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日本糖尿病学会誌第58巻第7号

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Academic year: 2021

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地方会記録

第 51 回日本糖尿病学会

近畿地方会

会期:2014 年 10 月 25 日(土)

会場:大阪国際会議場

会長:近藤

(公立那賀病院名誉院長) O-1 リナグリプチンの腎保護効果に関する検討(KK-Ay マウスを用いた検討) 摂南大学薬学部病態医科学研究室 辻 琢己 米須香那 田渕寿美 磯部忠良 薦田侑里香 宮西将之 深田龍哉 宮本茉奈美 坂野理絵 吉田侑矢 河野武幸 【目的】本研究では,リナグリプチンが腎機能の低下を抑制できるか 否かを調べた.リナグリプチンによる腎保護効果が明らかとなれば, 血糖コントロールと同時に糖尿病腎症による透析導入を回避(遅延) できると考えられる.【方法】糖尿病を発症した KK-Ayマウスを,リナ グリプチン群,リラグルチド群,オルメサルタン群およびプラセボ群 に分けた.6 週間治療し,血糖値,血圧,尿中アルブミン濃度等を調 べた.【成績】リナグリプチンによる尿中アルブミンの減少効果は限 定的であり,血圧が 120 mmHg 以下の個体でのみ,尿中アルブミンが 減少した.また,その他の治療によっても同様の結果が得られた.【結 論】本研究の結果から,血圧を 120 mmHg 以下にコントロールし,リ ナグリプチンを投与することで腎機能の低下を抑制できる可能性が ある.本発表では,組織化学的所見を含め報告する. O-2 糖尿病治療 15 年の自己中断で腎機能正常にも関わ らず anasarca を発症した 1 例 京都山城総合医療センター糖尿病センター1 京都山城総合医療センター腎臓内科2 京都山城総合医療センター糖尿病センター兼ハートセンター3 堤 丈士1 中谷公彦2 長谷川史絵3 関岡理沙1 浅井 修2 中埜幸治1 症例は 50 歳女性.35 歳時妊娠中に糖尿病合併しインスリン治療を受け 出産.出産後は治療を自己中断.2013 年 4 月から口渇と体重増加を認め 11 月に当院受診.全身浮腫著明,高度蛋白尿(6.2 g!日),低蛋白血症を 認めネフローゼ状態で,HbA1c13.7 %と血糖コントロール不良,腎機能 は正常であった.Anasarca に対し限外ろ過で除水を行った.精査のため 施行した腎生検所見では糖尿病性腎症で,糸球体に結節性病変を多く認 めたが,細動脈の硬化は軽度であった.GLP-1 製剤と RAS 阻害剤の投与 により徐々に尿蛋白は減少傾向を示し,6 ヵ月後には,約 3 g!日にまで 改善を認めた.その後も腎機能障害は認めず,その原因として血管病変 及び尿細管間質障害が軽度であったことが考えられる.糖尿病性腎症例 でも, 腎生検を行うことで予後の効果判定を予測しうる可能性がある. 症を合併した 1 例 京都山城総合医療センター1 京都山城総合医療センター腎臓内科2 京都山城総合医療センター糖尿病センター3 松本佳大1 中谷公彦2 浅井 修2 長谷川史絵3 堤 丈士3 中埜幸治3 症例は 69 歳男性.45 歳時に糖尿病を指摘され当院糖尿病内科通 院中であり,HbA1c は 8.5 %程度であった.68 歳時に関節痛が出 現し近医で関節リウマチと診断され金製剤を開始された.それ までは検尿異常は指摘されていなかった.69 歳時に突然下腿浮 腫が出現.同科で,高度蛋白尿と低蛋白血症を指摘,ネフローゼ 症候群が疑われ同腎臓内科紹介,入院となった.入院後施行され た腎生検所見より膜性腎症と診断,糖尿病性病変は軽度であっ たため,ネフローゼ症候群の主たる原因は膜性腎症と考えられ, ステロイド治療開始した.ステロイド治療に伴い尿蛋白が 1.42 g!日に改善した.糖尿病患者で突然ネフローゼ症候群を合併し た場合には糖尿病性腎症以外の腎疾患を考慮する必要がある. O-4 急速に腎機能障害が進行した MIDD の 1 例 一般財団法人住友病院内分泌代謝内科1 一般財団法人住友病院腎臓・高血圧内科2 柏木理佐1 盛 礼子1 嶺尾良平1 京 光章1 最所賢二1 丹波祥子1 黒田陽平1 村津 淳2 山本浩司1 山田祐也1 松澤佑次1 【症例】30 歳,女性.17 歳時から蛋白尿,25 歳時に高血糖を指摘され 27 歳時に当科入院.糖尿病,腎障害,インスリン抵抗性,動脈硬化性 病変の進行,低アディポネクチン血症を認めた.両側感音性難聴,末梢 血 mtDNA A3243G 変異を認め MIDD と診断した.尿蛋白 2.9 g!日,Cr 1.01 mg!dl であり腎生検で糸球体硬化性病変,遠位尿細管上皮の浮腫 状変性があり,腎組織でも mtDNA3243 変異を認めミトコンドリア腎 症と診断した.インスリン,ARB,スタチンなどで HbA1c 5 %台,血 圧 100!60 mmHg 前後,LDL-Chol 120 mg!dl 未満に比較的厳格にコン トロールできていたが,2 年間で急速に腎機能は悪化し末期腎不全と なり,血液透析導入に至った.【考察】ミトコンドリア異常症では糸球体 障害や尿細管病変を合併する.MIDD の中には本症例のように糖尿病 腎症とは無関係に急速に腎機能が増悪し,透析導入に至る例がある. O-5 糖尿病腎症の経過中に急激に腎機能が悪化した 1 例 滋賀医科大学附属病院糖尿病腎臓神経内科 吉田尚平 神鳥研二 矢端博行 小野真也 中澤 純 金崎雅美 荒木久澄 荒木信一 宇津 貴 【症例】50 歳男性【現病歴】15 年前に 2 型糖尿病を診断され, インスリン加療中であった.X 年 2 月の検査では,血清 Cr 0.97 mg!dl,尿中アルブミン 89 mg!g・Cr,HbA1c6.8 であっ た.X 年 7 月から血清 Cr と,蛋白尿が徐々に増加したため精 査目的に入院となった.【入院後経過】入院時血清 Cr 1.29 mg! dl,尿中蛋白 1.35 g!日,尿中β 2-MG63,439 μ g!l.経皮的腎生 検を施行.糸球体に糖尿病腎症と思われる結節性病変を認め た.間質ではリンパ球,形質細胞,好酸球の浸潤がみられ,尿 細管間質性腎炎の所見を呈した.被疑薬を中止にしたところ, 腎機能は改善した.【考察】糖尿病腎症の経過中に間質性腎炎 を発症した 1 例を経験した.糖尿病腎症の経過中に腎機能悪 化を認めた場合,原疾患の悪化によるものか他の腎疾患を合 併したのか判断が困難である.積極的に腎生検を行うことで, 治療可能な疾患を診断し治療することが出来る.

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O-6 糖尿病腎症および網膜症の合併の有無による臨床的 背景の違い 医療法人川崎病院糖尿病内分泌内科 大塚章人 久保聡子 村井 潤 明神真希子 深水英昭 松永 彩 市原紀久雄 中村 正 【目的】腎症及び網膜症合併の有無による臨床的背景の違いについ て検討【対象】網膜症と腎症の両方を評価した外来通院中の糖尿病 患者 542 人(平均 67 歳)【方法】腎症と網膜症の有無により 4 群に 分け臨床指標を比較.1 群(n=252):網膜症,腎症ともに無し,2 群(n=124):腎症のみ有り,3 群(n=63):網膜症のみ有り,4 群(n=103):網膜症,腎症ともに有り.【結果】1 群に比べ,2 群で は脂質異常症,高血圧症合併率,年齢,収縮期血圧,脈圧,PWV, 尿酸,TG が高く,HDL-C,eGFR が低かった.3 群では高血圧症合 併率,脈圧,BMI,糖尿病罹病期間,HbA1c が高かった.4 群では 2 群と 3 群両方の特徴に加え CVD 合併率が高かった.【結論】腎症 と網膜症のない者に比べ,腎症のみの合併者には血圧,脂質,腎機 能に差を認め,網膜症のみの合併者には BMI,血糖コントロールに 差を認めた.両方の合併者には両方の特徴が重なっていた. O-7 CKD3 期の糖尿病患者における糖尿病性腎症合併の 影響 医療法人川崎病院内科 久保聡子 大塚章人 深水英昭 村井 潤 明神真希子 中村 正 市原紀久雄 【目的】CKD3 期(G3a 及び G3b 期)の患者において,糖尿病性 腎症の有無によりその臨床像を比較した.【対象】当院外来通院 中の糖尿病患者 207 名(1 型 8 名,2 型 197 名,その他 2 名).男 性 122 名,女性 85 名.平均年齢 72.7 才,平均罹病期間 17.4 年. 平均 HbA1c 6.96 %.【方法】CKD3 期の患者を糖尿病性腎症の 有無で分け,合併症の有無や各種臨床パラメーターなど,その臨 床像について比較検討した.【結果】糖尿病性腎症合併患者(n= 98)では非合併患者(n=109)と比較し,糖尿病性網膜症と動 脈硬化性疾患の罹病率が有意に高かった.また,降圧薬の内服 率,収縮期血圧,脈圧,baPWV,中性脂肪が有意に高く,eGFR は有意に低かった.【結語】CKD3 期の患者において,糖尿病性腎 症合併例では非合併例と比較し,網膜症及び動脈硬化性疾患合 併率が高く,かつ,動脈硬化リスク因子が悪化していた. O-8 DPP-4 阻害薬の長期投与例に於ける eGFR 経時的 変化への寄与因子の検討 日本赤十字社和歌山医療センター糖尿病・内分泌内科1 日本赤十字社和歌山医療センター腎臓内科2 日本赤十字社和歌山医療センター小児科3 廣畠知直1 岩橋 彩1 井上 元1 川村俊介2 小緑翔太2 大棟浩平2 古宮 圭3 【目的】DPP-4 阻害薬を 3 年以上継続投与した 2 型糖尿病患 者 615 例に於ける eGFR 変化率に影響する因子を求めた. 【結果】eGFR は投薬開始時の eGFR が 70 以上の群で投薬 開始後 4 週で有意に低下した.アルブミン尿陰性群,非高血 圧群,体重非増加群で有意に eGFR 低下速度が遅いことが 示された.【考察】DPP-4 阻害薬が糖尿病性腎症に於いて hyperfiltration を是正する可能性が示唆された. O-9 糖尿病透析予防指導の介入と尿中アルブミンの排泄 変化;関連指標との相関 地方独立行政法人堺市立病院機構市立堺病院栄養管理科1 地方独立行政法人堺市立病院機構市立堺病院看護局2 地方独立行政法人堺市立病院機構市立堺病院腎代謝免疫内科3 渡邊薫子1 田中順也2 林 佑紀1 前田 文1 藤澤智巳3 【目的】糖尿病透析予防指導が尿中アルブミン排泄(UAE)低 下に及ぼす影響とその効果の要因を明らかにする.【方法】当院 糖尿病外来通院中の腎症 2∼4 期患者で 2014 年 1∼2 月に透析 予防指導外来を受診した患者(N=19)としていない患者(N= 24)を対象に受診前後 3 ヶ月の UAE,体重,HbA1c,血圧, 尿中 Na!CRE を検討した.【結果】UAE は介入群(相乗平均 388⇒217 mg!gCRE),非介入群(同 268⇒169 mg!gCRE)とも 低下したが,介入群(p=0.001)で非介入群(p=0.04)より明 確であった.この変化率は HbA1c,体重変化,血圧変化とは相 関がなかったが尿 Na!Cr 変化率とは相関を認めた(p=0.03). 【考察】透析予防指導介入は尿中アルブミン排泄の低下に有効 であり,特に塩分摂取の減少が関与することが示唆された. O-10 2 型糖尿病合併高血圧患者におけるアジルサルタ ンへの切り替えによる有用性 六甲アイランド甲南病院内科 芳野 啓 北垣一成 山田浩幸 西岡千晴 肥後里実 土橋大輔 谷尻 力 大森靖弘 東内雄亮 播 悠介 【目的】糖尿病患者で既存のアンギオテンシン II 受容体拮抗 薬(ARB)からアジルサルタンへの切り替えによる血圧,腎 機能に及ぼす影響を検討した.【方法】糖尿病患者 24 人にお いて,既存の ARB をアジルサルタンに切り替えてからの血 圧,eGFR,尿中アルブミンおよび HbA1c の変化を検討し た.【結 果】血 圧(sBP!dBP 前:152.8±14.5 mmHg!78.3± 15.2 mmHg,2 ヶ月後:145±17.1 mmHg!74.1±10.8 mmHg P<0.05!P=0.086),eGFR(前:53.6±16.4 ml!m!1.73 m2 2 ヶ月後:50.9±17.6 ml!m!1.73 m2P=0.16),尿中アルブミ ン(前:348.5±108.0 mg!g!Cr,2 ヶ月後:258.7±612.4 mg! g!Cr P=0.31)【結語】切り替え 2 ヶ月で収縮期血圧は有意に 低下,尿中アルブミンも低下傾向を示しているが,追跡調査 を継続しさらなる変化および考察を加えて発表する. O-11 進行糖尿病腎不全の降圧目標についての検討 明和病院糖尿病内分泌内科1 松井内科医院内科2 明和病院看護部3 河中正裕1 松井可奈2 竹口トモ子3 粟田有希3 50 歳女性.25 年前劇症 1 型糖尿病を発症.仕事優先の生活 で A1c 9 %台.2004 年血圧が 160!mmHg に上昇するとと もに,それまで 0.9 だった血清クレアチニン(CR)が 1.6 mg!dl に上昇.収縮期圧 120 に低下させると CR は 1.9 に 悪化.血圧をコントロールして CR1.4 台に回復させ 10 年が 経過している.この間冬の血圧上昇と夏の血圧低下に対応 し,使用した降圧剤は計 10 種類に及んだ.降圧剤の種類よ りも血圧の数値を 130∼140 に安定させることが,腎機能悪 化を防止することに有効であった.この経験が他の腎不全 患者の治療にも生かされている.eGFR30 台の腎不全に対 しては,収縮期血圧 130!∼140!mmHg を目標にすべきで ある.

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O-12 糖尿病透析予防指導における腎症改善に有効な看 護師の療養支援 地方独立行政法人堺市立病院機構市立堺病院看護部1 地方独立行政法人堺市立病院機構市立堺病院管理栄養科2 地方独立行政法人堺市立病院機構市立堺病院腎代謝免疫内科3 田中順也1 渡邊薫子2 藤澤智巳3 【目的】当院の糖尿病透析予防指導外来で看護師が行う指導の現状を 調査し,どのような療養支援が効果的であったのかを明らかにする. 【方法】2012 年 12 月∼2013 年 6 月にかけて当院の外来通院中の患者 約 33 名(平均年齢 64.7 歳)を対象に,療養支援の内容を抽出し,腎 症のデータ改善との関連を分析する.【結果】病期では腎症 2 期が 17 名(51.5 %)で最も多かった.療養支援で多かったのは,ストレス軽 減に対する支援(30 名;91 %),セルフモニタリング教育(28 名; 85 %),療養行動への動機づけ(27 名;82 %)であった.腎症のデー タ改善を認めた患者で多かった療養支援は,ストレス軽減とエンパ ワーメントへの支援であった.【考察】看護師の関わりとして,患者が 自由に思いを表出できる環境づくりや信頼関係構築と,療養行動に 対する自信の獲得への支援が腎症の改善に有効と考えられた. O-13 糖 尿 病 透 析 予 防 で の 指 導 回 数―3 回 と 1 回 の 比 較― 市立藤井寺市民病院栄養給食1 市立藤井寺市民病院看護部2 市立藤井寺市民病院内科3 田辺直美1 塩野由季2 山野伊都子2 井上由美2 瓦林令奈3 内本定彦3 【目的と方法】当院での糖尿病透析予防指導は,3 回 1 クールで 行っているが,患者の都合で受けられない場合,1 回のみの指導 を行っている.そこで,3 回の指導を受けた患者(3 回群 29 例)と 1 回のみの患者(1 回群 11 例)を比較検討したので報告する.【結 果】指導前後の腎症のステージの変化は,3 回群改善 15 例不変 15 例に対し 1 回群改善 3 例,不変 8 例であった.HbA1c では 3 回 群,1 回群共に約 0.3 %の低下を認めた.血圧は 3 回群では有意に 改善したが,1 回群では指導後の改善は認められなかった.【まと め】指導により HbA1c は改善されたが,病期や血圧の改善の違い は患者自身の糖尿病腎症の受け入れや塩分制限の習得の差によ るものと考える.透析予防指導は単独指導より計画的にチームで 療養生活を支えていくことが重要であることを再確認した. O-14 当院における糖尿病透析予防指導患者の意識調査 市立藤井寺市民病院看護部1 市立藤井寺市民病院栄養給食2 市立藤井寺市民病院内科3 山野伊都子1 井上由美1 塩野由季1 田辺直美2 内本定彦3 【目的】当院では 3 回 1 クールの短期型糖尿病透析予防指導 を行っている.今回患者の意識調査を行ったので報告する. 【方法】透析予防指導を行った患者 29 名にアンケート調査 を行った.【結果】指導を受けたことで,糖尿病腎症について どのように感じたかの質問に対し,透析だけはしたくない が 21 名,腎症は怖いと思ったが 17 名,大変だと思うが頑張 ろうと思ったが 14 名.指導により実行した項目では塩分制 限,食事療法一般,血圧測定の順に多く,ほとんどの項目は 継続実行しているとの回答だった.指導回数では 3 回が ちょうど良い 72 %(21 名),指導を受けての感想ではよ かったが 96 %(28 名),指導で難しいと感じた項目は食事 療法 82 %(24 名)という回答が多かった.【まとめ】透析予 防指導では患者の前向きな姿勢が改善へと繋がり,その気 持ちの継続を支援していくことが重要であると感じた. O-15 糖尿病患者における透析予防外来指導の効果 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター栄養管理部1 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター看護部2 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター糖尿病内科3 独立行政法人国立病院機構大阪医療センター腎臓内科4 中山 環1 山尾美希2 織原茉祐花1 森住 蘭1 大谷弥里1 谷川 清1 光井絵里3 加藤 研3 苅山有香2 伊藤孝仁4 瀧 秀樹3 【目的】当院における糖尿病透析予防外来指導の現況を示す【対象と方法】外来 通院中の糖尿病患者で,腎症第 2 期以上を有し,専門医,看護師,管理栄養士 が,それぞれ腎症進展予防の指導を実施した 131 名(男 83 名,女 48 名),2 期 74 名(56.5 %),3 期 36 名(27.5 %),4 期 21 名(16.0 %).初回指導から 12 か月後の HbA1c,血圧,腎機能を評価した.【結果】HbA1c は 7.1→6.9 %(P< 0.056)と改善傾向,収縮期血圧 150→147 mmHg,拡張期血圧 82→77 mmHg (P<0.021)と有意に降下.腎機能については,e-GFR:59.0→52.5 ml!分!1.73 m(P<0.001),血清 Cr:0.92→1.03 mg!dl(P<0.001)と腎症進展を認めたが,2 病期では 19.8 %で 1 期等への改善,74.8 %が不変,悪化は 5.3 %であった.【結 論】HbA1c と血圧の改善は見られたが腎症抑制については比較対象がなく評 価出来ない.またその他の要因検証など今後さらなる検討が必要である. O-16 全国済生会病院における糖尿病透析予防指導の効 果 大阪府済生会野江病院糖尿病・内分泌内科1 大阪府済生会野江病院栄養管理科2 太田 充1 山藤知宏1 須田尚子2 藤井淳子2 森田 聖1 北本友佳1 鯉江基哉1 安田浩一朗1 【目的】糖尿病透析予防指導開始後, 1 年半の経過・現状を調査し, 今後の課題についての検討.【方法】全国済生会病院に対しアンケー ト調査を実施し,昨年同対象に実施したアンケート結果と比較・検 討.【結果・考察】実施の有無については,人員の確保ができるかど うかに大きく左右されており,指導を実施しているほとんどの施設 は糖尿病専門医・糖尿病療養指導士が中心となって,チームを運営 していることがわかった.また,看護師で指導に不安があると答え たものが多く,管理栄養士でも不安があるとの回答が昨年より増加 したことから,患者を継続して指導できるような知識や技術習得を 心がけ,専門医・療養指導士が中心となりチームで患者をサポート できるような体制作りが必要である.すべての施設で指導効果を実 感すると回答しており,チーム介入は患者教育に有効である. O-17 透析予防外来通院中の糖尿病腎症 4 期患者におけ る負担感の現状 大阪市立大学医学部附属病院看護部1 大阪市立大学医学部附属病院栄養部2 大阪市立大学大学院医学研究科代謝内分泌病態内科学3 江尻加奈子1 村尾明美1 阪野真理恵1 藤本浩毅2 播磨美佳2 服部俊一2 森 克仁2 絵本正憲3 稲田律子1 塚田定信2 稲葉雅章3 【目的】糖尿病腎症の進行予防のためには患者自身の日常生活における療養が重要で ある.療養行動や病状の進行に伴う自覚症状による負担感がどの程度であるか,糖尿 病腎症 4 期患者についての現状は明らかになっていない.そこで,当院外来通院患者 の糖尿病腎症 4 期患者における負担感の現状を明らかにする.【対象・方法】対象は 当院透析予防外来に通院する糖尿病腎症 4 期患者のうちアンケートに回答した 16 名.KDQOL 日本語版から抜粋し作成したアンケートを集計し分析した.【結果】患者 の「全体的健康感」は 10 段階評価の平均 3.7±1.3.症状の自覚で多かったのは,浮腫, 手足のしびれ(各 7 名),皮膚のかゆみ,吐き気や胃の不快感(各 6 名)であった. 【考察】腎症 4 期患者は全体的健康感が低く,負担感は大きいが症状の自覚は少ない. 症状の自覚が少なくても療養行動が継続できるよう支援が必要である.

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O-18 当院における糖尿病透析予防指導の取り組み 財団法人日本バプテスト連盟医療団日本バプテスト病院看護部1 財団法人日本バプテスト連盟医療団日本バプテスト病院栄養科2 財団法人日本バプテスト連盟医療団日本バプテスト病院臨床検 査部3 財団法人日本バプテスト連盟医療団日本バプテスト病院糖尿病 内科4 勝山由香1 田中麻由子1 金桝由佳1 小山 悠1 後藤佳子1 金子 緑2 森本美由紀2 森坂亜希3 佐伯未希3 米田紘子4 【目的】H25 年 4 月より透析予防指導を開始し,1 年が経過し指導後の効果や指導内 容を検討した.【方法】主治医より依頼があった患者に対し,透析予防の日を週 2 日のみ設け,看護師・管理栄養士・主治医の順で指導を行った.対象は H25 年 4 月より H26 年 6 月までに通院中の患者 58 名だった.腎症の内訳は,2 期 22 名,3 期 30 名,4 期 6 名である.指導開始時とその後の HbA1c の評価を行い,腎症の進 行に対する理解度や食事療法に関する行動変容についてアンケートを行った.【結 果】指導を受け,病期の理解が深まった患者が多かった.アンケートを行う事で指 導の効果が把握できた.【結語】特定の曜日でしか実施できていない現状であり,今 後も腎症の進行予防のための療養行動が継続できるよう指導が必要と考える. HbA1c6.5 %未満の患者にも進行予防に繋がるよう,早期介入も考慮していきたい. O-19 高齢者 2 型糖尿病患者における長谷川式簡易知能 評価スケール改訂版と服薬管理との関連 関西労災病院薬剤部1 関西労災病院糖尿病内分泌内科2 関西学院大学社会学部3 岡田志保1 林 洋平1 清水裕行1 下川福子1 池上英文1 永井泰紀2 井上佳菜2 東 大介2 山本恒彦2 久保田稔3 【目的】高齢者 2 型糖尿病における認知症の有無と服薬管理の実態を把 握する.【方法】2011 年 8 月より当院糖尿病内分泌内科へ入院した 65 歳 以上 2 型糖尿病患者 121 名を対象とした.服薬管理法別に,A.自己管 理群,B.1 日配薬群,C.1 回配薬群,D.毎回見守り群に分け,長谷川式 簡易知能評価スケール改訂版(HDS-R)score を比較した.服薬管理に及 ぼす因子を年齢・罹病期間,HbA1c 等の患者背景,HDS-R score を検討 し た.【結 果】年 齢 73.1±6.1 歳,罹 病 期 間 13.7±11.5 年,HbA1c9.4± 1.9 %,服用薬剤数 7.6±5.1 剤,HDS-R score 25.1±4.3 点であった.服薬 管理不良(B・C・D)群は,良好(A)群に比し有意に高齢,服薬数が 多く,HDS-R score 低値であり,いずれも服薬不良を規定する独立した 因子としてあげられた.【結語】高齢 2 型糖尿病患者において,服薬コン プライアンスの評価を行う上で,HDS-R は有用な方法と考えられた. O-20 高齢で認知症を伴うインスリン依存状態の糖尿病 で治療に難渋した 1 例 医療法人財団康生会武田病院内分泌・糖尿病内科1 医療法人財団康生会武田病院健診センター2 田村尚久1 桝田 出2 岡澤佳世子1 葛谷英嗣1 症例は 87 歳,女性.インスリン依存状態の糖尿病で強化イ ンスリン治療中だったが,認知症で施設入所し自己注射困 難になり,高血糖で当院紹介され入院.9-17 時のみ施設でイ ンスリン注射可能で,昼食前以降に高血糖を認めるため,ヒ トインスリン 11 単位 9 時皮下注,インスリンデグルデク 7 単位昼食直前皮下注,ミグリトール 25 mg 分 1 夕食直前内 服を併用したところ,朝夕食前血糖は 120-200 mg!dl で安 定した. インスリンに GLP-1 アナログの併用も試みたが, 血糖は改善したものの便秘から食思不振を生じて中止し た. O-21 和歌山県における高齢糖尿病患者の頻度と薬剤使 用状況 和歌山県立医科大学附属病院紀北分院内科1 にしたに内科2 和歌山高齢者糖尿病研究会3 小河健一1 佐々木秀行1 西谷 博2 和歌山高齢者糖尿病研究会3 【目的】和歌山県の高齢糖尿病患者(DM)の頻度と治療薬を把握する.【方法】 アンケート調査を行い DM 診療を行っている 17 医師から回答を得た.質問 内容は,4 月に外来診察を行った DM(連続約 50 例)の年齢(非高齢 65 歳未 満,前期高齢 65∼74 歳,後期高齢 75 歳以上),治療薬,診療上の注意点.【結 果】合計 1396 例中,非高齢 40 %,前期高齢 30 %,後期高齢 30 %であった. 非高齢,前期高齢,後期高齢の治療薬の処方率(%)は DPP-4 阻害薬(48, 60,49),SU 薬(47,49,40),BG 薬(27,27,14),Ins(20,21,23),α -GI(11,19,18),TZD 薬(10,12,7),グリニド薬(4,6,4),GLP-1 作動 薬(1,2,1).高齢 DM 治療上の注意点は腎機能(100 %)と認知機能(65 %) を挙げる医師が多かった.【結論】高齢 DM は 60 %に達する.使用薬剤は DPP-4 阻害薬が 5-6 割,次いで SU 薬は約 4-5 割,後期高齢になると BG と SU の割合が減る.薬剤選択で留意している点は腎機能と認知機能であった. O-22 持続性エキセナチドを用いた地域連携糖尿病治療 を行った高齢認知症患者に対する 1 例 兵庫県立リハビリテーション中央病院薬剤部1 兵庫県立リハビリテーション中央病院内科2 堀渕倫未1 高田俊之2 出崎美穂子1 米田茂洋1 早川みち子2 高齢認知症患者に対し持続性エキセナチドを使用,介護と連携し良好 なコントロールを得た症例を報告する.83 歳男性,脳血管性認知症の 既往.57 歳時発症の 2 型糖尿病,経口糖尿病薬,リラグルチドにて妻 の援助の下安定したコントロールであった.介護者である妻が入院と なった後,急速に血糖コントロール悪化し本院に入院となった.BOT 療法にてコントロールを行い血糖値安定したが,CGM を行ったとこ ろ夜間無症候性低血糖が存在していた.認知症,年齢からインスリン の使用は不適と判断,また高齢の夫婦であることも考慮し,週 1 回投 与の持続性エキセナチドを導入.CGM でも低血糖なく安定したコン トロールが得られ,その上で退院後の注射薬管理については訪問看護 師にて行う事として退院となった.高齢認知症患者に対して持続性エ キセナチドを使用した連携医療は有効な治療法の一つと考えられた. O-23 認知症を有する 2 型糖尿病患者に対する持続性エ キセナチドの治療効果 大阪市立総合医療センター糖尿病内科 上野宏樹 玉井杏奈 吉田陽子 生野淑子 藥師寺洋介 岡田めぐみ 福本まりこ 山上啓子 川崎 勲 細井雅之 認知症を有する 2 型糖尿病患者に対して持続性エキセナチ ド(ビデュリオンⓇ)を用いた血糖管理を行ったので報告す る.【症例】80 歳女性 罹病歴 40 年の 2 型糖尿病患者でグラ ルギン 12 単位とシタグリプチン 50 mg 内服で治療を行っ ていたが,HbA1c 9.4 %と管理不良.訪問看護師からインス リン注射を 1 日数回行っていると指摘され自己管理困難と 判断.入院を行いビデュリオンⓇに治療を変更し,グリメピリ ド 1 mg との併用で外来観察を行った.HbA1c は導入時 9 % であったが導入後半年で 6.5 %台まで低下.他にも認知症を 合併した糖尿病患者 2 例に対してビデュリオンⓇを導入し良 好な経過が得られている.1 週間に 1 度の皮下注射を行うビ デュリオンⓇは治療コンプライアンスの低下した認知症を合 併した糖尿病患者の血糖管理に有効な方法と言える.

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O-24 特発性正常圧水頭症を合併した高齢 2 型糖尿病の 1 例 医療法人社団慈恵会新須磨病院糖尿病センター 芳野 弘 川上恭子 八田友見 岡田初美 高濱美弥 児玉愛衣 小林美和 竹本昌代 芳野 原 【症例】80 歳男性 従来,2 型糖尿病で外来通院されていた.アス パルト朝 8 昼 12 単位,同 30 ミックス夕 14 単位皮下注していた. 2014 年 3 月中旬頃より急にインスリン手技困難になったとのこ とで当院内科医より紹介,精査加療目的にて入院となった.入院 時 HbA1c8.4 %,HDSR10 点と著明な記憶障害を認めた.頭部 MRI で高位円蓋部狭小,脳室拡大を認め,問診や診察上,歩行障 害,頻尿が認められたことから特発性正常圧水頭症(iNPH)の可 能性が示唆された.脳神経外科にて Tap test 施行後,HDSR は 22 と著明に改善した.糖尿病の薬剤調整については退院後の QOL を考慮しシタグリプチン 50 mg,グラルギンの 1 回打ちとし,退 院後は SMBG において空腹時血糖 92∼112 mg!dl と比較的良好 な経過となっている.今回,インスリン手技の困難さから iNPH を診断,治療し糖尿病の良好な経過を認めたので報告する. O-25 2 型糖尿病患者を対象とした歯周病ケアプログラ ム作成と評価―3 か月の中間報告― 大阪市立大学大学院看護学研究科1 独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター西市民病 院看護部2 独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター西市民病 院糖尿病・内分泌内科3 独立行政法人神戸市民病院機構神戸市立医療センター西市民病 院歯科口腔外科4 西原詩子1 田鍋 望2 中村武寛3 岡田裕子3 西田哲也4 秋原志穂1 【目的】歯周病をもつ 2 型糖尿病患者にセルフケアを促す歯周病ケアプログラムを作成し評価 する.【方法】2 型糖尿病患者で歯科口腔外科に受診し,軽度か中度の歯周病と診断されたセル フケアが可能な患者を対象とし,無作為に介入群とコントロール群に割り付け,介入群に対し て歯周病ケアプログラムを実施する.【結果】ベースライン時,介入群 38 名コントロール群 38 名.3 か月後の群内比較では,介入群で PPD(p=0.000),PLI(p=0.004),ウエスト(p=0.036), 歯科保健行動得点(p=0.000),歯周病に対する自己効力感尺度の食事得点(p=0.013),通院 得点(p=0.000)が有意に改善した.群間比較では,PLI(p=0.030),ウエスト(p=0.014)の 項目で介入群が有意に改善した.【結論】3 か月後では介入群で歯周病の改善が有意にあった. O-26 コーチング的アプローチが患者の行動変容に有効 であった 1 症例 大石内科クリニック 糸藤美加 大石まり子 井上里絵 坪内淳子 【背景】療養指導では行動変容できないコントロール不良症 例が問題になる.コーチング的アプローチで行動変容が起 こり,血糖コントロールおよび親子関係が改善した症例を 報告する.【症例】糖尿病歴 31 年の 76 歳女性.インスリンと 経口薬併用療法,SMBG 歴 12 年.【方法】血糖コントロール 悪化し従来の食事指導では効果がでないため,コーチング の「傾聴」を中心に月 2 回の面談を 2013 年 3 月から行った. 【結果】食事療法に抵抗を示していたが,自ら食事療法に目 が向けられた.更に食行動を自主的に変更することができ た.HbA1c 8.2 %が 6.8 %に改善し,血糖変動も縮小した. 食事療法で娘と対立していたが,親子関係が改善した.【ま とめ】従来の食事指導で効果の出なかった症例に「傾聴」を 中心としたコーチング的アプローチが有効であったと考え る. O-27 糖尿病教育入院後の血糖コントロール悪化に影響 を及ぼす諸要因の検討 神戸百年記念病院内科1 神戸百年記念病院看護部2 岩崎真也1 野村真波2 高岡洋美2 蓑田昌代2 亀徳千里2 後藤文子2 黒木康雄1 【目的】糖尿病教育入院後の血糖コントロールの推移と悪化の要因 を分析する.【方法】対象は当院の糖尿病教育入院にて治療薬の変 更なく改善した 37 名(60.8 歳,HbA1c8.8 %,BMI27.1).退院後 3 ヶ月,6 ヶ月,9 ヶ月,12 ヶ月に外来看護師による療養指導を行 い,運動,食事,内服管理を良好(+1),不変(0),悪化(−1)で 点数評価した.また,退院後 3 ヶ月の HbA1c と比較して 0.3 %以上 悪化の有無により 2 群に分け検討した.【結果】HbA1c は退院 3 ヶ 月後に 6.8 %まで低下,5 ヶ月より再増悪の傾向を認めた.運動は 退院時 0.5 より 9 ヶ月で 0 へ増悪,食事は退院時 0.5 より 6 ヶ月で 0.15,12 ヶ月で−0.38 と増悪したが,内服管理は変化なかった.増 悪群では運動,食事内容が有意に低値であった.【結語】教育入院後 5 ヶ月目よりの血糖コントロール悪化の要因として食事,運動内容 の悪化が懸念され療養指導の強化が必要と考えた. O-28 皮下硬結予防のためのインスリン施注方法(ロー テーション 4 分割法)指導の評価 NTT 西日本大阪病院糖尿病療養指導センター 秋田すみ子 森川由紀子 吉村正子 西浦千穂子 立石美佐枝 柏本佐智子 焦 裕之 谷川和子 陳 瑛超 鈴木俊伸 橋本久仁彦 【目的】2012 年に外来インスリン使用患者に対し調査した結果 23 %の患者に硬結を認めたのでその説明とローテーション 4 分割 法の指導を行い,その指導の評価を行った.【方法】2013 年 6 月まで に指導した患者のうち同意の得られた 39 人を対象にアンケート 調査と看護師による注射部位の触診を行った.【結果】「硬結という 言葉を知っている」患者は 92 %に達し,「硬結」に対する理解は得 られた.「4 分割法について知っている」患者は 82 %いたが,実施し ている患者は 56 %であった.更に看護師が聞き取ると,正確に 4 分割法を実施できていたのは 5 人(13 %)だけであった.しかし, 2012 年に硬結のあった 17 名中 11 名で硬結の縮小・消失を認め た.【結論】4 分割法の施注方法の指導には更なる工夫が必要だが, 「硬結」について患者が理解することが重要と考えられた. O-29 「ストップ・ザ・硬結チーム」の取り組み 医療法人社団正名会池田病院看護課 梅野明香 米澤麻衣子 辰巳和子 楠山葉子 中野靖子 森川ひとみ 久保香織 小泉直穂子 清瀬智子 西川尚子 池田弘毅 【目的】入院患者の硬結発生状況と指導後の変化について検 討した.【方法】2013 年 7 月から 11 月に入院したインスリン 治療患者 124 名を対象に注射部位の観察を行い,硬結を認 めた 22 例に対して指導を行い,経過を観察した.【結果】① 硬結を認めた症例の男女比は 16!6 と男性が多く,インスリ ン長期使用例,非肥満の症例が多かった.1 日の注射回数は 平均 3.6 回で非硬結群に比し有意に多く,注射量も多い傾向 にあった.②硬結部位は臍周囲,大きさは 3 cm 程度,個数 は 2 個が最も多かった.③注射指導後の低血糖の発生は 13 名でそのうち 10 名は直後に発生した.インスリン量は退院 時に有意に低下し,退院後も低下する傾向にあった.また HbA1c の改善も認められた.【まとめ】正しい自己注射指導 と定期的な管理がインスリン治療には必要と考えられた.

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O-30 大学入学時健診で高血糖を指摘された SPIDDM 疑 いの 1 例 独立行政法人地域推進機構星ヶ丘医療センター糖尿病内科病棟1 独立行政法人地域推進機構星ヶ丘医療センター糖尿病内科2 福田純子1 秦 志麻1 森川侑佳2 五郎川伸一2 【はじめに】糖尿病と診断された患者は診断とともに衝撃を受け る.大学の健診で高血糖を指摘され,SPIDDM 疑いと診断された 患者と母親への支援について報告する.【事例紹介】18 歳男性, BMI 22.3 大学の健診で尿糖 4(+)HbA1c10.7 %と高値であった ため当院受診し,入院となった.【経過】入院時,本人及び母親は 糖尿病という診断を受け入れられなかった.また,母親はつくっ た料理が悪かった,受験のために 1 年間運動をさせなかったこと などで自分を責めた.しかし,非肥満であり過食,清涼飲料水の 過剰摂取等はなく,母親にも本人にも特段の非を認めないことを 繰り返し説明した.退院時は薬物療法不要となったが,SPIDDM も否定できない結果がでて,再び将来への不安が強まった.診断 時の衝撃から適応の段階に至る過程を通して,事実を正しく伝え 信頼関係を築きながら支持的支援・受容的態度で関わった. O-31 持続性エキセナチド製剤導入時指導についての検 証 医療法人みどり会中村病院看護部1 医療法人みどり会中村病院糖尿病内科2 平野菜美子1 新村かおり1 村佐揚子1 桑村尚充2 高橋 輝2 武村次郎2 持続性エキセナチド製剤(ビデュリオン)は週 1 回投与でよいこ とから,自己注射が困難な患者等に使用しやすい利点がある.一 方,その投与キットは溶解液の注入から撹拌,溶解液の回収,針 の取り付け,空気抜き,皮下注射といった過程を習得する必要が あり,患者さんや家族にとってはかなり複雑である.また,その 過程を患者さんに指導するスタッフにとっても,従来の製剤と は異なる点が多々あるため,臨床において試行錯誤している現 状がある.そこで,当院糖尿病内科にて持続性エキセナチド製剤 を導入した糖尿病患者およびその家族に対してのアンケートを 実施するとともに,その指導にあたったスタッフに対してもア ンケート調査を行い,一連の過程で習得が難しい箇所や指導の 際のポイントを探るため,問題点を検証したので報告する. O-32 新規糖尿病教室の立ち上げと現状分析∼患者・担 当者アンケートから∼ 那智勝浦町立温泉病院糖尿病内科1 那智勝浦町立温泉病院看護部2 那智勝浦町立温泉病院臨床検査室3 那智勝浦町立温泉病院リハビリテーション科4 那智勝浦町立温泉病院薬剤部5 那智勝浦町立温泉病院栄養部6 和歌山ろうさい病院内科7 山本康久1 大藪江美子2 望月裕美子2 西谷益子2 大江孝之3 東山理加4 幸田 剣4 上路直之5 杉本由佳6 南條輝志男7 平成 25 年 6 月より日本糖尿病協会和歌山県支部の承認の元,糖尿病友の会「ヤタガラスの 会」を開設し昨年の本学会で発表の機会を得たが,平成 25 年 10 月に糖尿病教育支援に興 味のある有志が集い,「那智勝浦町立温泉病院糖尿病快適ライフ」を作成した.1 か月間に わたり担当者と参加者役になり模擬糖尿病教室を開催し,雰囲気を実感し相互で意見交換 を行った.11 月より毎週火曜日午後に実際患者さん向けに糖尿病教室を開催し,参加者と 担当者のアンケートを行った.患者さんが知識や意欲を得ていただけている事がわかり, 患者さんより担当者の方が参加型の糖尿病教室に不得意感があり,担当者が知識と技能の 不足を感じていることが明らかとなった.結果を元に改善していく予定である. O-33 教育入院での DTR-QOL を用いた療養指導のあり 方 西脇市立西脇病院看護局1 西脇市立西脇病院内科2 宮崎順子1 古石弥生1 安平典子1 青田知世1 大西浩美1 田中千秋1 柏木明香2 来住 稔2 樋口泰雄2 岩井正秀2 【目的】当院の糖尿病教育入院において各個人の健康や疾病 に対する心理状態の把握のために,糖尿病 QOL 質問表 (DTR-QOL)を導入した結果を報告する.【方法】平成 25 年 7 月より 45 名の患者(62.6±12.0 歳)に退院日に DTR-QOL を行いその結果を解析した.【結果】平均総スコアは 55.4±14.8 であった.総スコアやカテゴリー別スコアは A1c とは相関せず,また食事療法においては医療者が熟考 期と考えられる患者の関連するスコアが低いことや,薬物 療法において薬物や注射などの治療法によってスコアが異 なることが見いだせた.【総括】患者の QOL における問題 点が明確となり,教育入院での個別性配慮に対しての参考 となった.また,退院後外来にて DTR-QOL 質問表を使用 した患者における変化なども報告する. O-34 インスリンに対する抵抗感の現状と情報提供の効 果 関西医科大学附属滝井病院薬剤部1 関西医科大学第二内科2 松本絵麻1 安永浩子1 田中久美子1 富田 浩1 野村惠巳子2 西川光重2 【目的】インスリンに対する抵抗感から,インスリン療法導入の 適切な時期を逃してしまう例は少なくない.そこでインスリン に対する抵抗感と,インスリンデモ器を用いた手技体験が抵抗 感の改善に与える影響を調査した.【方法】 2013 年 11 月に当院 で開催した糖尿病デーイベントの参加者を対象にアンケートを 実施し,回答が得られた 45 名の結果を検討した.【結果】男性の 54 %,女性の 90 %がインスリン療法に対して抵抗感があると回 答した.また,経口血糖降下薬で治療中の者の 80 %,糖尿病で はない者の 83 %が抵抗感があると回答した.手技を体験した 27 名のうち,22 %は抵抗感が軽減したと回答した.【考察】全体の 79 %がインスリンに対する抵抗感を感じており,インスリン療 法に対する抵抗感はやはり強いといえる.適切な時期を逃さず, インスリン導入が行えるように情報提供していく必要がある. O-35 当院で使用中の自己血糖測定器間における測定値 差異の検討 神戸百年記念病院臨床検査科1 同 内科2 同 看護部3 三上恭平1 岩崎真也2 蓑田晶代3 亀徳千里3 後藤文子3 菊池正幸1 黒木康雄2 【目的】血糖自己測定機器(SMBG 器)は機種によリ血糖値を算出 する為の換算式が異なる.実際の使用にあたりどの程度値に差が生 じ,またそのために留意すべきことについて検討した.【方法】健常 ボランティア 11 名及び糖尿病患者 1 名を対象に 75 g 経口ブドウ 糖負荷試験(OGTT)を行い,当院で使用している SMBG 器 2 機種 (A・B)で指先血(a)及び静脈血血糖(b)を測定し,当検査部に おける静脈血の測定値(C)と比較した.【結果】負荷前の血糖値が 平均 Aa:89.8±11.9,Ba:90.3±6.4,C:92.1±6.9 mg!dl であった が,負荷 30 分後では C:149.4±18.7 に対して Aa:159.1±13.4(p= 0.059),Ba:168.6±16.5 mg!dl(p<0.01)と有意に高値を示した. また,測定法の反応系の違いによる測定値の高低逆転事例があっ た.【結語】患者や医療従事者が自己血糖測定値と病院での検査値の 乖離について理解し納得することが必要と考えた.

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O-36 インスリン自己注射の実施状況に関する検討 市立川西病院看護部1 市立川西病院薬剤科2 市立川西病院栄養科3 市立川西病院臨床検査科4 市立川西病院リハビリテーション科5 市立川西病院糖尿病・内分泌内科6 奥田真理1 桐谷やよい1 小牧佐知子2 横井美鈴1 川勝祐美3 林 直哉3 藤村周子4 藤川 孝5 稲田慎也6 古賀正史6 【目的】インスリン注射器をフレックペンからフレックスタッチへの切換時 に自己注射の実施状況を調査した.【対象と方法】2014 年 3∼5 月に通院中の 糖尿病患者 38 例(男性!女性 21!17 例,年齢 64.9±14.4 歳,1 型!2 型 8!30 例)に自己注射の手技の確認及びアンケート調査を実施した.評価は実行可 能(2 点),説明後に実行可能(1 点),実行困難(0 点)の 3 段階とした.【結 果】17 項目を調査し,2 点評価例が 80 %未満であったのは,注射薬品名が言 える,空気抜きを正しく行っている,ボタンを押したまま 10 秒後に針を抜い ている,蓋付き容器に入れ注射針を病院に持ってくる,低血糖用の補食を常 時携帯している.の 5 項目であった.なお,第 1 項目は高齢者ほど点数が低 かった(P<0.05).【結語】自己注射を正しく実施できていない例が一定数存在 した. 安全確実に自己注射を継続できるように支援することが重要である. O-37 糖尿病教室不参加者のニーズに合った新たな教室 の検討 医療法人社団あおぞら会にしかげ内科クリニック1 NPO 法人あなたと健康を支える会こうべ2 中田恵理子1 四本礼子2 福永聡美1 村野真澄1 向山万為子1 東條紀子1 堀川佳代1 中野満子1 河野律子2 西影裕文1 【はじめに】当院では 124 回の糖尿病患者の集団栄養指導(以下,教室)を 開催してきたが,不参加者が参加しやすい教室を作る為に学習ニーズを調 査した.【方法】外来通院中糖尿病患者 296 名を対象にアンケート調査を実 施した.【結果】回収率 97 % 教室継続参加者 31 名(A 群),不参加者 163 名(B 群),中断者 57 名(C 群).糖尿病への学習意欲:「ある」A 群 97 % B 群 74 % C 群 70 %.別日程で教室開催した場合の参加意欲:「ある」A 群 26 % B 群 22 % C 群 17 %【考察】現在の教室は継続参加者のニーズ に合致していると思われた.B 群では学習意欲はあるが教室が学習の場と 考えていない患者が多いことが分かった.集団指導が学習の場である事を 更に伝えていく必要があると思われた.初診から早い時期に,短時間かつ 短期間の教室を企画することが B 群のニーズに合っていると思われた. O-38 アンケートによる自己注射の実態及び指導後の評 価と課題 たまい内科 高木早希 吉村 京 井口めぐみ 松村麻子 児玉由香 坂本法美 山田みほ 玉井圭子 玉井昌紀 【目的】自己注射を行っている患者の現状の手技を把握し,1 回の指導による効果と課題について検討した.【対象】外来通院 中の自己注射を行っている糖尿病患者 48 名.【方法】質問紙を用 い,①針の交換頻度②消毒方法③注射部位④空打ち⑤抜針方法 ⑥注射液の保管場所⑦針の処分方法につき調査した.調査後正 しい方法を指導し,約 1 ヶ月後同じ内容の質問紙で,どの程度改 善しているかを確認した.【結果】全ての項目で正しく施行でき る患者の割合が増加した.特に,消毒方法 43.8 %→83.3 %,注 射部位 72.9 %→95.8 %,抜針方法 64.6 %→87.5 %で効果的で あった.指導したにも拘らず改善のみられない患者は,自己注射 治療歴 5 年以上に多かった.【結語】1 回の指導でもかなりの効 果がみられた.自己注射導入直後だけでなく,長期間使用してい る患者にも定期的に指導をしていく必要があると考えられた. O-39 教育入院患者の自己管理行動と,退院後の血糖コン トロールとの関連についての検討 神戸市立医療センター西市民病院看護部1 神戸市立医療センター西市民病院糖尿病・内分泌内科2 真栄和紘1 山崎杏樹1 臼田悠真1 川端麻紀子1 吉田尚美1 菅原佳織2 小武由紀子2 岡田裕子2 武部礼子2 中村武寛2 【目的】入院中の療養行動の意欲や理解度が,退院後の血糖コント ロールに関連があるのか明らかにする.【方法】対象は 2012 年 4 月∼11 月に当院で教育入院を行い,退院後も当院で外来通院中の 44 名(男性 19,女性 25).平均年齢 61.1 歳,入院時の平均 HbA1c 10.8 %.退院 6 ヶ月後の HbA1c7.5 %以上の群と 7.5 %未満の群に 分け,2 群間の意欲・理解度について,本人および医療者側の視点 に分け,その関連を比較検討した.【結果】患者の入院中の治療意欲 と,医療者側からみた療養指導に対する理解度が退院後の血糖改 善と関連した.また,患者本人が思う理解度と,医療者側からみた 患者の理解度に乖離がある場合は退院後の血糖コントロールが悪 化した.【結語】指導に対する理解度を客観的に評価し,必要に応じ て振り返りや知識の確認を行う事が重要と考えられた. O-40 糖尿病透析予防外来の療養指導における患者満足 度調査 関西医科大学附属滝井病院看護部1 関西医科大学附属滝井病院栄養管理部2 関西医科大学第二内科3 滝口洋子1 本田知子1 大久保縁1 井上由美1 谷川友季子2 森田知子2 木村真美2 野村恵巳子3 西川光重3 【目的・方法】糖尿病透析予防(以下 DM 健康管理)外来開設から,1 年 9 ヶ月が経ち,継続中の患者の指導効果や要望・満足度について評価 するためにアンケート調査を実施した.調査期間は平成 26 年 3 月 24 日∼6 月 13 日,対象は DM 健康管理外来を 3 回以上受診し同意を得ら れた患者 122 名.【結果】回収率 100 %.日常生活で取り組む行動が「分っ た」89 名,「まあまあ分った」26 名.指導の改善点では「特になし」108 名,「指導時間の短縮」10 名.今後も当外来を「継続したい」104 名.満 足度は「満足」121 名であった.いつも親切で対応が良く,参考になる などの感謝の意見も多かった.【考察】当院の DM 健康管理外来は,患者 の指導はもとより安心感を与え,満足度の高い有意義なものと考えられ た.今後も患者の個別状況に配慮して継続していく必要がある. O-41 演題取り下げ

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O-42 当院における糖質制限食指導の試み 林医院 横山陽子 東 葉子 山本さき子 前田明子 藤井京子 中尾恵子 林 功 糖尿病の食事療法において,「食品交換表」を用いたカロ リー制限食による指導が一般的に行われている.一方,糖質 制限による食事療法は,血糖上昇に影響を及ぼす糖質を制 限することにより血糖変動幅を安定させる治療法である. 糖質制限食は,糖質の過剰制限につながる例もあり安全に 指導を行うことが望まれる.当院では,食品交換表を併用し た糖質制限食の独自のプログラムを用いて患者指導を行っ ている.患者の行動変容ステージにマッチングさせた当院 において取り組んでいる 5 つのプログラムについて紹介す る.①主食に主眼をおいた糖質制限,②主食,主菜,副菜ま で含めた糖質制限,③糖質量の把握のみ,④食品交換表を用 いた糖質制限,⑤食品交換表を用いた従来の指導法.当院に おける糖質制限は炭水化物 1 日摂取量 150 g!日を下限と し,継続可能なプログラムになることを目標としている. O-43 栄養食事・運動・生活習慣改善指導における医師 参加とチームプレイの意義と有用性 児成会生活習慣病センター1 済生会千里病院栄養科2 済生会千里病院内科3 加藤優貴1,3 中澤雅美1 塩山摩矢1 吉田尚子2 鈴木正昭3 原納 晶1 原納 優1,3 【目的】栄養食事療法は管理栄養士(管栄)による指導が健保適応である が成果は満足とは言えない.診療時に管栄が同席し問診は共同で,身体 計測は管栄,意義動機づけ,理論他を医師が説明,管栄が食事の詳細を 別室で追加説明した.ニコチン依存症には,看護師が参加しチャンピッ クス使用の禁煙指導した.【方法】肥満傾向を含む肥満症,ウエスト(w) 男性 85 女性 80 cm 以上例を指導対象とした.【成績】医院の成績では, BMI:23-24 以下への減量,BMI2 以上又は w5 cm 以上減少例は,44 例(59 %)であり,体重は 6.3 kg,w7 cm 減少した.1 年以内達成率は 39 %,他も継続指導し,平均指導期間は 894 日と長期である.多くの例 で,HbA1c,脂質,血圧の改善が見られた.6 ケ月での卒煙成功例は過 去 5 年間で 53 名(73 %)で,同時に食事指導も実施し,明らかな体重増 加はなし.病院外来でも同様成果を得たが,禁煙指導は実施していない. O-44 地域への栄養指導情報提供の有効性の検討 国立病院機構大阪南医療センター栄養管理室1 国立病院機構大阪南医療センター内分泌代謝内科2 野田侑希1 梶本忠史2 佐藤奈生子1 林 令子2 澤村眞美2 大屋 健2 平尾利恵子2 幸原晴彦2 陰山麻美子1 田井中幸子1 佐川秋雄1 糖尿病治療において栄養療法は重要である.また,昨今病診連携を密 に行うことにより,患者を病院や診療所間で治療していくことが多く なっている.しかし,糖尿病連携手帳を例にとっても,栄養指導に関 しての実行度を含めた情報共有は未だ十分なされているとは言えな い.当院では,紙媒体の糖尿病サマリーシートを糖尿病連携手帳の書 式に準じた形式とし, 紹介状とともに診療所に配布することにより, 患者情報を共有している.糖尿病サマリーシートには,指示栄養量及 び栄養素のバランス及び規則正しい食生活の実行度,間食の有無等の 情報を追加し,詳細な情報共有を行えるように工夫している.糖尿病 サマリーシートを用いた栄養指導情報の提供を開始したため,地域と の情報共有の有効性について,近隣の診療所を対象とし,アンケート 調査を行った. アンケート結果を統計学的に解析したため報告する. O-45 1 型糖尿病患者におけるカーボカウントの実践と QOL の検討 大阪医療センター栄養管理部1 大阪医療センター糖尿病内科2 大阪医療センター腎臓内科3 森住 蘭1 加藤 研2 中山 環1 谷川 清1 田矢直大2 森田灯子2 光井絵理2 伊藤孝仁3 瀧 秀樹2 【目的】1 型糖尿病患者においてカーボカウント(以下 CC)の実践が QOL へ与える影響を検討した.【対象と方法】当院 1 型糖尿病専門外来に通院した 男性 12 名!女性 25 名(平均年齢 42±13 歳,HbA1c7.3±1.0 %,CC 実践率 71 %)に CC アンケートと糖尿病 QOL 質問表(DTR-QOL)を用いた.【結果】 調査時の HbA1c は CC 有群(平均 7.2±1.0 %),CC 無群(平均 7.4±0.9 %)で あり有意差はなかった.DTR-QOL は総得点,①社会・日常活動の負担,②治 療への不安と不満,③低血糖,④治療満足度の各領域いずれにおいても CC 有無群間で有意差はなかった.CC 有群において,CC の習得度と利用頻度では ①の領域で QOL に有意な正の相関があった(習得度 r=0.391 p<0.05,利用頻 度 r=0.519 p<0.01).また,54 %が HbA1c が改善,96 %が食事が制限されな くなったと回答した.【考察】CC 実践患者では,CC の利用により HbA1c の改 善や食事自由度の向上を認め QOL が改善されることが示唆された. O-46 持続血糖モニター(CGM)検査を利用した栄養指導 の試み 西宮市立中央病院栄養管理室1 西宮市立中央病院看護部2 西宮市立中央病院糖尿病センター3 小寺真智1 大 由真1 小西佳啓1 宮本圭代1 黒木イチ子1 梅本安澄2 西橋かおる2 開まゆ子2 有光 絢3 貫野真由3 紅林昌吾3 【目的】CGM 結果を利用した栄養指導の取り組みを報告する.【方法】2013 年 8 月以降に外来 CGM 検査を施行した当院通院中の糖尿病患者のうち,検査直後 に栄養指導を行った 11 名を対象とした.CGM 中に記録した食事や生活内容と CGM 結果を照らし合わせて患者指導を行った.【結果】対象は 1 型!2 型:3!8 名,平均年齢 65 歳,病歴 18 年,HbA1c 8.1 %,頻回インスリン注射!GLP-1 注射!内服薬治療は 7!1!3 例,CGM 平均血糖 150±24 mg!dl・SD 48±17 mg! dl であった.指導前後の HbA1c に有意な変化を認めなかったが,CGM で確認 された血糖変動を食事内容の影響説明に用いることは,患者の理解向上に役 立った.また申告する食事記録が不完全であることが CGM 結果より推定され た.【考察】視覚的に確認できる CGM は,食事影響の患者理解と担当者の指導 の双方において有用であった.個別指導に有用なオプション検査である. O-47 CGM を加えた新たなカーボカウント・クリニカル パスの作成 医療法人社団正名会池田病院栄養課1 医療法人社団正名会池田病院2 城内繭子1 穴倉弘枝1 別當憲子1 南 美樹1 有田桂子1 宇佐美勝2 池田弘毅2 【目的】入院中にカーボカウントを導入し,退院時に CGM を活用した 1 型糖尿病患者の経過を報告【内容】入院中カーボ カウント・クリニカルパスに順じて指導.CGM は入院中 2 日間,退院後 4 日間装着.退院後は食事記録,炭水化物量の計 算を依頼した.【症例の経過と成果】51 歳男性.入院中のイン スリン・カーボ比は毎食 0.5 u!10 g であり,血糖変動は良好 であった.退院後,主食量は指示量内で安定しているが,おか ずの量が多く,高タンパク,高脂肪食の傾向が見られた.食後 血糖が高く,インスリン・カーボ比が変更となった(0.5→0.6 u!10 g).【考察】CGM による血糖変動のグラフ化と詳細な食 事記録とを併せて評価する事でより実生活に即したカーボカ ウント指導が可能であり,新しいパスの作成につながった.

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O-48 糖尿病高齢患者の在宅療養に向けての栄養指導方 法と取り組み 北播磨総合医療センター栄養管理室1 北播磨総合医療センター糖尿病・内分泌内科2 北播磨総合医療センター内科・老年内科3 西田直美1 松本昌子1 柏谷幸司1 田中悦子1 坂 美紀子1 竹内健人2 西山勝人3 原 賢太2 安友佳朗3 横野浩一3 【はじめに】当院での糖尿病教育入院患者における高齢者の割合は 50 %で ある.効果的な指導を行うためには,入院時に患者の生活状況を把握し,問 題点を掴むことが必要である.【方法】高齢で認知症があり退院後在宅療養 される 2 症例について家族同席で栄養指導を行い,食事の問題を提起,家族 の協力の有無の確認,調理困難な場合,宅配食を勧めるという手順で指導を 実施.【結果】家族が血糖測定,インスリン注射に協力,宅配食の利用を受け 入れ,介護サービスを利用された方が在院日数は 21 日短かった.【考察】入 院中 2 回の栄養指導で在宅での食事療法体制を整えるには,早期に生活状 況や問題点を把握し,問題を他職種で話し合い,解決に繋げていくことが必 要である.また,認知症患者の在宅療養には,家族の協力が必須であると考 えられる.今後,外来でどのようにフォローしていくかが課題である. O-49 抗インスリン抗体陽性の 2 型糖尿病患者に対する 食事療法の有効性 西神戸医療センター栄養管理室1 西神戸医療センター内分泌・糖尿内科2 島村康弘1 佐藤雄一2 藤原秀哉2 和雄2 船越泰子1 症例は 65 歳男性.40 歳頃より糖尿病にて内服加療,61 歳時にイ ンスリン導入するも糖尿病性腎症の増悪を認め,現在は使用し ていない.透析導入目的にて入院し,入院時の HbA1c は 5.3 % であった.入院後,夜間(午前 4 時前後)に頻回の低血糖を認め たため,眠前の補食を開始するが改善せず,血中インスリン抗体 陽性(結合率:87.1 %,濃度:≧5000 nU!ml)であることが判 明.食事療法として一食の主食量を半量とし,食間と眠前に補食 を摂る一日 6 分割食を導入した.しかし,その後も夜間および透 析後にも低血糖を頻回に認めた.退院時指導として「一食の主食 量を半量とし,食間および午前 0 時と 4 時に補食を摂る」,「透析 後に補食を摂る」,また,間食を我慢出来ない傾向にもあったた め「必要以上に補食を摂らない」ことも指導した.抗インスリン 抗体陽性による低血糖対策として,分割食が有効と考えられた. O-50 当院でのソフトドリンクケトーシス患者の特徴 大阪府済生会野江病院糖尿病・内分泌内科1 大阪府済生会野江病院栄養管理科2 森田 聖1 藤井淳子2 北本友佳1 山藤知宏1 鯉江基哉1 安田浩一朗1 【目的】ソフトドリンクケトーシス患者と栄養指導未受診の糖 尿病患者との間に,食事摂取状況や生活習慣に違いがあるのか 比較検討を行った.【方法】ソフトドリンクケトーシス患者と, 栄養指導未受診の糖尿病患者に対し,食習慣アンケートと食事 摂取調査を行い,HbA1c,体重,食事摂取量について比較検討 した.【結果】総摂取エネルギー量,指示エネルギー量との差に おいて違いがみられた.また,外食やコンビニの利用回数,普 段からの清涼飲料水摂取量もソフトドリンクケトーシス群で 多い等の違いがみられた.【考察】ソフトドリンクケトーシス患 者は普段から清涼飲料水の利用頻度が多く,外食やコンビニの 利用頻度が多いという特徴が再確認できた.また今回の結果で は一般的に清涼飲料水の利用が多いといわれる若年層だけで なく,50 歳以上の患者が約半数を占める結果となった. O-51 2 型糖尿病患者における睡眠障害と食行動の関連 武庫川女子大学大学院生活環境学研究科食物栄養学専攻1 和歌山県立医科大学附属病院病態栄養治療部2 和歌山県立医科大学第一内科3 武庫川女子大学生活環境学部食物栄養学科4 亀井こずえ1 前山 遥2 笹野馨代2 田中明紀子2 川村雅夫2 古川安志2,3 古田浩人3 赤水尚史3 西 理宏2,3 鞍田三貴4 【目的】2 型糖尿病患者における睡眠障害と食行動の関連について検討す る.【方法】初回糖尿病教育入院患者 26 症例を対象とした.睡眠に関する 調査は,Pittsburgh 睡眠質問票(PSQI),活動に関する調査は,日本語 版朝型―夜型質問紙(MEQ)を用いた.PSQI スコア 5.5 をカットオフに 睡眠障害有無の 2 群に分け,体組成,食事摂取量,食行動を比較した. 【結果】年齢は 65.5±11.6 歳.入院時 HbA1c9.5±2.2 %,罹患歴 8.0±8.7 年, 食行動スコア 85.3±15.9, MEQ62.9±8.1, PSQI6.2±3.1 であった. 睡眠障害有群は 50 %であり,睡眠障害無群と比較し,食後血糖は高値の 傾向があり,夕食後血糖は有意に高値であった.睡眠障害有群は,糖尿 病罹患歴が有意に長く(p<0.05),食行動スコアは有意に低値を示した (p<0.01).【考察】睡眠障害は食後血糖,食行動に影響していた. O-52 糖尿病治療のテーラーメイド化に関する研究:ア カルボースとミグリトールの比較解析 近畿大学医学部内分泌・代謝・糖尿病内科 吉田左和 廣峰義久 能宗伸輔 馬場谷成 原田剛史 伊藤裕進 武友保憲 貫戸幸星 末吉功治 川畑由美子 池上博司 【目的・方法】アカルボース内服中の外来糖尿病患者全例を ミグリトールへ変更,6 ヶ月後まで追跡し得た 53 例について 有効性と安全性を検討.【結果】脱落 1 例(便秘の悪化)を除 く 52 例にて解析.HbA1c は軽度上昇したが(6.7±0.7→7.0± 0.9 %,p=7.0×10−4),グリコアルブミンは変化なく(18.2± 3.1→18.3±3.5 %,ns),1,5AG は 有 意 に 改 善 し た(7.7±4.2 →15.3±9.3μ g!ml,p=7.0×10−10).変更時 HbA1c7 %未満群 (9.6→18.9 %,p=6.0×10−7)と 7 %以上群(4.8→10.0 %,p= 6.5×10−5)いずれにおいても 1,5AG は有意に改善した.体 重・血圧・脈拍・脂質,消化器症状に差を認めなかった.【結 語】アカルボースからミグリトールへの変更により 1,5AG が有意に上昇し,食後高血糖の改善が示唆された. O-53 CGM を用いて解析した低用量ミグリトールの有用 性についての検討 和歌山県立医科大学第一内科 石橋達也 古川安志 太田敬之 松谷紀彦 松野正平 稲葉秀文 有安宏之 川嶋弘道 西 理宏 古田浩人 赤水尚史 【目的】低用量ミグリトールの有用性について CGM を用いて検討 した.【対象】食後高血糖をみとめた入院患者 4 例.(症例 1)43 歳女 性,HbA1c6.5 %.検診で高血糖指摘.OGTT で糖尿病型.(症例 2) 81 歳男性.53 歳時に幽門側胃切除.意識消失発作で入院.HbA1c 5.7 %.(症例 3)58 歳女性.43 歳時に左腎摘出.低血糖精査で入院. HbA1c5.7 %.OGTT で糖尿病型.(症例 4)78 歳男性.糖尿病歴 19 年.【方法】CGM で食後高血糖を確認,翌日にミグリトール 25 mg× 3 錠を追加し血糖値の推移を観察した.【結果】ミグリトール追加後 に平均血糖値は追加前:163.0±58.5 mg!dl,追加後:129.5±31.3 mg!dl と低下.食後高血糖の改善もみられた.腹部症状はみられな かった.【考察】低用量ミグリトールの追加は血糖値改善に有用であ り,腹部症状の出現に配慮した使用が可能と考えられた.

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