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6 .   プラスチックリサイクルの現状認識 1)  現在生じている(懸念されている)問題点

ドキュメント内 日本の廃棄物問題への提言 (ページ 55-60)

A .消費者部門

まず消費者部門における問題点は、容器包装とそうでない普通のプラスチックの判別が 困難な為、家庭から排出される容器包装関連ごみの中でプラスチックの占める割合は他と 比べて圧倒的に高いにも関わらず(図 表 2−1 参照)、分別排出が理想通りに行われないと いう事である。

図表 2−1  家庭用ごみ袋3 6に換算した場合の容器包装関連ごみ排出量の例

一世帯一ヶ月あたり排出量 ごみ袋に換算した場合排出袋数 家庭ごみ全体 580リットル 19袋

PETボトル 24リットル 1袋

びん・缶 36リットル 1袋

その他プラスチック製 容器包装

200リットル 7袋

その他紙製容器包装 70リットル 2袋

その他 250リットル 8袋

出所:容器包装リサイクル法  分別収集計画ガイドブック(改訂版)リサイクル法令研究会監修

適切な分別排出の為には、自治体の徹底した指導が必要と思われるが、後述する通り、

指導やPRの為の費用がかかり、自治体にとっても大きな負担となるため、徹底は難しいと 考えられる。容器包装リサイクルのスタート地点である消費者部門で正しい分別排出が行 われなければ、その後の処理が円滑に実施されなくなってしまう為、消費者段階での適切 な分別排出は重要な課題である。通産省が行った消費者へのアンケートやパブリックコメ

36 30リットル詰めのごみ袋

ント等によると、多くの消費者がプラスチック容器包装の分別がわかりにくい、と主張し、

識別の為の表示を望んでいる37。この為、昨年7月には容器包装識別表示等検討委員会が設 置され38、容器包装に表示を行う事についての検討が行われている。表示がなされる事によ って期待される効果としては、自治体による住民への分別排出指導の容易化、消費者の分 別排出の促進、これによる容リ法への自治体参加の増加、容器包装の分別精度の向上、リ サイクル製品の品質向上等があり、(検討課題は残されているものの)表示がもたらす効果 は大きいとみられる。

しかし問題なのは、実際に分別への認識が高まり、表示も行われ、消費者による分別排 出が容易となっても、現実として特に洗いにくい容器や油ものが入っていた容器等は排出 基準を満たす為には面倒な手間がかかるため消費者がすべての分別を行うのか、消費者の 意識がどの程度であるのか、という事である。この事は今後の結果を大きく左右する事と なると考えられる。

B .容器包装リサイクル協会と参加企業

リサイクル協会における現状の問題点は、事業者の申し込みが進んでいないという事が ある。前章で述べられている通り、容器包装を製造・使用する特定事業者はリサイクル協 会に申し込みをする必要があり、今月からは新たに11万〜13万社が対象となった。にもか かわらず、現在の申し込み企業は1月下旬になっても 1 万社に達しなかったため、リサイ クル協会は 2 月末まで申し込み期限を延長せざるを得なかった。この申込事業者の不参加 問題の原因として考えられるのが、事業者にとって何が容リ法の対象物となるのか、とい う判別が難しい、という事である。これができなければ重量が39測定出来ない為、最終的に 申込もできないのである。申込が行われなければ容器包装リサイクル協会は委託費用を得 る事ができず、結局法のサイクルが回らなくなってしまうのである。

C .リサイクル段階における問題点

今後プラスチックの分別収集がすすむもの、と過程しても、リサイクル段階における問 題点も避けられない問題として残される。現在収集されたプラスチックは、マテリアルリ サイクルとケミカルリサイクルの二つの手法によってリサイクルされる、と認められてい るが、法律においてはなるべく同じ物にリサイクルする、という事を基本理念としている 為40、マテリアルリサイクル事業者の間では原料の過多が、ケミカルリサイクル事業者の間 では原料不足が起こってしまうのではないか、という事が懸念されている。というのも、

37産業構造審議会廃棄物・リサイクル部会第15回容器包装リサイクル小委員会資料4 より。

38脚注1参照。

39リサイクル協会への支払金額は材料が同質の場合は重量で決定されるので。

40 環境基本計画(平成6年12月)によって、再商品化については原材料として利用するリサイクルを優 先的に行い、これが技術的な理由などにより困難な場合は、環境保全対策を講じつつエネルギーとしての 利用を行う、とされている。

リサイクル事業者を選定する際には、入札方式をとっている41が、容リ法はマテリアルリサ イクルを推進するという形態の為、まずマテリアルリサイクルを優先しマテリアルリサイ クル事業者の選定から行われるので、いくらケミカルリサイクル事業者が低価格で落札し ようと試みてもマテリアルリサイクル事業者とは競合できないのである。よってここにお いてマテリアルリサイクル事業者は原料の獲得が有利であるという形態が出来上がってく る。

しかし、収集されたプラスチックからプラスチック製品へのリサイクルについては様々 な問題点が残されている。現実のプラスチック容器包装には、複数種類のプラスチックが 使用されており、再生プラスチックを作る際には、相当程度の精度の高い分別作業が必要 になる。これに加え、異物の混入が避けられない42ことから、高品質を要求される製品には 対応できないこと、高分子であるプラスチックの場合材料リサイクルにより、新樹脂から 製造したプラスチック製品と比べて再生品の品質が低くなる事、等の問題点が挙げられる。

以上の様にマテリアルリサイクルは困難である上に、このような再生品については現段階 では需要(植木のポット、ペンの軸、すのこ等)が限られている。よって再生プラスチッ クの需要がどこまであるのか、という事も問題となるのである。つまり、マテリアルリサ イクルは入札には有利であるがリサイクルがそこまで進まない、という点から、ここでは 原料過多が起こり、ケミカルリサイクルにおいては、需要が近年伸びているにも関わらず、

入札時点で不利となる為原料不足が起こるのではないか、という事が懸念されている。(現 在業務の入札に参加しようとする企業は油化、ガス化、高炉還元剤、コークス炉等の手法 が中心であり、マテリアルリサイクル43は十数社が表明している程度である)。

図 表 2 − 2   再 商 品 化 状 況

0 10000 20000 30000 40000 50000 60000 70000 80000 90000

油化 コークス 高炉 ガス化

方法

再商品化量 ton/Y

D .自治体

41 それぞれのリサイクル事業者がリサイクル量とリサイクル単価を記入して入札し、最も低価格を提示し た事業者が落札するという仕組みである。

42食べかす、他素材等の不純物の混入等もある。

43マテリアルリサイクルの中でも材料リサイクルをとりあげた。

2000 年度中に分別収集をする自治体は約3300 のうち、494 となっている。この参加自 治体数の少なさは、分別収集の際の分別基準44が高い事によるコスト負担、分別収集の際の 人件費、収集車の費用、保管場所の為の費用、等のコスト面の負担が大きすぎる事に端を 発していると考えられる。また消費者に分別排出を徹底させる術(最も費用がかかるとい われているのが住民に対しての説明である、とされている45)が未だ見つかっていないとい う問題点が、確実に収集するという事を困難にしており、容リ法において求められている 基準が達成できない、という結果をもたらしている。

2)現状分析

再商品化事業者においては当初プラスチックリサイクルを実行するにあたって、PET の 現状と同じように、膨大な量が集まり、再商品化事業者の再商品化施設のキャパシティを 確保できないのではないか、という事が懸念されていた。しかし現実にはPETの際とは逆 に、プラスチックリサイクルにおける自治体参加が少ないためプラスチック収集されてこ ない、という事が問題となっている。ただし、容器包装プラスチックに於けるこの現状は 仕方なくそのようになってしまったというよりは、そうなるように誘導したという側面が 強い。つまりPETが集まりすぎているという状態を鑑み、その轍を踏むまいと分別物適合 基準を意図的に厳しく設定したのである。これは、現状のプラスチック再商品化キャパシ ティを超える無秩序なプラスチック収集を防ぎ、品質の高いプラスチックのみを集めてよ り水準の高いリサイクルを目指そうという考えが反映された結果である。 

平成12年度の再商品化見込み量と分別収集見込み量は図 表 2−3 の通りである。施行直 前となってみると自治体の参加が任意の為、その参加数が計画を下回り、分別収集される プラスチック容器包装の分別収集見込み量が再商品化見込み量よりも少なくなっているの がわかる。

44プラスチック製容器包装の分別収集の基準例  財団法人容器包装リサイクル協会HPより(分別基準  平成 11 年 厚生省令 65 号)。 

8.1  原則として最大積載量が 1 万キログラムの自動車に積載することができる最大の容量に相当する程度の分量 の物が収集されていること 

8.2  原材料として主として他の素材を利用した容器包装が混入していないこと  8.3  容器包装以外の物が付着し、又は、混入していないこと。 

8.4  圧縮されていること。ただし、白色の発砲スチロール製食品用トレイのみの場合にあっては、この限りではな  8.5  飲料又はしょうゆを充てんするためのポリエチレンテレフタレート製の容器が混入していないこと。 

8.6  プラスチック製のふた以外のふたが除去されていること。8.7  白色の発砲スチロール製食品用トレイのみの場 合にあっては、洗浄され、乾燥されていること。 

等が挙げられる。

45 町田市ヒアリングより。

ドキュメント内 日本の廃棄物問題への提言 (ページ 55-60)