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2016 年度 上智大学経済学部経営学科 網倉ゼミナール 卒業論文

ツイッターの日本人ユーザーが多い理由

A1342814 上原 佳 提出日:2017年1月15日

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2 はじめに

近年、インターネットやスマートフォンの普及とともに、SNS(ソーシャル・ネットワー キング・サービス)やソーシャルメディアといったサービスが生まれ、その利用が急速に拡大 している。今や企業や政治家もそれらのサービスを活用し、もはやそれらのサービスが欠かせ ないという人も多いのではないだろうか。

かくいう私もSNSの利用は生活の一部となっており、必要不可欠だ。高校時代に利用して いたミクシィ、大学入学時にスマートフォンを購入したことをきっかけに始め、現在も利用し 続けているLINEやツイッターはどれも私の生活の中で重要なものであった。その中でも特 に私を魅了したのがツイッターだ。私は大学入学前にツイッターを利用し始めて以来、中国に 滞在していた2週間を除いて毎日欠かさずツイッターを利用してきたツイッター廃人、通称

“ツイ廃”である。フェイスブックや昨今話題のインスタグラムといった他のSNSには目も くれず、時には何時間もツイッターを見続けるほど熱中してしまうこともあった。ツイッター は私にとって生活の一部であり、重要な情報源であり、人とのコミュニケーションの場であ り、私の大学生活を有意義なものにしてくれた“立役者”であり、今後もツイッターは私にと ってそのような存在であると信じている。そんなツイッターが今、世界では苦境にあえいでい るという。

ツイッターの成長鈍化や身売り報道の一方で、昨年11月に日本国内の月間利用者数が40 00万人を突破したことをツイッタージャパンが発表した。私はそのツイートを目にし、ツイ ッターについて調べると日本では海外に比べてツイッターが受け入れられており、利用者数の 増加率では世界トップ、利用者が堅調に増加している数少ない国であることがわかった。世界 ではツイッターを圧倒しているフェイスブックも日本国内では利用者数でツイッターを下回っ ている。その事実は私にとってとても興味深いものであった。

そこで、日本におけるツイッターの実態はどうなっているのか?日本人は海外ではみられな いユニークなツイッターの使い方をしているのではないか?日本人の好みとツイッターの特徴 がマッチしている何かがあるのではないか?という疑問を抱き、この論文を書くに至ったので ある。

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3 目次

はじめに

Ⅰ ツイッターの特徴と現状 Ⅰ-ⅰ ツイッター概要 Ⅰ-ⅱ 世界のSNS市場 Ⅰ-ⅲ 日本におけるツイッター

Ⅱ 仮説

Ⅲ 検証

Ⅳ 結論 おわりに 参考文献

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Ⅰ ツイッターの特徴と現状

Ⅰ-ⅰ ツイッター概要

ツイッターは、米国で誕生し、共同創業者で初期モデルを考案したジャック・ドーシーが初 めての投稿を行った2006年3月21日からサービスが始まった。2007年にはツイッタ ー利用者考案によるハッシュタグ機能が使われ始め、2010年には官公庁や企業、著名人等 の公式アカウントが開始され、ツイッターのビジネス利用が始まった。2012年に短時間の 動画共有サービスであるVineを買収し、翌年2013年からサービスを開始した。その同 じ年にはアメリカ市場で株式上場を果たし、2016年6月末時点で、アクティブユーザー

(1ヵ月に1度以上サービスを利用するユーザー)数3億1300万ユーザー、サポート言語 40以上、となっている。

次にツイッターの始め方から他のユーザーとの関係、基本的な使い方と機能をみていくこと にする。

・始め方

ツイッターはツイッターの公式サイト、もしくは公式アプリで任意のアカウントとスクリ ーンネーム(表示名)を設定し、メールアドレスを登録するだけで始めることができる。電話 番号や誕生日、住んでいる地域なども登録するよう求められるが、その必要はなく、またスク リーンネームは実名である必要はない。メールアドレスの数だけアカウントを作成できるた め、一人で複数のアカウントを並行して保有できる。アカウントの公開も制限することがで き、非公開アカウントのツイートを読むためにはユーザーによる承認が必要になる。また、公 開されているアカウントのツイートはツイッターにアカウントを保有していなくても読むこと ができる。

・他のユーザーとの関係

ツイッター始める、もしくは他のユーザーとつながるための最初のプロセスとして自分が 読みたいツイートを発信するアカウントをフォローするということがあげられる。そうすると 自身のタイムラインにフォローしたアカウントのツイートを読むことができるようになる。公 開されているアカウントであればフォローは自由であり、またその解除も自由にいつでもする ことができる。非公開アカウントであれば、その相手にフォロー申請をして申請を承認される ことでツイートを読むことができるようになる。自分自身のアカウントが他のアカウントから フォローされることもあり、フォローされるとフォロワーになる。自分のアカウントが公開ア カウントであれば他のアカウントは自由に自分をフォローすることができ、非公開アカウント であればフォロー申請が通知される。フォロワーに対して、自分へのフォローを強制的に解除 するブロック機能はあるが、自分から他のアカウントをフォローさせることはできない。そし

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てあるアカウントをフォローし、そのアカウントが自分もフォローしていることを相互フォロ ーという。このようにしてツイッターではネットワークが形成される。

・主要な機能

ツイッターの最も基本的な機能は前述したフォローに加えて、ツイート、リツイート、お 気に入り、メンション、リプライがある。

ツイートはツイートを投稿することであり、写真や動画、URLなどを添付することがで きる。写真の枚数や動画の長さ、文字数に制限があり、文字のみであれば140字、写真や動 画を添付するとその枚数や容量によってさらに文字数が制限される。

リツイートは他のアカウントのツイートを自分自身のフォロワーのタイムラインに表示さ せるという転送機能であり、公式リツイート、引用リツイート、非公式リツイートの3つの種 類のリツイートがある。公式リツイートは、ツイート下部にあるリツイートボタンを押すこと により実行され、元のツイートがそのまま投稿され編集はできない。引用リツイートはリツイ ートしたツイートに対してコメントをつけて投稿するものである。こちらも元のツイートを編 集することはできず、引用リツイートは元のツイートが自分のツイートに添付される形とな り、自分のツイートとして投稿される。どちらも元のツイートが削除されるとそのツイートも 自動的に削除される。なお引用リツイートは自分自身のコメントのみ残る。非公式リツイート も他のツイートを引用して自分のツイートとして投稿するものであるが、引用リツイートのよ うに添付という形ではなく、140字の文字の中に引用するツイートをコピー&ペーストする 形になる。そのため非公式リツイートは省略や編集されることが多い。非公式リツイートは元 のツイートが削除されても自動的に削除されることはない。

お気に入りは共感や面白いなどと感じたツイートや後で見返したいツイートなどに対して ツイート下部のお気に入りボタンを押すことで相手にお気に入りに登録したことを通知し、ま た自分がお気に入りにしたツイートを一覧で表示することができる。

メンションは、特定の相手に公開メッセージをツイートとして投稿するもので、ツイート のなかで半角の「@」とその直後にそのアカウント名を入力することで行われる。メンション された相手には通知される。

リプライはツイートに対する返信である。タイムラインに表示されるそれぞれのツイート にはリプライボタンがついており、そのボタンを押すことで対象ツイートを発信したアカウン トに対するメンションが形成される。元ツイートから返信ツイートを辿ることもできる。この 機能により、ツイッター上で会話することができ、その会話の流れも公開しているアカウント であれば自由に確認することができる。

その他にも、ダイレクトメッセージ機能やミュート機能、ハッシュタグなどツイッターに は様々な機能が実装されているが、本稿の議論との関連性が低いためにここでは割愛する。

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図1:それぞれのツイート下部に実装されているボタン(左から、リプライボタン、リツ イートボタン、お気に入りボタン)

出典 ツイッター公式サイトのホーム画面

Ⅰ-ⅱ 世界のSNS市場

ここでは世界のSNS市場におけるツイッターの現状をみていくことにする。

図2 主要なSNSの世界でのアクティブユーザー数

出典 各社ホームページから筆者作成

図2のように、日本でもおなじみである主なSNSの世界でのアクティブユーザー数をみ てみると、ツイッターは圧倒されている。後発のインスタグラムとは2倍近くの差があり、利 用されている国の数で劣っているLINEに迫られている。米国の市場調査会社、eマーケタ ーによると、この市場では写真メッセージングサービスのスナップチャットや、フェイスブッ ク傘下の写真共有サービス、インスタグラム、そしてフェイスブックのメッセージサービスで あるメッセンジャーなどが若年層を中心に人気を集めており、ツイッターは影が薄くなりつつ あるという。

こうした競合サービスが急速に成長している一方で、ツイッターは、アクティブユーザー数 の成長鈍化や収益面における問題に直面している。

フェイスブック 17億9000万ユーザー(2016年9月末)

インスタグラム 6億ユーザー(2016年12月)

ツイッター 3億1300万ユーザー(2016年6月末)

LINE 2億1500万ユーザー(2015年末)

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7 図3

出典 ガベージニュースhttp://www.garbagenews.net/ より筆者作成 図4 フェイスブックの月間アクティブユーザー数の推移(四半期ごと)

出典 TechCrunch Japan(http://jp.techcrunch.com/2016/04/28/20160427facebook-q1-2016- earnings/)

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図3のツイッターのアクティブユーザー数の推移から、ツイッターのアクティブユーザー 数が2014年ごろからの伸び悩み、2015年から2016年にかけては、ほぼ横ばいとな っている。ツイッターは普及し始めて時間がたっているため、続々と登場する新興ソーシャル メディアのような成長は期待できないが、同じく普及し始めてから時間がたっており、ユーザ ー離れの課題に直面しているフェイスブックのアクティブユーザー数(図4)が近年、毎年2 億ユーザーずつ増加しているというデータをみると、ツイッターの成長率は低いと言える。

さらに、ツイッターを運営するツイッター社は収益面で大きな問題を抱えている。

図5

出典 ガベージニュースhttp://www.garbagenews.net/ より筆者作成

図5のツイッター社の売上と営業利益率をみると、売上高自体の成長はソーシャル・ネット ワーキング・サービスへの広告支出額の成長率である約40%と大差はなく、決して高い成長 ではないが堅調に成長しているといえるだろう。しかし、営業利益率については毎年赤字であ る。2016年10月27日に発表した7~9月期決算では、研究開発費などがかさみ最終損 益が1億287万ドルの赤字(前年同期は1億3169万ドルの赤字)となった。一方、フェ イスブックは、2016年の第3四半期決算で、売上高70億1000万ドル、利益23億7 900万ドルとビジネスにおいては順調である。フェイスブックは株式公開以後、連続して市 場の予想を上回る成績を残しており、売上高70億1000万ドルの対前年比59%アップ、

利益も対前年比では160%アップという、ツイッターと比較すると際立って優秀である。

フェイスブックは世界のSNS広告市場でトップシェアであり、SNS広告市場の成長はフェ イスブックの広告収入の急速な伸びに支えられている。

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ツイッターの最大の失策として、SNSなのか、メディアなのかという焦点を定めきれず にきたことだという声は多い。また、ツイッター社の収益の大部分は広告収入が占めている が、日本経済新聞によるとその広告事業はグーグルやフェイスブックに比べ顧客の中心は大企 業で、営業力が弱い。成長の柱としている動画広告やネット配信するコンテンツを拡充してい るが、広告収入を大幅に増やすような有望なサービスは開発できておらず、その結果、最終赤 字が続き、黒字化のめどが立っていない。2016年9月には身売り観測報道が出始めた。結 果的にツイッター社の主な買い手は撤退し、創業者の一人であるジャック・ドーシー氏の復帰 による新たな取組みが始まっている。

このように、ツイッターは利用者が伸び悩んでおり、それにともなって収益面の課題を抱 え、ツイッター自体のマーケティングやサービスの拡充といった部分で苦戦しているというこ とが言える。

Ⅰ-ⅲ 日本におけるツイッター

世界で苦戦しているツイッターだが、日本では堅調だ。

ツイッターの日本法人は2011年に設立した。日本事業の2016年4~6月の売上 高は6120万ドル(約62億円)。それ以前の日本の売上高は公表されていないが、グ ローバル事業統括のマシュー・デレラ副社長は「全世界の売上の伸びよりも日本の伸びの 方が大きい」と明かす。日本はツイッター社にとって成長の牽引役であり、英国を抜き米 国以外で最大の市場になったという。

図6 日本におけるユーザー数の増加推移。フェイスブックは同時期のユーザー数は2 500万人(公式発表)

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10 出典 ITmediaニュース

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1602/18/news128.html

ツイッターにとって日本は、世界で2番目に大きな市場であり、ツイッターへのアクセ スの約1割を占めている国であり、日本語は世界で二番目にツイートされている言語であ る。また、アクティブユーザー数は日本法人がスタートした2011年から5.2倍増 と、世界トップであることも公表されている。そのアクティブユーザー数においても、世 界では圧倒されているフェイスブックやインスタグラムよりも日本国内では多いという数 字となっている。

しかしながら、実名登録制で原則1人1アカウントしか保有できないフェイスブックに 対し、ツイッターは匿名で複数のアカウントを保有できるために、一概に比較はできな い。したがって、ここで日本のツイッターユーザーは複数アカウントを保有する傾向があ るという仮説とそもそもツイッターを利用している人の数はフェイスブックのユーザーと 比較してどうなのかという疑問が浮かび上がってくる。とはいえ同じ匿名性という仕組み で世界ではユーザー数で劣っているインスタグラムや世界で圧倒されているフェイスブッ クと比較してツイッターの方がユーザー数で勝っているという現状は世界全体ではみられ ない。このことから、ツイッターが海外に比べて日本で特に受け入れられているといえ る。

また、2015年末のツイッターのアクティブユーザー数が3500万であり、201 6年11月1日には4000万になったことから、日本においてツイッターはユーザー数 が海外に比べて特に増加している国であるということもいえる。

以上のことから、いくつかの疑問が浮かび上がってくる。

① アカウント数を示すユーザー数ではなく、ツイッターを利用している人の数はどう なっているのか。それはフェイスブックやインスタグラムよりもこ多いのか。

② 日本人ユーザーの属性はどのようなものか。

③ 日本人ユーザーはツイッターをどのように使っているのか。

④ 日本人にはSNSへのどのようなニーズがあり、ツイッターのどのような特徴と合 致しているのか?

ここからは、上記のような疑問について論じていきたい。

① アカウント数を示すユーザー数ではなく、ツイッターを利用している人の数はどう なっているのか。それはフェイスブックやインスタグラムよりもこ多いのか。

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11 図7

図7は、総務省が、全国の13歳から69歳までの男女1500人(実勢比例)を対象と して、2015年11月に行われた調査結果である。ここで注目すべきは、通常SNS各社 が公表するアクティブユーザー数は、1人の人が複数アカウントでログインした場合をすべ てカウントした数字であるが、このアンケート調査は対象者に対して利用しているか否かを 問うものであるため、2つ目3つ目のアカウントは数字として表れることはない。そしてこ の結果から、アカウント数を示すユーザー数ではなく利用者の数という点で、ツイッターは フェイスブックよりも利用されていないということがわかった。また、この調査が行われた 1ヵ月後の2015年12月末の時点で、フェイスブックの国内ユーザー数が2500万、

ツイッターの国内ユーザー数が3500万となっていたことから、国内のツイッターには1 人の利用者による2つ目3つ目のアカウント、いわゆるサブアカウントが多く存在している と言える。

このデータでは、日本国内においても海外と同じようにツイッターよりもフェイスブック の方が多くの利用者がいたが、世界における両社の差を踏まえると、やはり日本ではSNS 市場においてツイッターは大きな存在感を示し、受け入れられていると言える。

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② 日本人ユーザーの属性はどのようなものか。

図8 SNSの年代別利用率(カッコ内は実名利用率)

出典 総務省「社会課題解決のための新たなICTサービス・技術への人々の意識に関する調査 研究」(平成27年)

図8のSNSの年代別利用率をみると、20代以下で唯一、ツイッターがフェイスブ ックを上回っている。30代から50代にかけては年代が上がるにつれてフェイスブッ クとの差も大きくなっている。

一方で、ツイッタージャパン代表取締役である笹本裕氏はネットニュースのインタビ ューで「数年前まではユーザーのボリュームゾーンは10~20代だったが、この1、

2年の新規ユーザーは30~40代が多く、現在のユーザー層の中央値は30代になっ ている」と話しており、このことが、ユーザーが堅調に増加している要因であるとして いる。

ツイッターの日本法人が設立する以前の2009年6月時点で、国内ユーザーの最も 多い年齢層が35~44歳の42%、そして45~54歳の18%、25~34歳の1 7%というグーグル統計のデータもあるが、2011年以降のユーザー数の成長は主に 20代以下の若い世代によって支えられてきており、依然として全体的に若い世代のユ ーザーが多いと言える。

③ 日本人ユーザーはツイッターをどのように使っているのか。

これまでのデータから、日本人ユーザーの特徴をいくつか挙げることができる。

1つ目は日本語ツイート数の多さやユーザー数に対して日本国内からのアクセス数が 多いことから、日本人はツイートの頻度が多く、またツイッターにアクセスしている時 間が長いことである。実際、笹本氏も日本のユーザーは1人あたりの平均ツイート数が

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他国と比べて多く、複数のアカウントをアクティブに使い分けているケースが比較的多 く見られると語っている。

2つ目として、ツイッターは他のSNSと比べて実名利用率が低いことから、日本人 は匿名性が高いハンドルネーム、もしくは限られた人だけがそのユーザーを特定できる ニックネームでツイッターを利用していることある。その傾向は若い世代ほど強くなっ ている。それに加えて、1人のユーザーが複数アカウントを使い分けていることがあげ られる。

そして、これまで本稿で示してきたデータ以外からも日本人特有のツイッターの使い 方をあげることができる。宮崎駿監督の映画「天空の城ラピュタ」のテレビ放映に合わ せて「バルス」とツイートすることが流行したり、2011年3月の東日本大震災や2 015年9月の鬼怒川の洪水の際にツイッターで救助を求めたりするなどライフライン のツールとして定着していることである。特に、図9のように映画の主人公と同じタイ ミングでセリフを発するというような、ある瞬間のツイート数を表すTPS(Twee ts sent per second)において年越しの瞬間やサッカーワールドカ ップでの日本代表の勝利の瞬間などに世界記録を樹立している。

図9

出典 ツイッタージャパン公式ツイッター

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また、日本人利用者を対象とし、ツイッターについて詳しく利用動機を分析した研 究には柏原(2011)のようなものがあり、それによれば「交流・自己表現」「既存 関係維持」「実況・情報探索」「自己呈示」「気晴らし」の5つが抽出されている。加え て、北村(2016)のものでは、「オンライン人気獲得」「娯楽」「既存社交」「情報 獲得」の4つが抽出されている。

④ 日本人にはSNSへのどのようなニーズがあり、ツイッターのどのような特徴と合 致しているのか?

上記のような日本人のツイッターの特徴から、日本においてツイッターは多種多 様な使われ方をしている。したがって日本人のSNSへのニーズにおいても、気晴 らし、暇つぶし、娯楽、情報探索、コンテンツ配信、新たな交友関係の構築、既存 の交友関係の延長と維持といった多岐にわたるニーズが顕在的あるいは潜在的に存 在していたといえる。そしてツイッターは、フォローフォロワーの非相互的人間関 係が成立しているように、そのシステム上高いユーザーカスタマイズ性を有してい ることもあり、その多岐にわたるニーズに対して対応してきた。しかし、これはツ イッターが自分たちのサービスのアイデンティティを定めきれずにきたことの1つ の要因とも言える。このことがツイッターの失策だという声は多い。

また、日本におけるツイッターの成長を牽引してきた若い世代のSNSへのニー ズに絞って考えてみると、新しい交友関係の構築やそれまでの既存の交友関係の維 持というよりも、今ある交友関係をオンライン上で再現し、交流を補完する場とし てのニーズがある。つまり、オフラインで日常的につながりがあるという強い関係 を持った友人らとオンラインでもつながりたいというニーズである。これはツイッ ターの特性である世界中の利用者が同じ瞬間を共有できる点と合致していると言え る。昔関係があって今は日常的な交流がない弱いつながりの友人らと今の話題を共 有するよりも今日常的な交流がある強いつながりの友人と共有するほうが高頻度で ある。若い世代は、普段顔を合わせる学校などで身の回りの日常的な話題について 共有しつつ、その延長としてオンラインにおいても世界で起こっていることを共有 しながら交流しているという利用場面が考えられる。

さらに、アカウント非公開機能や複数のアカウントを使い分けることができる 点、アカウント名を実名で登録しない風潮は、SNSで強いつながりを構築するた めに最適なものである。自分自身がオンラインでもつながりたいと思う人に対して のみツイートを見てもらえれば良いし、アカウント名もつながりを持つ人にさえわ かってもらえれば良い。また、つながりの強さによってアカウントを使い分けるこ ともできる。例えば、あるアカウントはアカウント名を本名に近いものにし、日常

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的なつながりの強さに関わらず幅広い友人とつながり、また違うアカウントでは日 常的なつながりがより強い友人らとつながり、さらにまた違うアカウントではアカ ウント名を実名からは連想できないような仲の良いわかる人にしかわからないよう な名前にし、非公開アカウントにしてつながる人、つまりフォロワーを厳選して強 固な関係を構築する、というような使い方が可能となる。これは基本的に実名登録 かつアカウントを1つしか持つことができないフェイスブックではできない。フェ イスブックであれば、実名登録であるがゆえに、名前で検索すればその相手がオン ライン上に存在することがわかるし、日常的なつながりの強さによってアカウント を使い分けることはできない。強いつながりの密なコミュニケーションであれば、

日本で最もユーザー数が多いLINEでもできるが、LINEにはソーシャルメデ ィアという側面はなく、メッセンジャーとしての側面が強い。逆に閉鎖的な側面が 強く、その時起こっている話題や感情を世界中で共有する感覚は味わうことができ ない。また、ツイートのような気軽さはなく既読機能といった精神的なしがらみが 多い。

したがって、SNSユーザーにはオンライン上で強いつながりの交友関係を構築 するというニーズがあり、開かれた世界であるインターネットの世界において、ツ イッターはそのニーズを満たす最適なSNSサービスであると考えられる。

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Ⅱ 仮説

以上のことを踏まえて、ツイッターにおける日本人ユーザーが多い理由について仮説を立 て、検証する。

これまでの考察から、日本人にはツイッターの特有の使い方があり、その使い方とは、日常 的に交友関係のある友人らとSNS上で強いつながりを構築したいというニーズから、匿名性 の高いアカウント名でアカウントを保有している、もしくは実名に近いアカウントを持ちつつ サブアカウントとして匿名性の高い名前でつながりの強い人とつながっているアカウントを、

保有しているという仮説を立てる。後者においては、場合によってはそのようなサブアカウン トを複数保有していることも考えられる。

Ⅲ 検証

上記のような仮説を検証するために、筆者の知り合いである21歳~27歳の男女10人に 以下のような質問を行い、回答を得た。フェイスブックとツイッターの両方を利用しているこ とを回答者の条件とした。

☆質問

①フェイスブックとツイッターで使い分けはあるか。あるとしたら、その意図は何か。

②フェイスブックの友達の数とツイッターでフォローしている友人(最もフォローしている 友人の数が多いアカウントにおける数。芸能人やbotなどのキュレーションアカウントは含 まない)の数とではどちらの方が多く、その差は何人か。

③ ツイッターのアカウントはいくつ保有しているか。(1年以上ログインしていないものは 含まない)

④③の質問で1つと答えた回答者に対してそのアカウントは非公開か。

⑤③の質問で2つ以上と答えた回答者に対して、それぞれのアカウントはどのような利用目 的があり、それらは非公開か。差支えなければ、それぞれのアカウントでフォローしている人 の属性や人数はどのようなものか。

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17 その結果は以下のようなものとなった。

Aさん(22歳男性):①ある。フェイスブックはサークルでの写真共有用。ツイッターは気軽 につぶやく用。②ツイッターのほうが70人多い。③1つ④公開 Bさん(22歳男性):①フェイスブックは登録しているだけ。ツイッターはつぶやく。②ツイ

ッターのほうが60人多い。③4つ⑤メインアカウント=非公開、友人 や芸能人、趣味関連のアカウントをフォロー。サブアカウント=非公 開、フォローは親しい友人のみ。ブログ用=公開、ブログ更新と共にツ イート。予備アカウント=公開、ツイート無し。

Cさん(23歳女性):①ある。フェイスブックは公、世間体的なもの。ツイッターはプライベ ート。②フェイスブックのほうが280人多い。③1つ④非公開 Dさん(27歳女性):①ある。フェイスブックは綺麗事。ツイッターは本音。②フェイスブッ

クのほうが213人多い。③3つ⑤メインアカウント=公開、つながっ ている人はオンラインで知り合った人とオフラインで知り合った人が 半々、日常をつぶやく。サブアカウント=公開、フォローは全てオンラ インで知り合った人、メインアカウントでは言えないことをつぶやく。

サブのサブ=非公開、フォロワーは5人に厳選、サブアカウントでは言 えないことをつぶやく。

Eさん(22歳女性):①ある。フェイスブックは公。ツイッターは話したいことを好きな時に 気軽につぶやく。②ツイッターのほうが100人多い。③3つ⑤メイン アカウント=公開、知り合った人にとりあえず教える、当たり障りのな いことをつぶやく。サブアカウント=非公開、仲の良い友人らとつなが る、良いことも悪いこともつぶやく、ツイートは高頻度。サブのサブ=

非公開、閲覧用、つながっているのは親友2人のみ。

Fさん(23歳男性):①ある。フェイスブックは見せたいプライベート。ツイッターはリアル なプライベート。②フェイスブックのほうが65人多い③2つ⑤大学用

=公開、フォローの半分が友人以外。高校用=非公開、フォローの2割 が趣味関係。

Gさん(22歳女性):①ある。フェイスブックは見るだけ、幅広い関係の人とつながっている ためなんでもかんでも発言できない。ツイッターは情報収集と気軽なつ ぶやき。②フェイスブックが140人多い。③2つ⑤大学用=非公開、

大学の友人や趣味関係、芸能人など幅広くフォロー。高校用=非公開、

高校の友人のみ。

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Hさん(21歳男性):①フェイスブックは登録しているだけ、社会人用に登録した。ツイッタ ーは思ったことを気軽につぶやく。②ツイッターが100人多い。③1 つ④非公開

Iさん(22歳男性):①ある。フェイスブックは交友関係があればとりあえずつながる、海外 の友人とつながる目的もある。ツイッターは関係が深い人とつながる、

友達が興味を持っている話題を知るため。②フェイスブックが245人 多い。③1つ④非公開。

Jさん(22歳男性):①ある。フェイスブックは日記や長文、まとまったものを書く。ツイッ ターは今つぶやきたいことを書く。②ツイッターのほうが200人多 い。③1つ④非公開

アンケートの結果から、いくつかの傾向をあげることができる。

①の質問において、全ての回答者がフェイスブックとツイッターとで使う目的を変えている と答えた。そして、フェイスブックでもツイッターでも継続的に投稿を行っている回答者は、

フェイスブックは表向きで当たり障りのないことを言う場でツイッターは本音を言う場として 使い分けをしている傾向があると言える。つまり、日本のSNSユーザーには本音を言うこと ができる場へのニーズがあり、このニーズに対してツイッターはアカウント非公開機能や匿名 で複数アカウントを保有できるシステムによって対応していると言える。

②の質問については、友達の数でどちらが多いかという点では同数で差はなかった。しか し、ツイッターのほうが多いと答えたAさん、Bさん、Hさんはいずれもフェイスブックを登 録しているだけ、もしくはサークルでの写真共有用という、人とつながるためというような積 極的な利用ではない。フェイスブックを交友関係がある人とつながるために利用し、なおかつ 投稿も行っている回答者の多くはフェイスブックのほうが友達の数が多いと回答しており、そ の差も大きいことが特徴である。したがってフェイスブックとツイッターをどちらも積極的に 利用しているユーザーはフェイスブックのほうが友達の数が多くなるという傾向は言えるであ ろう。これはフェイスブックのほうが実名で検索できるため友達を見つけやすい、フェイスブ ックは当たり障りのないことや表向きの投稿をしているため比較的親しくない知り合いに教え ることに抵抗がないということが要因となっていると考えられる。それに対してツイッター は、実名登録していないことのほうが多いため、オンライン上だけでは見つけにくく、ツイッ ターで知り合い同士がつながるためには何らかの形でフォローしあうきっかけが必要であると 考えられる。つまり、ツイッターでつながる友達はフェイスブックでつながる友達よりも強い 関係であると言える。

③の質問では、10人中5人の回答者が複数アカウントを保有していると回答した。これま で本稿で示してきたデータや考察に大方合致するものである。保有しているアカウント数が最 も多いのは4つであった。さらに、保有しているアカウント数が1つと答えた回答者5人のう

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ち、アカウント非公開にしている回答者が4人であった。さらに複数アカウントを保有してい る回答者も⑤の回答において、必ず1つは非公開アカウントを保有していた。このことから、

日本人ユーザーのニーズとして、実名ではないアカウント名前で非公開アカウントを保有した いというものがあり、それがツイッターの特徴と合致していると言える。そして非公開アカウ ントにするということは、ツイッターで広いつながりを求めているのではない、ツイート内容 を公にしたくないという閉鎖的なニーズがあると言える。また、ツイッターが誰でもツイート を閲覧できるという仕組みや、たびたびニュースなどで報道される、ネットでの「炎上」や公 共の場での迷惑行為を発信する「バカッター」としてアカウントが拡散され、公に個人を特定 されることを防ぐという動機もあるだろう。

最後に⑤の質問では、複数アカウントを保有しているユーザーはつながる友達の関係の強さ でアカウントを分けるユーザーとコミュニティによってアカウントを分けるユーザーに分かれ た。前者においては、フェイスブック同様ツイッターにおいても表向きのアカウントを持ち、

そのサブとしてフォロワーを厳選した非公開アカウントを保有するという特徴があると言え る。Dさんを除いた回答者が、そのフォロワーを厳選したアカウントにおいても親友などのオ フラインでつながりがある人とサブアカウントでつながりを持っていた。後者は、大学用と高 校用、友人用とブログ用、オフラインコミュニティとオンラインコミュニティなどつながるコ ミュニティでアカウントを分けていた。日本人ユーザーはツイッターを多種多様に使っている ということがわかる。前者においても後者においても、同じSNS上で使用目的や公開レベル によってアカウントを複数保有して使い分けるというニーズがあり、そのニーズとツイッター の特徴が合致していると言える。

以上の考察から、日本人のツイッターユーザーは、複数アカウントを使い分け、アカウント を非公開にする傾向があるという特有の使い方があり、日常的に交友関係のある友人らとSN S上で強いつながりを構築する傾向があるという点では仮説は正しいものであった。しかし、

それぞれのユーザーのアカウント名までは調査できなかったため、匿名性の高いアカウント名 でアカウントを保有している、もしくは実名に近いアカウントを持ちつつサブアカウントとし て匿名性の高い名前でつながりの強い人とつながっているアカウントを、保有しているという 点は明らかにすることはできなかった。

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Ⅳ 結論

以上の調査、考察から、ツイッターが日本人ユーザーから支持されている理由を以下のよう に結論づける。

①他のSNSではできない、自分が思ったことや本音を気軽につぶやくことができるため。

②使用目的や公開レベルによってアカウントを使い分けることができるため。

③つながるユーザーの範囲をコントロールしやすいため。それによって、友人らと強いつなが りを構築するというような閉鎖的な利用ができるため。

おわりに

論文を書き終えて、やはりツイッターは面白いと感じた。

この論文を書こうと決めた当初、ツイッターは匿名性で拡散力があり、登録していなくても ツイートを見ることができるため、他と比べて開かれたSNSであり、それがツイッターの強 みであると考えていた。しかし、日本においては開かれたSNSへのニーズよりも、閉鎖的な SNSへのニーズのほうが大きく、ツイッターには他のSNSよりもその閉鎖的なSNSへの ニーズに合致した側面が存在し、それがユーザーを伸ばす要因であることがわかった。

しかし、今回は複数アカウントの保有や匿名性の高さ、強いつながりのSNSという観点か ら日本人ユーザーの多さを考察したが、その他にも多くの要因があると考えられる。それらも 機会があれば調査してみたいと感じた。

そして、秋学期のゼミの履修登録をしていないのにもかかわらず、このような機会をつくっ てくださった網倉先生にはとても感謝しています。お忙しい中、複数回相談にのってくださ り、ありがとうございました。

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 参考文献

北村智・佐々木裕一・河井大介『ツイッターの心理学』誠信書房、2016 ダナ・ホイド『つながりっぱなしの日常を生きる』草思社、2014

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TechCrunch Japan http://jp.techcrunch.com/2016/04/28/20160427facebook-q1-2016- earnings/

ITメディアニュース 明らかにされたTwitterの国内ユーザーは「3500万人」 “原 点回帰”へプロダクト見直し、開発者との関係強化に注力

http://www.itmedia.co.jp/news/articles/1602/18/news128.html Twitter Celebrating a New Year with a New Tweet Record

https://blog.twitter.com/2011/celebrating-a-new-year-with-a-new-tweet-record

図2  主要なSNSの世界でのアクティブユーザー数
図6  日本におけるユーザー数の増加推移。フェイスブックは同時期のユーザー数は2 500万人(公式発表)

参照

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