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Ⅱ  新しい E L V リサイクルフローの提言

ドキュメント内 日本の廃棄物問題への提言 (ページ 44-51)

解体事業者が組織されていないことによる問題を解決する為には、逆有償の場合のみで はなく静脈産業であるすべての解体事業者、シュレッダー事業者を組織化すべきであろう。

現段階においては逆有償の場合のみ、解体事業者等の認定制度があり、県(政令市)によ って業許可が与えられるシステムになっているが、これはあくまで逆有償の場合であり、

特に「解体事業者」、「シュレッダー事業者」としての組織がつくられているわけではない。

よって我々は解体事業者・シュレッダー事業者を統括する組織を作ることを提言する。そ

の組織をEnd of Life Vehicles Organization(以下ELVO)と呼ぶことにし、その組織に解

体事業者・シュレッダー事業者が加入する為にはある程度のリサイクル率を達成していな ければならないなどの条件を設けることにする。この認証システムを設けることによって 社会全体のリサイクル率の水準が自ずと高められ、最終的にはシュレッダーダストの埋め 立て量を減量することを目的とする。ELVO は容器包装リサイクル法を施行する為にある 日本容器包装サイクル協会に似通っていると言え、容器包装リサイクル法と同様にこの新 しいシステムでは、大前提にメーカーが自分の生産した自動車をライフサイクルを通して 製品が適正に処理される責任を負うこととする29。つまり、自動車がどのユーザーに渡り、

どこで処理されたのかを明確にしなければならないのである。もちろん既に自社ブランド のELVが適正処理されていることを確認できるシステムをもっているメーカーの場合はな らばこの義務を課されても問題はないが、まだないメーカーの場合、従来のままのシステ ムでは自社の生産した自動車が適正処理されているかどうかが不明瞭なだけではなく、適 正処理をせずに処理料金だけを安くしている解体事業者などが多く選択されるという逆選 択の状況が発生する可能性がある。現にある解体事業者は逆有償にしないことをだけをモ ットーに手広く商売を行い、廃油などを不法に垂れ流ししている作業場で解体業務を行っ ているケースもある30。このような逆選択の状況の改善、ひいてはメーカーが上記の責任を 果たすためにはELVOのような組織が必要なのである。以下では、ELVOを組み込んだ新 しいシステムのフローを説明する。

29 この考え方は OECD における拡大生産者責任(Extended Producer Responsibility)の提案に基づいている。

http://www.oecd.org 

30  日刊自動車新聞  1996 年 5 月 20 日 

  まずこのフローでは新車がメーカーから新車ディーラーに引き渡され、その新車の移動 をメーカーがELVOに登録する。この時点からELVOにその自動車の情報が記録されるよ うになり、自動車の所有者が変わっていく度にその履歴が情報として ELVO に蓄積されて いく。新車は個人A(新車ユーザー)へと売り渡され、個人Aはメーカーに新車の代金とそ の購入時点において処理される同メーカーのELVの処理費用を支払うことになる。個人A は新車を何年か使用した後、この自動車をディーラーに持ち込み、ディーラーは無料もし

入札

認証 入札

認証

自動車メーカー 新車ディーラー 個人A

︵新車ユーザー︶ 中古車市場 個人B

︵最終ユーザー︶ 新車ディーラー中古車ディーラー

ELVO

(End of Life Vehicle Organization)

解体事業者プール

部品として再使用 または 素材にリサイクル シュレッダー事業者プール

素材にリサイクル 埋め立て

図表 4   新しいELVリサイクルフロー提案

くは有価物としてこれを引き取る。この時点で、ディーラーはその自動車の所有者になっ たとし、ELVO に登録する。そしてその自動車が中古車として販売可能と判断した場合、

中古車市場に乗せ、またそこからその自動車が個人Bへと販売されていく。ここでも個人B へ販売されたことが ELVOに登録される。このようにして自動車は最終ユーザーまで取引 されていくのだが、新しいフロー図(図 表4)では簡略化の為、最終ユーザーを個人Bとす る。個人Bからディーラーに自動車が渡ると、ディーラーはその自動車を再び中古車市場 に乗せる価値がないと判断し、ここでこの自動車はELVとなる。従来ならば今まで取引の あった解体事業者に引き渡すところだが、新しいシステムではここでもELVOに登録する。

この際、例えば BMW のように既に高いリサイクル率を確保出来ている適正処理のルート を持っているメーカーの場合は独自のルートを使っても構わないが、そういったルートが 確立されていないメーカーの車の場合はELVO に登録することで適正処理をする解体事業 者を紹介してもらえる。ELVO にて処理先が決定すると、ディーラーから直接解体事業者 へとELVが運ばれ適正処理が行われる。その後にELVはELVOに認証されたシュレッダ ー事業者に運ばれ、処理される。最後にELVO に登録された車が処理済ということで抹消 されることになり、ELVが適正処理されたということがわかる。

では、各主体の役割はどのように変化していくのか。それを見ていくとともに、各主体 に及ぼす影響やメリットを挙げて行きたい。

(1) 自動車メーカー

自動車メーカーにおいては、ELVO を設立することに付随し、拡大生産者責任を適用さ せるため、ELV に関する処理費用を支払わねばならない31。それによって自動車メーカー に働くインセンティブとしては、自らの支払いを減らすか、または有償での取引から利益 を得るために、最終処分に至る量が減るような設計を行うことや、リサイクルが低コスト で最大限に出来るような設計を行うことが挙げられる。

(2) 最終ユーザー

最終ユーザーは自らが使用したELVを販売会社へ持ち込み、販売会社は最低無料でそれ を引き取ることとなる。

ELVの処理費用についてはELVOを通じて逆有償を解消されるので、最終ユーザーが支 払う廃車費用がゼロ以上となる。そのため、不法投棄の減少に対して一助を与える事とな る。

(3) 販売会社(新車ディーラー及び中古車ディーラー)

販売会社では、ELV を無料で最終ユーザーから引き取った後、従来ではその処理をする

31 ここでの支払いは一時的な「支払い」であって、最終的な負担とは必ずしもならない。詳細については、『わが国 の廃棄物政策と拡大生産者責任』  山口光恒  pp.7-10 を参照願う。 

解体事業者に引き渡すこととなっていたが、新システムでは ELVO にまず登録する。その 上でELVOより指定された解体事業者にELVを引き渡すという形を取る。

ELVOによって静脈産業が組織化されると、販売会社にとっては、ELV の引き取り先が 明確化される。従来では相対取引であったため、逆有償の際の処理費用が安定的でなかっ たが、ELVO を通すことで、低コストで適正処理をしている解体事業者を容易に見つけ出 し、そこへ引き渡すことが出来る。また、逆有償化している処理費用を ELVOが負担する ため、販売会社にとっては必ず無料で引き取ってもらえることとなり、ここでも不法投棄 減少に効果が望める。

(4) 解体事業者

解体事業者は適切な処理をし、かつ高いリサイクル率を達成しているかどうか、ELVO に認証を受ける。ELVOの認証を通ると、優良な解体事業者であることが証明され、ELVO での入札に参加が可能となる。入札でELVリサイクルの権利を取得すると、一定量のELV を引き取る事ができる。

解体事業者においては、入札において競争が発生するため、それぞれの事業者に努力が なされることにより、全体的な適正処理の底上げ、ひいてはリサイクル率の上昇が図られ る。また、入札によりELVリサイクルの権利を取得した解体事業者にとっては、確実に一 定量のELVを引き取ることができるため、事業の安定化が図られることとなり、ひいては 低コスト化、適正処理徹底のインセンティブとなる。

(5) シュレッダー事業者

シュレッダー事業者は、解体事業者と同様の流れとなっており、認証、入札という手順 を経て、解体事業者から一定量のELVを受け取ることができる。

シュレッダー事業者にとっては、解体事業者と同様に入札でリサイクルの権利を決定し、

かつ権利を取得すれば一定量のELVが確保できることから、そこには低コスト化、及び適 正処理徹底へのインセンティブが働くこととなる。

(6) ELVO

ELVO は入札と認証を行い、かつ情報のデータベース機能と資金配分機能を持つ機関で ある。具体的な入札の方法は、まず前年度までの実績から、シュレッダー事業者や解体事 業者は1tあたりの価格(または処理費用)を提示し、そこで入札価格を決定する。決定さ れた入札価格と次年度におけるELVの量の予測をもとに、次年度の処理費用を計算し、メ ーカーからその料金を徴収する。メーカーに費用徴収をする場合は、各メーカーの自動車 のリサイクル可能率を指標として、費用を分割する。

以上各主体の役割とその効果を述べてきたが、この新システムによって社会的に達成さ

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