「いじめ」防止につながる授業づくり
平成28年度 福岡教育大学 いじめ防止研修会
福岡教育大学附属福岡小学校
教務主任
平 井 源 樹
研究主任
二 串 英 一
総括主任
藤 岡 太 郎
文部科学省が発表したいじめ認知件数
平成27年10月26日 産経新聞より
依然として多い現状
考えられるいじめの原因
○自ら仲間やコミュニティを形成する機会の不足
○等質的なグループや人間関係の中だけでの行動
○異質な人々とのグループで解決することが苦手,
回避する傾向
○自尊感情の低下
○他人軽視の感覚「仮想的有能感」
現代社会における子供の課題
「閉じた個」
これまでよく行われてきたいじめ防止の取組
○いじめに対して対症療法的な取組が多かった
○道徳の時間や特別活動等の限られた機会でしか 人間関係づくりを行ってこなかった
なかなか効果が
現れていないのが
現状
いじめ防止の解決策として
○いじめに対して対症療法的な取組が多かった
○道徳の時間や特別活動等の限られた機会でしか 人間関係づくりを行ってこなかった
○いじめに対して積極的・機能的な取組への転換
○すべての教科等で人間関係づくりを視野に 入れた授業づくり
全教科等でいじめを生まない授業の構築を図る
いじめ防止につながる授業づくり
「開かれた個」
をめざす親和動機
○自己の能力の最大限発揮
○よりよい人間関係の構築
○協調・協働の促進
いじめ防止につながる授業づくり
身に付けさせたい資質・能力
人間関係形成力
基礎学力 思考力・判断力
教科固有の 知識・技能,
見方・考え方
状況を把握したり,
意味付けや価値付けを したりする力
学びを他者と共有し,協働的に活動する力 情緒的な
発信力
意志的な
発信力 合意形成力
いじめ防止につながる授業づくり
情緒的な 発信力
意志的な
発信力 合意形成力 特に身に付けさせたい
「人間関係形成力」
気持ちを 伝え合う子供へ
価値を つくり合う子供へ 仲間を
支え合う子供へ 情緒的な
発信力
意志的な
発信力 合意形成力
努力する仲間へ 激励,称賛,感謝を 伝える
自分の思いや 学びをわかりやすく 伝える
学びを共有して 新たな学びを 生み出す
自己決定 → 自己存在感 → 共感的人間関係 生徒指導の機能
教材化 活動構成 シンキングツール 授業づくりの工夫
いじめ防止につながる授業づくり
教材化 活動構成 シンキングツール 授業づくりの工夫
教材化 活動構成 シンキングツール 授業づくりの工夫
〈教材化の条件〉
○ゴールが明確な課題
○魅力的で適度な困難さをもつ課題
→ チームでの活動が必然
○個の学びが活かされる柔軟な活動
いじめ防止につながる授業づくり
教材 活動構成 シンキングツール 授業づくりの工夫
〈チーム編制〉
○人数 (ペア,トリオ,4~6人,学級全員)
○異質や等質 (課題に着目,能力に着目)
〈チーム活動〉
○個(ソロ)のそれぞれの学び
○チームによる個の学びの共有 組合せ
いじめ防止につながる授業づくり
教材 活動構成 シンキングツール 授業づくりの工夫
〈シンキングツールの条件〉
○考えたことが目に見える (可視化)
○動かして考えることができる (操作化)
○関係がわかる (構造化)
第3学年体育科 チーム対抗ねらい幅跳び
仲間とともに 遠くへ跳ぶ動きを
身に付けた姿
仲間とともに 相手の立場を
大切にして 高め合う姿
仲間とともに ものを操作して
解決方法を 判断する姿
目指す子供の姿
基礎学力 人間関係形成力 思考力・判断力
ねらって 着地する
チーム全員の 合計得点の伸びで
競い合う 踏切りの
位置を選ぶ
1点 2
点 3
点 4
点 5
点
チームでの教え合いが生まれる教材
授業づくりの工夫 ~教材(チーム対抗ねらい幅跳び)~
助走
踏切り
授業づくりの工夫 ~教材(競争の行い方)~
前回の 合計得点
今回の 一人一人の
最高得点 合計得点の伸びで
競い合う
ファイヤードラゴンチーム
前回より 3点の伸び
ドリームジャンプチーム
前回より 2点の伸び
今回の 合計得点
合計して
手応えと観察を 比べる 求めに合うように
観察する 求めに合った役割
意志的な発信力・情緒的な発信力
高まり 課題 方向性 授業づくりの工夫 ~チーム編成・チーム追究~
4~5人のメンバー
自分に合った
動きを見出す
動きや場が わかる
チーム追究メンバー
等質の課題 異質の技能
授業づくりの工夫 ~単元におけるチーム追究の位置付け方~
自分に合うように
動きを高める
わかって できる
チーム追究メンバー
等質の課題 等質の技能
全体から
動きを見直す
わかって もっとできる
チーム追究メンバー
異質の課題 異質の技能 意志的な発信力・情緒的な発信力
動きの財産表
思考の可視化 思考の操作化
よい動きを ストック 動きと場の 代替案を選択
授業づくりの工夫 ~シンキングツール~
設置用具
思考の可視化 思考の操作化
目盛りがある 動かせる
歩幅の組合せは? 跳ぶ長さは? 踏切りの方向は?
フープ ゴム紐
授業づくりの工夫 ~シンキングツール~
踏切り板
指導の実際 導 入 展 開 終 末
ファイヤーチーム
助走が課題 4点に挑戦 助走が課題 2点に挑戦 B児
D児 踏切りが課題
3点に挑戦 踏切りが課題
4点に挑戦 A児
C児
一人一人の役割
全体の観察 運動者
踏切りの観察 助走の観察
指導の実際 導 入 展 開 終 末
チームで選択したB児の練習
全体から動きを見直す場面
指導の実際 導 入 展 開 終 末
跳べる2点で助走を見直す練習
意志的な発信力 B児
歩幅を「狭い・狭い・広い・狭い・狭い」に 変えてみたらどうかな。D君もこれで4点跳んで いるから,いいかもしれないよ。
この歩幅で うまくいくか,
観てもらおう。
代替案の選択 説明
C児
指導の実際 導 入 展 開 終 末
跳べる2点で助走を見直す練習
フープで歩幅を操作 2点が成功!
D児
C児 B児
動きや場がわかってできる 確認
称賛 A児 B児
さっきの手応えがよかったら,
2歩目はこの位置にしてみたら。
意志的な発信力
踏切りもとても強くなったよ!
この歩幅の組合せがばっちりだね。
情緒的な発信力
ファイヤーチームが追究する姿
情緒的な発信力 意志的な発信力
わかってできる 意志的な発信力
意志的な発信力
指導の実際 導 入 展 開 終 末
助走を見直して3点に挑戦する練習
高まりに合わせて選択したB児の練習
指導の実際 導 入 展 開 終 末
D児 B児
助走を見直して3点に挑戦する練習
Bさんの手応えを大事にしよう。 わかってもっとできる 感謝 称賛
B児 説明
A児 踏切り前を素早くしたいから,
歩幅の組合せを少し変えてみる。
意志的な発信力
A児 すごい! 3点が2回続けて 跳べたね。
情緒的な発信力
わかってできる
ファイヤーチームが追究する姿
わかってもっとできる
情緒的な発信力 意志的な発信力 情緒的な発信力
指導の実際 導 入 展 開 終 末 導入時
終了時
動きの変容
4点 1点 助走が課題
2点に挑戦 B児
斜め上方への
強い踏切り
指導の実際 導 入 展 開 終 末 導入時
終了時
6点 踏切りが課題 3点
3点に挑戦 C児
動きの変容
斜め上方への 強い踏切り 長い滞空時間
指導の実際 導 入 展 開 終 末 追究後のA児の感想
意志的な発信力
情緒的な発信力
親和動機 一番うれしかったことは,Bさんが3点を跳べるように なったことです。わたしは,全体を見ていて,助走のリズム がよくなったり,ふみ切りが強くなったりしたことを,たくさん 伝えました。Bさんも,とても喜んでくれました。
チームがよい雰囲気になったので,対抗戦でも得点を 伸ばすことができました。みんなと協力して練習すると,
みんながどんどん上手になって,とてもすごいと思いました。
成 果
0 5 10 15 20 25 30 35 40
第1時 第3時 第4時 第5時
意志的な発信力の変容 (人間関係形成力)
N=44
確認説明 質問 確認説明 質問確認説明 質問
確認説明 質問
導入 見出す 高める 見直す
動きを分析的に 観ながら発信する 意志的な発信力の育ち
(人)
成 果
0 5 10 15 20 25 30 35 40 45
第1時 第3時 第4時 第5時
情緒的な発信力の変容 (人間関係形成力)
N=44
称賛激励 感謝 称賛激励 感謝
導入 見出す 高める 見直す
(人)
仲間の求めを 感じ取って発信する 情緒的な発信力の育ち
称賛激励 感謝 称賛激励 感謝
算数科の実践
附属福岡小学校 教諭 二串 英一
いじめ防止につながる授業づくり(算数科でいえば・・・)
身に付けさせたい資質・能力
人間関係形成力
基礎学力 思考力・判断力
数学的知識・技能,
数学的な見方・考え方
状況を把握したり,
意味付けや価値付けを したりする力
(論理的思考力)
考えを他者と共有し,協働的に活動する力 情緒的な
発信力
意志的な
発信力 合意形成力
いじめ防止につながる授業づくり(算数科でいえば・・・)
特に身に付けさせたい
「人間関係形成力」
考えを 伝え合う子供へ
考え・価値を つくり合う子供へ 仲間を
支え合う子供へ 情緒的な
発信力
意志的な
発信力 合意形成力
努力する仲間へ 激励,称賛,感謝を 伝える
自分の考えを わかりやすく伝える
知識を共有して 新たな考えを 生み出す
学習材 協働活動 シンキングツール 授業づくりの工夫
これからの社会
協 働
意欲
協⼒の仕⽅
正解のない 課題
未経験の 課題
論理的思考 論理的思考
創造的な解法・解
達成感・⾃信
知 識 知
識
説得
説得 納得 納得
説得 説得 納得 納得
根 拠
価 値
授業づくりに大切な要素1: 学習材
多 様 性 独 創 性 思 考 の 特 性
⾃⼒に価値集団に価値
解 決 の 仕 ⽅
多 集
授業づくりに大切な要素2: チーム編制
独 集
多 ⾃ 独 ⾃
親和動機
チームの価値
質の⾼まり
質の⾼まり 多様性
集団解決型
幅の広がり
幅の広 がり
多様性
⾃⼒解決型
独創性
集団解決型
独創性
⾃⼒解決型 情緒的な
発信力
意志的な 発信力 合意形成力
紙⾶⾏機の平均⾶⾏距離や散らばりを もとに,相⼿チームに勝つための得点 ボードの配置を決めることができる。
実践事例:第6学年「資料の調べ方」
A 試技回数 距離(m)
1 2.8
2 3.6
3 2.7
4 2.8
5 3.4
6 3
7 2.9
8 1.7
9 3
10 3.2
11 2.9
12 3.1
13 3.5
14 4
15 2.6
16 2.1
17 3.1
18 2.9
19 2.4
B 試技回数 距離(m)
1 2.4
2 2.2
3 2.4
4 4
5 1.8
6 3.5
7 1.9
8 3.3
9 3.1
10 4.2
11 3.6
12 3.5
13 3.5
14 2.7
15 3.2
16 2.3
17 2.1
18 3.4
19 1.7
20 3.2
発 展 展 開
導 ⼊
記録を⽐較
度数分布表 柱状グラフ 数直線
どれくらい⾶ぶかな?
平均⾶⾏距離や 散らばりの様⼦は?
度数分布表 柱状グラフ
発 展 展 開
導 ⼊
発 展 展 開
導 ⼊
対戦チームの特徴をグラフから分析
でも,最⼤値は23.1m
だから,⻑い距離もあるね。 平均値は,9.2mだね。
短い距離に集まっているね。
平均値とたくさん 集まっているところが 重なっているから,
⾶ばないと 判断できるよ。
⻑い距離のところは
回数が少ないから,⾶ばないと 判断してもよいと思うよ。
結果をもとに対戦チームの得点配置を考える。
発 展 展 開
導 ⼊
結果をもとに対戦チームの得点配置を考える。
配置を決める ボード
○ 最適解・納得解をつくる場面 に出合うと,
解決における協働の必要が生まれる
○ 協働の場において,操作可能な シンキングツールを使うと,
個性を生かした考えの交流が行われる
○ 協働と情緒的な発信力(快感情の表出)の 関係を見取る評価方法の開発
成果
課題
社会科の実践
附属福岡小学校 教諭 藤岡 太郎
S43 公⺠的資質
H32 公⺠としての資質・能⼒
国家・社会を創ってきた(創っている)
人間の知恵と汗に学び
◎ 自他の人格を尊重する態度
◎ 社会的義務や責任を果たす
⼈間関係形成⼒ 当事者意識
いじめ防止につながる授業づくり(社会科)
⼤久保利通の⽴場に⽴ち,明治政府が諸改⾰を 押し進め,新しく近代化した国家を形成した仕組みを とらえること
第6学年 「明治政府がめざしたわが国のかたち」
指 導 の 実 際
世界の 国内 総生産額
100
19世紀の大英帝国(イギリス)の経済力
出典(「大英帝国という経験 (興亡の世界史)」
世界の 工業製品
貿易額 100
30% 40%
下関戦争での敗北
指 導 の 実 際
このままでは,日本も欧米の 植民地にされてしまう。
立場思考Ⅰ
大久保利通たち新政府は,きっと
危機感をもったにちがいない。
指 導 の 実 際
アームストロング⽒の鉄鋼⼯場 ランカシャーの紡績⼯場
A児の反応
⼤久保利通の⽴場に⽴ったA児の反応
産業
軍事
教育
⼤久保はきっと,こう考えただろう
⽴場思考
提⽰した明治政府の改⾰の資料
産業
軍事
教育
官営⼯場
徴兵制度
学制による学校教育
⼤久保利通の⽴場に⽴ったA児の反応
⼤久保利通はきっと,こう考えたに違いない。
学習問題に対する予想が異なる⼩集団の形成 B児たち
A児たち
教育・産業・軍事の関係に対する解釈が 異なる⼦供たちの集まり
異質集団での交流
⽴場思考
⽴場思考
⼤久保利通はどのように近代化を進めたのだろうか。
近代化の仕組みについて,順序の関係が,
双⽅向の関係に変容するA児の姿
【合意形成⼒】,【思考⼒・判断⼒】
新資料の提⽰
「⺠産を殖し,之を以て,
軍事⼤に為すことあらん」
出典:「⼤久保利通⽂書」
⼤久保利通が進めた近代化の仕組み
⽴場思考
⽴場思考 全体での交流
「いじめ」防止につながる授業づくり
平成28年度 福岡教育大学 いじめ防止研修会
福岡教育大学附属福岡小学校