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格子気体の相変化II

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Academic year: 2021

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-(39)-格子気体の相変化II 東京工業大学物理学教室 守田徹 (1957年2月23日受理)

Iに於けると同様な計算を,square格子気体及び面心立方格子気体について行う.計算 はcell及びpoint pairの近似のcluster variation methodを用いて行

われる.Iに於けるよりも近似は粗いものであるが.square格子気体では安定な液相が現 われない場合でも,f.c.c.格子気体では安定な液相が現われることを示す. f.c.c.格子気体で,粒子間ポテンシヤルを第1,第2,第3近接格子点間で∞,それ 以遠でLennard-Jones型に取り,その最小が第4近接格子間距離に一致するように取 つて限界点の計算を行つた結果は kTc=1.12,vc=2.30,pc=0.181,pcvckTc=0.371 である.これは,我々の計算の粗さを考えると,実験からの kTc=1.28,vc=3.09,pc-0.121,pcvckTc=0.293 とよい一致にあると考えることが出来る. square格子気体では.Leonnard-Jones型の相互作用をもつ粒子に対しては, 安定な液相は現われそうにもない.1)そこで,実際の液体の相変化に対するillustration としては,矢張り,3次元f.c.c.格子気体を論じるのが妥当であるように思われる.I1)と 同じ程度の近似で行えばよいわけであるが,何れ粗い近似計算(動径分布函数についての近似) をやるのであるから,計算が楽である.Iよりも粗い近似を用いることにしよう.この近似の 粗さの程度を示すため,square格子気体の相変化もこの近似で計算しておこう. A.f.c.c.格子気体 最近接格子点間距離a/2の面心立方格子を考える.我々の系は,その8L個の格子点の 上にH個の区別出来ない粒子があり,粒子間力のポテンシヤルは粒子間距離のみの函数で,2 点rs及びrt間で,

(2)

-(40)-V(2)(rs,rt)=V(2)(|rs-rt|) (1) =∞ r=a/2,√2a/2,√3a/2 V(2)(r) ≦ a≦r (1') =0 r→∞ という値を取るものとする.即ち,√3a/2の直径のhard coreをもつ粒子を考える. 更に,V(2)(r)はr=aでその最小値をとるものとする.従つて,系は絶対0度では,最 近接原始間距離√2aのf.c.c.格子点に粒子が入つている結晶となる.以下で,固相は,そ のようなsublatliceの1つに粒子がpreferableに存在する状態であることを仮定 して理論を進める. この系は 1)系のconfigurationは8L個の格子点のconfigurationで定まる. 2)各格子点には“粒子が存在する(p.)”及び“粒子が存在しない(a.)”の2つのconfigu raionが許されている. 3)系のconfiguration(x1,…,x8L)に対するポテンシヤル・エネルギーは Φ(x1,…,x8L)=128L∑2=18L∑t=1V(2)(xs,xt) (2) V(2)(xs,xt)=V(2)(rs,rt) if both xs=p. and xt=p. =0 other wise (2') で与えられる.

という3つの条件で特徴付けられるものである.我々はcluster variation method2) をこの和に適用する. 第1図の如くに,8個の点から成る細胞を導入する.我々は,系の中の点を細胞の番号i とその中での(sublatliceの番号μとで(iμ)と表わすことにしよう.第2図は, 格子の切口に表われるμの値を記入したものである.μ=一定なる点はf.c.c.の sublatliceをなしている. 我々は,clusterを構成する格子点が総て1つの細胞に属しているようなclusters 及び2つの格子点から成るclustersを総てpreserved clustersとして取る.それ以 外を総てnet-preserved clustersとする.この近似をcell及びpoint pair

(3)

-(41)-第1図 細胞 (格子点の番号はμの値) 第2図 の近似と名付ける.この近似で,函数F(その最小値がfree energyの値を与える)は (CVM-(9)及びCVM-II,IIIより) F=12LΣi=1LΣj=1(i≠j)BΣμ=1BΣν=1ρ(2)(xiμ=p.,xjν=p.)V(2)(|riμ-rjν|) +kT[12LΣi=1LΣj=1(i≠j)BΣμ=1BΣνlng(2)(iμ,jν)G(1)(iμ)G(1)(jν)+LΣi=1lnG(B)(i1,…,iB)] (3) となる.(CVM-10)及び(CVM-14)を満す形でρ(1),ρ(2),ρ(cell)を第1,第2, 第3表の如くに導入する. 第1表

(4)

-(42)-第2表 第3表 これらの表と(CVM-6)を用いると,(3)は FLkT=12LΣi=1LΣj=1(i≠j)BΣμ=1BΣν=1yμyνg(2)(iμ,jν)V(2)(|riμ-rjν|)kT+BΣμ=1yμlnyμ +(1-ρ)ln(1-ρ)+12LΣi=1LΣj=1(i≠j)BΣμ=1BΣν=1{yμyνg(2)(iμ,jν)lng(2)(iμ,jν) +yμ(1-yνg(2)(iμ,jν)ln1-yνg(2)(iμ,jν)1-yν +yν(1-yμg(2)(iμ,jν)ln1-yμg(2)(iμ,jν)1-yμ +[1-yμ-yν+yμyνg(2)(iμ,jν)]ln1-yμ-yν+yμyνg(2)(iμ,jν)(1-yμ)(1-yν)} (4) となる,yμとg(2)(iμ,jν)はこの式を最も小さくするように決められねばならない.先ず,

(5)

-(43)-g(2)(iμ,jν)=0,ifV(2)(|riμ-rjν|)=∞ 及び g(2)(iμ,jν)=0,ifV(2)(|riμ-rjν|)=0 (5) は直ちに得られる. 最も粗い近似で. g(2)(iμ,jν)=0 ifV(2)(|riμ-rjν|)=∞ 1 other wise (6) y2=y3=…=y7 (7) とおく,近似で(4)は F/LkT=6(y21+6y22+y28)ψa/kT+24(y1y2+2y22y+y2y8)ψb/kT+8(y1y8+3y22)ψc/kT +y1lny1+6y2lny2+y8lny8+(1-ρ)ln(1-ρ) +30[-y1ln(1-y2)-y2ln(1-y1)+(1-y1-y2)ln1-y1-y2/(1-y1)(1-y2)] +5[-y1ln(1-y8)-y8ln(1-y1)+(1-y1-y8)ln1-y1-y8/(1-y1)(1-y8)] +75[-2y2ln(1-y2)+(1-2y2)ln1-2y2/(1-y2)2] +30[-y8ln(1-y2)-y2ln(1-y8)+(1-y2-y8)ln1-y2-y8/(1-y2)(1-y8)] (8) 12ψa=ΣL*j=1V(2)(ri1-rj1)=12V(2)(a)+6V(2)(√2a)+24V(2)(√3a) +12V(2)(2a)+… (9a) 24ψa=ΣL*j=1Σ7ν=2V(2)(ri1-rjν)=24V(2)(√5/2a)+48V(2)(√7/2a) +36V(2)(3/2a)+24V(2)((√11/2a)+72V(2)(√13/2a)+48V(2)(√15/2a) +48V(2)(√17/2a)+… (9b)

(6)

-(44)-8ψc=Σ1*j=1V(2)(|ri1-rj8|)=8V(2)(√6/2a)+24V(2)(√10/2a)+30V(2)(3√2/2a) +… (9c) となる,但し(9a,b,c)でΣ*の*はV(2)の値が∞であるものは和から除くこと を意味する,更に. y1=ρ/2(3+coshβ)eβ,y2=ρ/2(3+coshβ),y8=ρ/2(3+coshβ)e-β (10) とおいて.βを(8)が最も小さくなるように決める.βを決める式は ∂/∂βF/LkT=ρ/2(3+coshβ)2{y2sinhβ[48(3coshβ-1)ψa/kT -48(coshβ-1)ψb/kT-64ψc/kT]+2(3coshβ+1)β+5(3eβ+1) ×ln(1-y1)7/(1-y1-y2)6(1-y1-y8)-30sinhβ・ln(1-y2)7/(1-y1-y2)(1-2y2)5(1-y2-y8) -5(3e-β+1)ln(1-y8)7/(1-y1-y8)6(1-y1-y8)} =0 (11) の解として求められるβ=0が解の一つであることは直ちにわかる.β=0で極小であ るが否かを見よう. (∂2/∂β2)(F/LkT)β=0=ρ2/32[1/kT(12ψa-8ψc)+8/ρ-280/8-ρ+120/4-ρ] (12) この値は,12ψa-8ψc<0では,T大で正,T小で負.従つて -1/kT1(12ψa-8ψc)=8/ρ1+120/4-ρ1-280/8-ρ1 (13) の与えるkT1-ρ1曲線より高温側ではβ=0は安定な相となる.低温側では(11)から β≠0なる解を求めねばならない.β=0はfluid phaseと解釈されβ≠0は solid phaseと解釈されるから.(13)kT1-ρ1はsdolid-fluid transition

lineを与えると考えられる.(第3図にボテンシヤルを(17)とした時のこの曲線を与えた) fluid regionに対して.free energyは(8)にyi=ρ/8を入れて.

(7)

-(45)-F/NkT=ρ/16kT(12ψa+24ψb+8ψc)+1/ρ[ρlnρ/8+(1-ρ)ln(1-ρ) +140(1-ρ/4)ln(1-ρ/4)-280(1-ρ/8)ln(1-ρ/8) (14) となる.状態方程式は pa3/√2kT=ρ2∂/∂ρF/NkT =ρ2/16kT(12ψa+24ψb+8ψc)-ln(1-ρ)-140ln(1-ρ/4) +280ln(1-ρ/8) (15) となり,臨界点の条件は -1/8kTc[12ψa+24ψb+8ψc)=1/ρc(1-2ρc)+140/ρc(4-ρc)-280/ρc(8-ρc) =1/(1-ρc)2+140/(1-ρc)2-280/ρc(8-ρc)2 (16) となる.(16)の解は ρc=0.435,-12ψa+24ψb+8ψc/8kTc=9.254 (16′) である. a=21/6とおき.ポテンシヤルに V(2)(r)=∞ r=a/2・√2a/2・√3a/2 V(2)(r)=4(1/r12-1/r6 r≧a=21/6 (17) と取つて計算を行おう.(17)を(9)に入れると. 12ψa=-16.77596,8ψc=-8.71730 12ψa+24ψb+8ψc=-82.9921 (18)

を得る.この値を用いてsolid-fluid transition lineは第3図の如くなる. 又臨界点は(16′)及び(15)から

(8)

-(46)-kTc=1.121,υc=1/ρ=2.299,Pc=0.1811,pcυc/kTc=0・371 と得られる.これらは,古典液体についての実験からの kTc=1.28,υc=3.09,pc=0.121,pcυc/kTc=0.293 と比べられることになる.理論の粗さから見て,計算値はよく一致していると云つてよいよう である. 3重点は実験値はkTtr.=0.68であるから,一致は余りよくない,又,蒸気圧曲線も画け るがこゝには書かない. 第3図 phase diagram(点線はschematicallyに引いた)

(9)

-(47)-f.c.c.格子についても,Ⅰに於けると同じく,cell及びcell pairの近似を 適用すれば,更によい近似が得られることが期待される,しかし二次元square格子気 体の場合には,我々の計算は結晶面上に大きな分子が吸着した時のmono-layerの統計 力学に対応していると考えられるが,3次元では.上に議論した系は古典液体へのモデルとし てしか意味をもたない.従つて,我々は,以上の計算から,我々の方法では,β≠0と β=0が正しく固相と液体相に夫々対応するということを認めることが充分である.我々は 格子を無限に細かくし,連続になつた場合に行こう. この節に用いた近似の粗さを知るために,この節の近似をsquare格子気体に適用した 計算を次節に簡単た記述する. B.aquare格子気体 我々がこの節で問題とする系は,Ⅰに於て扱われたものと同一である.我々はⅠの2.の 最初の2つのparagraphsに詳しくその性質を与えている,こゝには繰返さないで,その 系に,cell及びpoint pair近似のcluster variation method2)の適用に

進もう.

Ⅰの場合と同様に,第Ⅰ-3図の様に細胞を導入する.そして.i番目の細胞のμ番目 の格子点をiμと名付ける.我々は.clusterを構成する点が総て1つの細胞に入つてい るようなcluster及び2つの格子点から成るclusterの全部をpreserved

clusterに取り,それ以外をnot preserved clusterとする,この近似で函 数Fは F=Σi>jΣ4μ=1Σ4ν=1ρ(2)(Xiμ=p,Xjν=p)V(2)(|riμ-rjν|) +kT[Σi>jΣ4μ=1Σ4ν=1lnG(2)(iμ,jν)/G(1)(iμ)G(1)(jν)+ΣLi=1ln(4)(i1,i2,i3,i4)] (3B) となる. 以下,計算は,μは1,2,3,4の4つの価しか取らぬことを考慮しΣμは1から4 までの和とすれば,前節と全く類似に進む. (6)の近似と,y2=y3…(7B)を用いて F/LkT=2(y21+2y22+y24)ψa/kT+8y2(y1+y4)ψb/kT+8(y1y2+y22)ψc/kT +y1lny1+2y2lny2+y4lny4+(1-ρ)ln(1-ρ)

(10)

-(48)-+2[-y1ln(1-y2)-y2ln(1-y1)+(1-y1-y2)ln1-y1-y2/(1-y1)(1-y2)] +3[-y1ln(1-y4)-y4ln(1-y1)+(1-y1-y4)ln1-y1-y4/(1-y1)(1-y4)] +2[-y1ln(1-y4)-y4ln(1-y2)+(1-y2-y4)ln1-y2-y4/(1-y2)(1-y4)] +3[-2y2ln(1-y2)+(1-2y2)ln1-2y2/(1-y2)2] (8B) を得るψaψbψcは(Ⅰ-9a.b.c)に与えられている更に y1=ρ/4cosh2βe2β,y2=ρ/4cosh2β.y4=ρ/4cosh2βe-2β (10B) とおいてF/LkTが最小なるようにβを決める.次にβ=0が極小である範囲を求め るとsolid fluid transition lineに対して

-ψa-2ψc/kT1=1/ρ1-5/4-ρ1+1/2-ρ1 (13B) を得る. fluid regionではでβ=0,y1=y2=y3=y4/ρ/4である,そこでは free energyは F/NkT=ρ/8kT(4ψa+8ψb+8ψc)+1/ρ[ρlnρ/4+(1-ρ)ln(1-ρ) -20(1-ρ/4)ln(1-ρ/4)+10(1-ρ/2)ln(1-ρ/2)] (14B) となる.状態方程式は pa2/kT=ρ2 ∂/∂ρF/NkT=ρ2/8kT(4ψa+8ψb+8ψc)-ln(1-ρ)-10ln(1-ρ/2) +20ln(1-ρ/4) (15B) となり,臨界点の条件は -1/4kTc(4ψa+8ψb+8ψc)=1/ρc(1-ρc)+10/ρc(2-ρc)-20/ρc(4-ρc) =1/(1-ρc)2+10/(2-ρc)2-20/(4-ρc)2 (16B)

(11)

-(49)-となる.(16B)の解は

ρc=0.449,-4ψa+8ψb+8ψc/4kTc=5.858 (16′B)

を与えるshimose3)の用いたポテンシヤル即ちψa=ψb=-1,ψc=0では. ρc=0.449.kTc=0.512.が得られる.

第3B図にsolid-fluid transition line及び臨界点を記入した.

stable liquid regionが現われないのはⅠの場合と同様である.一の場合に比し この場合高温でsolid phaseが現われて来ないのはcell and point poirの近 似ではfluid regionに対しfree ennergyがunderestimeteになることを 想像させる. 我々は.Ⅰの結果と上のⅡBの結果を比べることにより,ⅡAの詰果からⅠと同じ近似で 計算した時に得られる結果についての知識を得ることが出来るかも知れない.しかし,我々は 3次元で相図が第3図の如くになり,fluid phaseは,どの格子点に粒子のある prof.も等しくなる状態に対応するとして.実際の液体の相変化と正しく対応させることが 出来るという知識で満足しよう. 第3B図 phose diagram(ψa=ψb=-1,ψc=0; 点線はschematicallyに引いた.)

(12)

-(50)-議論して頂いた広池和夫氏に謝意を表したい. 文献

1)守田:物研 this issue,previaus paperⅠと呼んで引用しよう. 2)守田:物研 this issue,the paper before previous one. CVMとしてその中の式を引用する.

参照

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