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気体の状態変化と 仕事・熱

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Academic year: 2024

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(1)

物理学D

No.01

(2)

気体の状態変化と

仕事・熱

(3)

準静変化

変化の途中が常に平衡状態であるような変化を準静変化という 状態がじわじわ変化していくような変化

例:

ゆっくりピストンを押す/引く

容器の中にゆっくり仕切りを挿⼊する ゆっくり温度を上げる

準静変化ではない例 はげしくかきまわす

両側が平衡でない場合に,仕切りをはずす

⾃然界の現象のほとんどは準静的変化ではない

(4)

準静変化の特徴

準静変化では,途中の状態(平衡状態)が完全に把握できる

準静変化は可逆変化

温度や圧⼒が常に定義できている

A→Bという準静変化が起こせたとすると,

この変化と完全に逆の変化をたどって

B→Aという準静変化を起こすことができる

フィルムを逆回ししたような現象が現実に起こせるということ

(5)

理想気体の状態変化

理想気体の状態をいろいろなやりかたで変化させる 例: 閉じた系の気体に対して,圧⼒を⼀定に保ちつつ体積 を膨張させる(定圧膨張)

物質量nと圧⼒pは固定 V を変化させる

T が⾃動的に変化 状態⽅程式

特に準静変化に注⽬する

物質量⼀定の気体の変化を考える 際にはp-V 図を⽤いることが多い

V(体積) n=⼀定 p(圧⼒)

各点で温度が決まって いる(状態⽅程式)

p-V 図上の曲線が,

気体の準静変化を表す

当⾯,物質量は⼀定にしたの変化を考える

(6)

準静変化の例:等温変化

温度⼀定の変化

V0

p0

V1

p1

p = nRT0 V

定数

p

温度が⼀定の場合,体積が膨張すると,それに反⽐例して 圧⼒が下がる。

(7)

等温曲線

温度の等⾼線みたいなものを描いてみると…

V p

温度が⾼い

温度が低い

Tが⼀定

(8)

準静的でない変化の場合

準静的でない変化の場合は,変化前の状態と,

変化後⼗分⻑い時間がたった後の状態は表せるが,

途中は全くどうなっているのか分からない

(体積は分かっても,圧⼒と温度が定義されない)

V0

p0

V1

p1

p 途中の状態は定義できない

(9)

準静変化で気体がする仕事

様々な変化の際に,気体がする仕事に注⽬する。

仕事の復習

物体の変位

物体に作⽤する⼒

r F

⼒Fがする仕事は

W = F · r = |F || r| cos

⼒が物体の移動をサポートした場合:

⼒が物体の移動を邪魔した場合:

F

r

W > 0 W < 0

仕事をするためには,何かを動かさなければならない

(10)

準静変化で気体がする仕事

ピストンつきシリンダーを

考える。 断⾯積S

体積V0 圧⼒p0

圧⼒を⼀定に保って ピストンを引く

体積V1

圧⼒p0

x

気体がピストンを押す⼒は⼀定で,その⼤きさは

F

F

よって,気体がする仕事Wは

V = S x だから W = p0 V

F = p0S

W = F x = p0S x

(11)

準静変化で気体がする仕事

ピストンを押し込む場合

断⾯積S 体積V0

圧⼒p0

圧⼒を⼀定に保って ピストンを押す

体積V1 圧⼒p0

x

F

気体がする仕事は F

マイナスになる。

W = F x = p0S x = p0 V

気体の体積が膨張する場合

気体は正の仕事をする。(気体が実際仕事をする) 気体の体積が収縮する場合

気体は負の仕事をする。(実際には気体が仕事をされる) 仕事の正負

(12)

⼀般の準静変化の場合

断⾯積S

体積V 圧⼒p

体積V=V+dV 圧⼒p=p+dp

F

F

dx

圧⼒の変化dpが無視できるくらい ちょこっとだけピストンを動かす

無視する

dW = pSdx = pdV

dV

dxずつじわじわピストンを動かすことをくりかえすと…

圧⼒を測定しなおす

pi+1 = pi + dp

W = p0dV + p1dV + p2dV + · · ·

dVが微⼩量だと思うと,この式は積分の定義と⼀致する。

W =

V1 V0

pdV

(13)

W =

V1 V0

pdV 体積:V0V1 状態変化に応じて

圧⼒を体積の関数として表す

p-V 図上の曲線をV で積分すると気体がする仕事が求まる

V p

V0 V1

ここの⾯積が 仕事Wを表す

V p

V0

V1

圧縮→気体がする仕事は負

体積が膨張

⾯積=‒W 体積を圧縮

準静変化の際に 気体がする仕事

膨張→気体がする仕事は正

(14)

準静変化の際の仕事

定積変化

V p

V0

p0 p1

T0 = p0V0 nR T1 = p1V0

nR

W =

V0 V0

pdV = 0

V p

V0

p0

V1

T0 = p0V0

nR T1 = p0V1 nR

定圧変化

W =

V1 V0

p0dV = p0 [V ]VV10 = p0(V1 V0)

=nR(T1 T0)

(15)

等温変化

V0

p0

V1

p1

p = nRT0 V

定数

p

準静変化の際の仕事

W =

V1 V0

pdV =

V1 V0

nRT0

V dV

=nRT0

V1 V0

dV

V = nRT0 [log V ]VV10 = nRT0 log V1 V0

(16)

次のp-V 図で表される変化の際に,気体がする仕事は?

例題

p

V0 2V0 p0

2p0

p-V 図のグラフの線と,V を表す軸の間の⾯積を求めればよい W = 1

2 (p0 + 2p0) (2V0 V0) = 3p0V0

2 [J]

(17)

例題

物質量nの理想気体を考える。最初,この気体の体積はV0 であり,このときの圧⼒がp0であった。気体の状態を

p=aV ‒2 (aは定数)という関係を満たすように変化させた。

(a)最初の状態の温度T0を求めよ。ただし,気体定数をR とする。

理想気体の状態⽅程式より,

T0 = p0V0 nR

(18)

例題

(b)この変化の際に温度は上がるか?それとも下がるか?

点線は温度が⼀定の変化 を表す等温線である。

グラフから,この変化の ときには温度が下がって いっていることが分か

る。

p

V p0

V0

温度が⾼い

温度が低い

物質量nの理想気体を考える。最初,この気体の体積はV0 であり,このときの圧⼒がp0であった。気体の状態を

p=aV ‒2 (aは定数)という関係を満たすように変化させた。

(19)

例題

(c)この変化によって,気体の体積が2V0まで膨張した。

気体がした仕事を求めよ。 p

V p0

V0 2V0 図に⽰した⾯積を求めれば

よい。W = 2V0

V0

a

V 2 dV

= a V

2V0

V0

= a

2V0 + a V0

= a 2V0

物質量nの理想気体を考える。最初,この気体の体積はV0 であり,このときの圧⼒がp0であった。気体の状態を

p=aV ‒2 (aは定数)という関係を満たすように変化させた。

(20)

仕事と内部エネルギー

(21)

仕事と熱の等価性

例えば,摩擦による熱の発⽣を考える。

ブレーキをかける

タイヤと地⾯との摩擦⼒が(負の)仕事をして⾞は⽌まる 同時に熱が発⽣している

⾞が当初持っていた運動エネルギーはどこへ⾏くのか?

素朴な仮説: ⾞の運動エネルギーが熱に変わってしまった 仮説が正しければ,⼀定量の⼒学的エネルギーは常に⼀定 量の熱に変換されるはず(予⾔) 実験による検証

(22)

ジュールの実験

おもりの質量と落下距離 重⼒がした仕事

ジュールは,この実験の結果,⼀定量の仕事によって,

⽔の温度が⼀定温度上昇することを確認した。

15℃の⽔1gの温度を1K上昇させるのに必要な仕事の量

=4.1855J 熱の仕事当量という

⼒学的仕事は熱の出⼊りと同じ働きをする

J. P. ジュール 1818ー1889 wikipediaより

このときの⽔の状態変化は準静的ではない

(23)

断熱変化

熱の出⼊りを遮断したまま起きる変化を断熱変化という 閉じた系において,任意の2つの平衡状態の間は,断熱変化 で結ぶことができる。ただし,いつでも双⽅向の変化が可能 なわけではなく,「少なくともいずれか⼀⽅向の変化が可

能」であるということである。

体積の変化はピストンを⽤いて⾃在にひきおこせる

温度については,外から仕事を加えることで,好きな分 だけ上昇させることが可能。(下げることはできない)

A→BもしくはB→Aのいずれかは断熱変化で実現可能 (準静的な変化の場合は双⽅向可能)

(24)

内部エネルギー

系の内部に保持されているエネルギーを内部エネルギーという ミクロな世界の⾔葉で表すと,分⼦達の持っている運動エネ ルギーと分⼦間のポテンシャルエネルギーの総和。

(ただし,系の重⼼の運動エネルギーを引いたもの)

系全体が⼀定⽅向に動いていても,そ の運動エネルギーはカウントしない。

別な⾔い⽅: 系の重⼼が静⽌しているときの系全体の エネルギー

内部エネルギーは状態を決めれば値が決まる状態量である。

(25)

熱⼒学第1法則

(26)

熱⼒学第1法則

系の内部エネルギーは,外とやりとりした仕事およびの分 だけ変化する。

仕事 Win

Wout

Qout Qin

U = Win Wout + Qin Qout

「熱」というのはエネルギーの移動形態の⼀つである。

「系」と「外の世界」全体のエネルギーは常に保存する

内部エネルギーは,⼊ってきたエ ネルギーの分だけ増えて,出て

いった分だけ減る

(27)

気体の内部エネルギー

ジュール・ゲイリュサックの実験 (断熱⾃由膨張)

気体 真空 気体 気体

このとき,気体の温度はほとんど変化しなかった

この実験結果から「気体の内部エネルギー」の性質を考える 状態の変化: (V0, T0, n) (V1, T0, n)

外部との熱,仕事のやりとり: なし

つまり,内部エネルギーは前後で変化していない

U (V0, T0, n) U (V1, T0, n) 内部エネルギーが体積によらない

(28)

定積準静変化

体積⼀定のじわじわした変化

V

n=⼀定

p

V0

p0 p1

T0 = p0V0 nR T1 = p1V0

nR T0 T1

この変化で吸収する熱は

Q = ncV (T1 T0)

この変化の際には外部と仕事のやりとりはないので,

U = Q = ncV (T1 T0)

cV は定積モル⽐熱

(29)

理想気体の定義

定積変化の解析から,

ジュール・ゲイリュサック実験→

U = ncV (T1 T0)

U (T, V, n) = ncV T

※T=0のときをU=0とすると

これを理想気体が満たすべき性質として採⽤する 理想気体の熱⼒学的定義:

理想気体の状態⽅程式 内部エネルギーの表式

pV = nRT U = ncV T

cV =

3

2R 単原子分子理想気体

5

2R 2 原子分子理想気体

· · ·

定積モル⽐熱は気体の種類による:

U (V0, T0, n) U (V1, T0, n)

(30)

実際には…

定積モル比熱 cV/R

⽔素の場合

定積モル⽐熱が温度に依存している 回転

振動

第98回薬剤師国家試験より

(31)

状態変化の例

(32)

定圧変化

V p

V0

p0

V1

T0 = p0V0

nR T1 = p0V1 nR

T = p0 nRV 定数

このときの内部エネルギーの変化は, U = ncV (T1 T0)

気体がする仕事Wは,

W = p0(V1 V0) = p0V1 p0V0 = nRT1 nRT0 = nR(T1 T0)

吸収する熱をQとすると,熱⼒学第⼀法則より U = Q W

Q = U + W = n(cV + R)(T1 T0)

定圧モル⽐熱 cp = cV + R マイヤーの公式

(33)

V0

p0

V1

p1

p = nRT0 V

定数

p

等温変化

W =

V1 V0

nRT0

V dV = nRT0 log V1 V0 気体がする仕事は

内部エネルギーの変化は

U = ncV T0 ncV T0 = 0

吸収する熱は Q = U + W = nRT0 log VV1

等温変化では,吸収した熱は全て気体の膨張に使われる0

(温度変化には使われない)

温度が変化しない≠熱の出⼊りがない

(34)

断熱準静変化

熱の出⼊りを遮断して,じわじわ変化させる。

準静変化なので,可逆変化である。

熱の出⼊りがないので,Q=0

(T0, V0, n) (T1, V1, n)

内部エネルギーの変化は, U = ncV (T1 T0)

気体がする仕事は,熱⼒学第1法則より U = Q W

W = U = ncV (T1 T0)

熱が出⼊りしなくても温度は変化する!

(35)

断熱準静変化

断熱変化で微⼩な体積変化dV を考える。

気体がする仕事dWは,圧⼒が⼀定だと近似して dW = pdV 温度変化がdT だとすると,dU = ncV dT

熱の出⼊りは遮断されているから,微⼩な体積変化のときも Q=0であり,

dU = dW

ncV dT = pdV

状態⽅程式を⽤いると ncV dT = nRT

V dV cV

T dT = R

V dV 両辺を積分すると, cTV dT = VR dV

cV log T = R log V + C

log(T cV V R) = C 積分定数

すなわち,T cV V R = 定数 (ポアソンの関係式)

(36)

ポアソンの関係式

理想気体に対して,断熱準静変化の際には,

T cV V R = 定数

が成り⽴つ。この式をもうすこし変形して,

T V cVR = 定数 ここで,cR

V

= cp cV

cV = cp

cV 1 cp

cV > 1 とすると,

⽐熱⽐

T V 1 = 一定

pV = 一定

例:断熱準静膨張す ると温度が下がる 状態⽅程式

(37)

断熱変化のp-V図

V p

V0

p0

等温準静変化 断熱準静変化

p 1/V

p 1/V > 1 V が⼤きいところの落ち込み⽅は 断熱変化のほうが急になる

(38)

等温線の図と重ねてみる

V

p 温度が⾼い

温度が低い

断熱準静変化

参照

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