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Laurent (ローラン)展開

ドキュメント内 複素関数論 (ページ 77-81)

孤立特異点のまわりでの正則関数の級数展開を考察しよう.

定理 7.1 f(z) が D := U(z0;R)\ {z0} = {z C| 0 < |z−z0| < R} (z0 C, R > 0)で 正則ならば,複素数 an (n∈Z)が存在して,任意の z ∈D について

f(z) =

n=−∞

an(z−z0)n =

n=0

an(z−z0)n+

n=1

an(z−z0)n (12) が成立する(特に右辺の無限級数は収束する).これを f(z) の z0 における(または z0 を中心とする,z0 のまわりの)Laurent(ローラン)展開という.さらに r を 0< r < R を満たす任意の実数として Cr : |z−z0| =r とすると,

an = 1 2πi

Cr

f(z)

(z−z0)n+1dz (n Z) が成立する.

証明: z0 = 0 としてよい.z∈D を固定して,複素変数 ζ についての複素関数 F(ζ) を

F(ζ) =





f(ζ)−f(z)

ζ −z (ζ ∈D\ {z} のとき) f(z) (ζ =z のとき)

で定義すると,F(ζ) は D\ {z} で正則であり,z では連続である.従って定理5.5より F(ζ) は D で正則である.0 < r1 < |z| < r2 < R を満たす正の実数 r1, r2 をとってCk

(k = 1,2)を円周 |ζ| =rk とすると,命題7.1により

C1

F(ζ) =

C2

F(ζ)

z0

D

C2 C1 z

が成立する.ここでzC1 の外部にありC2の内部にあるからν(C1, z) = 0, ν(C2, z) = 1 である.従って

C1

F(ζ) =

C1

f(ζ)

ζ −zdζ −f(z)

C1

1

ζ−z =

C1

f(ζ) ζ−z dζ,

C2

F(ζ) =

C2

f(ζ)

ζ −zdζ −f(z)

C2

1

ζ−z =

C2

f(ζ)

ζ−z dζ−2πif(z) が成立する.以上の3つの式から

f(z) = 1 2πi

C2

f(ζ)

ζ−z dζ− 1 2πi

C1

f(ζ)

ζ −zdζ (13)

を得る.この右辺の最初の積分は定理6.1の証明の(10)と同じ(r = r2 > |z| とする)で あるから,

1 2πi

C2

f(ζ) ζ −zdζ =

k=0

zk 2πi

C2

f(ζ)

ζk+1 (14)

が成立する.一方,ζ ∈C1 のとき |ζ|= r1 <|z| であるから,

1

ζ−z =1 z

1 1−ζ

z

=

k=0

ζk zk+1 これから定理6.1の証明と同様に積分と無限和が交換できて

1 2πi

C1

f(ζ)

ζ−z = 1 2πi

C1

f(ζ)

k=0

ζk

zk+1 =

k=0

z−k−1 2πi

C1

f(ζ)ζk (15)

が成立することがわかる.(13), (14), (15)より,

an = 1 2πi

C2

f(ζ)

ζn+1 (n 0), an = 1 2πi

C1

f(ζ)

ζn+1 (n <0)

とおけば (12)が成立する.f(ζ)ζk1D で正則であるから命題7.1 より 0< r < R を 満たす任意の実数 r と任意の整数 n に対して,

an = 1 2πi

|ζ|=r

f(ζ) ζn+1 であり anr によらず f(z) から一意的に定まる.□ 定理 7.2 Laurent展開(12)において

f1(z) =

n=0

an(z−z0)n, f2(z) =

n=1

an(z−z0)n

とおくと,f1(z) は U(z0;R) で収束してそこで(z0 も込めて)正則である.また,f2(z) は C\ {z0} で収束して正則である.

証明: z ∈U(z0, R)\ {z0} に対して0< r1 <|z| < r2 < R を満たす実数 r1r2 をとって Ck :|z−z0|= rk (k = 1,2)とすれば、定理7.1の証明から,

f1(z) = 1 2πi

C2

f(ζ)

ζ −zdζ, f2(z) = 1 2πi

C1

f(ζ) ζ −zdζ が成立する.また,f1(z) =∑

n=0an(z−z0)n|z−z0|< r2のとき収束する.r2Rにい くらでも近くとれるから,f1(z)はU(z0;R)で収束する.一方,f2(z) =∑

n=1an(z−z0)n|z−z0| > r1 のとき収束するが,r1 はいくらでも小さくとれるから,f2(z) は C\ {z0} で収束する.f1(z) が U(z0;R) で正則であることを示そう.|z| < r2 < R のとき,定理 5.3の証明と同様にして

1

z(f1(z+ ∆z)−f1(z)) = 1 2πiz

C2

( 1

ζ−z−z 1 ζ −z

)

f(ζ)

= 1 2πi

C2

f(ζ)

(ζ −z−z)(ζ −z)

−→ 1 2πi

C2

f(ζ)

(ζ −z)2 (∆z 0)

が成立することがわかる.従って f1(z) は U(z0;R) で正則である.同様にして f2(z) は C\ {z0} で正則であることがわかる.□

定理 7.3 (Laurent展開の一意性) z0 C, R > 0 とする.f(z) が D = U(z0;R)\ {z0} で正則でそこで

f(z) =

n=−∞

cn(z−z0)n =

n=0

cn(z−z0)n+

n=1

cn(z−z0)n が成立すれば,この右辺は f(z) の z0 を中心とする Laurent展開である.

証明: cm が定理7.1の am 等しいこと,すなわち,0 < r < R を満たす実数 r とすべて の整数 m について,

cm = 1 2πi

|z|=r

f(z)

(z−z0)m+1 dz であることを示せばよい.項別積分により

1 2πi

|z|=r

f(z)

(z−z0)m+1 dz = 1 2πi

|z|=r

n=−∞

cn(z−z0)nm1dz

=

n=−∞

cn 2πi

|z|=r

(z−z0)n−m−1dz ここで ∫

|z|=r(z−z0)n−m−1dzn−m−1 ̸= 1 のときは 0, n−m−1 = 1 すなわち n= m のときは 2πi だから,上の最後の式は cm となることがわかる.□

f2(z) = ∑

n=1a−n(z−z0)nf(z) の z0 におけるLaurent展開の主要部という.主 要部の形に応じて孤立特異点 z0 を次の3種類に分類する.

(1) f2(z) = 0, すなわち,すべての自然数nについて an = 0であるとき,z0f(z)の 除去可能特異点(removable singularity)であるという.f1(z)はz0 も込めてU(z0;R) で正則であるから,f(z0) :=f1(z0) =a0 と定義すれば f(z) =f1(z) も U(z0;R) で 正則となる.

(2) f2(z) が1つ以上の有限個の項からなる, すなわち,an ̸= 0 であるような自然数 が有限個かつ1個以上であるとき,z0f(z) の極(pole)であるという.このとき,

a−n ̸= 0 であるような自然数n のうち最大のものをm とすると,f(z) の z0 におけ るLaurent展開の主要部は

f2(z) =

m n=1

an(z−z0)n = am

(z−z0)m + am+1

(z−z0)m−1 +· · ·+ a1

z−z0

(am ̸= 0) (16) と表される.このとき極 z0 の位数(order)は m である,または z0 は位数 m の極 であるという.z0 が除去可能特異点であるか,または位数が m以下の極であるか のいずれかであるとき,z0f(z) の高々 m位の極であるという.z0 が高々m位 の極であるための必要十分条件は,主要部 f2(z) が am ̸= 0 という条件なしで(16) の形に表されることである.

(3) an ̸= 0 を満たす自然数 n が無限にあるとき,z0f(z) の真性特異点(essential singularity)であるという.

7.2 e1/z = exp (1

z

) は C\ {0} で正則であるから 0 は孤立特異点である.ez のTaylor 展開より

exp (1

z )

=

n=0

1

n!zn = 1 +z1+ 1

2!z2+· · ·

が 0 におけるLaurent展開であり,定数項1 以外の項の和が主要部であるから,0は e1/z の真性特異点である.

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