閲覧で きるページなども公開しており,さまざまな視点から 目的の微生物株を探し出すことが可能である.JCM 株が掲載された論文や JCM ホームページ/カタログ を閲覧した研究者・技術者が JCM 株の提供を受けて 研究開発を進め,得られた成果を論文や特許として発 表し,それらを JCM 株の情報としてカタログに掲載 する…….このような一連の流れが生まれることで,

JCM の価値向上が期待できるであろう.

4.一般の方に向けた広報活動

 理研 BRC は年に 1 度一般公開を行っており,毎年 多くの方々に理研 BRC の活動をご覧いただいてい る.2019 年度は 8 月 3 日に実施したが,猛暑のなか 2,800 名あまりにご来場いただき,例年以上に盛況で あった.また,高校生を対象とした理研 BRC 施設見 学への対応や,つくば市が主催する「つくばちびっ子 博士」という小・中学生向けのイベントに協力するな どの形で,一般の方々に向けた広報活動を行ってい る.そのような場において,JCM スタッフが作成し た一般向け小冊子「ハローマイクローブズ」を配布し ている.

5.今後に向けて

 以上,JCM の広報に関連すると思われる活動の一 部を紹介した.限られた人的資源のなかで優先すべき 業務に追われ,広報活動としてできることは限定的で あるが,今後も JCM リソース製品の品質やサービス の向上に向けて一層努力し,寄託や提供を介して JCM とかかわる研究者・技術者の皆様からの信頼や 期待に応えていきたい.

図 1 JCM の学会展示ブースの様子

参照

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