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構造用ボルトの疲労強度に及ぼす過大荷重の影響

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Academic year: 2024

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(1)

総合研究所・都市減災研究センター(UDM)研究報告書(平成22年度)

テーマ

2

小課題番号

2.2-2

* :工学院大学大学院修士課程機械工学専攻

**:工学院大学工学部機械システム工学科教授、***:工学院大学工学部機械工学科教授

構造用ボルトの疲労強度に及ぼす過大荷重の影響

藤田佑介,後藤芳樹***,小林光男**,一之瀬和夫**,小久保邦雄***

構造用ボルト,疲労強度,過大荷重,

1 .はじ めに

一般に、機械・機器は、 多 くの継手部を有してお り、機械・機器の強度や信 頼性上のトラブルの多く はこの継手部で起こってい る。継手は、組立て上の 都合やメンテナンスのため にボルト締結によるもの が多く、近年の輸送機器の 事故 のなかには,ボルト の破壊が原因とされるもの が多く,ボルトの信頼性 の向上は必要不可欠な課題となっている。

また、震災時には、通常 と は 異なる過大な荷重が 加わることになり、このオ ーバーロード がボルトの 耐久性・寿命にどのような 影響を及ぼすのかについ ては未だ不明な点が多い。

本研究では、構造用金属 ボ ルトの疲労強度に及ぼ す過大過重の影響について 実験的に明らかにしよう と い う も の で あ り , 疲 労 試 験 の 途 中 , 破 断 寿 命 の 50%の繰返し数で1回だけ 過大荷重が加わる場合に ついて試験を行った結果について報告する。

2 .実験 方法 2.1 供 試材料

本研究では、市販の S45C(機械構造用炭素鋼鋼材) のボルト・ナット、を使用す る。詳細は表1に示す。

表1 S45C ボルト寸法

名称 S45C六角ボルト(半ネジ) 大きさ M8×65×25mm ピッチ 1.25mm

強度区分 8.8

等級 1

表2

S45C

化学的成分

C Si Mn P S

機械構造用炭素鋼鋼材 S45C 0.42~

0.48 0.15~

0.35 0.60~

0.90≦0.030 ≦0.035

種類 材料記号 化学成分(%)

表3

S45C

機械的性質

2.2 引張試 験

ボルトの引張試験には東京衡機製 500kN 万能材料 試験機を用いた。

2.3 疲労 試験

疲労試験には容量 10ton の島津製作所製サーボパ ルサを使用した。周波数 10Hz,荷重制御とした。試 験環境は室温・大気中であ る。冶具を使用し,ボル トとナットを保持し,片振 り引張荷重が加わるもの とした。ボルトの締め付け は行っていない。ボルト の取付けの様子を図1に示す。疲労の繰返し数が 107 回に達したときに試験を打ち切りとした。

図1 疲労試験機の冶具にボルトを取付けた状態

3 .実験 結果及 び考察 3.1 引張試 験

疲労試験を行うにあたり , 試験片として用いるボ ルトを選択するために引張 試験を実施した。 合金鋼 SCM435 と炭素鋼 S45C の引 張試験を行ったところ,

SCM435 は引張強度に達す る前に,ネジ部が破損し,

ボルトの破断に至らなかっ たため,過大荷重を負荷 する疲労試験には不適当と判断し,S45C ボルトを採 用することにした。ISO で 推奨されている遊びネジ 部の長さを 1.2d(d:ボ ルトの呼び径) としたと きの S45C ボルトの平均引張り強さはσ= 858MPa(平 均最大荷重 P=33.1kN)であった。

種類 材料記号 引張り強さ (N/mm2)

降伏点

(N/mm2) 硬さ 伸び (%) 機械構造用

炭素鋼鋼材 S45C 690以上 490以上 201~269HB 17以上

(2)

総合研究所・都市減災研究センター(UDM)研究報告書(平成22年度)

テーマ

2

小課題番号

2.2-2

* :工学院大学大学院修士課程機械工学専攻

**:工学院大学工学部機械システム工学科教授、***:工学院大学工学部機械工学科教授 3.2 疲労試 験

S45C ボルトを用いて疲労試験を実施し,図3に示 す S-N 線図を作成した。この図から,107回における 疲労限度は 60MPa となった。

図3 S45C ボルトの S-N 線図

高応力振幅で破断したボ ル トの破断状況を図4に 示す。高応力振幅では,破 断はボルトの 不完全ネジ 部で破断する傾向がある。 また, 低応力振幅では図 5に示すように,ナットと の かみ合い部,第一ネジ 山付近で破断する傾向があ り,応力振幅の低下とと もに,破断位置はナット内 部に移る傾向が見受けら れた。

過大荷重疲労試験を行う 応 力振幅は,ボルトが確 実に破断する応力振幅の 73.6MPa を選んだ。この応 力振幅で,更に 5 本のボルトの疲労試験を実施し,

ワイブル確率紙にプロットして,破壊確率 50%の繰 返し数を求めたところ 9.0×106回と求められた。そ こで,その半分の繰返し数 4.5×106回において,過 大荷重を負荷することに決めた。

過大荷重の大きさは,種 々 の大きさで試みる予定 であるが,今回は手始めとして 765MPa とした。これ は,オフセット法によりも とめた 0.2%耐力に相当 する応力である。

過大荷重疲労試験は,こ れ まで2回試験を行い,

2回とも,繰返し数 107回 を超える結果となり,今 回の実験の範囲内では,過 大荷重により,疲労寿命 が増加するという結果となった。

5 .結 論

(1)遊びネジ部を 1.2dとした S45C ボルトの引張 強さは 858MPa である。

(2)遊びネジ部を 1.2dとした S45C ボルトの疲労 強度は 60MPa となった。

(3)今回の試験条件では,過大荷重を負荷すること によりボルトの破断寿命は増加した。

参 考 文 献

1) 大 内 田 久 , 後 藤 芳 樹 : 金 属 材 料 の 疲 労 強 度 に 及 ぼ す 過 大 荷 重 の 影響 (第一 報 ),工 学 院大 学 研 究 報告 第 50 号 ,1981 2) 後 藤 芳 樹 , 大 内 田 久 : 炭 素 鋼 の 回 転 曲 げ 疲 労 寿 命 に 及 ぼ す 過 大荷 重 の影 響 ,工 学 院大 学 研 究 報告 第 61 号 ,1986

No

最大荷重[kgf] 最小荷重[kgf] 応力振幅[Mpa] 繰返し数[回] 破断距離[mm] 破断面積[mm2]

1

2000 50 261.07 9087 13.58 14.73

4 高応力振幅で破断したボルトの破断状況

No

最大荷重[kgf] 最小荷重[kgf] 応力振幅[Mpa] 繰返し数[回] 破断距離[mm] 破断面積[mm2]

13

600 50 73.63 1829231 -2.38 10.5

図5 低応力振幅で破断したボルトの破断状況

参照

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