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友達とのつながりを感じていく

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Academic year: 2021

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友達とのつながりを感じていく

−2年3粗『2の3ランドをつくって遊ぼう』の実践から−

井 上 文 乃

1.本教材に込めたもの

2年生になり、子どもたちは、遊びを通して友達と共に楽しみ、友達の存在に日を向け始めている。

互いに声をかけ合ったり、自分の思いを友達に伝えたりしながら、思い切り体を動かして遊び、自分 たちの生活に楽しみを見出してきているようだ。そんな子どもたちに、私は、より友達とかかわって いく中で、互いに認め合う心のつながりを大事にしてほしいと考えてきた。

本教材は、多目的スペースに2年3租の大き.な遊び場(2の3ランド)をつくって遊ぼうというも のである。子どもたちは、「2の3ランド」という言葉の響きから、巨大迷路や大きな的当て、すべ り台など、体を動かしながら遊ぶ遊具のような遊び場を発想していくだろう。「友達と楽しみたい」

と、共に活動していく友達右求め、これまでにない大きな物を自分たちでつくったり、遊んだりして いく。そうしていく中で、子どもたちは、「もっとこうしたい」「こんなふうにしたら楽しくなりそう だ」などと、アイデアを出し合い、工夫や改良を加えながら、意欲的に取り組んでいくに違いない。

時には衝突し、別々に活動することもあるだろう。つくっては遊んだり、試したりする中で、自分は どうしたいのか、どんな楽しみ方をしたいのかなど、その子なりの2の3ランドに寄せる思いを大切 にしながら取り組んでいってほしい。そうすることで、子どもたちが、お互いに感じている楽しみや 活動への思い、取り組みを認め合ったり、互いのことをより知り合ったりして、これまで以上に自分

と友達とのつながりを強めていってほしいと願った。

友達との活動において、自分の思いを通そうとするのか、それよりも友達関係を優先させていくの か、私は、その思いをとらえ、子どもたちが自分の力で活動をつくり出していけるように、関わって いきたいと考えていた。また、個々の取り組みのよさを認めたり、一緒に遊びを楽しむ中で感じたこ と考伝えたりして、その子の活動への意欲につながるような働きかけをしていこうとも考えていた0 そうすることで、自ら活動をつくりながら、友達との活動を楽しむ子どもたちの姿を期待した。

2.M男君のとらえと願い

M男君はユニークな発想をして周囲を和やかな雰囲気にする子である。普段は気の合う友達と自分 の好きな遊びを楽しんでいることが多いが、2年生のめあてには「友達をいっぱいっくぅて遊びたい」

と書いていた。私は、彼の言葉から、広く友達とのかかわりを求めていこうとする思いを感じた。

また、彼は物をつくることが大好きで、自分のアイデアを試したり、納得がいくまでフくったりす る。1年生の時に開いた「あしたまつり」では射的屋になり、よく飛ぶわりばし鉄砲をつくろうと試 行錯誤したり、的を狙いやすいような射的台を工夫したりしていた。このように、時間も忘れ、自分 の興味あることに夢中になっ て取り組む彼の姿や発想の豊さなどは、友達の目を惹くことが多い。彼 自身も友達に認められることを自分の励みとしている。そこには、彼と友達とのつながりが芽生えつ つあると私は感じていた。

本教材で彼は、遊び場づくりに興味を示し、夢中になって取り組んでいくに違いない。すぐにやり たいことを思い浮べ、まずは自分の思いを大事にして活動に取りかかっていくだろう。そんなM男君 に友達は、彼の豊富なアイデアや工夫を活動に取り入れていきたいと働きかけていく。広く友達との っながりを求め始めている彼だからこそ、友達とかかわることで、自分のアイデアを友達との活動に 生かしていこうとする姿が期待できる。教師は、彼の表れを受け止めながらも、彼の活動を友達に広 げていけるように関わっていきたい。友達は、彼の発想のよさや活動を存分に楽しんでいる姿に惹か れ、一緒に楽しみたいという思いをもつだろう。彼は、自分の取り組みを友達に認められることで、

友達とのつながりを感じ、自分への自信を深めていくに違いない。そんな彼に、私は、自分らしさを

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発揮し、自ら活動をっくりながら友達との活動を楽しんでいってほしいと願った。

3.−人で活動を始めるM男君

子どもたちは、段ボール箱や木材などをもとに、どんな物があったら楽しいか、どんな物ができそ うかを考え、グループになってアスレチックやすべり台などの遊び場づくりに取りかかっていった。

M男君は、アスレチックグループに入ったものの、周りの子たちが相談したり、一緒につくったり し始めても、そうした様子を気にすることなく、段ボール箱で黙々と乗り物をつくり始めた。時々、

箱の中に入り、自分で箱を持ち上げながら進んでいる。そんな彼に「こんなのつくっても関係ないじゃ ん」と、同じグループの子たちは不満の声をもらした。そのとたん、M男君は悔しさをあらわにし、

涙をこらえながら箱を床に叩きつけた。彼らは、同じグループのM男君も一緒にやってはしいという 思いで話しかけたのだろう。「何で勝手につくるの?」「何個も何個もやんなくちゃ。みんなを待たせ ておもしろくなくなっちゃうよ」と、さらに言葉を重ねる彼らに「一人ずっ乗せようと思ったんだ」

と言い返すM男君。私は、彼の表情や言葉から、「今は自分がやりたいことを進めたい」という思い とともに、「僕だってグループの一人として、友達に楽しんでもらいたいと思ってつくっているんだ」

という思いが込められているように感じられた。また、友達とのつながりを求める彼の思いが、彼の つくっている乗り物に表れているのではないかと、私は感じ始めていた。

しばらくして落ち着きを取り戻したM男君は、段ボール箱を何個もつなげたり、箱に飾り付けをし たりして再び、乗り物づくりに没頭していった。時々、楽しそうに乗り物の動き具合を試している。

彼に不満の声をもらしていた同じグループの子たちは、彼の楽しそうな表情を見て、自分も乗ってみ たいと思ったのだろう。いっの間にか乗り物に乗り、「おもしろい」と歓声をあげている。友達の楽 しむ様子に手応えを感じたのか、彼は、「おもしろいからもう一台作るんだよ」と弾んだ声をあげ、

4台目の乗り物をつくり始めた。すでに完成した乗り物の側面に「おぼけやしき行き−さあ、君は通 れるかな」と書いたり、遊び場ごとの駅も準備したりしている。彼は、自分の乗り物をそれぞれの遊 び場へ走らせたいと考えていたのだろう。そんな彼に「M男君はすごいね」と感心する同じグループ のK男君。彼の発想のよさにK男君は惹かれていったようだった。

ところが、その様子を見ていた他のグループの子は「足で動いた方 が速いよ」「そんなに進まないじゃないか」と呟いた。「だからね、こ れはね……」と説明に困っているM男君を助けようと、K男君たちも 乗り物のおもしろさを訴える。そんな友達の姿に彼は、自分を支えて

くれる心強い味方を得たようで、嬉しく思ったに違いない。私の中で、

彼が友達の思いを感じて、この先、働きかけていく姿があるだろう、

それまでは見守っていこうという思いと、もっと自分から友達に思い を伝えたり、働きかけたりしていくように関わりたいという思いとが 交錯していた。

く2の3ランドの配置図〉

4.つなげたいのか、つなげたくないのか

彼のいるアスレチックグループとおばけ屋敷グループは、互いの遊び場が接近してきたため、遊び 場同士をつなげるか、つなげないかで意見が対立し始めていた。「つなげた方がもっと楽しくなる」

という意見に対して、K男君は「つなげるとM男君の乗り物が使えなくなる」と主張している。M男 君は、自分の乗り物についての意見を求められても、はっきりと答えようとしない。私も、そんな彼 に、自分から友達に思いを伝えてほしいと思い、「どうなの?」と強く関わっていた。しばらくして 彼は、「僕がせっかく作った車だからつなげてほしくない!」と語気を荒げて答えた。その一言は周 りの雰囲気からそう言わざるを得なくなってしまったように感じている彼の言葉のようだった。私は、

彼に関わりながら「つなげてはしくない」という彼の言葉を期待していた。彼が遊び場をつなぐのは 自分の乗り物だと考えているのなら、そう友達に伝えてほしいと願っていたからだ。彼が投げやりに

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答えたようで気になった私は、彼の思いをもう一度確かめたいと思った。そこで、つなげるというこ とを子どもたちはどう考えているのか、出し合わせることにした。その中で、M男君は、遊び場同士 がっながってしまい、自分の乗り物ではつなげられなくなることに気づくことになる。自分の乗り物 で遊び場がつなげられないという事実を彼がどう受け止めていくのか、そこに今の彼の乗り物に対す

る思いがはっきり出てくると考えた。

しかし、彼の表情や態度は、前の話し合いの時と変わることはなかった。話し合いに関心を示さず、

終始段ボール箱を触っている。そんな彼の様子から、私は、彼には今、乗り物が自分の願うように生 かされるかどうかということより、つくりかけている乗り物を早くつくりたいという思いが強いこと を感じた。私は彼に、自分の思いにこだわり、自ら活動をっくっていく姿を存分に発拝してほしいと 願うとともに、私も乗り物に乗ったり、一緒につくったりして活動を共に楽しむことで、彼の思いを 支えていきたいという気持ちになっていた。一方、周りの友達も自分の今やりたいことに没頭する彼 の表れに惹かれ、自らの楽しみをつくり出している彼のことを認めていくだろう。M男君らしさを発 拝し、友達や私から認められることを通して、彼は自分の取り組みに自信を深め、自分から友達との つながりを求めていくことになると私は期待していた。

その後、彼は4台目の乗り物のショベルカーを完成させ、緑の網の上(アスレチックの網くぐりの 場所)に置いた。彼は、ショベルカーを遊び場をっなぐ乗り物としてではなく、網の上で走らたいと 考えたようだ。しかし、その場を作った子たちの反対に合い、彼は、しかたなさそうに別の場所に乗

り物を置いた。

5.レース場で友達と楽しむM男君

T この前、緑の網の場所を諦めたでしょ。緑の網がほしい?

C うん。緑の網があれば、ショベルカーが使える。

私は、彼の活動を支え、緑の網を用意しようと考えていた。なぜなら」自分なりに楽しみを工夫し ていく彼なら、彼の欲している網が友達と楽しむための遊び場をっくり出していくものとなり、彼と 友達とがつながっていくきっかけになると期待したからだ。私の言葉に、ショベルカーを生かせると 考えた彼は、新たな工夫をし始めた。そんな彼の周りには、一緒に乗り物をつくりたいと友達が集まっ てきている。友達とかかわり始めた今こそ、彼の取り組みが友達にも広がっていくことになるだろう。

そう考えていた矢先、今度はアスレチックグループとトンネルグループが延ばしてきたトンネルとを つなげるか、つなげないかの話し合いが始まっていた。M男君の乗り物をどうするかと、K男君は、

彼を呼びに来た。

C (K男)つなげたい?

C つなげたくない。(簡単に言い終わると、話し合いの輪から出て行こうとする)

T(M男君を引き止めて)K男君が一番M男君のやりたいことを考えてくれているでしょ。

C わかるよ。

T どうして話し合いの途中なのに、いっも出て行っちゃうの?

C(Y男)だいたいさあ、車っくりすぎなんじゃない?

C これ(今っくっている物)は遊ぶので、向こう(以前つくった物)は人を運ぶのだもん。

彼を見守っていこうとした私なのに、どうしても彼が自分から友達に働きかけていく姿が見られない ことに苛立ちを覚えていた。しかし、彼の心の内では、友達が乗れるような物をつくろうと乗り物に 思いを込めているこ上を、私は、彼の言葉から感じることができた。

そこで私は、用意しておいた網を彼に手渡した。網を手にした彼は、「綱だ。やった、やった、やっ た!」と小躍りしながら、ショベルカーを網に乗せ、早速乗り込んだ。乗り物は、彼の思った通り、

網の上を滑るように移動していく。その様子に同じグループの子どもたちが「ここ、レース場にすれ ば?」「箱の下に赤い網を付けた方が、緑の網とこすり合って滑りやすいんじゃない?」とアドバイ スする。彼もアドバイスを受け入れながら、友達と一緒に赤い網を箱の下につけていく。彼にとって、

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自分の思いが生かされていることや友達から認められていることを実感できていることが大きかった のろう。これまで物づくりに没頭していた彼が友達と作業を進めている姿は、広く友達とのかかわり を求めている彼の思いが感じられるものだった。

蒸し風呂車、スポーツ車と新たな乗り物をつくったM男君は、その場を「レーシングサーキット場」

と名づけ、ゴールテープや信号機、表彰台などもっくっていった。私は、乗り物づくりに夢中になり、

自分の思いを貫き通す彼の姿がいっしか友達をも動かしたことに改めて気づいた。またM男君自身も 友達と一緒に活動を進めていくことの楽しさや喜びを感じていくことになったに違いない。彼にとっ てこの場は、アスレチックの一部ではなく、もはや友達と楽しむためのみんなの遊び場となっていた。

「おまちかねの2の3ランド!」と、M男君が弾んだ声をあげるやいなや、レース場には友達が集まっ て来た。彼は早速、乗り物に乗り込み、友達と競争を始めている。「M男君、すげぇ、はっえい」「お

もしろいなあ」と興奮している子に「おもしろいでしょ。

表彰台にも乗ってください」と張り切るM男君。彼は次々 とレース場に遊びに来る子の対応に大忙しだ。その表情 は喜びに満ちあふれている。友達への対応の合間をぬっ て、自分のつくった乗り物に乗り、トンネルグループが 延ばしていった道を通って、他の遊び場へも移動してい く。2の3ランドの中を存分に動き回り、楽しむ彼は、

友達の中で自分らしさを発揮しながら、自分と友達との 心のつながりを感じ、自らつくり出した活動の楽しさを 味わっていたに違いない。

く友達とレースを楽しむM男君〉

6.追究を振り返って

M男君にとっての乗り物の意味は大きい。床に叩きっけた車、連結させた車、ショベルカー、レー ス用の車……。乗り物をつくり楽しもうとする彼の周りには、いっも友達がかかわっていた。M男君 の取り組みを不満に思っていた友達も、次第に彼のつくる乗り物のアイデアや乗り心地のおもしろさ などに惹かれ、共につくり、共に遊び、楽しんでいった。K男君の存在はもちろんのこと、周りの友 達が乗り物について話し合い、支えてくれたこともまた、彼に友達を身近に感じさせることとなった だろう。彼にとっての乗り物は、友達とのつながりを求める彼の思いの表れであり、K男君たちに支 えられ、乗り物を通して友達とっながることができた。それは、乗り物という道具を介したっながり にとどまらず、彼が友達との心のつながりを感じていくことになったと考える。

私は、一人でもつくれてしまうような乗り物づくりをしている彼に、もっと友達とかかわりながら 進めていけるような取り組みをしていくことを願い、彼を支えられずにいた。しかし、次第に自分の 思いを大切にする彼のたくましい姿に、彼らしさを感じていった。彼の追究を追いながら、私は、彼 の乗り物に乗ったり、つくっている物に共感したりと表れだけでなく、彼の思いを探り、感じていく ことが価値あることだと思うようになっていった。また、私が「2の3ランド」という括りをつくる ことになってしまった教材であったが、子どもたちは、そうした枠の中で活動を進めていたわけでは なかった。むしろ、子どもたち自身が、遊び場同士をつなげるというだけにとどまらず、互いの意識 までもっなげていこうと自ら動き出していった。そこには、子どもたちがっくった「2の3ランド」

ができ上がっていた。それは、私自身が子どもたちから感じよう、とらえようという姿勢になれたこ とで、子ども同士が自然とっながっていく姿を支えることができたからだと考える。子どもの側に立っ て幅広く構想していくことの大切さを痛感するとともに、改めて、その子の今を感じ、とらえ続けて いきたいと強く思う。そうすることで、子どもたちは、自らの表情をもち、生き生きと活動に取り組 んでいくものと考える。

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参照

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