以上のように今年 4 月から開始されるプラスチックのリサイクルが必ずしも軌道に乗る とはいえないことがわかった。ここでもう一度それぞれの主体の抱える問題点を整理して みる。容リ協会:フリーライダー問題(特定事業者の負担すべき再商品化義務料が徴収で きていない)、消費者:分別排出困難(容器包装とそうでないもの、またプラスチックとし て分別してよいものとそうでないものの識別が困難)、自治体:収集量が少ない(環境学生 会議論文「PET ボトルリサイクルの研究」よりコスト高の問題は長期的視野で考えれば問 題ないとする。)、再商品化事業者:自治体で廃プラスチックが収集されないため原料が不 足、の以上の問題点が挙げられる。
3章においては「その他プラスチック製容器包装」の分別が困難なことから自治体が容
リ法に参加しにくくなっている点に注目した。そこでわがパートとしては、この「消費者 の分別が困難」という問題点を解決する方法の提言を試みる。
私達が提案するのは「容器包装の識別表示(マーク付け)」である。しかしこのその他プ ラスチック容器包装を識別するためのロゴマーク導入はすでに46通産省で法制化が検討さ れている(猶予期間は3年間)。
通産省によると期待される効果として①消費者は、分別収集の対象となる容器包装を分 別することが容易となる。②地方公共団体にとって、住民に対して分別排出の指導などが 容易となる。またこのため地方公共団体自身も、容器包装リサイクル法のシステムに参加 しやすくなる。③容器包装の種類ごとの分別精度の向上が図られるため、異なる素材の混 入が少なくなり、こういった異物の除去が容易になるとともに、再商品化後のリサイクル 製品の向上などが期待できる。④同様に、分別精度の向上が図られるため、再商品化義務 を負う特定事業者の再商品化コストがより適正なものとなる。としている。また導入の問 題点として、表示スペースなど物理的な制約やデザイン性の高い容器包装の場合、責任の 主体が利用事業者、製造事業者、輸入販売事業者にあることによる新たな47経済的・社会的 コスト(500億円)、などがあげられる。
この政策は私達が掲げた問題の解決、つまり消費者の分別排出が容易になることにある 程度寄与できるものだと評価できる。しかしこの政策ではまだ自治体の容リ法参加に消費 者の賛同が得られない。それは消費者にとって容リ法参加は自治体のサービス低下である ことに変わりはないからだ。そこで私達は、改めて消費者の分別するインセンティブを伴 った政策を提言したい。
その提言とは、「識別表示のポイント制」である。これは、表示義務のある特定事業者が ただマークをつけるだけでなく、消費者はそのマークを集めることでポイントをため、何 か特典を得られる、というものである。(ベルマークをイメージしていただくとわかりやす い。)具体的にいうと、まずこのマークの印刷の認定を行うのは容リ協会である。特定事業 者として協会と事務手続きをすんだ企業にその印刷を認める。この状況を受けて次に消費 者の段階で考えてみる。消費者に提供される商品は 3 種類あると考えられる。①容器包装 を極力削減した簡易包装商品②認定マークが印刷されその分のコストが価格に上乗せされ た商品③フリーライダーとして認定を受けず、価格も二つ目ほどには高くない商品。この 商品は、特定事業者自身が自社の容器包装が法の対象となるかどうかわかっていない商品 であるため、必然的に消費者にとっては分別も難しくなる。識別表示の場合、これらのフ リーライダーと、協会にきちんと委託している特定事業者との負担はさらに広がる一方で あるが、マークを認証化すれば、消費者がプラマークをついた商品を選ぶことでフリーラ
46 平成11年12月6日、産構審(廃棄物リサイクル部会15回容器包装リサイクル小委員会) 資料〜容器包装の識別表示・材質表示について
47 平成11年12月5日、日刊工業新聞「容器包装リサイクル最適循環への挑戦11」
イダー問題が解決されると仮定できる。残るのは前者 2 種類の商品である。一つ目の簡易 包装商品は企業努力次第であるが、価格競争力があるものならば消費者が積極的に選択す ることになり理想といえよう。しかし現状でそのような企業はまだ少ない。そこで二つ目 の商品が大部分を占めることになるのだが、消費者は特典がもらえると理由で商品につい ている認定マークを切り取り集めておく。そしてその際、そのマークがついているものが 容リ法の対象となっているものだと容易に識別することができるはずである。こうすれば 法基準にあったプラスチックが分別排出されることになり、自治体での収集量も増えるで あろう。そしてその次の段階である再商品化事業者が処理するプラスチックがないという 問題も解消されるはずである。
ここでさきほどからマークの収集による特典という話をしているがその特典について述 べたい。その特典とは「再商品化製品が安く購入できる」というものである。これは再商 品化製品の販売の活性化を図ると同時に消費者生活の中にリサイクル製品を浸透させると いう目的がある。実際にはそのマークで割引のきく製品に印をつけることで識別すること になるだろう。しかしここで問題なのはその割り引かれた分を誰が負担するかということ である。PET ボトルリサイクルの研究では再商品化事業者が利益が見込めないと理由で参 入が滞っていたという問題があった。つまり再商品化事業者にこれ以上の負担を強いるこ とは不可能である。それでは誰か。ここで私達が考えた答えは自治体である。EPR の概念 を思い出していただきたい。これまで自治体が行ってきた廃棄物処理を生産者に負わせ、
廃棄物の削減とその再商品化を促すのが目的であった。そして自治体はその浮いた費用分 を住民税を下げるという形で消費者に還元する、つまりいわゆる「税金の二重取り」の解 消、そして消費者は処理コストの内部化された商品を買う、これがそれぞれの主体の役割 であった。ここでその概念を今回に当てはめて考えてみると、自治体は住民税減税を行い、
消費者に還元すべきであるはずなのにそれが実施されていない。だからその分を再商品化 製品の割引分に当てようというのが私達の主張である。そうすれば環境意識の高い(マー クを収集する消費者はそのマークを切り取った後、分別排出するものとする)消費者は恩 恵をこうむることになる。これが私達の提案する「分別のインセンティブ」である。(図 表
2−5)
以上が私達の考えだがもちろんこれが簡単には実現するとは考えにくい。まず最初の段 階でフリーライダー問題が解消すると仮定したが現実的に考えると、特定事業者への請求 金額よりも事務手数料がかかるという例も多いため、請求金額の基準を上げるなりして対 応せねばならないだろう。