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談話室-香川大学学術情報リポジトリ

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Academic year: 2021

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177 室 話

パキスタンの印象

稲 積

生 私は昭和54年11月11日から12月28日まで 約50日間,文部省科学研究費による海外学 術調査隊の−・員としてパキスタンを訪れる 磯会に恵まれた。この海外学術調査は本学 教育学部の坂東祐司教授,京都大学理学部 中沢圭二教授らを中心に10年前から実施さ れているヒマラヤ前縁地帯の地質学的・古 生物学的研究の−・環として行われたもので ある。今回は「テ、−チス地域の海成ペルム 系の標準区分と国際対比」というテ−・マの ものとに計画されたもので第4回目の調査 に当る。メンバ、−は香川大2人(坂東教 授,筆者),京都大2人,姫路工大1人,広 島大1人,国立博物館1人,大阪市大1 人,パキスタン地質調査所1人の計9人で あった。 本学術調査に化学屋である私が参加した のほ,中一古生界境界付近の環境変化を地 球化学的手法により解明することが,従来 の研究より残された一山Y⊃の課題であったか らである。古生代と中生代の境目(約2億 3千万年前)においてはそれまで繁栄して いた多くの海棲動物が絶滅しているが,こ れが外的因子つまり環境条件(とくに海水 の塩分)の変遷と何らかの関係があるかど うかを調べることを目的としたのである。 この日的のた鋸こは教義元素のホウ素とリ チウムが商用であることが,坂東教授より いただいたイランの岩石の分析の結果判明 している。イランの試料の研究では中一古 生界境界付近で海水の塩分低下を暗示する ような結果が得られているが,同様な結論 が得られるかどうかを検討するため,パキ スタ∵/の試料は現在分析準備中である。 調査の準備と調査後の資料の整理・発送, 結果の検討のためにラホ・−ルというパキス タン第二の郡市に滞在したほか,現地調査 (SaltRange地域)は正味1ケ月であった。 ここでほこの調査とは別にその間に感じた ままの印象を記してみたい。 まず,もっとも強く感じたことは,パキ スタンはイスラム教の国であるということ である。ラホ1−ルのホテルでもそうであっ たが,調査地に向う途中泊った宿では,朝 五\時半になるとお経と浪花節を混ぜ合せた ような気息い音に日を覚された。後から開 くとこれはイスラムの早朝のお祈りをラウ ドスピ・−か−・で町中に流している声である ことがわかった。現地調査を行う日は,胡 7時起床,7時半朝食,8時過ジ・−・プで宿 舎発,10時前調査地着,10時∼4時過調査, 6時帰着,7時夕食,その後調査の検討会 というスケジュ・−ルであったが,現地から 宿舎に帰る途中でジープの運転手が時計を

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稲 欝 畢 生 とどう関りがあるかよくわからないが,パ

キスタンの男性が物見高く,写英を振られ

たがるのとは好対称でおもしろい印象を受 けた。 イスラム教の国は総じて飲酒に制限が設 けられて−いるが,パキスタンでも現政権で は禁酒政策が採られている。外国人はホテ ルのPermit Roomでは飲めるが,それも 本人の氏名,父親の氏各 住所,国籍,宗 教等を記入する証明雷にサインして許可を 得なければならない。それに引きかえこの 国でほ紅茶は多いようで,これが大衆の潤 滑剤になっているようにみえた。町のさし ずめ喫茶店やドライブイソ(テ・−・プルと床 几を道端に並べたもの)では劇杯のお茶を 飲みながら休んでいる姿が見られた。/ミキ スタン流の紅茶は紅茶の乗とミルクと砂糖 を鍋の中でぐらぐらと沸騰させるわけであ るが,他に何か香料がはいっているようで ある。1Ⅰげ当り数十匹もいようかと思われ る蝿をおもむろに追い払いながら飲んだ1 杯1ルピー・(24円)の紅茶の味は,疲れた 体には高価な料理を食べるよりよほど壮快 であった。 これまで述べたことほかなり感覚的な印 象の断片にすぎない。言葉では言い尽せな いが,2ケ月に満たない短い滞在にもかか わらず,イスラム教が民衆の生活に根ざし て,その基盤をつくっているということが 肌身に感じられた。丁度パキスタンを離れ る日に,その隣国アフガニスタソヘのソ連 軍の侵入という憂慮すべき事態が発生した が,その後感じたことほイスラム教を信奉 する同国民がこれを唯々と膏雇することは ありえまいということであった。侵入ソ連 軍に敬しく対抗しているのはイスラム教団 を主体とするゲリラだという報道ほこの宗 178 見ながらそわそわしてくることがある。こ れは日没の礼拝の時間が迫っているから で,5時半になると串を止めて道路沿いの 小さなモスクに入って敬虔なお祈りを捧げ るのである。その間われわれ日本人はタノミ コを吹かしながらジっと待っているわけで ある。さらにおどろいたことは,−・般の乗 合バスでも事情は同じなのである。宿舎を 移動するために一度バスを利用したことが あるが,たまたまそれが夕方の時間であっ た。途中5時半になると乗客の半分ぐらい はぞろぞろとバスを下りて行くから何かと 思ったら,やはり,道端の礼拝所で日没の お祈りをするというのである。イスラム教 徒には正式には,夜明け,正午,年後の日 没直後,夜半の1日5回の礼拝が義務づけ られている。人々がどれく小らいこれを忠実 に実施しているかは定かでないが,少くと も1日何回かのお祈りほ欠かさず行ってい ると思われる。政権を掌握している現大統 領は5回の礼拝を実行しているという。 女性が黒いチャーデルを着用している姿ほ 都市でも田舎でも見かけられたが,その割 合は平均すれば2′−3割であろうか。女性 が職場で働いているのははとんど見なかっ た。ホテリレ,レストラン,商店で対応する のは男性だけである。出発前にパキスタン では酒炉の持込みと女性の写真投影には供 重になるように.注意を受けていたにもかか わらず,これには失敗談がある。ラホール での休日(金曜日)にシャリマ・−・ル庭園を 訪れたとき,民族衣裳を付けて着飾った女 性の一団がいたので,シャッターせ切ると .見ていた連れの男性から猛烈な抗議を受け た。泣き面に蜂で,近くにいた男性団から もこ・の国でほ女性撮影ほまカモりならぬと諭 される羽目になった。これがイスラム教義

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教の板強さを物語っている。パキスタソ建 国の歴史をひもといてみると,インドから の分離独立により,イスラムに基づく清浄 な(パキ)国(スタソ)をつくり,自立の 道を選ぶ以外そのよって立つ基盤がないこ とが理解できるような気もする。 今回共同調査をしたパキスタン地質調査 所の所員の人々をほじめ,宿舎や荷や現地 で会った人達は親しみを持ってわれわれに 179 接してくれた。途中通過した小さな町で休 憩したときなど,最初は中国人かと尋ねら れるが,日本人で東京から来たことを告げ ると,来た目的や日本のことなどを関れ た。お茶をしきりに誘われることもあっ た。今回の調査を無事終了したことにあた り,友交的で親日的だったパキスタンの人 達に心より感謝の意を表したい。

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