第3章 各活動・学校行事の目標及び内容
第3節 クラブ活動
1 クラブ活動の目標
学習指導要領第6章の第2〔クラブ活動〕の1「目標」で,次のとおり示され ている。
異年齢の児童同士で協力し,共通の興味・関心を追求する集団活動の 計画を立てて運営することに自主的,実践的に取り組むことを通して,
個性の伸長を図りながら,第1の目標に掲げる資質・能力を育成するこ とを目指す。
クラブ活動は,主として第4学年以上の児童で組織される学年や学級が異なる 同好の児童の集団によって行われる活動である。
「異年齢の児童同士で協力し」とは,学級や学年の枠を超えて,同好の児童が 自治的に組織したクラブにおいて,よりよく交流したり,自己の役割を果たした りするなどして協働して目標を達成しようとすることを示している。
「共通の興味・関心を追求する集団活動の計画を立てて運営することに自主 的,実践的に取り組む」とは,教師が作成した指導計画に基づき,各クラブの児 童が自分たちの共通の興味・関心を追求するための内容や方法などについて話し 合い,年間や学期,月ごとなどに具体的な活動計画を立てたり,役割を分担しク ラブの一員としての役割を果たして協力して実践したり,実践したことを振り 返ってクラブの更なる充実を目指したりするなどのクラブの運営に,自主的,実 践的に取り組むことを示している。
「個性の伸長を図り」とは,自己の興味・関心について自覚し,そのよさや可 能性を将来にわたって追求しようとする態度を助長する指導の重要性を示してい る。また,互いの興味・関心についてのよさや可能性を理解したり,認め合いな がら追求し合ったりするなどの態度を助長する指導も重要である。
第1の目標に掲げる資質・能力を育成するために,クラブ活動においては例え ば次のとおり資質・能力を育成することが考えられる。
○ 同好の仲間で行う集団活動を通して興味・関心を追求することのよさや意義 について理解するとともに,活動に必要なことを理解し活動の仕方を身に付け るようにする。
○ 共通の興味・関心を追求する活動を楽しく豊かにするための課題を見いだし,
解決するために話し合い,合意形成を図ったり,意思決定したり,人間関係を
3クラブ活動 よりよく形成したりすることができるようにする。
○ クラブ活動を通して身に付けたことを生かして,協力して目標を達成しよう としたり,現在や将来の生活に自分のよさや可能性を生かそうとしたりする態 度を養う。
クラブ活動において「人間関係をよりよく形成する」とは,学年や学級を超え た異年齢集団によって行われるクラブ活動の機会や場を多様に設定することによ り,上級生は下級生に対して思いやりの気持ちをもって接し,下級生は上級生に あこがれや尊敬の気持ちをもって協力できるようにすることなどである。
児童の創意工夫によって運営され,興味・関心を追求するクラブ活動は,日常 の生活において余暇を有効に活用しようとする積極的な態度を身に付けることに も役立つものである。また,同好の友人と共通の興味・関心を追求することか ら,児童が学校を離れて地域においても,クラブ活動の経験を生かして活動する など,地域社会の人材や施設,様々な活動との連携を図った地域における活動と して展開されることも考えられる。興味・関心を追求する活動に取り組むこと は,自己理解を深めるきっかけとなる。中学校に進学した後に,興味・関心を生 かして,部活動などの課外活動や地域の活動に積極的に参加したり,将来的には 進路選択などにもつながったりするものである。
クラブ活動の学習過程は,例えば次のように表すことができる。
第3章各活動・学 校行事の目 標及び内容
クラブ活動の学習過程は,年間を通した一連の学習過程と,1単位時間の活動 の学習過程からなる。年間を通しての学習過程は,クラブ活動の内容の (1),
(2),(3) に対応している。年度の初めに,「クラブの組織づくりとクラブ活動の 計画や運営」について児童がクラブの活動計画や役割分担などを話し合って合意 形成し,活動計画に基づいて「クラブを楽しむ活動」を行う。1単位時間の「ク ラブを楽しむ活動」も児童の自発的,自治的な活動であり,クラブの状況に応じ て内容について話し合ったり,役割分担を行ったりする。そうした過程を経て
「クラブの成果の発表」を行うとともに,振り返りの活動を行う。このような学 習過程を踏まえて,必要な授業時数を確保するとともに,児童の自発的,自治的 な活動が展開できるようにすることが必要である。
2 クラブ活動の内容
学習指導要領第6章の第2〔クラブ活動〕の2「内容」で,次のとおり示して いる。
活動内容 クラブ活動の設置
次年度の活動に生かす,興味・関心の追求
クラブの所属 計画や運営についての話合い 計画や運営方針の決定 クラブ活動
クラブ活動の学習過程(例)
自分の興味・関心に基づ き,新たにつくりたいクラ ブを提案する。
振り返り(学期・年度末)
活動を振り返り,次の活 動に生かす。
クラブの成果の発表 クラブを楽しむ活動
クラブの活動を通して共通 の興味・関心を追求する。年 間の活動内容や成果の発表を する。
振り返り(活動ごと)
活動を振り返り,次の 活動に生かす。
計画や役割についての話合い 活動内容や活動計画 について話し合ったり,
役割分担したりする。
計画や役割の決定 合意形成を図り,活動 内容や活動計画,役割を 決める。
活動 分担された役割を果た したり,活動を楽しんだ りする。
活動を楽しむ。活動を振り 返り,次の活動に生かす。
※「クラブを楽しむ活動」に,
短期の活動計画の立案,活 動,振り返りなども含んだ 学習過程の例
自分の希望により,所属す るクラブを決定する。
クラブの活動内容や活動計 画について話し合ったり,役 割分担したりする。
合意形成を図り,クラブ の活動内容や活動計画,役 割を決める。
3クラブ活動 1の資質・能力を育成するため,主として第4学年以上の同好の児童
をもって組織するクラブにおいて,次の各活動を通して,それぞれの活 動の意義及び活動を行う上で必要となることについて理解し,主体的に 考えて実践できるよう指導する。
(1) クラブの組織づくりとクラブ活動の計画や運営
児童が活動計画を立て,役割を分担し,協力して運営に当たるこ と。
(2) クラブを楽しむ活動
異なる学年の児童と協力し,創意工夫を生かしながら共通の興味・
関心を追求すること。
(3) クラブの成果の発表
活動の成果について,クラブの成員の発意・発想を生かし,協力し て全校の児童や地域の人々に発表すること。
(1) クラブの組織づくりとクラブ活動の計画や運営
児童が活動計画を立て,役割を分担し,協力して運営に当たること。
この内容は,クラブ活動において児童が主体的に組織をつくり,役割を分担 し,活動の計画を立てたり,よりよいクラブ活動に向けた課題を見いだし,解決 するために話し合い,合意形成を図って実践したりするものである。
この内容において育成したい資質・能力として,例えば,クラブ活動を充実さ せるための諸問題に気付き,発意 ・ 発想を生かした活動の計画や一人一人のよさ を生かし合えるような組織,クラブの一員として自分の果たすべき役割などにつ いて考え,話し合い,決めたことに協力して取り組むことができるようにするこ となどが考えられる。
教師の適切な指導の下,自発的,自治的な活動としてクラブ活動を展開するた めには,年間や学期,月ごとなどに児童が活動計画を立て,役割を分担し,協力 して運営に当たることができるようにする必要がある。また,所属するクラブの 成員が,クラブの目標の実現に向け,異年齢の児童と話し合ってクラブとしての 意見をまとめたり,計画を立案してその運営に当たったりすることができるよう にすることが大切である。
その際,クラブをより楽しく豊かなものにするために,前年度同じクラブに所
第3章各活動・学 校行事の目 標及び内容
属していた児童の意見などを参考にしながら,児童の発意・発想を生かして活動 が行われるようにする。また,クラブ活動においては,特別活動の各活動・学校 行事や各教科等との指導とも関連を図って,全体として児童による自発的,自治 的な活動が効果的に展開できるようにすることが大切である。
クラブの組織づくりについては,クラブ活動が異年齢の児童による自発的,自 治的な活動を通して,共通の興味・関心を追求する活動であることから,児童の 希望を尊重することが大切である。設置するクラブの種類については各学校の実 態に応じて年間指導計画において示すものであるが,その設置や所属について,
児童の希望ができるだけ生かされるよう配慮することが必要である。
クラブ活動の活動計画については,クラブに所属する児童自らの手によって一 層具体的に立てられるものであり,クラブに所属する児童全員の話合いによって 活動の内容,役割分担などを決めることになる。
また,クラブ活動は,児童が自分たちの思いや願いを込めて活動計画を立てた り,異年齢の活動グループをつくって,グループごとに輪番で運営したりするな ど,自発的,自治的に活動できるようにすることが大切である。さらに,クラブ 活動は,教師の意図によるものでなく,児童の話合いによって運営されるもので あることから,各クラブに所属する児童は,必要に応じて全員で集まり,時には 異年齢の活動グループごとにクラブの計画や運営についての話合いを行うことと なる。話合いによって意見の違いを認め合ったり,集団としての意見をまとめた りして異年齢の児童が協力し合って楽しく活動できるようにすることが望まれ る。
(2) クラブを楽しむ活動
異なる学年の児童と協力し,創意工夫を生かしながら共通の興味・関 心を追求すること。
この内容は,児童が自ら,教師の適切な指導の下に作成した活動計画に基づい て,異なる学年の児童が協力し,創意工夫を生かしながら自発的,自治的に共通 の興味・関心を追求することを楽しむ活動である。クラブは,共通の興味・関心 をもった児童の集まりであっても,異年齢で構成されることなどから,活動内容 に関する習熟には差があったり,興味・関心を追求したい方向性はそれぞれ異 なっていたりすることが考えられる。そうした様々な児童が集まる中で,みんな が楽しめる活動とするための課題の解決に,協力して取り組んでいくことが大切 である。