第4章 指導計画の作成と内容の取扱い
第1節 指導計画の作成に当たっての配慮事項
1 特別活動における主体的・対話的で深い学び
学習指導要領第6章の第3の1の (1) で,次のとおり示している。
(1) 特別活動の各活動及び学校行事を見通して,その中で育む資質・能 力の育成に向けて,児童の主体的・対話的で深い学びの実現を図るよ うにすること。その際,よりよい人間関係の形成,よりよい集団生活 の構築や社会への参画及び自己実現に資するよう,児童が集団や社会 の形成者としての見方・考え方を働かせ,様々な集団活動に自主的,
実践的に取り組む中で,互いのよさや個性,多様な考えを認め合い,
等しく合意形成に関わり役割を担うようにすることを重視すること。
この事項は,特別活動の指導計画の作成に当たり,児童の主体的・対話的で深 い学びの実現を目指した授業改善を進めることとし,特別活動の特質に応じて,
効果的な学習が展開できるように配慮すべき内容を示したものである。
特別活動の指導に当たっては,(1)「知識及び技能」が習得されること,(2)「思 考力,判断力,表現力等」を育成すること,(3)「学びに向かう力,人間性等」
を涵養することが偏りなく実現されるよう,内容や時間のまとまりを見通しなが ら,児童の「主体的・対話的で深い学び」の実現に向けた授業改善を行うことが 重要である。
児童に特別活動の指導を通して「知識及び技能」の習得や「思考力,判断力,
表現力等」の育成を目指す授業改善を行うことは,これまでも多くの実践が重ね られてきている。そのような着実に取り組まれてきた実践を否定し,全く異なる 指導方法を導入しなければならないと捉えるのではなく,児童や学校の実態,指 導の内容に応じ,「主体的な学び」,「対話的な学び」,「深い学び」の視点から授 業改善を図ることが重要である。
「主体的・対話的で深い学び」は,必ずしも1単位時間の授業の中で全てが実 現されるものではない。単元など内容や時間のまとまりの中で,例えば,主体的 に学習に取り組めるよう学習の見通しを立てたり学習したことを振り返ったりし て自身の学びや変容を自覚できる場面をどこに設定するか,対話によって自分の
第4章 指導計画の作成と内容の取扱い
1指導計画の作 成に当たって の配慮事項 考えなどを広げたり深めたりする場面をどこに設定するか,学びの深まりをつく
りだすために,児童が考える場面と教師が教える場面をどのように組み立てる か,といった視点で授業改善を進めることが求められる。また,児童や学校の実 態に応じ,多様な学習活動を組み合わせて授業を組み立てていくことが重要であ り,単元のまとまりを見通した学習を行うに当たり基礎となる知識及び技能の習 得に課題が見られる場合には,それを身に付けるために,児童の主体性を引き出 すなどの工夫を重ね,確実な習得を図ることが必要である。
主体的・対話的で深い学びの実現を目指して授業改善を進めるに当たり,特に
「深い学び」の視点に関して,各教科等の学びの深まりの鍵となるのが「見方・
考え方」である。各教科等の特質に応じた物事を捉える視点や考え方である「見 方・考え方」を,習得・活用・探究という学びの過程の中で働かせることを通し て,より質の高い深い学びにつなげることが重要である。
以上が全教科等共通の考え方になるが,特別活動における「主体的・対話的で 深い学び」については,第2章の第1節の3で基本的な考え方を説明したとおり である。本項では,特別活動の特質に応じた「主体的・対話的で深い学び」を実 現するために,特に留意すべきことを示している。
「特別活動の各活動及び学校行事を見通して」とは,各活動・学校行事の全体 を通して「主体的・対話的で深い学び」の実現を図るということである。他の教 科等のように「単元」や時間のまとまりがなく,また,各活動・学校行事が順番 に行われるのではなく同時並行的に行われるものであるということを踏まえ,学 級活動,児童会活動,クラブ活動及び学校行事のそれぞれの年間指導計画の作成 に当たり,各活動・学校行事を通して,「主体的・対話的で深い学び」が実現す るように組み立てるということである。
「よりよい人間関係の形成,よりよい集団生活の形成や社会への参画及び自己 実現に資するよう」とは,第2章でも説明した,特別活動で重視する三つの視点 である。三つの視点は育成を目指す資質・能力に関わるものであると同時に,そ れらを育成する学習過程においても重要な意味をもつものである。特別活動の
「主体的・対話的で深い学び」を実現しようとすることは,この三つの視点を重 視するということを意味する。
「様々な集団活動に自主的,実践的に取り組む」ためには,各活動・学校行事 の特質や内容を踏まえつつ,活動の内容や活動形態を児童が選択・決定する余地 を大事にすることや,活動に必要な資料や情報等を自分たちで集め,活動の結果 についても自分たちで振り返り評価するなど,主体的な活動を可能にすることが 大切である。
「互いのよさや個性,多様な考えを認め合い,等しく合意形成に関わり役割を
第4章指導計画の 作成と内容 の取扱い
担うようにする」とは,例えば,課題を解決するために話し合い,合意形成を図 る場合には,友達との考え方の違いを認め,友達の考えの意味を考え,それぞれ の考えをつなぎながら,新たなものを全員で生み出していくような話合いができ るようにすることである。何人かの活発な児童の発言によって決まったり,同調 圧力となったりしないように,学級全員で合意形成に関わるようにすることが大 切である。また,合意形成を図るだけでなく,学級全員で役割を担うことで,決 めたことの実践が学級全員のものになるようにする。役割を担うことで様々なこ とを学ぶと同時に,自己有用感が育まれる。特に小学校の段階では,一部の児童 だけでなく,すべての児童が役割を果たすことを経験し学ぶことができるよう に,活動の内容や方法を工夫することが重要である。
このような「互いのよさや個性,多様な考え方を認め合い,等しく合意形成に 関わり役割を担う」特別活動の経験が,卒業後,一人一人の存在が尊重される集 団づくりや,ひいては平和で民主的な国家,社会を形成する人間を育成すること になる。
2 特別活動の全体計画と各活動・学校行事の年間指導計画の作成
学習指導要領第6章の第3の1の (2) で,次のように示している。
(2) 各学校においては特別活動の全体計画や各活動及び学校行事の年間 指導計画を作成すること。その際,学校の創意工夫を生かし,学級や 学校,地域の実態,児童の発達の段階などを考慮するとともに,第2 に示す内容相互及び各教科,道徳科,外国語活動,総合的な学習の時 間などの指導との関連を図り,児童による自主的,実践的な活動が助 長されるようにすること。また,家庭や地域の人々との連携,社会教 育施設等の活用などを工夫すること。
特別活動の目標は,特別活動の各活動・学校行事の実践的な活動を通して達成 されるものであり,その指導計画は,学校の教育目標を達成する上でも重要な役 割を果たしている。したがって,調和のとれた特別活動の全体計画と各活動・学 校行事の年間指導計画を全教職員の協力の下で作成することが必要である。
ここで示した「特別活動の全体計画」とは,特別活動の目標を調和的かつ効果 的に達成するために各学校が作成する,特別活動の全体の指導計画のことであ る。このような特別活動の全体計画を作成する際には,教諭や養護教諭,栄養教 諭,学校栄養職員,司書教諭,学校図書館司書などの全教職員が連携して指導に
1指導計画の作 成に当たって の配慮事項 当たるため,全教職員の共通理解と協力体制が確立されるようにしなければなら
ない。例えば,各学校における特別活動の役割などを明確にして,重点目標や各 活動・学校行事の内容を設定することが大切である。また,特別活動に充てる授 業時数や目標,設置する委員会やクラブの組織や実施する学校行事等を明らかに しておくことが大切である。
特別活動の全体計画に示す内容には,例えば,次のようなものが考えられる。
○ 学校教育目標
○ 特別活動の重点目標
○ 各教科,道徳科(道徳科の内容項目や道徳科の重点),外国語活動及び総 合的な学習の時間などとの関連(教育課程外の活動等との関連を含む)
○ 学級活動,児童会活動,クラブ活動,学校行事の目標と指導の方針
○ 特別活動に充てる授業時数等
○ 特別活動を推進する校内組織
○ 評価 など
この特別活動の全体計画に基づいて,学校や学年又は学級ごとなどに,指導目 標,指導内容,指導の順序,指導方法,使用教材,指導の時間配当,評価などを 示したより具体的な指導計画が,「各活動・学校行事の年間指導計画」である。
各活動・学校行事ごとの指導計画の作成については,第3章において説明した通 りである。
以下は,全体計画の作成及び各活動・学校行事の年間指導計画の作成に当たっ て,共通して留意すべき点を説明する。
(1) 学校の創意工夫を生かす
特別活動については,教科のように具体的な内容までは示されていないなどの 弾力性を積極的に生かし,各学校において特色ある指導計画を作成することが求 められる。そのためには,まず,地域や学校,児童の実態等を踏まえ,学校とし ての基本的な指導構想を明確にし,それに即した創意ある計画を立てることが重 要である。
各学校における創意工夫は,地域の特色,学校や児童の実態,そしてこれまで の実施の経験や反省などを生かして発揮されていくものであり,指導計画の作成 に当たって学校としての校内体制を確立していくとともに,学校の創意や工夫を 生かした教育活動を行うために必要な時間が確保できるよう,全教職員が協力し ていくことが大切である。
学校や地域の特色を生かした各活動・学校行事の実施のために,各活動や行事 のつながりを常に意識し,組織的に年間を通した「編成」,「実施」,「評価」,「改