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Title レンチウイルスを用いた B 型肝炎 cccdna 阻害剤の探索 ( Dissertation_ 全文 ) Author(s) 竹内, 文彦 Citation Kyoto University ( 京都大学 ) Issue Date URL

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全文

(1)

Title レンチウイルスを用いたB型肝炎cccDNA阻害剤の探索(Dissertation_全文 )

Author(s) 竹内, 文彦

Citation Kyoto University (京都大学)

Issue Date 2019-05-23

URL https://doi.org/10.14989/doctor.k21976

Right

Type Thesis or Dissertation

Textversion ETD

(2)

レンチウイルスを用いた

B 型肝炎

cccDNA 阻害剤の探索

(3)

1

目次

要旨………

4

第一章 序論………

5

1-1 世界における HBV の感染者分布

1-2 HBV のウイルス学的な特徴

1-3 現在までの HBV に対する治療薬

1-4 現在まで行われているスクリーニング

1-5 変異型レンチウイルスの特徴

1-6 本研究の目的

第二章 実験材料と方法………

14

2-1 細胞培養

2-2 プラスミド

2-3 レンチウイルスの準備と感染実験

2-4 HBV の準備と感染実験

2-5 ELISA 実験

2-6 免疫染色法

(4)

2

2-7 RNA と DNA の検出

2-8 サザンブロッティング法

2-9 統計解析

2-10 DNA シークエンシング

2-11 細胞生存

2-12 化合物ライブラリーと薬剤

2-13 マウス

第三章 結果………

21

3-1 レンチウイルスによる環状 DNA 形成の確認

3-2 スクリーニングの実施とジクマロールの発見

3-3 HBV 感染実験でのジクマロールの阻害効果の確認

3-4 HBV 感染した初代継代細胞でのジクマロールの阻

害効果の確認

3-5 ジクマロールは HBV の阻害標的の探索

3-6 ジクマロールの HBV cccDNA への効果確認

3-7 ジクマロールの誘導遺伝子の確認

3-8 マウスへのジクマロールの毒性について

(5)

3

3-9 ジクマロール類似体による HBV 阻害効果について

第四章 考察………

48

4-1 ジクマロールの阻害方法について

4-2 ジクマロール類似体での抗 HBV 活性評価

4-3 ジクマロールのインビボ試験での抗 HBV 活性評価

4-4 今後の展望

参考文献………

51

謝辞………

55

(6)

4

要旨

現在まで、慢性感染を引き起こした患者から B 型肝炎ウイルス(Hepatitis B Virus: HBV)を駆除するための治療法は存在しない。これは HBV の遺伝子発現 と増殖を司る相補的閉環DNA(Covalently Closed Circular DNA: cccDNA)を除 去することが困難であるためである。しかし、cccDNA の検出はサザンブロッテ ィングか、特異的な定量性PCR によってのみ可能で、これらの方法を薬剤評価 のためのスクリーニングに適応するのは難しかった。そこで、インテグラーゼ欠 失レンチウイルスを用いて核内の環状DNA を評価する実験系を構築した。この 実験系ではゲノム挿入性を持たない環状DNA が感染細胞の核内に形成される。 このレンチウイルスの環状DNA にルシフェラーゼ遺伝子を導入し、レンチウイ ルスの環状DNA を簡便なルシフェラーゼアッセイで検出可能にした。この実験 系を用いて、3840 個の薬剤を評価した。結果、細胞毒性を示さず、ルシフェラ ーゼを 50%以上阻害し、レンチウイルス環状 DNA を減少させる薬剤として、 ジクマロールを発見した。 さらに、HBV の膜状受容体であるナトリウムタウロコール酸共役輸送体を発 現するヒト肝臓癌由来細胞株細胞とヒト初代継代細胞を用いた HBV 感染実験 で、ジクマロールが細胞内HBV RNA、DNA、上清中の HBV 抗原、DNA を減 少させることが示された。これらの結果より、ジクマロールがHBV の複製を阻 害することが示された。また、HBV 安定発現細胞株と HBV 感染細胞を用いた 実験で、ジクマロールがHBV cccDNA を減少させることが示された。 インテグラーゼ欠失レンチウイルスを用いることで、核内環状DNA の安定性 を評価できる実験系を確立した。また、この実験系で得られたジクマロールが実 際にHBV cccDNA を減少させることが示された。この実験系を用いることで、 HBV に対する新規の抗ウイルス薬を発見することができると考えられる。

(7)

5

第一章

序論

(8)

6

序論

1-1 世界における HBV の感染者分布

現在、世界では2 億 4000 万人以上が B 型肝炎ウイルス(HBV)に感染して いる[1]。輸血や血液製剤による HBV 感染がほぼ消失した現在、HBV 感染は性 行為などの水平感染による場合が大半を占める。成人のほとんどは一過性の感 染で、HBV は速やかに体内から除去されると考えられる。しかし、感染した成 人の約 5〜10%および感染した新生児の 90%以上がウイルスを除去するのに十 分な免疫反応を起こすことができず、生涯にわたる慢性感染症を発症する[2][3]。 毎年、60〜100 万人が、肝不全、肝硬変、および肝細胞癌のために慢性 B 型肝 炎(CHB)感染によって死亡する。30 年前から予防ワクチンは B 型肝炎に利用 可能だが、慢性感染症の患者数は高いままである[4]。したがって、CHB 感染を 治療し、その直接の影響を防ぐことが必要である[5]。

1-2 HBV のウイルス学的な特徴

HBV は、ヘパドナウイルス科に属する、エンベロープのある二本鎖 DNA ウ イルスである[6]。1970 年に HBV が初めて報告されてから半世紀近くがたち、 現在、HBV は 8 つの遺伝子型、すなわち A、B、C、D、E、F、G、および H が 報告されている[7][8][9][10]。世界的には、HBV C と D が最も一般的である。 相補的閉環DNA(cccDNA)は、3.5 kb のプレゲノム RNA(pgRNA)および 4 つのウイルスmRNA、3.5 kb のプレコア mRNA、2.4 および 2.1 kb の S mRNA (LHBs, SHBs)、および 0.7 kb の X mRNA を含む(HBx)、HBV のすべての転 写用の鋳型である。3.5 kb のプレコア mRNA はウイルスタンパク質の全てのオ ープンリーディングフレームを含むが、プレ抗原タンパク質のみを翻訳し、さら にプロセシングされe抗原として分泌される(HBeAg)。 pgRNA は、ウイルス ポリメラーゼ(HBVpol)およびコアタンパク質(HBc)をコードする多機能転 写物であり、そしてそれはHBV DNA 合成のための鋳型としての機能を果たす。 ウイルスポリメラーゼのpgRNA への結合に続いて、複合体はヌクレオキャプシ ドに詰められ、そこでポリメラーゼ反応をする逆転写酵素によってマイナス鎖 DNA を生じ、それは続いてプラス鎖 DNA にコピーされて部分的環状 DNA (rcDNA)を形成する(図 1)。ウイルスエンベロープタンパク質で覆われた成熟 ヌクレオカプシドはビリオン粒子として放出される[11][12]。したがって、

(9)

7 cccDNA は HBV の生活環において重要な役割を果たしており(図 2)、その排除 はB 型肝炎の治癒に必要である。 図1. HBV のゲノム構造と各転写産物。 成熟カプシドに内包されるHBV rcDNA の模式図。全長約 3.2 kb であり、 cccDNA と違い部分的に一本鎖になっている。

(10)

8

1-3 現在までの HBV に対する治療薬

HBV 治療に現在承認されている薬物には、インターフェロンアルファ(IFN-α)および5つのヌクレオシド類似体、ラミブジン(3TC)、アデフォビル、エン テカビル、テルビブジン、およびテノホビルが含まれる。各薬剤にはそれぞれ独 自の長所と短所がある[13]。IFN-α は高価で副作用が高く、CHB を有する患者 のごく一部しか効かない。よって、現在ではより効果の高いペグインターフェロ 図2. HBV cccDNA の宿主細胞内での挙動。 感染後、カプシドから放出されたrcDNA は核内に移動する。その後、宿主の DNA 修復機構によって cccDNA が形成され、すべてのウイルス性タンパク 質の転写を始める。

(11)

9 ン(PEG-IFN)の使用が広まっている。ヌクレオチド類似体は、逆転写を阻害する ことによってHBV 複製を効果的に阻止することができるが、長期治療後に薬剤 耐性ウイルスが出現することと、遺伝子型によっては薬剤耐性ウイルスの発生 頻度が大きく異なることが挙げられる[14][15][16]。しかし、感染した肝細胞の 核からの cccDNA の完全な除去は、前述の薬剤によっては達成することができ ない。したがって、感染した肝細胞から cccDNA を排除することができる新し い薬物の開発は臨床的に必要とされている。

1-4 現在まで行われているスクリーニング

HBV cccDNA を阻害する小分子を同定するための研究として、cccDNA の代 用マーカーとして cccDNA 依存性 HBeAg の発現を誘導する HBV 安定発現細 胞株を用いた研究がある[17]。この研究によって、2 つの化合物が rcDNA から cccDNA への形成阻害をする薬剤として発見されている[18]。現在までに、1.3 倍長の HBV ゲノムを持つ安定発現株[19][20][21]、HBV 感染初代ヒト肝細胞 (PXB)[22]、NTCP を安定発現する細胞[23]、および 1.3 倍長の HBV を含む プラスミドの一過性トランスフェクションを行う手法は、HBV cccDNA 生成を 再現するために使用されてきた。しかし、HBV 複製サイクルにおける工程のい ずれかの阻害は、cccDNA の減少を誘導し、cccDNA への特異的な阻害を示す化 合物の探索は困難であった。そこで我々は核内環状DNA の安定性を減少させる 化合物に焦点を当てたスクリーニング法の開発を目指した。

1-5 変異型レンチウイルスの特徴

核内環状DNA の安定性を評価するために、レンチウイルスを使用した。レン チウイルスは最も利用されているウイルスベクターの1 つであり、HIV のゲノ ムを複数のプラスミドに分ける(図 3)ことで感染後の新規のウイルス産生を起こ らなくさせたベクターである(図 4)。レンチウイルスは感染後、ウイルスゲノム RNA が細胞質内で二本鎖(ds)DNA に逆転写される。直鎖状 dsDNA は核に輸 送され、そこでインテグラーゼによってゲノムに組み込まれる。

(12)

10 図3. 一般的なレンチウイルスベクター。 LTR の間に挟まれていて、HIV の必須遺伝子である Pol、rev、Env を 3 つ のプラスミドに分割している。これによって、新規ウイルス産生の阻害と、 安全性を向上させた。さらに、広域感染性を獲得するために、エンベロープ 遺伝子である Env を CD4+以外の細胞でも吸着できる VSV-G に変換してい る。LTR の間の領域には、目的の遺伝子を導入する。

(13)

11 図4. レンチウイルスの産生と感染後の挙動。 (A) レンチウイルスの 4 つのプラスミドセットを HEK293T 細胞などの 転写能が高い細胞にトランスフェクションをする。遺伝子導入後、各プラス ミドからレンチウイルスのタンパク質、核酸が生成され、成熟ウイルスは細 胞外へ放出される。 (B) 成熟レンチウイルスが標的細胞に感染後、LTR に挟まれた領域のみが 遺伝子発現する。

(14)

12 インテグラーゼが存在しない場合、dsDNA は線状のままであるか、または相 同組換え(HR)または非相同末端結合(NHEJ)によって環状に変換される(図 5)[24][25][26]。核内に非複製環状 DNA(レンチウイルスエピソーム DNA、 LeDNA)を産生するためにインテグラーゼ欠損変異体レンチウイルスを使用し た。加えて、我々はLeDNA のレベルをモニターするためにルシフェラーゼの遺 伝子を持つレンチウイルスを作製した。 図5. インテグラーゼ変異型レンチウイルスの感染後の挙動。 インテグラーゼ変異型レンチウイルスは、野生型のレンチウイルスと同 様にHEK293T 細胞で形成される。標的細胞に感染後、核内に移動した線 状 dsDNA は核内に移動するが、インテグラーゼによる宿主ゲノムへの遺 伝子導入が起きず、代わりに環状DNA を形成する。

(15)

13

1-6 本研究の目的

HBV 感染細胞内の cccDNA を除去することは、慢性肝炎の治療に必須なこと である。本研究では、先ず、変異型レンチウイルスを用いて核内エピソームDNA の評価系を構築する。次に、化学物質ライブラリーをスクリーニングし、核内エ ピソームDNA の減少を引き起こす化合物を選択する。そして、この化合物が実 際に、HBV cccDNA の減少を引き起こすか検証することを目的とした。

(16)

14

(17)

15

2-1 細胞培養

以下に記述する全ての細胞の継代、培地交換は 2~3 日毎に行った。過剰増殖 及び培地 pH は遺伝子導入及び感染効率を極度に低下させる。ヒト肝臓癌由来 細胞株(HepG2)およびヒト胎児腎臓 293T(HEK293T)細胞は、10%ウシ胎 児血清(FBS)、ペニシリン(100U / ml)、およびストレプトマイシン(100 μg/ ml)を添加した DMEM 培地で維持した。HEK293T 細胞は過剰増殖を繰り返 すと、遺伝子導入効率と細胞増殖が低下する。その際は、細胞を破棄し、新規の 細胞を冷凍保存から解凍して使用した。Hep38.7-Tet 細胞は、テトラサイクリン (400 ng / ml)および G418(400 μg/ ml)を含む DMEM で維持した 。タウ ロコール酸ナトリウム共輸送ポリペプチド(NTCP)-mCherry 融合タンパク質 (NmcHepG2)を発現する HepG2 細胞は、G418(400μg/ ml)を含む一般的 なDMEM 中で維持した。ヒト化キメラマウスから単離されたヒト肝細胞(PXB) は、PhoenixBio Co. Ltd.(広島、日本)から購入し、dHCGM 培地[10% FBS、 ペニシリン(100U / ml)、ストレプトマイシン(100 µg / ml)、20 mM HEPES、 L-プロリン(15 µg / ml)、ヒト組換えインスリン(0.25 µg / ml)、50 nM デキ サメタゾン、ヒト組換え上皮成長因子(5 ng / ml)、0.1 mM アスコルビン酸、 DMSO(2%)]で培養した[27]。初代継代細胞はディッシュへの接着性が低いの で、培地交換の際はアスピレーターではなく、ピペットマンによる交換を行った。 dHCGM 培地は、10 種類の化合物を混合するので最終体積が初期の体積よりも 20%以上、増加する。よって、体積を考慮して混合する必要がある。特に、DMSO 濃度は感染性及び細胞毒性に関わってくる。dHCGM で細胞毒性が出る場合は、 DMSO 濃度を 1~1.5%に減少させる必要がある。全ての細胞株は、5% CO2、37℃ で培養した[28][29]。HBV の感染実験では、2 週間以上の長期間培養が必要であ るので、細胞培養器内は湿度を常に90~95%に保つ必要がある。乾燥状態は、培 地の蒸発によるDMSO や化合物濃度の上昇を引き起こし、細胞の突然死を誘導 するからである。

2-2 プラスミド

pLVX-IRES-mCherry または pLVX-IRES-ZsGreen1(Clontech)を XhoI お よびNotI を用いて制限酵素処理し、ホタル(GenBank: AB644228.1)またはウミ シイタケ(GenBank: M63501.1)ルシフェラーゼを挿入した。

(18)

16

2-3 レンチウイルスの準備と感染実験

レンチウイルスは、HEK293T 細胞の一過性トランスフェクションによって 産生される。 100 mm ディッシュに細胞を播種してから(2.4 x 106細胞/ディッ シュ) 24 時間後に、細胞に 4 µg の pCMV-VSV-G、RSV-Rev、および pCAG-HIVgp、または 20.5 µl の Lenti-X パッキングミックス(インテグラーゼ欠損; Clontech Laboratories, Inc. Palo Alto, CA ) を 製 造 者 の 指 示 に 従 っ て Lipofectamine2000(Invitrogen)と混合した。翌日、培養上清(この上清にも レンチウイルスは産生されているが、トランスフェクションに用いた試薬、プラ スミドが含まれてしまうので感染源としては利用しなかった。) を新鮮な DMEM と交換した。翌日、細胞上清を回収した。回収上清を 0.45 µm フィルタ ーで濾過し、Centriprep 10K を使用して元の容量の 1/20 に濃縮し、-80℃で保 存した。感染前に、HepG2 細胞をコラーゲンコート 100 mm ディッシュに播種 した(1.5×106 細胞/ディッシュ)。濃縮レンチウイルスをポリブレン(Nacalai、 10 µg/ ml)と共に 2 日間培養した。その後、培地を新鮮な DMEM と交換した。 さらに1 日培養後、レンチウイルス感染 HepG2 細胞を 96 ウェルプレートに播 種した(2×104細胞/ウェル)。96 ウェルプレートに細胞を播く際、外側のウ ェルには細胞を播かず、代わりにPBS で満たした。24 時間培養後、細胞を薬物 ライブラリー(Pharmakon 1600 薬物ライブラリー、Prestwick 化学物質ライ ブラリー、およびTocriscreen 化合物ライブラリー)で 24 時間処理し、次いで ルシフェラーゼ、タンパク質アッセイ、またはHIRT 抽出に用いた。

2-4 HBV の準備と感染実験

Hep38.7-Tet 細胞上清を HBV 接種源(遺伝子型 D)として使用した。 Hep38.7-Tet 細胞をコラーゲンコート 100 mm ディッシュに播種した(30×105 細胞/ディッシュ)。播種後、テトラサイクリンの非存在下で 7 日間、培養し た。上清をCentriprep(Milipore)を用いて、その元の容量の 1/20 に濃縮し て感染源として使用した。NmcHepG2 細胞をコラーゲンコート 6 ウェルプレ ートに(2 X105細胞/ウェル)播種し、G418 を含む DMEM 培地で一晩培養し た。翌日、培地をdHCGM と交換し、さらに一晩培養した。 次の日に、培地 を除き、NmcHepG2 細胞に濃縮 HBV(500 Geq/細胞)およびポリエチレングリ コール8000(4%)を加えた dHCGM 培地で HBV 感染させた。翌日、感染培 地を除去後、DMEM 培地で最低でも 3 回、洗浄を行い、培地を試験化合物含 有のdHCGM と交換した。 HBV 接種源(遺伝子型 C)は PhoenixBio Co. Ltd.(広島、日本)から購入し た。HBV(5Geq/細胞)およびポリエチレングリコール 8000(4%)を加えた

(19)

17 dHCGM 培地で PXB 細胞に HBV(遺伝子型 C)を感染させた。翌日、薬物を 含むdHCGM と交換した。

2-5 ELISA 実験

細胞上清を回収後、1500 rpm, 4℃, 5 分間遠心し、以下の ELISA 解析用サン プルとして使用した。HBV 表面(HBs)ELISA(Beacle, Inc、京都、日本)お よびHBe モノクローナル ELISA(SIEMENS、ミュンヘン、ドイツ)キットを 製造業者の指示に従って使用して培養上清中のHBV タンパク質を分析した。

2-6 免疫染色法

細胞培養後のウェルに4%パラホルムアルデヒド(PFA)を加え、10 分間室 温で振とうし、固定処理を行った。次に、PBS で 3 回洗浄した。洗浄後、細胞 に0.05% Triton X-100 含有の PBS を加え、室温、10 分間で振とうし透過処理 を行った。ブロッキング溶液(5 mg/ml BSA および 0.04%Tween 20 を含有す るPBS)で 30 分間、室温で振とうしてブロック処理を行った。そして 4℃で一 晩、ブロッキング溶液で希釈した一次抗体でインキュベートした。翌日、ブロッ キング溶液で希釈した二次抗体溶液に交換し、1 時間、室温で振とうした。核を 4,6-ジマイジノ−2-フェニルイノドール(DAPI)で染色し、細胞を共焦点レ ーザー顕微鏡TCS-SP(Leica)を用いて観察した。

2-7 RNA と DNA の検出

ELISA 用サンプルと同様に、細胞上清を回収後、1500 rpm, 4℃, 5 分間遠心 し、以下の解析用サンプルとして使用した。SMITEST EX-R&D核酸抽出キッ ト(Medical & Biological Laboratories Co, Ltd,名古屋、日本)を使用して、 上清からレンチウイルスRNA および HBV DNA を抽出した。

全RNA を Trizol(Invitrogen)で抽出し、ReverTra Ace qPCR RT キット (TOYOBO)を用いて逆転写して cDNA を作製した。エピソーム DNA は HIRT 抽出によって抽出した。 HBV コア(HBc)および HBs のリアルタイム

PCR (RT-PCR)(HBV ゲノムAB 644287の受入番号に基づく)は、Fast

SYBER Green Master Mix (Applied Biosystems)またはTHUNDERBIRD

qPCR Mix (TOYOBO)を製造元の指示に従って用いた(表1)。ヒトグリセル アルデヒド3-リン酸デヒドロゲナーゼ(GAPDH)遺伝子またはミトコンドリ アDNA を、各サンプルにおける差異を標準化するための内部対照として使用 した。HBV cccDNA の特異的な検出方法は、プライマーセット

(20)

5'-18

GCACAGCTTGGAGGCTTGAA-3'、プローブ 5'-56FAM / CTGTAGGCA / ZEN / TAAATTGGF / 3 / TAAATTGGF / 3 を使用した[30]。

(21)

19

2-8 サザンブロッティング法

レンチウイルスおよびHBV DNA プローブは、それぞれのプライマーセット を用いてPCR によって以下の手順で合成した。レンチウイルスエピソームの検 出のために、5 つの DNA 断片を Firefly プライマー対を用いて合成した。 HBV については、9 個の DNA フラグメントを ccc プライマー対を用いて合成した (表1 およびdx.doi.org/10.17504/protocols.io.xggfjtw)。増幅されたDNA 断片 を製造元の説明書に従ってランダムプライマーDNA ラベリングキット(Takara) で標識した(表 1)。抽出された DNA サンプルは以前の報告と同様の方法で検 出した[29]。シグナルを可視化し、FUJIFILM BAS-5000 イメージスキャナー を用いて分析した。

2-9 統計解析

一元配置分散分析と多重比較Turkey 検定を用いて有意性を評価した。 P < 0.05 を有意と見なした。

2-10 DNA シークエンシング

変異型レンチウイルスに感染したHepG2 細胞の HIRT 抽出産物を利用して、 レ ンチ ウイルス 環状 DNA の DNA シークエンシングを行った。BigDye Terminator v3.1 サイクルシークエンシングキット(Thermo Fisher)を用いて 標識したサンプルをABI 3100 自動シークエンサーで確認した。

2-11 細胞生存

細胞生存率は、以下の3 つの方法で解析した。細胞内還元酵素の力価を測定 することでの細胞生存率は、製造元の指示に従って WST-1 細胞増殖アッセイ (Takara)を用いて調べた。ウェル上での細胞のタンパク質量を染色すること で細胞生存率を測定する方法はアミドブラック染色法を用いた。細胞をPBS で 洗浄し、メタノールで固定した。その後、0.5%アミドブラック溶液を添加し、細 胞を室温で20 分間インキュベートした。 20 分後、溶液を除去し、ウェル上で 染色された細胞をEPSON GT-X 820 を用いて定量した。ウェルから回収したサ ンプルのタンパク質量を測ることでの細胞生存率の測定はタンパク質アッセイ 色素試薬濃縮物(Bio-Rad)を製造元の指示に従って使用することによって行っ た。

(22)

20

2-12 化合物ライブラリーと薬剤

スクリーニングのための化合物ライブラリーとして、3 つのライブラリーを使 用した。Pharmakon 1600 薬物ライブラリー(Microsourse Discovery System)、 Prestwick 化学ライブラリー(Prestwich chemical)、および Tocriscreen 化合 物ライブラリー(Tocris Bioscience)を DMSO に溶解し、スクリーニングに使 用した。 Prestwick ケミカルライブラリーは、西條政幸、下島昌幸(国立感染 症研究所、東京)から提供された。ワルファリンはフナコシ(日本)から購入し た。ジクマロールおよびラミブジンは東京化成工業(東京、日本)から購入した。 7−ヒドロキシ−4−メチルクマリンおよびクマリンはナカライから購入した。全て の化合物はDMSO に溶解させ、-30℃で保存した。

2-13 マウス

マウスの飼育および繁殖は京都大学ウイルス・再生医科学研究所内施設 SPF (specific pathogen-free)の条件で行った。野生型 BALB ( BALB/c )マウス は 清 水 実 験 材 料 社 ( 京 都 、 日 本 ) か ら 、 C.B-17 SCID ( CB17/Icr-Prkdcscid/CrlCrlj )マウスは日本チャールズリバー社(神奈川、日本)から購入し

(23)

21

(24)

22

結果

3-1 レンチウイルスによる環状 DNA 形成の確認

変異型レンチウイルスは、NHEJ および HR によって LeDNA を形成する (図6)。我々は、ホタルルシフェラーゼをコードするが HBV 配列を含まな いレンチウイルスを作製した。感染後、3’および 5’末端に末端反復配列 (LTR)を有する 7.2 kb の線状レンチウイルス DNA が、NHEJ によって 7.2 kb の環状 DNA または HR によって 6.6 kb の環状 DNA に変換される。 このレンチウイルスには2 つの利点がある。第 1 に、HBV は感染性が低 く、HBV 複製を検出するのに少なくとも 12 日かかる。対照的に、レンチウイ ルスは感染性が高く、遺伝子発現は16 時間で検出が可能である。第 2 に、複 製されたHBV DNA の検出は細胞表面に吸着したビリオン由来の HBV ゲノム DNA が高いバックグラウンドとなり、困難である。一方、レンチウイルスは RNA ウイルスなので、LeDNA 検出時に細胞表面に吸着したインプットのウイ ルスはバックグランドに成りえない。 図6. レンチウイルス環状 DNA の形成 変異型レンチウイルスの感染後、線状dsDNA は NHEJ または HR によって環状型に変 換される。

(25)

23 HepG2 細胞に変異型レンチウイルスを感染させ、ルシフェラーゼ抗体で染 色して感染率を調べた。免疫蛍光の結果より、細胞のほぼ30%が変異型レンチ ウイルスに感染していた(図7)。 図7. 変異型レンチウイルスの感染確認。 レンチウイルス感染 HepG2 細胞を、ホタルルシフェラーゼに対する抗体を 用いて免疫蛍光法により分析したところ、26.8%の細胞がルシフェラーゼ発 現陽性であった。スケールバーは50 μm を示す。

(26)

24 レンチウイルスが肝細胞に感染後、環状DNA を形成するか確認するために 以降の実験を行った。HepG2 細胞にレンチウイルスを感染させた 2 日後、エ ピソームDNA を HIRT 法によって抽出した。サザンブロッティングは、レン チウイルス配列を含む3 つのバンドを検出した(図 8A)。これらのバンドの 性質を確認するために、抽出したDNA を BamHI で制限酵素処理した。環状 DNA は線形化することで移動度を変えることを考慮して、3 つの形態が同定さ れた。バンドから、環状(I + II)と線状(III)DNA のモル比を計算した (図8B)。これらの結果より、レンチウイルスが主に環状 DNA を形成してい ることが分かった[30、31]。 図8. レンチウイルス環状 DNA の確認。

(A)レンチウイルス感染細胞を HIRT 抽出後、BamHI 処理をし、サザンブ ロッティングにより分析した。 PC:陽性コントロール、レンチウイルスプラ スミド1 μg、NC:陰性コントロール、未感染。 (B)サザンブロッティン グのバンドの強度をMulti Gauge ソフトウェアにより測定した。**P < 0.01。

(27)

25 LeDNA は複製起点を欠いているので、細胞が増殖するにつれて細胞集団中に おける LeDNA の割合は低下すると予想された。細胞分裂に伴う LeDNA の減 少を確認するために、レンチウイルスDNA を感染後 2、4、6、および 8 日で、 細胞を回収してHIRT DNA 抽出を行った。サザンブロッティングの結果より、 LeDNA レベルが経時的に著しく減少することが明らかになった(図 9A)。ル シフェラーゼ発現を同様にモニターすると、指数関数的に減少した(図 9B)。 図9. レンチウイルス環状 DNA の形成 (A)HepG2 細胞をレンチウイルスに感染させ、感染後 2、4、6、および 8 日で、レンチウイルス感染 HepG2 を回収し、サンプルをサザンブロッ ティングによって分析した。 (B)感染後 2、4、6、および 8 日で、レン チウイルス感染HepG2 サンプルをルシフェラーゼアッセイで分析した。 *P < 0.05、**P < 0.01。

(28)

26 一方、細胞増殖を停止した際には、細胞集団におけるLeDNA を保持してい る細胞の割合は維持されると予想された。分裂停止時の LeDNA の保持を確認 するために、dHCGM で培養し、インテグラーゼ欠損レンチウイルスを 2 日間 感染させ、感染後3, 6, 9 日目で細胞を回収して、HIRT 抽出を行った、抽出 DNA をサザンブロッティングによって解析した。結果、LeDNA のバンド強度が感染 後 9 日目でも、感染後 3 日目のバンドと比較して維持されていることが確認さ れた(半減期> 9 日)(図 10)。 図10. 細胞増殖の停止によるレンチウイルス環状 DNA の維持。 HepG2 細胞を dHCGM 培地で培養し、細胞増殖を停止させた。その後、 インテグラーゼ欠損レンチウイルスを 2 日間感染させた。 感染後 3、6、お よび9 日で、レンチウイルス感染 HepG2 サンプルをサザンブロッティング によって分析した。

(29)

27 HR および NHEJ によって形成される環状 DNA をさらに調べるために、7.2 および6.6 kbp の DNA 断片の配列を決定した。 2 つの結合した LTR(7.2 kb)、 WPRE および Psi(6.6 kbp)に隣接した 1 つの LTR が確認された(図 11)。 図11. HR と NHEJ から生じる環状レンチウイルス DNA の構造。 HepG2 細胞をインテグラーゼ欠損レンチウイルスに感染させ、核エピソーム DNA を抽出して配列決定した。 結果、2 種類の配列が得られた。左側は HR、 右側の配列はNHEJ によって産生された環状 DNA に対応する。オレンジ色 の配列はLTR を表し、緑色の配列は WPRE を表し、青色の配列は Psi を表 す。

(30)

28

3-2 スクリーニングの実施とジクマロールの発見

LeDNA を評価できるルシフェラーゼ活性を利用して 3,840 種類の化学物質 をスクリーニングした。図12A に示すように、細胞をレンチウイルスに感染さ せ、化学物質で処理した。培養後、ルシフェラーゼ活性およびタンパク質アッ セイのために細胞を回収した。1 次スクリーニングは 10 種類の化学物質混合物 (化学物質混合物セット)を用いて行い、少なくとも3 回繰り返した。タンパ ク質濃度の測定と顕微鏡での細胞形状の確認により、それぞれの化学物質混合 物セットの細胞毒性を評価した。1 次スクリーニングのうちの 10 化学物質混合 物セットは、ルシフェラーゼ活性の増強を示したが、今回のスクリーニングの 目的と異なるため、それ以上の分析は行わなかった。1 次スクリーニングの結 果、細胞毒性を示さず、ルシフェラーゼ活性を50%以上減少させた 12 化学物 質混合物セット(120 種類分)を選んだ。2 次スクリーニングでは、12 化学物質 混合物セットに含まれる120 種類の化合物を 1 つずつ、単体で細胞毒性および ルシフェラーゼの活性を調べた。 2 次スクリーニングの結果、120 種類の化合 物の中から毒性を示さず、ルシフェラーゼ活性を50%以上減少させた 12 種類 の候補阻害剤を同定した。12 種類の候補阻害剤の中で、最も強くルシフェラー ゼを減少させたジクマロールに注目した(図12B)。 図12. スクリーニングによるジクマロールの発見。 HepG2 細胞をインテグラーゼ欠損レンチウイルスに 2 日間感染させ、薬剤 (10 μM)で 1 日間処理した。次いで細胞をルシフェラーゼおよび LeDNA の 解析を行った(A)。 (B)ジクマロールの化学構造。

(31)

29 ジクマロールは100 μM(CC50 225μM)より高い濃度で細胞毒性を示した (図13A)。しかしながら、強いルシフェラーゼ阻害が 25~50 μM(EC50 12 μM)で観察された(図 13B)。治療指数(TI ; EC 50 / CC50)は 0.05 であった ので、この阻害は毒性のみによるものではないと考えられた。サザンブロッテ ィングの結果は、ジクマロールが50 μM で LeDNA を減少させることを示した (図13C)。これらの結果より、ジクマロールが LeDNA レベルを減少させる ことが示された。 図13.ジクマロールは LeDNA を阻害する。 レンチウイルス感染HepG2 細胞をジクマロールで処理した。 24 時間後、サ ンプルを回収し、細胞毒性(A)およびルシフェラーゼアッセイ(B)につい て分析した。 (C) LeDNA をサザンブロッティングにより分析した。*P < 0.05、**P < 0.01、n.s. 有意差なし。

(32)

30

3-3 HBV 感染実験でのジクマロールの阻害効果の確認

次に、我々はジクマロールの抗 HBV 活性を調べた。 NmcHepG2 細胞を、 Hep38.7-tet 細胞由来の遺伝子型 D の HBV に感染させた(材料および方法、図 14A)。先ず、アミドブラック染色により薬物毒性を調べた。 HBV 接種の非特 異的吸着と細胞内HBV 複製とを区別するために、Myrcludex B ペプチド(MyrB) を使用した。 MyrB は preS1 由来のペプチドで、HBV 侵入の競合的阻害剤で あり、NTCP を介した感染を阻害する[32]。ジクマロールは 120 μM の CC50 を 示したが、低濃度では毒性はほとんど観察されなかった(図14B)。 図14.ジクマロールの NmcHepG2 細胞における毒性評価。

(A)感染および薬剤処理。 NmcHepG2 細胞を感染後 0〜1 日で MyrB の非 存在下または存在下でHBV に感染させた。 感染後 1 日で、ウイルス含有培 地を除去し、ジクマロール含有培地を添加した。 2 日ごとに、培地を交換し、 サンプルを感染後 11 日で回収した。 (B)細胞毒性をアミドブラック染色 により調べた。

(33)

31

次に、細胞内HBV RNA を定量することで、ジクマロールの HBV 阻害効果 を確認した。qPCR の結果より、ジクマロールは濃度依存的に HBV RNA 発現 を阻害しEC50 は 40 μM で、TI は 0.33 であった(図 15A)。これらの条件下 で、ジクマロールは毒性を示さなかった(図15 B, C)。 図15.ジクマロールは、NmcHepG2 細胞における HBV 複製を阻害する。 NmcHepG2 細胞を感染後 0〜1 日で MyrB の非存在下または存在下で HBV に感染させた。 感染後 1 日で、ウイルス含有培地を除去し、ジクマロール含 有培地を添加した。 2 日ごとに、培地を交換し、サンプルを感染後 11 日で 回収した。(A) HBV RNA を qPCR により定量した。(B)細胞生存率は細胞 数を数えることにより確認した。(C)NTCP-mCherry の発現量と細胞の形 状を蛍光顕微鏡で確認した。Mock:未感染、MyrB:Myrcludex B、cont: MyrB 非存在下。*P < 0.05、**P < 0.01、n.s. 有意差なし。

(34)

32

3-4 HBV 感染した初代継代細胞でのジクマロールの阻害

効果の確認

次に、初代ヒト肝細胞、PXB における HBV 複製に対するジクマロールの効 果を調べた。ジクマロールは使用濃度範囲内で毒性を示さなかった(図 16 B, C)。 図16.ジクマロールの HBV 感染初代ヒト肝細胞での毒性評価。 (A)実験行程。PXB 細胞を感染後 0〜1 日で MyrB の非存在下または存在 下でHBV に感染させた。 感染後 1 日で、ウイルス含有培地を除去し、ジク マロール含有培地を添加した。 2 日ごとに、培地を交換し、サンプルを感染 後11 日で回収した。 3TC:500 nM ラミブジン、逆転写酵素阻害剤。 (B) 明視野での細胞の形状と状態を顕微鏡で確認した。(C)トリパンブルー陰性 細胞数を数えることによって細胞生存率を調べた。

(35)

33 ここでは、逆転写酵素阻害剤であるHBV 阻害剤ラミブジン(3TC)を陽性対 照として使用した。 HBV DNA は逆転写によってのみ DNA を合成するので、 3TC は HBV DNA 合成を阻害する。従って、HBs および HBe の細胞外分泌は 部分的にしか阻害されなかった(図17A および B)。一方、上清 DNA レベルは 強く減少した(図17C)。一方、ジクマロールは、濃度依存的に、HBe(図 17A)、 HBs(図 17B)、および HBV DNA(図 17C)の放出を阻害した。 図 17.ジクマロールは HBV 感染初代ヒト肝細胞における細胞外 HBV 粒子 産生を阻害する。 PXB 細胞を感染後 0〜1 日で MyrB の非存在下または存在下で HBV に感 染させた。 感染後 1 日で、ウイルス含有培地を除去し、そしてジクマロール 含有培地を添加した。 2 日ごとに、培地を交換し、サンプルを感染後 11 日 で回収した。 3TC:500 nM ラミブジン、逆転写酵素阻害剤。(A)培養上清 中のHBe。 (B)培養上清中の HBs。 (C)上清中の DNA を抽出し、qPCR とELISA により定量した。

(36)

34

次に、細胞内 HBV DNA と RNA の阻害効果を確認した。3TC によって、 細胞内HBV RNA レベル(HBs PCR プライマーによって検出)レベルは影響 されなかった(図18A)。一方で、細胞内 HBV DNA は 3TC によって阻害され た(図 18B)。ジクマロールは、濃度依存的に、HBV RNA(図 18A)および DNA (図18B)の遺伝子発現を阻害した。これらの結果より、ジクマロールが抗 HBV 活性を有することが示された。 図 18.ジクマロールは HBV 感染初代ヒト肝細胞における HBV 複製を阻害 する。 PXB 細胞を感染後 0〜1 日で MyrB の非存在下または存在下で HBV に感 染させた。 感染後 1 日で、ウイルス含有培地を除去し、そしてジクマロール 含有培地を添加した。 2 日ごとに、培地を交換し、サンプルを感染後 11 日 で回収した。 3TC:500 nM ラミブジン、逆転写酵素阻害剤。細胞内 HBV RNA(A)および細胞内 HBV DNA(B)を qPCR により定量した。

(37)

35

3-5 ジクマロールの HBV 阻害標的の探索

ジクマロールが HBV の吸着/侵入に影響を及ぼすかどうかを検討するため に、細胞をMyrB で処理するか、またはジクマロールで感染後 0~1 日間、処理 した(図19A)。 HBV RNA 発現は、侵入阻害剤 MyrB とは対照的に、吸着/ 侵入工程においてジクマロールの影響を受けなかった(図19B)。 図19.ジクマロールは HBV の吸着/侵入を阻害しなかった。 NmcHepG2 細胞を、ジクマロールまたは MyrB の非存在下または存在下 で感染後0〜1 日で HBV に感染させた(A)。 (B)感染後 11 日で、RNA を回収し、HBV RNA について qPCR で定量した。*P < 0.05、**P < 0.01、 n.s. 有意差なし。

(38)

36 次に、図20A に示すように、HBV 侵入後に細胞をジクマロールで処理した。 感染後 1~6 または 6~11 日ジクマロールで処理した細胞における HBV 複製は 有意に阻害されなかった(図20 B)。しかし、連続処理(1~11 dpi)は HBV 複 製を強く阻害した(図20 B)。この結果より、十分な期間のジクマロールの継続 的処理がHBV 複製の完全な阻止に必要であることが示された。 図20. HBV の吸着/侵入後のジクマロールの阻害効果。 NmcHepG2 細胞を、MyrB の非存在下または存在下で感染後 0〜1 日で HBV に感染させ、その後、ジクマロールを各期間、投与した(A)。 (B) 感染後11 日で、RNA を回収し、HBV RNA について定量した。 *P < 0.05、**P < 0.01、n.s. 有意差なし。

(39)

37

さらに、ジクマロールが長期培養(感染後1〜21 日)(図 21 A)中に HBV 感 染を強く阻害することを見出した(図21B)。

図21.ジクマロールの長期投与による HBV 阻害効果の確認。

(A) NmcHepG2 細胞を、MyrB の非存在下または存在下で感染後 0〜1 日で HBV に感染させた。長期 HBV 感染(21 日)の間の抗 HBV の効果を評価す るために、図に示されるように、細胞を感染させ、ジクマロールで処理した。 (B)感染後 21 日で、RNA を抽出した。*P < 0.05、**P < 0.01、n.s. 有意 差なし。

(40)

38

3-6 ジクマロールの HBV cccDNA への効果確認

我々は次にHBV cccDNA に対するジクマロールの効果を調べるために、HBV を安定発現するHep38.7 細胞を使用した。この細胞株は、培地中のテトラサイ クリンを除去するとHBV DNA を発現する[31]。サザンブロッティング分析に より、3 つのエピソーム HBV DNA 種が検出された(図 22、制限酵素処理なし)。 HBV ゲノムを EcoRI で制限酵素処理すると、約 2.1kbp 付近のバンドが 3.2 kbp の位置に移動したことより、このバンドがHBV cccDNA であることを確認した。 図22.HBV 安定発現細胞による HBV cccDNA の形成。 7 日間テトラサイクリン非含有 DMEM で培養して、Hep38.7 細胞に HBV 発現を誘導した。 HIRT 法で DNA を抽出し、サザンブロッティングにより 分析した。 DNA を未処理または EcoRI 処理で 1、2、または 4 時間培養し た。 rcDNA、線状 DNA、および cccDNA の位置が示された。

(41)

39 このHBV 安定発現株を用いて、ジクマロールの HBV cccDNA への阻害効果 を確認した(図 23)。6 日間のジクマロール処理は濃度依存的に HBV cccDNA を 著しく減少させたが、HBV rcDNA のレベルは大きく減衰しなかった(図 23)。 図23.ジクマロールは HBV cccDNA を濃度依存的に阻害する。 7 日間テトラサイクリン非含有 DMEM で培養して、Hep38.7 細胞に HBV 発 現を誘導した。図中に示されるように細胞をジクマロールで処理した。 HIRT 法でDNA を 7 日目に抽出し、サザンブロッティングで解析した。

(42)

40 HBV の複製後期に対するジクマロールの効果を確認するために、ジクマロー ルの処理期間を分けた実験を行った。HBV 複製中の細胞に最後 3 日間ジクマロ ールで処理した場合(図24、4~7 日)、HBV cccDNA の減少は、連続的なジク マロール処理(1~7 日)と比較して効率が低かった(図 24)。 図24.ジクマロールは HBV cccDNA を阻害する。 7 日間テトラサイクリン非含有 DMEM で培養して、Hep38.7 細胞に HBV 発 現を誘導した。 図中に示されるように細胞をジクマロールで処理した。 HIRT 法で DNA を 7 日目に抽出し、サザンブロッティングで解析した。

(43)

41 HBV cccDNA の減少に対するジクマロールの効果を調べるために、Hep38.7 細胞をテトラサイクリンの非存在下で培養し(0~7 日、HBV 合成誘導)、次い でテトラサイクリンを宿主ゲノムに導入された遺伝子からの HBV 合成を遮断 するために添加した(7~13 日)。テトラサイクリンの存在下で、図 25 に示すよ うに細胞をジクマロールでさらに処理した。テトラサイクリンの存在下で 7 日 間培養した後もHBV cccDNA は維持された(図 25、0 μM ジクマロール)。一 方で、ジクマロールによる処理は、cccDNA を含む HBV DNA の維持を強く阻 害した(図25、50μM ジクマロールの全時間)。 図25.ジクマロールは HBV cccDNA 維持を阻害する。 最初に、Hep38.7 細胞を、テトラサイクリンを含まない G418 培地を含む一 般的な DMEM 中で 0〜7 日培養した。 7 日目に、細胞培地を、テトラサイ クリンを含む新鮮なDMEM(ジクマロール 0 μM、7〜10 日ジクマロール 50 μM 、10〜13 日ジクマロール 0 μM、7〜13 日ジクマロール 50 μM)と交換 した。 10 日目に、細胞培地をテトラサイクリンを含む新鮮な DMEM(ジク マロール 0 μM、7〜10 日ジクマロール 0 μM、10〜13 日ジクマロール 50 μM、7〜13 日のジクマロール 50 μM)と交換した。最後に、13 日目に HIRT 法で DNA を回収し、サザンブロッティングで解析した。

(44)

42 HBV 安定発現細胞株での HBc の発現は宿主ゲノムに導入された HBV 遺伝 子と形成された HBV cccDNA によるものであるが、宿主ゲノムに導入された HBV 遺伝子からの発現量が HBV cccDNA からの発現量よりも格段に多い。よ って、HBc の発現量を確認することでゲノム挿入された HBV 遺伝子からの発 現量を確認することができる。ジクマロールによるゲノム挿入されたHBV 遺伝 子への阻害効果を確認した。結果、細胞内HBc 発現量はジクマロールによって 抑制されなかった(図26)。これらの結果より、ジクマロールが HBV cccDNA の減少を促進することが示された。 図26. Dicumarol は Hep38.7-Tet 細胞における HBc 蓄積を阻害しなかっ た。 Hep38.7-Tet 細胞をジクマロールまたはテトラサイクリンの非存在下 (Cont)または存在下で培養し、細胞内 HBc を免疫染色、核を DAPI 染色 によって検出した。

(45)

43

3-7 ジクマロールの誘導遺伝子の確認

HBV 感染細胞におけるジクマロールによる cccDNA の減少を評価するため に、NmcHepG2 細胞を HBV に感染させた。 感染細胞における HBV の cccDNA レベルは Hep38.7 細胞のレベルよりも低かったので、我々は cccDNA 検出のために定量的PCR を採用した。図 27 A に示すように、ジクマロール は、HBV 感染細胞中の cccDNA レベルを低下させた。

ヒトAPOBEC3A および B タンパク質が HBV cccDNA の維持に関わってい ることが既に報告されている[32]。よって、APOBEC3 遺伝子がジクマロールに よって転写を制御されているかどうかを調べた。 NmcHepG2 細胞のジクマロ ール処理は、APOBEC 3A、3B、3C、IL-6、または IFN-β 遺伝子の発現に影響 を及ぼさなかった(図27 B)。 図27.ジクマロールによる、APOBEC、NF-κB、ISG の誘導確認。 (A)NmcHepG2 細胞を HBV(遺伝子型 D)に感染させ、ジクマロール処 理で14 日間培養し、cccDNA を特異的 qPCR(材料および方法)によって 定量した。 (B)NmcHepG2 細胞を 50 μM のジクマロールの非存在下または存在下で 14 日間 HBV 感染細胞に処理し、APOBEC 3A、3B、3C IL-6、および IFN-β の mRNA レベルを qPCR によって測定した。

(46)

44

APOBEC 3A、3B、3C、IL-6、または IFN-β 遺伝子の発現について、初代肝 細胞(PXB、図 28A)および Hep38.7 細胞(図 28B)に置いても、同様の結果 が得られた。 図28.ジクマロールによる APOBEC、NF-κB、ISG の誘導確認。 (A)HBV 感染 PXB 細胞を 50 μM のジクマロールの非存在下または存在下 で処理し、抽出したRNA を図 27 と同様に分析した。(B)50 μM のジクマ ロールの非存在下または存在下でHBV 発現を Hep38.7 細胞において 6 日間 誘導し、mRNA 発現を図 27 と同様に分析した。*P < 0.05、**P < 0.01。n.s .: 有意差なし。

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45

3-8 マウスへのジクマロールの毒性について

しかし、インビボ試験のためには、ジクマロールが難水溶性であることや、マ ウスへの毒性など考慮すべきことがある。抗血液凝固剤ワルファリンはジクマ ロールの前駆体であるが同時に、強い殺鼠剤として利用されている。 よって、マウスへの特異的な毒性が懸念されたので、マウスへのジクマロール投 与を行い、毒性評価を行った。最初に用いたマウスは一般的なマウスである BALB マウスを用いた。2 日おきに、6 回 i.p 投与を行い、生存率を測った(図 29)。結果、ジクマロールが一般的に使われる 50 mg/kg 付近では生存率は変化 しなかった[33]。 図29.BALB マウスへのジクマロールの毒性評価。 (A)BALB マウスに PBS に溶解させたジクマロールを 6 回投与した。 (B) 各時期での生存率を計測した。

(48)

46 次に、現在、HBV のインビボ試験で最も使われている C.B-17 SCID mice ( CB17/Icr-Prkdcscid/CrlCrlj )での毒性評価を行った。このマウスは免疫不全マ ウスであり、ヒト肝細胞を生着させるために用いられるマウスである。先の(図 29)実験と同様にマウスにジクマロールを合計 6 回投与した(図 30 A)。そして、 各時期での体重と生存率を評価した(図 30 B,C)。結果、BALB マウスと同様に、 50 mg/kg で大きな体重変化および毒性は示されなかった。 図30.C.B-17 SCID mice マウスへのジクマロールの毒性評価。 (A)BALB マウスに PBS に溶解させたジクマロールを 6 回投与した。 各時期での生存率(B)と体重(C)を計測した。

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47

3-9 ジクマロール類似体による HBV 阻害効果について

ジクマロールはビタミン K エポキシドレダクターゼ(VKOR)を阻害するこ とによって、血液凝固を引き起こす[34]。より強力で特異的な VKOR の阻害剤 であるワルファリン、およびジクマロール関連化合物は cccDNA を阻害しなか った(図 31) 。 図31. ジクマロール関連化合物は HBV 複製を阻害しなかった。 ジクマロール関連化合物、クマリン、ワルファリン、および7-ヒドロキシ- 4-メチルクマリンを抗 HBV 活性について試験した。 (A)ジクマロール関 連化合物の構造。細胞を HBV に感染させ、ジクマロールまたはジクマロー ル関連化合物で感染後1〜11 日で処理した。 (B)HBV RNA レベルは感染 後11 日で測定した。*P < 0.05、**P < 0.01。n.s .:有意差なし。

(50)

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考察

4-1 ジクマロールの阻害方法について

非複製エピソームDNA を評価するためのアッセイ法を確立した。このアッセ イ法は、すべての HBV の遺伝子型に共通する cccDNA の環状という構造に着 目した実験系であり、既存のHBV のスクリーニング系とは大きく異なっている [18][35]。このアッセイ法を使用して、我々は薬剤ライブラリーをスクリーニン グし、ジクマロールをLeDNA の阻害剤として同定し、ジクマロールが実際に核 内に存在する環状DNA を減少させることを実証した(図 13 C)。また、このレ ンチウイルスのアッセイは HBV の遺伝子を含んでいないが、ジクマロールは HBV の複製を阻害した(図 14-27)。 HBV 生活環の各段階の遮断は HBV cccDNA を減少させる可能性があるので、HBV 生活環のどの段階がジクマロー ルの影響を受けるかを同定する必要がある。ジクマロールは、HBV 感染細胞の 細胞内HBV RNA、DNA、上清 HBV DNA 、HBe、および HBs の転写、タン パク質発現を有意に阻害した(図16-18)。しかし、1.3 倍長の HBV ゲノムから HBV を安定発現する細胞では、細胞内 HBc 発現はほとんど影響を受けなかっ た(図 26)。一方、cccDNA 発現は著しく減少した(図 23-25)。これらの結果 は、ジクマロールが宿主RNA ポリメラーゼを介した HBV 転写に影響を及ぼさ ないが、cccDNA レベルを特異的に阻害することを示唆した。 LeDNA と HBV cccDNA はどちらも核内に環状 dsDNA として存在し、複製起点はない。よって、 ジクマロールの潜在的な標的は、それらの形成または安定性の過程である可能 性がある。 LeDNA の場合、最初のレンチウイルス感染後に産生されるが、複 製起点が無いので、再合成されない。一方、HBV cccDNA の減少はジクマロー ルによって強く誘導された(図 25)。 HBV cccDNA は薬剤除去後に残存する と、HBV 複製サイクルを開始するので[36][37]、ジクマロール処理が感染細胞 中のHBV cccDNA を完全に除去できるかどうかは興味深い問題である。さらに、 ジクマロール処理は、HBV 直鎖状 DNA、rcDNA、および cccDNA の減少を誘 導した(図 23-25)。ジクマロールが HBV cccDNA だけでなくすべての HBV DNA 形態をも阻害する可能性がある。これらの問題は、HBV 感染を伴う長期 間のインビトロおよびインビボ試験によって解決されるべきである。

4-2 ジクマロール類似体での抗 HBV 活性評価

ジクマロール関連化合物、クマリン、ワルファリン、および7-ヒドロキシ- 4-メチルクマリンは HBV のレプリケーションを阻害しなかったことから(図 31)、ジクマロールが VKOR 阻害によって HBV のレプリケーションを阻害し

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50 ているわけではないことが分かった。よって、他のシグナル経路を阻害する可能 性が示唆された。また、ジクマロールの抗 HBV の活性中心が未だ不明なので、 さらなるジクマロール類似体の抗HBV 効果の検証が必要である。 ジクマロール類似体のさらなる評価によって、抗HBV 活性に中心的な官能基が 発見できれば、ジクマロールよりも低濃度で抗HBV 活性を示す化合物を発見す ることができると考えられる。 また、将来的な臨床での利用を考慮すると、EC50 の濃度は、nM の濃度であ る必要がある。実際、臨床で使われている3TC の EC50 が 100 nM であるのに 対して[38]、ジクマロールの EC50 は 40 μM である(図 15)。よって、ジクマ ロールの抗 HBV 薬剤としての臨床利用には投与方法などの改良が必要である。 最後に、溶解性の問題がある。ジクマロールは難水溶性の化合物であり、 DMSM、ピリジン、水酸化ナトリウムに対して溶解性を示す[39]。しかし、それ らの溶媒は毒性を示す。よって、毒性の低い溶媒の選択と溶解性についてを考慮 した創薬が必要である。

4-3 ジクマロールのインビボ試験での抗 HBV 活性評価

BALB マウスと、Scid マウスを使ったジクマロールのインビボでの毒性評価 の実験より、ジクマロールは大きな毒性を示さないことが分かった(図29, 30)。 この結果より、HBV に感染させたヒト化キメラマウスへの抗 HBV 効果を調べ るためのインビボ実験が可能であると考えられる。 ヒト化キメラマウスの実験では、血清中のHBs 抗原の ELISA による測定と、 血清中のHBV DNA を qPCR によって測定することでジクマロールの抗 HBV 効果を経時的に評価できると考えられる。破砕した肝臓組織のHIRT 抽出産物 をサザンブロッティングで調べることで、ジクマロールのHBV cccDNA の減 少の誘導を確認することができると推定される[22]。 3TC もしくはインターフェロンとの併用療法も行うことで、インビボの実験か らHBV cccDNA の減少方法についての更なる考察が可能であると考えられる。

4-4 今後の展望

本研究で開発されたLeDNA の評価系は、エピソーム DNA 阻害剤を同定する のに効果的である。我々のスクリーニングはまだ進行中であり、そしてさらなる 阻害剤の同定は、核内エピソームDNA を除去する宿主メカニズムへの洞察を提 供することが可能であると考えられる。これにより、核内エピソームDNA の形 成により潜伏感染の発生が懸念されているHIV やヘルペスウイルスなどのウイ ルスにも[40]、研究の前進を手助けできると考えられる。複製起点を有するウイ ルスDNA がこの機構によって制御されているかも、今後の研究課題である。

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参考文献

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謝辞

本研究を行うにあたり、京都大学ウイルス・再生医科学研究所 分子遺伝学研究 分野 藤田尚志教授、 加藤博己准教授に多大なる研究指導を賜りました。また、 広島大学 茶山一彰教授、感染症研究所 渡士幸一先生 脇田隆字所長には研 究指導の他、様々な御助力を 賜りました。また、京都大学ウイルス・再生医科 学研究所 土方誠先生には海外学会での危機を救ってもらいました。藤田研究 室の皆様には、研究生活の他、 日常生活においても多大な御支援を賜りました。 ここに深く御礼、感謝申し上げます。 最後に、これまで私を育て、大学院まで進学することを応援し、支援してくれた 父、母、兄、叔父に深く感謝いたします。 本学位論文は以下の学術論文の内容に基づいて書かれたものである。

Fumihiko Takeuchi, Sotaro Ikeda, Yuta Tsukamoto, Yoshikazu Iwasawa, Chen Qihao, Yukie Otakaki, Ouda Ryota, Wan-Ling Yao, Ryo Narita, Hijikata Makoto, Koichi Watashi, Takaji Wakita, Koh Takeuchi, Kazuaki Chayama, Amane Kogure, Hiroki Kato, Takashi Fujita.

Screening for inhibitor of episomal DNA identified dicumarol as a HepatitisB virus inhibitor. Short title: Dicumarol inhibits HBV replication

表 1.  プライマーセット

参照

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