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富田武先生の御退職に寄せて

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Academic year: 2021

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富田

武先生の御退職に寄せて

法学部長

小林

富田武先生は、一九八八年四月に成蹊大学法学部に助教授として着任されて以来、本年三月に教授職を退職される まで二六年間の長きにわたって成蹊大学法学部の教育と研究に貢献されました。ここに富田先生御退職時の学部長と して一言お礼とお別れの言葉を述べさせていただきます。 富田先生は、神奈川県の私立栄光学園を卒業の後、東京大学教養学部に入学、法学部を卒業され、その後東京大学 大学院社会科学研究科国際関係論修士課程を修了、同博士課程を満期退学されて、本学に赴任しておられます。 富田先生の学問的業績は、ソ連社会主義研究、とくにスターリン体制研究をその中心としています。その成果は一 九九六年に岩波書店から出版された『スターリニズムの統治構造』に収められています。同時に、日ソ関係の研究も 進めておられ、その成果は二〇一〇年に『戦間期の日ソ関係』にまとめられました。近年は、新たな研究領域として シベリア抑留研究に着手しておられます。シベリア抑留に関する出版物は、従来、当事者たちの回想やジャーナリス ティックな刊行物は多かったのですが、学術的研究はさまざまな制約からあまり進んでおらず、とくにソ連側資料を 富田 武先生の御退職に寄せて 1

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80 十分に活用できる研究者による研究は非常に乏しかったのが実態です。この分野で、富田先生は、すでに、一般向け のブックレットとして 『コムソモリスク第二収容所』 、 研 究書として 『シベリア抑留者たちの戦後』 を刊行しておら れ、さらなる研究に意欲を燃やしておられます。 富田先生の研究の原点には太平洋戦争の経験があるものと思います。富田先生ご自身が敗戦直後のお生まれですし、 大伯父様のお一人はレイテ島で自決、また別のお一人はシベリアに抑留されています。その熱い思いが先生の研究全 般を支えている一方で、しかし、先生のご研究は、日本・ロシアなどに残された史料を可能なかぎり追い求め、史料 にもとづいて考察し結論を出すという厳密な学問的方法で行われています。 また、 先生は、 学部のゼミでは、 毎年、 「政治と報道」 をテーマにし、 センセーショナルで一方的になりがちな報 道を批判的に見る目を養い、学生に「自分の頭で考える」姿勢を身につけさせようとしておられました。ゼミの卒業 生からはジャーナリズムの世界で活躍している人材が輩出されています。 富田先生は、研究・教育ばかりではなく、法学部の政治学科主任、法学部長を務められたほか、成蹊大学アジア太 平洋研究センター所長、成蹊学園セクシュアルハラスメント人権委員会委員長、成蹊大学公開講座運営委員長などの 大学・学園の多くの要職を務められ、長年にわたり法学部のみならず大学、学園に多大な貢献をされてこられました。 二〇〇四年に成蹊大学に法務研究科が開設されたのも富田先生のご尽力によるところが大であったといえます。富田 先生のこのようなお力添えに対し我々後輩一同改めて心より感謝の念を表したいと思います。 このたび、ご定年により富田先生が成蹊大学を離れられることになりましたことは、我々法学部としては誠に残念 なことでありますが、先生のご健康のほどをお祈り申し上げますとともに、今後とも私ども後輩を温かくご指導ご鞭 成蹊法学80号 2

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撻くださいますよう切にお願い申し上げる次第であります。

富田 武先生の御退職に寄せて

参照

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