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全国学力・学習状況調査の4年間の調査結果から今後の取組が期待される内容のまとめ(中学校編数学)|国立教育政策研究所 National Institute for Educational Policy Research

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(1)

− 115 −

中学校 数学

課題として考えられる内容に該当する

調査問題・調査結果

A 数と式

中学校

 

数学

   

課題として考えられる内容に該当する調査問題・調査結果

   

 

数と式

(2)

− 116 − − 117 −

1−① 「数と式」

 ◇「数と式」における課題

 

  方程式における移項の意味を理解すること

【該当する調査問題・調査結果】

 ■調査問題:平成19年度A3(1) 方程式の解き方とその利用

 (1)出題の趣旨

    方程式を解くに当たって,移項と等式の性質の関係を理解しているかどうかをみる。

正答率 61.7% 無解答率 1.3%

(1) 一次方程式 7 =5 +6 を次のように解きました。

上の式①から式②への変形では,5 を右辺から左辺に移項しま

した。移項してよい理由は,等式の性質をもとに説明できます。

5 を移項してよい理由として正しいものを,下のアからエの中

から1つ選びなさい。

ア 式①の両辺に5 をたしても等式は成り立つから,移項してよい。

イ 式①の両辺から5 をひいても等式は成り立つから,移項してよい。

ウ 式①の両辺に5をかけても等式は成り立つから,移項してよい。

エ 式①の両辺を−5でわっても等式は成り立つから,移項してよい。

(2) 一次方程式 4( +5)=80 を解きなさい。

次の(1)から(4)までの各問いに答えなさい。

7 =5 +6

7 −5 =6

2 =6

=3

中数A− 3 設問(1) 趣旨 方程式を解くに当たって、移項と等式の性質の関係を理解しているかどうかをみる。 学習指導要領における内容・領域 ■ 第1学年 A 数と式 (3) 方程式について理解し、一元一次方程式を用いることができるようにする。 イ 等式の性質を見いだし、方程式がそれに基づいて解けることを知ること。 解答類型と反応率 反応率 問題番号 解 答 類 型 正答 (%) 11.9 3 (1) 1 ア と解答しているもの 61.7 ◎ 2 イ と解答しているもの 16.6 3 ウ と解答しているもの 8.4 4 エ と解答しているもの 0.0 9 上記以外の解答 1.3 0 無解答 分析結果と課題 ○移項の意味を理解することは、関係を表す式の変形や、方程式を解く際に必要である。正答 率は、61.7%であり、移項の意味の理解に課題がある。 ○誤答については 「7、 x=5x+6」の5xをみて、両辺に5をかける選択肢ウを選んだ解 答類型3の反応率が、16.6%である。 ○( )を含む一次方程式を解く問題(3(2))の正答率は、83.6%である。3(2)で一次方 程式を解くことができた生徒のうち、30.1%の生徒が本問題で誤答である。一次方程式を解 くことができていても、方程式を解く際に用いる移項の意味を理解できていない生徒がいる と考えられる。 学習指導に当たって ○方程式を解く際に、移項による解き方と等式の性質による解き方を対比し、移項による解き 方は、等式の性質による解き方を形式的に簡略化したものであることを理解できるようにす ることが大切である。 ○連立方程式や一次関数などで、移項を用いて等式の変形をする際にも、移項の根拠を問うな どして、移項と等式の性質の関係をより確実に理解できるようにすることが大切である。 153

(3)

− 116 − − 117 −

 (2)調査結果についての解説

    ○ 移項の意味を理解することは,関係を表す式の変形や,方程式を解く際に必要であ

る。正答率は,61.7%であり,移項の意味の理解に課題がある。

    ○ 誤答については,「7x=5x+6」の5x をみて,両辺に5をかける選択肢ウを選ん

だ解答類型3の反応率が,16.6%である。

    ○ ()を含む一次方程式を解く問題(平成19年度A3(2))の正答率は,83.6%で

ある。平成19年度A3(2)で一次方程式を解くことができた生徒のうち,30.1%の生

徒が本問題で誤答である。一次方程式を解くことができていても,方程式を解く際に用

いる移項の意味を理解できていない生徒がいると考えられる。

 (3)学習指導に当たって

    ○ 方程式を解く際に,移項による解き方と等式の性質による解き方を対比し,移項によ

る解き方は,等式の性質による解き方を形式的に簡略化したものであることを理解でき

るようにすることが大切である。

    ○ 連立方程式や一次関数などで,移項を用いて等式の変形をする際にも,移項の根拠を

問うなどして,移項と等式の性質の関係をより確実に理解できるようにすることが大切

である。

【参考 平成19年度A3(2) 正答率83.6% 無解答率6.8%】

(1) 一次方程式 7 =5 +6 を次のように解きました。

上の式①から式②への変形では,5 を右辺から左辺に移項しま

した。移項してよい理由は,等式の性質をもとに説明できます。

5 を移項してよい理由として正しいものを,下のアからエの中

から1つ選びなさい。

ア 式①の両辺に5 をたしても等式は成り立つから,移項してよい。

イ 式①の両辺から5 をひいても等式は成り立つから,移項してよい。

ウ 式①の両辺に5をかけても等式は成り立つから,移項してよい。

エ 式①の両辺を−5でわっても等式は成り立つから,移項してよい。

(2) 一次方程式 4( +5)=80 を解きなさい。

次の(1)から(4)までの各問いに答えなさい。

7 =5 +6

7 −5 =6

2 =6

=3

(1) 一次方程式 7 =5 +6 を次のように解きました。

上の式①から式②への変形では,5 を右辺から左辺に移項しま

した。移項してよい理由は,等式の性質をもとに説明できます。

5 を移項してよい理由として正しいものを,下のアからエの中

から1つ選びなさい。

ア 式①の両辺に5 をたしても等式は成り立つから,移項してよい。

イ 式①の両辺から5 をひいても等式は成り立つから,移項してよい。

ウ 式①の両辺に5をかけても等式は成り立つから,移項してよい。

エ 式①の両辺を−5でわっても等式は成り立つから,移項してよい。

(2) 一次方程式 4( +5)=80 を解きなさい。

次の(1)から(4)までの各問いに答えなさい。

7 =5 +6

7 −5 =6

2 =6

=3

中数A− 3

(4)

− 118 − − 119 −

1−② 「数と式」

 ◇「数と式」における課題

 

  方程式をつくって問題を解決するために数量の関係を捉え2通りに表せる数量に着目すること

【該当する調査問題・調査結果】

 ■調査問題:平成20年度A3(2) 方程式の解き方とその利用

 (1)出題の趣旨

    具体的な事象における数量の関係を捉え,一元一次方程式を立式することができるかどう

かをみる。

  

正答率 60.5% 無解答率 18.5%

  (2)調査結果についての解説

     ○ 具体的な事象における数量の関係を捉えて,方程式を立式することは,一次関数

や二次方程式などを利用して問題を解決する際に必要である。正答率は,60.5%であ

り,具体的な事象における数量の関係を捉え,一元一次方程式を立式することに課

題がある。

     ○ 無解答率は,18.5%である。

中数A−4

次の(1)から(4)までの各問いに答えなさい。

(1) 一次方程式 -5x +7= -x +31 を解きなさい。

(2) 折り紙を何人かの生徒に配るのに, 1人に3枚ずつ配ると20枚 

余ります。また,1人に5枚ずつ配ると2枚たりません。

生 徒 の 人 数 を 求 め る た め に, 生 徒 の 人 数 を x 人 と し て, 方 程 式

をつくりなさい。ただし,つくった方程式を解く必要はありません。

(3) 二元一次方程式  x - y =1  の解である x,y の値の組について,

下のアからエの中から正しいものを1つ選びなさい。

ア 解である x,y の値の組はない。

イ 解である x,y の値の組は1つだけある。

ウ 解である x,y の値の組は2つだけある。

エ 解である x,y の値の組は無数にある。

A3設問(2) 趣旨 具体的な事象における数量の関係をとらえ、一元一次方程式を立式することができるかど うかをみる。 ■学習指導要領における領域・内容 第1学年 A 数と式 (3) 方程式について理解し、一元一次方程式を用いることができるようにする。 ウ 簡単な一元一次方程式を解くことができ、それを利用できること。 解答類型と反応率 反応率 問題番号 解 答 類 型 正答 (%) 3 (2) =3+20 3+20=5-2 または と解答しているもの 1 =5-2 60.5 ◎ (同値な式であればよい。枚数はy と異なる文字で表していてもよい。 以下同様。) =3-20 2 3-20=5+2 または と解答しているもの 4.1 =5+2 = +20 1 | 3 3 +20= -2 または と解答しているもの 0.2 1 | 3 1 | 5 = -2 1 | 5 4 上記以外の一元一次方程式を解答しているもの 4.7 9 上記以外の解答 12.1 0 無解答 18.5 分析結果と課題 ○ 具体的な事象における数量の関係をとらえて、方程式を立式することは、一次関数や二次 方程式などを利用して問題を解決する際に必要である。正答率は、60.5%であり、具体的な 事象における数量の関係をとらえ、一元一次方程式を立式することに課題がある。 ○ 無解答率は、18.5%である。 学習指導に当たって ○ 問題から数量を表す式をつくることができるようにすることが大切である。本問題を使っ て授業を行う場合、数量を文字式で表すために、下のように、生徒の人数と折り紙の枚数の 関係を調べることを通して、文字式に表す活動を取り入れることが考えられる。 1人の生徒に3枚ずつ配る場合 1人の生徒に5枚ずつ配る場合 4人のとき 3×4+20(枚) 4人のとき 5×4-2 (枚) 5人のとき 3×5+20(枚) 5人のとき 5×5-2 (枚) 6人のとき 3×6+20(枚) 6人のとき 5×6-2 (枚) ・ ・ ・ ・ ・ ・ 人のとき 3×+20(枚) 人のとき 5×-2 (枚)

208

-中数A−4

次の(1)から(4)までの各問いに答えなさい。

(1) 一次方程式 -5x +7= -x +31 を解きなさい。

(2) 折り紙を何人かの生徒に配るのに, 1人に3枚ずつ配ると20枚 

余ります。また,1人に5枚ずつ配ると2枚たりません。

生 徒 の 人 数 を 求 め る た め に, 生 徒 の 人 数 を x 人 と し て, 方 程 式

をつくりなさい。ただし,つくった方程式を解く必要はありません。

(3) 二元一次方程式  x - y =1  の解である x,y の値の組について,

下のアからエの中から正しいものを1つ選びなさい。

ア 解である x,y の値の組はない。

イ 解である x,y の値の組は1つだけある。

ウ 解である x,y の値の組は2つだけある。

エ 解である x,y の値の組は無数にある。

(5)

− 118 − − 119 −

 (3)学習指導に当たって

    ○ 問題から数量を表す式をつくることができるようにすることが大切である。本問題を

使って授業を行う場合,数量を文字式で表すために,下のように,生徒の人数と折り紙

の枚数の関係を調べることを通して,文字式に表す活動を取り入れることが考えられ

る。

      1人の生徒に3枚ずつ配る場合     1人の生徒に5枚ずつ配る場合

      4人のとき3×4+20(枚)     4人のとき5×4−2(枚)

      5人のとき3×5+20(枚)     5人のとき5×5−2(枚)

      6人のとき3×6+20(枚)     6人のとき5×6−2(枚)

       ・      ・

       ・      ・

       ・      ・

      x人のとき3× x +20(枚)     x人のとき5× x −2(枚)

    ○ 問題場面に含まれる数量に着目し,その中で2通りに表すことができる数量を見いだ

し,それを等式で表すことで方程式を立式することができるようにすることが大切であ

る。

      本問題を使って授業を行う場合,折り紙の枚数が「3x+20」と「5x−2」というよ

うに2通りに表せることから,これを等式で表して方程式を立式する活動を取り入れる

ことが考えられる。

    ○ 線分図や表を利用して,問題場面にある等しい数量の関係を捉えることができるよう

にすることが大切である。

      本問題を使って授業を行う場合,生徒の人数と折り紙の枚数に着目し,これらについ

て下のような線分図で整理して数量の関係を捉える活動を取り入れることが考えられ

る。



問題場面に含まれる数量に着目し、その中で2通りに表すことができる数量を見いだし、

それを等式で表すことで方程式を立式することができるようにすることが大切である。

本問題を使って授業を行う場合、折り紙の枚数が「3

+20」と「5

-2」というよ

うに2通りに表せることから、これを等式で表して方程式を立式する活動を取り入れること

が考えられる。

線分図や表を利用して、問題場面にある等しい数量の関係をとらえることができるように

することが大切である。

本問題を使って授業を行う場合、生徒の人数と折り紙の枚数に着目し、これらについて下

のような線分図で整理して数量の関係をとらえる活動を取り入れることが考えられる。

折り紙の枚数

3 枚 × ( 人 数)

20 枚

5 枚 × ( 人 数 )

2枚

(6)

− 120 − − 121 −

【該当する調査問題・調査結果】

 ■調査問題:平成21年度A3(3) 方程式の解き方とその利用

 (1)出題の趣旨

    一元一次方程式をつくって問題を解決するために,数量の関係を捉え,2通りに表せる数

量に着目できるかどうかをみる。

正答率 36.3% 無解答率 17.9%



 (2)調査結果についての解説

    ○ 数量の関係を捉え,2通りに表せる数量に着目することは,問題場面に即して方程式

をつくるために必要である。正答率は,36.3%であり,一元一次方程式をつくって問題

を解決するために,数量の関係を捉え,2通りに表せる数量に着目することに課題があ

る。

    ○ 誤答については,生徒の人数と解答した解答類型3の反応率は,19.3%である。この中

には,問題の中で問われている数量をそのまま答えた生徒がいると考えられる。

    ○ 解答類型9の反応率は,19.5%である。この中には,「方程式」や「一次方程式」な

A3設問(3) 趣旨 一元一次方程式をつくって問題を解決するために,数量の関係をとらえ,2通りに表せる 数量に着目できるかどうかをみる。 ■学習指導要領における領域・内容 〔第1学年〕 A 数と式 (3) 方程式について理解し,一元一次方程式を用いることができるようにする。 ウ 簡単な一元一次方程式を解くことができ,それを利用できること。 解答類型と反応率 反応率 問題番号 解 答 類 型 正答 (%) 3 (3) 1 折り紙の枚数 と解答しているもの 36.3 ◎ (枚数と解答しているものを含む。) 2 折り紙 と解答しているもの 4.7 3 生徒の人数 と解答しているもの 19.3 (生徒,または人数と解答しているものを含む。) 4 配り方 と解答しているもの 2.3 9 上記以外の解答 19.5 0 無解答 17.9 分析結果と課題 ○ 数量の関係をとらえ,2通りに表せる数量に着目することは,問題場面に即して方程式を つくるために必要である。正答率は,36.3%であり,一元一次方程式をつくって問題を解決 するために,数量の関係をとらえ,2通りに表せる数量に着目することに課題がある。 〇 誤答については,生徒の人数と解答した解答類型3の反応率は,19.3%である。この中に は,問題の中で問われている数量をそのまま答えた生徒がいると考えられる。 ○ 解答類型9の反応率は,19.5%である。この中には,「方程式」や「一次方程式」などの 解答がある。 ○ 無解答率は,17.9%である。平成20年度調査A3では,同じ問題場面において,一元一 次方程式をつくることができるかどうかをみる問題を出題した。正答率は60.5%,無解答率 は18.5%であり,具体的な事象における数量の関係をとらえ,一元一次方程式を立式するこ とに課題があった。平成20年度調査と本調査の結果を比較すると,立式をする際に,立式 の手順やそのもとになる考え方を説明することに課題があると考えられる。

243

-中数A−5 (3) 次 の 問 題 と 考 え 方 を 読 ん で, 下 の に 当 て は ま る 言葉を書きなさい。 問題 折 り 紙 を 何 人 か の 生 徒 に 配 る の に, 1 人 に 3 枚 ず つ 配 る と 20枚余ります。また,1人に5枚ずつ配ると2枚たりません。 生徒の人数を求めるために,生徒の人数を x 人として,方程式 をつくりなさい。 考え方 方 程 式 を つ く る た め に,x を 使 っ て, 上 の 問 題 の 数 量 の う ち, を 2 通 り の 式 で 表 す と , 3x +20 と 5x -2 に なります。 この2つの式が等しいので,方程式は3x +20=5x -2です。 (4) 連立方程式 2x -3y=1 3x +2y=8    を解きなさい。 中数A−4 次の(1)から(4)までの各問いに答えなさい。 (1) 一次方程式 -5x +7= -x +31 を解きなさい。 (2) 折り紙を何人かの生徒に配るのに, 1人に3枚ずつ配ると20枚  余ります。また,1人に5枚ずつ配ると2枚たりません。 生 徒 の 人 数 を 求 め る た め に, 生 徒 の 人 数 を x 人 と し て, 方 程 式 をつくりなさい。ただし,つくった方程式を解く必要はありません。 (3) 二元一次方程式  x - y =1  の解である x,y の値の組について, 下のアからエの中から正しいものを1つ選びなさい。 ア 解である x,y の値の組はない。 イ 解である x,y の値の組は1つだけある。 ウ 解である x,y の値の組は2つだけある。 エ 解である x,y の値の組は無数にある。

(7)

− 120 − − 121 −

どの解答がある。

    ○ 無解答率は,17.9%である。平成20年度調査A3では,同じ問題場面において,一元

一次方程式をつくることができるかどうかをみる問題を出題した。正答率は60.5%,無

解答率は18.5%であり,具体的な事象における数量の関係を捉え,一元一次方程式を立

式することに課題があった。平成20年度調査と平成21年度調査の結果を比較すると,立

式をする際に,立式の手順やそのもとになる考え方を説明することに課題があると考え

られる。

 (3)学習指導に当たって

    ○ 問題の中の数量を2通りの式に表せば等式ができることを理解し,それに基づいて方

程式をつくることが大切である。

      例えば,本問題では,生徒の人数をx 人とし,折り紙の枚数に着目すれば,それは一

方で3x+20,他方で5x−2と表される。このことから,方程式3x+20=5x−2をつ

くるとともに,方程式をつくるのに用いた方法を説明する活動を取り入れることが考え

られる。その際,折り紙の枚数,生徒の人数,生徒1人分の枚数など,問題の中の数量

を捉え,それらの関係を言葉の式や線分図で表して整理することが大切である。

      このような活動を通して,例えば,次のように方程式をつくる手順をまとめることが

考えられる。

       ・数量及びその関係を捉える。

       ・ある数量に着目する。

       ・その数量を2通りの式に表す。

       ・2通りに表された数量を等号を使って表す。

    ○ 方程式を利用して問題解決をするときに,その方程式がどのような数量に着目してつ

くられているのかを振り返ることが大切である。

      例えば,次のような問題を方程式を用いて解くには,ケーキ1個の値段をx 円とし

て,支払ったお金,ケーキの代金,おつりに着目した方程式をつくることができる。

       問題

        ケーキ4個を買って,1000円支払ったら,おつりは280円

       でした。ケーキ1個の値段は何円ですか。

      4x+280=1000(支払ったお金に着目)

      4x=1000−280(ケーキの代金に着目)

      1000−4x=280(おつりに着目)

      これらの方程式で,支払ったお金,ケーキの代金,おつりなど,問題の中のどの数量

に着目して方程式をつくったかを,問題場面を参照しながら説明し合う活動を取り入れ

ることが考えられる。

(8)

− 122 − − 123 −

 ◇記述式問題における課題 その1

 

  予想した事柄を数学的な表現を用いて説明すること(事実・事柄の証明)

【該当する調査問題・調査結果】

 ■調査問題:平成20年度B2(3) 発展的に考え,予想すること(位を入れかえた数)

 (1)出題の趣旨

    発展的に考え,予想した事柄を説明することができるかどうかをみる。

正答率 49.2% 無解答率 36.1%

【該当する調査問題・調査結果】

■調査問題:平成20年度B2(3) 発展的に考え,予想すること(位を入れかえた数)

(1)出題の趣旨

発展的に考え,予想した事柄を説明することができるかどうかをみる。

正答率 49.2% 無解答率 36.1%

記述式問題における課題 その1

予想した事柄を数学的な表現を用いて説明すること

(9)

− 122 − − 123 −

 (2)調査結果についての解説

    ○ 本問題では,発展的に考え,予想した事柄を説明することが求められる。2けたの自

然数と,その数の十の位の数と一の位の数を入れかえた数の差についての性質を予想で

きるかどうか,そして,その予想した事柄を「〜は,……になる。」という形で表現

できるかどうかをみるものである。正答率は,49.2%であり,発展的に考え,予想した

事柄を「〜は,……になる。」という形で表現することに課題がある。

    ○ 無解答率は,36.1%である。

B2設問(3)

趣旨

発展的に考え、予想した事柄を説明することができるかどうかをみる。

■学習指導要領における領域・内容

第2学年

数と式

(1)

事象の中に数量の関係を見いだし、それを文字を用いて式に表現し活用する能力を伸

ばすとともに、文字を用いた式の四則計算ができるようにする。

数量及び数量の関係をとらえるために文字式を利用できることを理解すること。

目的に応じて、簡単な式を変形できること。

解答類型と反応率

反応率 問題番号 解 答 類 型 正答 (%) 2 (3) (正答の条件) 「○○は、◇◇になる。」という形で、(a)、(b)または(a)、(c)の条件を 満たし、成り立つ事柄を記述している。 (a) ○○が「2けたの自然数と、その数の十の位の数と一の位の数を入れ かえた数の差」である。 (b) ◇◇が、次のいずれかである。 ・9の倍数または3の倍数 ・十の位の数と一の位の数の和が9 ・もとの2けたの自然数の十の位の数と一の位の数の差の9倍 (c) ◇◇が、もとの2けたの自然数の十の位の数と一の位の数の差に着目 したものである。 (正答例) 例1 2けたの自然数と、その数の十の位の数と一の位の数を入れかえた数 の差は、9の倍数になる。 例2 2けたの自然数と、その数の十の位の数と一の位の数を入れかえた数 の差は、もとの2けたの自然数の十の位の数と一の位の数の差が5であ るとき、5の倍数になる。 1 (a)、(b)の条件を満たして記述しているもの

44.8

◎ 2 上記1で、(a)の「2けたの自然数と、その数の十の位の数と一の位の

4.2

○ 数を入れかえた数の差」に関する記述が十分でないもの 上記1で、○○がなく、(b)の条件を満たして記述しているもの 3

1.0

例 9の倍数になる。 4 (a)、(c)の条件を満たして記述しているもの

0.0

◎ 5 上記4で、(a)の「2けたの自然数と、その数の十の位の数と一の位の

0.0

○ 数を入れかえた数の差」に関する記述が十分でないもの 6 上記4で、○○がなく、(c)の条件を満たして記述しているもの

0.0

(a)の条件を満たして記述しているもの(「2けたの自然数と、その数 7 の十の位の数と一の位の数を入れかえた数の差」に関する記述が十分で

0.2

○ ないものを含む。) 8 上記以外で、2けたの自然数と、その数の十の位の数と一の位の数を入

1.7

れかえた数の差の性質について記述しているもの

266

-9 上記以外の解答

11.9

0 無解答

36.1

正答率

49.2

分析結果と課題

本問題では、発展的に考え、予想した事柄を説明することが求められる。2けたの自然数

と、その数の十の位の数と一の位の数を入れかえた数の差についての性質を予想できるかど

うか、そして、その予想した事柄を「~は、……になる。」という形で表現できるかどう

かをみるものである。正答率は、49.2%であり、発展的に考え、予想した事柄を「~は、

……になる。」という形で表現することに課題がある。

無解答率は、36.1%である。

学習指導に当たって

数や図形に関する性質を考察する場面において、成り立つ性質を予想できるようにするこ

とが大切である。

例えば、数の性質を下のような例を調べることを通して帰納的に見いだす場面や、和の場

合をもとに差の場合の性質を類推する場面などにおいて、生徒が自由に予想し、その予想を

表現する活動を取り入れることが考えられる。

41-14=27 =9×3

53-35=18=9×2

82-28=54 =9×6

数や図形に関する性質を予想し、「~は、……になる(である)。」という形で主語(説明

する前提や根拠)と述語(説明される結論)を明確にして表現できるようにすることが大切

である。

本問題を使って授業を行う場合には、

「9の倍数になる。」や「数の差は9の倍数になる。」

など、主語が明確に表現できていない予想を取り上げ、この表現では相手に予想した内容を

正確に伝えられないことから、条件を明確にして主語と述語を表現することの大切さを実感

できる活動を取り入れることが考えられる。

証明や説明を振り返ったり、条件を変えたりすることで、考察の対象に関する新しい性質

を予想できるようにすることが大切である。

本問題を使って授業を行う場合には、問題の条件を和から差に変えたり、2けたの自然数

を3けたに変えたりするなど、発展的に考えるための視点を示した上で、生徒自らがその視

点を用いて新たな性質を予想する活動を取り入れることが考えられる。

(10)

− 124 − − 125 −

 (3)学習指導に当たって

    ○ 数や図形に関する性質を考察する場面において,成り立つ性質を予想できるようにす

ることが大切である。

      例えば,数の性質を下のような例を調べることを通して帰納的に見いだす場面や,和

の場合を基に差の場合の性質を類推する場面などにおいて,生徒が自由に予想し,その

予想を表現する活動を取り入れることが考えられる。

      41−14=27=9×3

      53−35=18=9×2

      82−28=54=9×6

    ○ 数や図形に関する性質を予想し,「〜は,……になる(である)。」という形で主

語(説明する前提や根拠)と述語(説明される結論)を明確にして表現できるようにす

ることが大切である。

      本問題を使って授業を行う場合には,「9の倍数になる。」や「数の差は9の倍数に

なる。」など,主語が明確に表現できていない予想を取り上げ,この表現では相手に予

想した内容を正確に伝えられないことから,条件を明確にして主語と述語を表現するこ

との大切さを実感できる活動を取り入れることが考えられる。

    ○ 証明や説明を振り返ったり,条件を変えたりすることで,考察の対象に関する新しい

性質を予想できるようにすることが大切である。

      本問題を使って授業を行う場合には,問題の条件を和から差に変えたり,2けたの自

然数を3けたに変えたりするなど,発展的に考えるための視点を示した上で,生徒自ら

がその視点を用いて新たな性質を予想する活動を取り入れることが考えられる。

    ○ 今までに学んだ事柄に関連付けながら,いくつかの数に共通する規則を見いだすこと

ができるようにすることが大切である。

      例えば,41−14や53−35を計算して得られる27や18などの2けたの数が,かけ算九九

表でみたときには「9の段」に表れることを見いだし,「2けたの自然数と,その数の

十の位の数と一の位の数を入れかえた数の差は,9の倍数になる。」と予想していく活

動を取り入れることが考えられる。

(11)

− 124 − − 125 −

中学校 数学

課題として考えられる内容に該当する

調査問題・調査結果

B 図形

中学校

 

数学

   

課題として考えられる内容に該当する調査問題・調査結果

   

 

図形

(12)

− 126 − − 127 −

2−① 「図形」

 ◇「図形」における課題

 

  証明の必要性や意味を理解すること

【該当する調査問題・調査結果】

 ■調査問題:平成20年度A8  証明の意義

 (1)出題の趣旨

    証明の意義について理解しているかどうかをみる。

正答率 58.3% 無解答率 1.3%

中数A− 平行四辺形ABCDの辺AD, 辺BC上に, DE=BFとなるような 点E, 点Fをそれぞれとるとき, AF=CEとなることを, ある学級 では,下の図1をかいて証明しました。        図1 A B F C D E 証明 ABF と CDE において 四角形 ABCD は平行四辺形だから, AB = CD …… ① ∠ABF = ∠CDE …… ② 仮定から, BF = DE …… ③ ①, ②, ③より, 2辺とその間の角がそれぞれ等しいから, ABF ≡ CDE したがって, AF = CE 中数A− この証明のあと,図1と形の違う図2のような平行四辺形ABCDに ついても, 同じようにAF=CEとなるかどうかを考えてみたところ, 下のアからエのような意見が出ました。正しいものを1つ選びなさい。       図2 A B F C D E ア 図2の場合も, AF=CEであることは, すでに前ページの 証明で示されている。 イ 図2の場合は,AF=CEであることを,改めて証明する必要 がある。 ウ 図2の場合は, AF=CEであることを, それぞれの長さを 測って確認しなければならない。 エ 図2の場合は,AF=CEではない。

解答類型と反応率

反応率 問題番号 解 答 類 型 正答 (%) 8 1 ア と解答しているもの 58.3 ◎ 2 イ と解答しているもの 29.2 3 ウ と解答しているもの 6.9 4 エ と解答しているもの 4.3 9 上記以外の解答 0.0 0 無解答 1.3

分析結果と課題

○ 証明の意義を理解することは、数学的な推論の方法を理解し、数や図形の性質を見いだし たり、説明したりするために必要である。また、実生活において事柄を論理的に考えたり説 明したりする際にも必要である。正答率は、58.3%であり、証明の意義の理解に課題がある。 ○ 誤答については、改めて証明する必要があると考えている解答類型2の反応率が、29.2% である。 ○ 平成19年度調査では、「証明は、命題が例外なしに成り立つことを明らかにする方法で あること。」に焦点を当てた問題を出題した。正答率は、73.6%であり、その問題において、 改めて証明する必要があると考えている生徒の割合は、14.2%であった。 平成19年度調査では、1つの図について証明を提示したのに対し、本設問は、2つの異 なる図を示して問いかけたものである。条件に合う図が複数提示された場合に、証明が変わ らないことの理解に課題があると考えられる。

学習指導に当たって

○ 条件に合う複数の図で同じ証明が成り立つことを理解できるようにすることが大切である。 例えば、証明をする前に、下の図のように条件に合う図を複数かき、どの場合でも結論が 成り立つことを確かめ、それぞれの図形で証明を行うことを通して、図が変わっても証明が 変わらないことを確認する活動を取り入れることが考えられる。 また、証明した後で、条件に合う別の図でも証明が成り立つことを確かめることを通して、 同じ条件を満たす他の図で改めて証明する必要がないことを実感する活動を取り入れること が考えられる。 A B C D A B C D A B C D F E F E F E

231

(13)

-− 126 -− − 127 −

 (2)調査結果についての解説

    ○ 証明の意義を理解することは,数学的な推論の方法を理解し,数や図形の性質を見い

だしたり,説明したりするために必要である。また,実生活において事柄を論理的に考

えたり説明したりする際にも必要である。正答率は,58.3%であり,証明の意義の理解

に課題がある。

    ○ 誤答については,改めて証明する必要があると考えている解答類型2の反応率が,

29.2%である。

    ○ 平成19年度調査A7では,「証明は,命題が例外なしに成り立つことを明らかにする

方法であること。」に焦点を当てた問題を出題した。正答率は,73.6%であり,その問

題において,改めて証明する必要があると考えている生徒の割合は,14.2%であった。

      平成19年度調査では,1つの図について証明を提示したのに対し,本設問は,2つの

異なる図を示して問いかけたものである。条件に合う図が複数提示された場合に,証明

が変わらないことの理解に課題があると考えられる。

 (3)学習指導に当たって

    ○ 条件に合う複数の図で同じ証明が成り立つことを理解できるようにすることが大切で

ある。

      例えば,証明をする前に,下の図のように条件に合う図を複数かき,どの場合でも結

論が成り立つことを確かめ,それぞれの図形で証明を行うことを通して,図が変わって

も証明が変わらないことを確認する活動を取り入れることが考えられる。

      また,証明した後で,条件に合う別の図でも証明が成り立つことを確かめることを通

して,同じ条件を満たす他の図で改めて証明する必要がないことを実感する活動を取り

入れることが考えられる。

解答類型と反応率

反応率 問題番号 解 答 類 型 正答 (%) 8 1 ア と解答しているもの

58.3

2 イ と解答しているもの

29.2

3 ウ と解答しているもの

6.9

4 エ と解答しているもの

4.3

9 上記以外の解答

0.0

0 無解答

1.3

分析結果と課題

証明の意義を理解することは、数学的な推論の方法を理解し、数や図形の性質を見いだし

たり、説明したりするために必要である。また、実生活において事柄を論理的に考えたり説

明したりする際にも必要である。正答率は、58.3%であり、証明の意義の理解に課題がある。

誤答については、改めて証明する必要があると考えている解答類型2の反応率が、29.2%

である。

平成19年度調査では、「証明は、命題が例外なしに成り立つことを明らかにする方法で

あること。

」に焦点を当てた問題を出題した。正答率は、73.6%であり、その問題において、

改めて証明する必要があると考えている生徒の割合は、14.2%であった。

平成19年度調査では、1つの図について証明を提示したのに対し、本設問は、2つの異

なる図を示して問いかけたものである。条件に合う図が複数提示された場合に、証明が変わ

らないことの理解に課題があると考えられる。

学習指導に当たって

条件に合う複数の図で同じ証明が成り立つことを理解できるようにすることが大切である。

例えば、証明をする前に、下の図のように条件に合う図を複数かき、どの場合でも結論が

成り立つことを確かめ、それぞれの図形で証明を行うことを通して、図が変わっても証明が

変わらないことを確認する活動を取り入れることが考えられる。

また、証明した後で、条件に合う別の図でも証明が成り立つことを確かめることを通して、

同じ条件を満たす他の図で改めて証明する必要がないことを実感する活動を取り入れること

が考えられる。

D A

231

(14)

-− 128 -− − 129 −

【該当する調査問題・調査結果】

 ■調査問題:平成21年度A8  証明の意義

 (1)出題の趣旨

    証明の意義について理解しているかどうかをみる。

  

正答率 29.7% 無解答率 1.2%

中数A−16 ある学級で,「三角形の内角の和は180°である」ことの証明につい て,次の , を比べて考えています。 下の図の ABC で, 辺 BC を延長した直線上の点を D とし, 点 C を通り辺 BA に平行な直線 CE をひく。 A a b c e d B C E D 平行線の錯角は等しいから,  ∠ a =∠ e 平行線の同位角は等しいから, ∠ b =∠ d したがって, ∠ a +∠ b +∠ c =∠ e +∠ d +∠ c = 180° よって, 三角形の内角の和は 180°である。 下の図の ABC で, 3つの角の大きさをそれぞれ測ると, ∠A= 72° ∠B= 64° ∠C= 44° したがって, ∠A+∠B+∠C= 72°+ 64°+ 44° = 180° よって, 三角形の内角の和は 180°である。 A B C 中数A−17 ど ん な 三 角 形 で も 内 角 の 和 は180°で あ る こ と の 証 明 に つ い て, 下のアからオまでの中から正しいものを1つ選びなさい。 ア  も も証明できている。 イ  は証明できており, は形の違うたくさんの三角形で同じよ うに確かめれば証明したことになる。 ウ  は証明できているが, は形の違うたくさんの三角形で同じ ように確かめても証明したことにはならない。 エ  も も形の違うたくさんの三角形で同じように確かめれば 証明したことになる。 オ  は形の違うたくさんの三角形で同じように確かめれば証明し たことになるが, はそれでも証明したことにはならない。

解答類型と反応率

反応率 問題番号 解 答 類 型 正答 (%) 8 1 ア と解答しているもの 22.9 2 イ と解答しているもの 32.6 3 ウ と解答しているもの 29.7 ◎ 4 エ と解答しているもの 7.9 5 オ と解答しているもの 5.6 9 上記以外の解答 0.0 0 無解答 1.2

分析結果と課題

○ 証明の意義を理解することは,数学的な推論の意味を理解し,数や図形の性質を見いだし たり,証明したりするために必要である。また,実生活において事柄を筋道立てて考えたり 説明したりする際にも必要である。正答率は,29.7%であり,証明の意義の理解に課題があ る。 ○ 誤答については,解答類型1の反応率は,22.9%である。この中には,実測や操作など帰 納的な方法による説明と演繹的な推論による証明の違いを理解できていない生徒がいると考 えられる。 また,解答類型2の反応率は,32.6%である。この中には,実測や操作など帰納的な方法 による説明の限界について理解できていない生徒がいると考えられる。 これら2つの解答類型1,2と解答類型4の反応率を合わせると,63.4%である。これら の生徒は,実測や操作など帰納的な方法による説明で証明したことになるととらえていると 考えられる。 ○ 提示された方針に基づいて証明するB4(1)の正答率は,41.8%である。B4(1)を正答 した生徒のうち,63.1%の生徒が本問題で誤答している。このことから,証明を正しく書く ことはできても,証明の意義を理解していない生徒がいると考えられる。 ○ 平成19年度調査A7では,「証明は,命題が例外なしに成り立つことを明らかにする方 法であること。」に焦点を当てた問題を出題した。正答率は,73.6%であった。また,平成 20年度調査A8では,「証明をするためにかかれた図は,すべての代表として示されてい る図であること。」に焦点を当てた問題を出題した。正答率は,58.3%であった。

学習指導に当たって

○ 帰納的な方法は,図形の性質や関係を見いだしたり,個々の具体的な図形を考察したりす る方法としては有効であるが,その見いだした個々の図形の性質や関係の一般性を保証する ものではない。このような帰納的な方法の意義と限界を理解し,演繹的な推論による証明に より命題が例外なしに成り立つことを明らかにできることの理解を深めることが大切であ る。 例えば,本問題を使って授業を行う場合,いくつかの三角形について内角の和が180°で あることを帰納的に見いだし,それを他の三角形でも調べることで,その事柄の信頼性を高 めることができる。しかし,すべての三角形についてその事柄が正しいかどうかを調べるこ とはできないことを確認し,演繹的に説明する証明が必要であることを理解できるようにす ることが大切である。

267

(15)

-− 128 -− − 129 −

 (2)調査結果についての解説

    ○ 証明の意義を理解することは,数学的な推論の意味を理解し,数や図形の性質を見い

だしたり,証明したりするために必要である。また,実生活において事柄を筋道立てて

考えたり説明したりする際にも必要である。正答率は,29.7%であり,証明の意義の理

解に課題がある。

    ○ 誤答については,解答類型1の反応率は,22.9%である。この中には,実測や操作な

ど帰納的な方法による説明と演

えんえき

繹的な推論による証明の違いを理解できていない生徒が

いると考えられる。

      また,解答類型2の反応率は,32.6%である。この中には,実測や操作など帰納的な

方法による説明の限界について理解できていない生徒がいると考えられる。

      これら2つの解答類型1,2と解答類型4の反応率を合わせると,63.4%である。こ

れらの生徒は,実測や操作など帰納的な方法による説明で証明したことになると捉えて

いると考えられる。

    ○ 提示された方針に基づいて証明する平成21年度B4(1)の正答率は,41.8%であ

る。平成21年度B4(1)を正答した生徒のうち,63.1%の生徒が本問題で誤答してい

る。このことから,証明を正しく書くことはできても,証明の意義を理解していない生

徒がいると考えられる。

    ○ 平成19年度調査A7では,「証明は,命題が例外なしに成り立つことを明らかにす

る方法であること。」に焦点を当てた問題を出題した。正答率は,73.6%であった。ま

た,平成20年度調査A8では,「証明をするためにかかれた図は,すべての代表とし

て示されている図であること。」に焦点を当てた問題を出題した。正答率は,58.3%で

あった。

 (3)学習指導に当たって

    ○ 帰納的な方法は,図形の性質や関係を見いだしたり,個々の具体的な図形を考察した

りする方法としては有効であるが,その見いだした個々の図形の性質や関係の一般性を

保証するものではない。このような帰納的な方法の意義と限界を理解し,演繹的な推論

による証明により命題が例外なしに成り立つことを明らかにできることの理解を深める

ことが大切である。

      例えば,本問題を使って授業を行う場合,いくつかの三角形について内角の和が180°

であることを帰納的に見いだし,それを他の三角形でも調べることで,その事柄の信頼

性を高めることができる。しかし,すべての三角形についてその事柄が正しいかどうか

を調べることはできないことを確認し,演繹的に説明する証明が必要であることを理解

できるようにすることが大切である。

(16)

− 130 − − 131 −

2−② 「図形」

 ◇「図形」における課題

 

  円柱と円錐の体積の関係を理解すること

【該当する調査問題・調査結果】

 ■調査問題:平成19年度A5(4) 空間図形

 (1)出題の趣旨

    円錐の体積を,底面が合同で高さが等しい円柱の体積との関係で理解しているかどうかを

みる。

正答率 38.1% 無解答率 0.8%

(4) 下 の 図 は, 円 柱, 円 錐の 形 を し た 容 器 で す。 そ れ ぞ れ の 容 器 の 底面は合同な円で,高さは等しいことが分かっています。この円柱 の容器いっぱいに入れた水を円錐の容器に移します。 このとき,下のアからオの中に,円柱の容器に入っていた水と同じ 量の水を表している図があります。正しいものを1つ選びなさい。 中数A− 8

次の(1)から(4)までの各問いに答えなさい。

(17)

− 130 − − 131 −

 (2)調査結果についての解説

    ○ 柱体と錐体の体積の関係は,実生活の中で量(容積,体積,重さなど)について考察

する際に必要である。正答率は,38.1%であり,円柱と円錐の体積の関係の理解に課題

がある。

    ○ 誤答については,2杯と考えた解答類型2の反応率が,36.7%である。この解答をし

た生徒は,底面積と高さがそれぞれ等しい柱体と錐体の体積の関係を,底辺と高さがそ

れぞれ等しい平行四辺形と三角形の面積の比2:1と同じように捉えていると考えられ

る。

 (3)学習指導に当たって

    ○ 柱体と錐体の体積の関係について,実験や実測を通して,実感を伴って理解できるよ

うにすることが大切である。

      本問題では,水を円柱から円錐に移す場面について予想を立て,実験や実測を通して

確かめることが考えられる。また,水を円錐から円柱に移すという逆の場面についても

取り上げ,双方向から理解を深めることも考えられる。

    ○ 平面図形の面積と空間図形の体積とを対比することで,それぞれの特徴を的確に理解

できるようにすることが大切である。

      本問題で選択肢イを選んだ生徒には,底辺と高さがそれぞれ等しい三角形と平行四辺

形の面積の比は1:2であるのに対し,底面積と高さがそれぞれ等しい円錐と円柱の体

積の比は1:2とはならないことなど,平面図形の面積と空間図形の体積の違いを確認

することが考えられる。

    ○ 見た目だけで判断するのではなく,その判断の根拠を明らかにし,それに基づいて説

明できるようにすることが大切である。本問題では,体積の公式により,底面と高さが

それぞれ等しい円柱と円錐の体積の比が3:1となることを根拠として,3杯となるこ

とを判断し,説明することが考えられる。

設問(4)

趣旨

円錐の体積を、底面が合同で高さが等しい円柱の体積との関係で理解しているかどうかをみる

すい

学習指導要領における内容・領域

第1学年

図形

(2)

図形を観察 操作や実験を通して考察し 空間図形についての理解を深める また

図形の計量についての能力を伸ばす。

扇形の弧の長さと面積及び基本的な柱体、錐体の表面積と体積を求めることがで

すい

きること。

解答類型と反応率

反応率 問題番号 解 答 類 型 正答 (%)

13.8

5 (4) 1 ア と解答しているもの

36.7

2 イ と解答しているもの

8.5

3 ウ と解答しているもの

38.1

4 エ と解答しているもの

2.2

5 オ と解答しているもの

0.0

9 上記以外の解答

0.8

0 無解答

分析結果と課題

○柱体と錐体の体積の関係は、実生活の中で量(容積、体積、重さなど)について考察する際

に必要である。正答率は、38.1%であり、円柱と円錐の体積の関係の理解に課題がある。

○誤答については、2杯と考えた解答類型2の反応率が、36.7%である。この解答をした生徒

は、底面積と高さがそれぞれ等しい柱体と錐体の体積の関係を、底辺と高さがそれぞれ等し

い平行四辺形と三角形の面積の比2:1と同じようにとらえていると考えられる。

学習指導に当たって

○柱体と錐体の体積の関係について、実験や実測を通して、実感を伴って理解できるようにす

ることが大切である。

本問題では、水を円柱から円錐に移す場面について予想を立て、実験や実測を通して確かめ

円錐から円柱に移すという逆の場面についても取り上

ることが考えられる。また、水を

げ、双方向から理解を深めることも考えられる。

○平面図形の面積と空間図形の体積とを対比することで、それぞれの特徴を的確に理解できる

ようにすることが大切である。

本問題で選択肢 を選んだ生徒には、底辺と高さがそれぞれ等しい三角形と平行四辺形の面積

の比は1:2であるのに対し、底面積と高さがそれぞれ等しい円錐と円柱の体積の比は1:2

とはならないことなど、平面図形の面積と空間図形の体積の違いを確認することが考えられる

○見た目だけで判断するのではなく、その判断の根拠を明らかにし、それに基づいて説明できる

ようにすることが大切である。本問題では、体積の公式により、底面と高さがそれぞれ等しい円

柱と円錐の体積の比が3:1となることを根拠として、3杯となることを判断し、説明すること

が考えられる。

165

(18)

− 132 − − 133 −

 ◇数学的に表現したり,数学的に表現されたものの意味を読み取ったりすることにおける課題

 

  関係や法則などを式に表現したり,式の意味を読み取ったりすること

【該当する調査問題・調査結果】

 ■調査問題:平成22年度B4(1)

(2) 証明を振り返り,発展的に考えること(二等辺三角形)

 (1)出題の趣旨

    設問(1) 与えられた証明を読み,そのしくみを考えることができるかどうかをみる。

    設問(2) 発展的に考えて証明することができるかどうかをみる。

設問(1) 正答率 48.8% 無解答率 14.6%

設問(2) 正答率 48.2% 無解答率 21.9%

中数B−7 次の問題1は,下のように証明できます。 問題1 問題1の証明 次の(1),(2)の各問いに答えなさい。 (1) 問題1の証明では,「2辺とその間の角がそれぞれ等しい。」とい う三角形の合同条件が用いられています。この合同条件を用いると き, ABEと ACDの対応する2辺の間の角が等しいことを表し ているのは,上の証明のどの部分ですか。その部分を書きなさい。 4 図 1 のように, AB=ACの二等辺三 角形ABCの辺AB,辺AC上にAD=AE となる点D,点Eをそれぞれとります。 このとき, BE=CDとなることを証 明しなさい。 図1 A B C D E ABEと ACDにおいて, 仮定から, AB=AC    ……① AE=AD    ……② 共通な角だから, ∠BAE=∠CAD   ……③ ①,②,③より, 2辺とその間の角がそれぞれ等しいから, ABE≡ ACD 合同な図形の対応する辺の長さは等しいから, BE=CD A B C D E 中数B−8 (2) 問題1の一部を変えると,次の問題2をつくることができます。 問題2 問題2でも ABEと ACDに着目すると,問題1と同じように, BE=CDとなることを証明できます。 問題1の証明を参考にして,問題2の証明を完成しなさい。 問題2の証明 A B C D E 図 2 のように, AB=ACの二等辺三 角形ABCの辺BA,辺CAを延長した直 線上にAD=AEとなる点D, 点Eをそ れぞれとります。 このとき, BE=CDとなることを証 明しなさい。 図2 ABEと ACDにおいて, 合同な図形の対応する辺の長さは等しいから, BE=CD A B C D E

(19)

− 132 − − 133 − B4設問(1) 趣旨 与えられた証明をよみ,そのしくみを考えることができるかどうかをみる。 ■学習指導要領における領域・内容 〔第2学年〕 B 図形 (2) 平面図形の性質を三角形の合同条件などを基にして確かめ,論理的に考察する能力を 養う。 ア 証明の意義と方法について理解すること。 イ 三角形の合同条件を理解し,それに基づいて三角形や平行四辺形の性質を論理的に 確かめることができること。 解答類型と反応率 反応率 問題番号 解 答 類 型 正答 (%) 4 (1) ∠BAE=∠CAD と解答しているもの 1 (「共通な角だから」を加えて書いていたり,「③」と解答していたり 48.8 ◎ するものを含む。以下同様。) 2 BAE=CAD と解答しているもの 0.1 ○ 3 AB=AC,AE=AD,∠BAE=∠CAD と解答しているもの 9.1 AB=AC と解答しているもの 4 または, 7.3 AE=AD と解答しているもの 5 BE=CD と解答しているもの 1.5 6 △ABE≡△ACD と解答しているもの 3.7 9 上記以外の解答 15.0 0 無解答 14.6 正答率 48.8 分析結果と課題 ○ 本問題では,与えられた証明に用いられている根拠を確認することが求められる。提示 された証明の中で,3つの相等関係のうち仮定にはない部分を指摘できるかどうかをみる ものである。正答率は,48.8%であり,与えられた証明をよみ,そのしくみを考えること に課題がある。 ○ 解答類型9の反応率は,15.0%である。この中には,「共通な角だから」や「∠A」など の解答がある。 -290-B4設問(2) 趣旨 発展的に考えて証明することができるかどうかをみる。 ■学習指導要領における領域・内容 〔第2学年〕 B 図形 (2) 平面図形の性質を三角形の合同条件などを基にして確かめ,論理的に考察する能力を 養う。 ア 証明の意義と方法について理解すること。 イ 三角形の合同条件を理解し,それに基づいて三角形や平行四辺形の性質を論理的に 確かめることができること。 解答類型と反応率 反応率 問題番号 解 答 類 型 正答 (%) 4 (2) (正答の条件) 次の(a),(b),(c)とそれぞれの根拠を記述し,証明しているもの。 根拠 (a) AB=AC,AE=AD 仮定 (b) ∠BAE=∠CAD 対頂角は等しい (c) △ABE≡△ACD 2辺とその間の角がそれぞれ等しい (正答例) 仮定から, AB=AC ……① AE=AD ……② 対頂角は等しいので, ∠BAE=∠CAD ……③ ①,②,③より, 2辺とその間の角がそれぞれ等しいから, △ABE≡△ACD (解答類型1) 1 (a),(b),(c)とそれぞれの根拠を記述しているもの 37.7 ◎ (a),(b),(c)の表現が十分でなかったり,記号を書き忘れていたり するが,(a),(b),(c)の根拠を記述し,証明の筋道が正しいと分か 2 るもの 4.1 ○ 例 正答例で,角の記号(∠)を書き忘れている。 (a),(b),(c)の根拠が抜けていたり,根拠の表現が十分でなかった りするが,(a),(b),(c)を記述し,証明の筋道が正しいと分かるもの ((a),(b),(c) の表現が十分でなかったり,記号を書き忘れていた 3 りするものを含む。) 6.4 ○ 例 正答例で,「2辺とその間の角がそれぞれ等しいから」を書き忘 れている。 4 上記1~3について,(b)の根拠を「共通な角」と記述しているもの 6.8 -292-上記1~3以外で,正しく証明をしているもの 5 0.0 ◎ 例 △EBC≡△DCBを証明しているもの。 上記5について,表現が十分でなかったり,記号を書き忘れていたり 6 するが,証明の筋道が正しいと分かるもの 0.0 ○ (根拠が抜けていたり,根拠の表現が十分でなかったりするものを含む。) 7 仮定として,「BE=CD」を用いているもの 3.9 8 (a)のみを記述しているもの 3.6 または,(a)と(c)について記述しているもの 9 上記以外の解答 15.6 0 無解答 21.9 正答率 48.2 分析結果と課題 ○ 本問題では,証明を振り返って発展的に考え証明することが求められる。問題の条件を変 えたときに,もとの証明の何が変わり何が変わらないかを振り返ってとらえ,それに基づい て証明することができるかどうかをみるものである。正答率は,48.2%であり,証明を振り 返り,発展的に考えて証明することに課題がある。 ○ 解答類型9の反応率は,15.6%である。この中には,「共通な角だから,∠BEA=∠CDA」 と書いている解答があり,問題1と問題2で共通な条件を把握できていない生徒がいると考 えられる。 学習指導に当たって ○ 証明の学習においては,命題が成り立つことを示すにとどまらず,問題の条件を変えて, 発展的に考えることが大切である。 例えば,本問題のようにもとの三角形の2辺の延長上に点をとるなど,発展的に考えるた めの着想を得る機会を取り入れることが考えられる。その際,生徒自ら図をかくことを通し て,もとの問題と新しい問題との条件の異同を見いだすことができるようにすることが考え られる。 ○ もとの命題の証明を参考にして,発展的に考えた命題を証明することが大切である。 指導に当たっては,発展的に考えて予想した命題を証明する際,もとの証明の何が変わり 何が変わらないかを確認する活動を取り入れることが考えられる。例えば,本問題では,三 角形の合同条件において∠BAE=∠CADであることの根拠が「共通する角」から「対頂角

(20)

− 134 − − 135 −

 (2)調査結果についての解説

    設問(1)

    ○ 本問題では,与えられた証明に用いられている根拠を確認することが求められる。提

示された証明の中で,3つの相等関係のうち仮定にはない部分を指摘できるかどうかを

みるものである。正答率は,48.8%であり,与えられた証明を読み,そのしくみを考え

ることに課題がある。

    ○ 解答類型9の反応率は,15.0%である。この中には,「共通な角だから」や「∠A」

などの解答がある。

    設問(2)

    ○ 本問題では,証明を振り返って発展的に考え証明することが求められる。問題の条件

を変えたときに,もとの証明の何が変わり何が変わらないかを振り返って捉え,それに

基づいて証明することができるかどうかをみるものである。正答率は,48.2%であり,

証明を振り返り,発展的に考えて証明することに課題がある。

    ○ 解答類型9の反応率は,15.6%である。この中には,

「共通な角だから,∠BEA=∠CDA」

と書いている解答があり,問題1と問題2で共通な条件を把握できていない生徒がいる

と考えられる。

 (3)学習指導に当たって

    設問(1)

    ○ 結論を導くために用いられている条件や根拠に着目しながら証明を読み,そのしくみ

を捉えることが大切である。

      本問題を使って授業を行う際には,問題1の証明を読む場面で,結論BE=CDを導く

ためにBEとCDがそれぞれ含まれる図形に着目して△ABE≡△ACDを示しているこ

とや,どの合同条件を使って△ABE≡△ACDを示しているかを確認する機会を設定す

ることが考えられる。

      その際,三角形の合同条件を成り立たせる3つの要素を,図に色や印をつけて対応さ

せるなど,言葉や記号で表されたことを図と対応付けて的確に読み取れるようにするこ

とが大切である。また,本問題のように合同な三角形が重なり合っている場合には,2

つの三角形を別々にかき出し,辺や角の対応関係を確認できるようにすることも考えら

れる。

    設問(2)

    ○ 証明の学習においては,命題が成り立つことを示すにとどまらず,問題の条件を変え

て,発展的に考えることが大切である。

      例えば,本問題のようにもとの三角形の2辺の延長上に点をとるなど,発展的に考え

るための着想を得る機会を取り入れることが考えられる。その際,生徒自ら図をかくこ

とを通して,もとの問題と新しい問題との条件の異同を見いだすことができるようにす

ることが考えられる。

    ○ もとの命題の証明を参考にして,発展的に考えた命題を証明することが大切である。

      指導に当たっては,発展的に考えて予想した命題を証明する際,もとの証明の何が変

わり何が変わらないかを確認する活動を取り入れることが考えられる。例えば,本問題

(21)

− 134 − − 135 −

では,三角形の合同条件において∠BAE=∠CADであることの根拠が「共通する角」

から「対頂角は等しい」に変わり,他の部分は変わらないことを確認した上で証明でき

るようにすることが大切である。

(22)

参照

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