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コーシー・リーマンの方程式とその応用

ドキュメント内 複素関数論 (ページ 35-40)

問題 3.3 n を自然数とするとき f(z) = z−n は開集合 D = {z C | z ̸= 0} で正則で,

f(z) =−nzn1 が成り立つことを示せ.

問題 3.4 次の各々の複素関数f(z)はどのような集合で正則になるか?また,導関数f(z) を求めよ.

(1) f(z) = z

z2+ 4 (2) f(z) = (

z+ 1 z

)6

(3) f(z) = 1 (z2+ 1)2

証明: (1) f(z) が z0 で複素微分可能であると仮定する.補題3.1より,

f(z) =f(z0) +α(z−z0) + (z−z0)φ(z), lim

zz0

φ(z) = 0 (2)

をみたす複素関数 φ(z) と複素数 α が存在する.α = a + bi (a, b R), φ1(x, y) = Reφ(x+iy), φ2(x, y) = Imφ(x+iy) とおいて(2)の実部と虚部をとると

u(x, y) =u(x0, y0) +a(x−x0)−b(y−y0) + (x−x0)φ1(x, y)(y−y0)φ2(x, y), v(x, y) =v(x0, y0) +b(x−x0) +a(y−y0) + (x−x0)φ2(x, y) + (y−y0)φ1(x, y) が成立する.ここで (x, y)(x0, y0) のとき,

|u(x, y)u(x0, y0)−a(x−x0) +b(y−y0)| (x−x0)2+ (y−y0)2

= |(x−x0)φ1(x, y)(y−y0)φ2(x, y)|

(x−x0)2+ (y−y0)2 ≤ |φ1(x, y)|+2(x, y)| →0,

|v(x, y)−v(x0, y0)−b(x−x0)−a(y−y0)|

√(x−x0)2+ (y−y0)2

= |(x−x0)φ2(x, y) + (y−y0)φ1(x, y)|

(x−x0)2+ (y−y0)2 ≤ |φ2(x, y)|+1(x, y)| →0 となるから,u(x, y) と v(x, y) は (x0, y0) で全微分可能であり

ux(x0, y0) =a, uy(x0, y0) =−b, vx(x0, y0) =b, vy(x0, y0) =a よって Cauchy-Riemannの関係式が成立する.

(2) u(x, y) と v(x, y) は (x0, y0) において全微分可能でCauchy-Riemannの関係式を満 たすと仮定する.a:= ux(x0, y0) =vy(x0, y0), b:= vx(x0, y0) =−uy(x0, y0) とおくと,全 微分可能性の定義により,

u(x, y) =u(x0, y0) +a(x−x0)−b(y−y0) +ψ1(x, y), v(x, y) =v(x0, y0) +b(x−x0) +a(y−y0) +ψ2(x, y),

(x,y)(xlim0,y0)

ψ1(x, y)

√(x−x0)2+ (y−y0)2 = 0, lim

(x,y)(x0,y0)

ψ2(x, y)

√(x−x0)2+ (y−y0)2 = 0 が成立するような2変数の実数値関数 ψ1(x, y) と ψ2(x, y) が存在する.このとき

f(z) =u(x, y) +iv(x, y)

=u(x0, y0) +iv(x0, y0) + (a+bi){(x−x0) +i(y−y0)}+ψ1(x, y) +2(x, y)

=f(z0) + (a+bi)(z−z0) +ψ1(x, y) +2(x, y) ここで z= x+iy ̸= z0 のとき

φ(z) = ψ1(x, y) +2(x, y) z−z0

とおくと f(z) =f(z0) + (a+bi)(z−z0) + (z−z0)φ(z) であり,z →z0 のとき

(z)| = 1(x, y) +2(x, y)|

|z−z0| 1(x, y)|

√(x−x0)2+ (y−y0)2 + 2(x, y)|

√(x−x0)2+ (y−y0)2 0 となるから,補題3.1により f(z) はz0 において複素微分可能であり,f(z0) = a+bi = ux(x0, y0) +ivx(x0, y0) が成立する.□

3.1 f(z) を C=R2 の開集合 D で定義された複素関数として,

u(x, y) = Ref(x+iy), v(x, y) = Imf(x+iy)

とおく.u(x, y) と v(x, y) は DC1級,すなわち偏導関数ux(x, y), uy(x, y), vx(x, y), vy(x, y) が存在して D で連続であるとする.このとき次の(1)と(2)は同値である.

(1) f(z) は D で正則である.

(2) 任意の (x, y) ∈D について

ux(x, y) =vy(x, y), uy(x, y) =−vx(x, y)

が成立する.(これを Cauchy-Riemannの(偏微分)方程式,略して CR方程式と いう.)

また,このとき

f(x+iy) =ux(x, y) +ivx(x, y) が成立する.

証明: 解析学概論Iで示したように,DC1級の関数は D の各点で全微分可能である から定理3.3から結論が従う.□

3.5 f(z) = z2 は C で正則で f(z) = 2z となることは既に示した(命題3.4)が,

Cauchy-Riemannの方程式を用いて確認してみよう.(x+iy)2 = x2−y2+ 2ixy より u(x, y) = Ref(x+iy) =x2−y2, v(x, y) = Imf(x+iy) = 2xy,

ux(x, y) = 2x, uy(x, y) =2y, vx(x, y) = 2y, vy(x, y) = 2x

であり,Cauchy-Riemannの方程式が任意の (x, y) R2 すなわち任意のz = x+iy C について成立する.よって f(z) =z2 は Cで正則であり.導関数は

f(z) =ux(x, y) +ivx(x, y) = 2x+ 2iy = 2z となる.

3.6 Cで定義された複素関数 f(z) =z2 を考える.(x−iy)2= x2−y22ixy より u(x, y) = Ref(x+iy) =x2−y2, v(x, y) = Imf(x+iy) =2xy,

ux(x, y) = 2x, uy(x, y) =2y, vx(x, y) =2y, vy(x, y) =2x

となる.Cauchy-Riemannの方程式は 2x =2x,2y = 2y となり,これは(x, y) = (0,0) のときのみ成立する.従って f(z) は 0 でのみ複素微分可能であり,f(0) = ux(0,0) +

ivx(0,0) = 0 である.(ある開集合の各点で微分可能な関数が正則関数なので,このように

1点のみで微分可能な関数は正則関数とは呼ばない.)

3.7 a, b, c, d を実数の定数として u(x, y) = ax+ by, v(x, y) = cx +dy, f(x +iy) = u(x, y) +iv(x, y) とおく.Cauchy-Riemannの方程式はa = d, b = −c であるから,f(z) が C で正則であるための必要十分条件はa =d かつ b = −c である.これは (x, y) によ らないから,= d または = −c ならば f(z) はどの点でも複素微分不能である.a= d かつ b=−c ならば

f(x+iy) =ax+by+i(−bx+ay) = (a−ib)x+ (b+ia)y = (a−ib)x+i(a−ib)y

= (a−ib)(x+iy) = (a−ib)z

であり,f(z) は1次関数である.逆に f(z) が1次関数ならば,f(z) は C で正則であり Cauchy-Riemannの方程式が成立するから a= d かつ b= −c でなければならない.

命題 3.5 指数関数 ez は複素数平面C で正則であり,その導関数は ez である.

証明: z= x+iy とすると

ez =ex(cosy+isiny) =excosy+iexsiny であるから,u(x, y) :=excosy, v(x, y) :=exsinyC1級であり,

ux(x, y) =excosy = vy(x, y), uy(x, y) =−exsiny = −vx(x, y) が成立するから ez は Cで正則である.導関数は

(ez) =ux(x, y) +ivx(x, y) =excosy+iexsiny= ez となる.□

この命題と定理3.2により,f(z) がCの開集合D で正則ならばef(z) = exp(f(z)) も D で正則であり,(ef(z))= f(z)ef(z) が成立することがわかる.特に,cosz= 1

2(eiz+eiz) とsinz= −i

2(eiz −eiz) は C で正則であり,

(cosz) = 1

2(ieiz−ieiz) =sinz, (sinz) =−i

2(ieiz+ieiz) = cosz が成立する.

命題 3.6 D+ = C\ {x R| x 0} における対数関数の主値LogzD+ で正則であり,

その導関数は 1

z である.D =C\ {x R|x 0} における主値についても同様である.

証明: z0 ∈D+ を固定して w0 = Logz0 とおく.z0D+の境界 {x R| x≤0} との距 離をr とすると,r > 0 であり, ∆z C が|z| < r を満たせば z0+ ∆z D+ である.

このとき

w := Log (z0+ ∆z)Logz0 = Log (z0+ ∆z)−w0

とおけば,z0+ ∆z= ew0+∆wz0 =ew0 より

w

z = ∆w

ew0+∆w−z0

= ∆w

ew0+∆w−ew0

ここで Logz が連続であることから ∆z 0 のとき ∆w 0 であり,eww = w0 に おける複素微分係数が ew0 であることから,

zlim0

w

z = lim

w0

w

ew0+∆w−ew0 = 1 ew0 = 1

z0

が成立する.以上により Logzz0 で複素微分可能で複素微分係数が 1/z0 であること が示された.□

問題 3.5 次の各々の複素関数 f(z) はどのような点で複素微分可能か?

(1) f(z) =z2+iz2 (2) f(z) = (1 +z)(1−z) (3) f(z) =zez (4) f(x+iy) = 1

2(ex+ex) cosy+ i

2(ex−ex) siny

問題 3.6 a, b, c を実数の定数,x, y を実数の変数としてf(x+iy) =ax2+by2+ 2icxy と おく.

(1) f(z) は 0 で複素微分可能であることを示し f(0) を求めよ.

(2) f(z) が C で正則となるための a, b, c に対する必要十分条件を求めよ.

(3) f(z) が C で正則であるとき f(z) と f(z) を z で表せ.

問題 3.7 (発展) LogzD+ =C\ {x R| x 0} における対数の主値(−π <argz <

π)とする.α を複素数の定数として f(z) = exp(αLogz) とおくとき次を示せ.

(1) n が整数のとき,任意の z∈D+ についてexp(nLogz) =zn が成立する.

(2) f(z) は D+ で正則であり f(z) =αexp((α−1)Logz) が成立する.

(3) z D+ の極形式を z = r(cosθ+isinθ) (r > 0, −π < θ < π) とする.a を実数と するときexp(aLogz) を極形式で表せ.

問題 3.8 (発展) D+ = C\ {x R | x 0} における logz の主値を Logz として,

g(z) = 1 +z

1−z, f(z) = Logg(z) = Log1 +z

1−z とおく.また,Cの単位開円板を U ={z∈C| |z| <1} とする.

(1) g(U) ⊂D+ を示せ.

(2) f(z) は U で正則であることを示し,f(z) を求めよ.

4 線積分とコーシーの積分定理

複素関数の曲線に沿っての積分(線積分)を定義し,正則関数の閉曲線に沿っての積分 が 0 になるというコーシーの積分定理を証明する.

ドキュメント内 複素関数論 (ページ 35-40)