視点① 小中の学習内容の連携による指導の関連付け 毎日のように食べている「ご飯」について、炊きたてのご飯のおいしさは誰でも が分かる。しかし、そのご飯が米からどのような過程を経ておいしいご飯になるか は、あまり考えることなく生活していると思う。 そこで、毎日の食生活に関心をもち、「おいしいご飯」の炊き方を知ることにより、 日常生活で実践できるようにしたいと考える。さらには、一人一人の調理に取り組 むための基礎的な技能を身に付け、中学校での実践・応用へと繋げたい。 手だて ① 吸水時間、水の量、火加減の3つを「おいしいご飯を炊くコツ」ととらえた。 ② 炊飯の過程がよく分かるように、耐熱ガラス製のなべを活用した。 ③ 試食の時、五感を総動員できるように工夫した。 ④ 小学校との連携を深めた指導を実施した。 【実践事例1・小学校】 『作っておいしく食べよう』 ~第5学年~ 【実践事例2・中学校】 『炊き込みご飯ときんぴらごぼうを作ろう!』 ~第2学年~ 比較条件 〈吸水時間〉 ・30分以上吸水 したもの ・洗ってすぐのも の 実習結果 ♧30分ぐらいでは あ ま り 差 を 感 じ な い児童もいた。 ・1時間吸水すると 違いを感じた。 ・洗ってすぐの方が ぼそぼそしている。 〈水の量〉 ・標準より多い ・標準の量 ・べちゃべちゃでお いしく感じない。 ・水の量は標準の量 がよい。 〈火加減〉 ・調節しながら炊 く。 ・一定の火力で炊 く。 詳細は、公開してある指導案を御参照くださ い。 ・おいしく炊けた。 ・早く消火せざるを えなかった。 ・ 一 定 の 火 力 の 方 は、沸騰後すぐに水 がなくなり、焦げて きた。 30 分以上吸水を行ったものが、よく 膨らんでいる。 見た目では、水の量は分かり難いが、 他の班と比較すると一目瞭然! はじめチョロチョロ、中パッパ・・・! ご飯の膨らみが違うねー! 児童の試食でも、感触(手)、見た目の色・つや(目)、炊き上がりの音やにおい(耳・鼻)、 食べた味、食感(舌)の五感を総動員して味わっていました。 作っておいしく食べよう ※詳細は指導案を参照 1
小学校・中学校 学習内容の関連 『食』 小学校の学習内容 ・ ゆでる ・ いためる ・ 白米を炊く 中学校での学習内容 ・ 炊き込みご飯を炊く 塩分が入ったときの吸水時間 液体調味料の分だけ水を減らす 液体調味料を入れる時期 ・ いろいろな千切り ・ 下ごしらえの仕方 【実践】 小学校で、“ご飯をおいしく炊くコツ”を身に付けてきた生徒に、さらに塩分が入った時 の吸水の仕方、様々な具の切り方などを加えて炊き込みご飯と「きんぴらごぼう」の実習 を行い、調理技能の向上を図った。 □小学校で白米の米飯を学習した時に気を付けたことを思い出させる。 (水の量、吸水時間、火加減、など) □今回はさらに、塩分が入った「炊き込みごはん」の炊飯に関わる“コツ”を学習する。 (①味付けの液体の分だけ水を減らす、②吸水させてから塩分を入れる、③塩分が入る と焦げやすいので火加減に注意するなど) □保護者が教えることができる「きんぴらごぼう」の調理も行った。この時、切り方を 生徒一人一人評価することで意欲を喚起する。 □炊き込みご飯と「きんぴらごぼう」の実践を家庭に設定し、家族の試食後の感想を聞 き、生徒の成就感も高まった。 【変容】 小学校の既習内容について、復習する中で、生徒の記憶もよみがえり、学習意欲も出て きた。調理実習に傍観者でなく、主体的に取り組ませ、さらに、もう一度家庭で実践する ことで“一人でできる実践力を高める”ことができる。 『炊き込みご飯ときんぴらごぼうを作ろう!』 成果と課題 ・ご飯が炊けていく過程を知り、毎日何気なく食べているご飯について今まで以上に関心 をもつことができた。さらに、スイッチひとつで炊けてしまうご飯も今までと違う何か が家庭生活に生かされていると思う。 ・家庭で厚鍋を使いご飯を炊いてみた児童もいたが、1時間の吸水後、火加減をしながら 炊いたという。 ・授業で「分かった!」と思ってももう一度やってみるとできないことは多い。学習を持 ち帰り家庭で実践する(ご飯を一人で炊く)、小中の連携を深める(中学校で小学校の学 習内容をしっかりと復習させ、家庭でもう一度実践させる)ことは、実践力を高めるこ とに大きな成果がある。
【教材開発】 1,題材名 「針と糸を使って、作ってみよう」(ハンドパワーでこんなことができます) 2,教材 フェルト布(18 ㎝×18 ㎝)を使用 市 販 の 練 習 布 の 問 題 点 改 善 点 1,課題の種類・量が多く、完成しないま ま授業が終わってしまう児童が多い。 練習する長さを短くし、短時間で作品となって完成し た喜びを味わえるようにした。 2,授業で作り終わると、裁縫箱の底にし まい、縫い方等の見直しに使う機会がほ とんどない。 いつでも見直しができるよう、作品が裁縫箱の中のは さみカバーになるようにした。 3,機械的な作業になりがちであった。 布地の色の組み合わせや糸の色を自由に選べて自 分だけの作品を作る楽しみを味わえる。(玉結び・玉ど めの練習のためのいちごの部分は児童の考えでごま せんべいに変更も可) ○学習内容と進め方 学 習 内 容 進 め 方 1,玉結び・玉どめ いちご(せんべい)の布に黒糸で練習。 2,名前の縫い取り 裏に1,の練習を生かして名前の縫い取りをする。 3,ボタン付け(2ヶ所) A いちご(せんべい)とフェルトのひもをつける。 B 裏に付け、フェルトのひもにはさみでボタン穴をあ ける。 4,並み縫い 1枚のままで、並み縫い練習。 【実践事例3・小学校】 「針と糸を使って、作ってみよう」 ~第5学年~ 視点① 小・中の学習内容の連携による指導の関連付け 小学校で学習した手縫い等の技能も、実践の場が少なく裁縫技能は年々低下して いる。そこで、手縫いによる基礎的・基本的な技能を高めれば、児童は自分の衣服 の手入れ(ボタン付け、かがり縫い等)ができるようになると考えた。さらに中学 校での技能の習得により、より高度な手入れ(まつり縫い、曲線縫い等)の方法を 身に付けることで、衣類を大切に扱っていく姿勢を育てていきたい。 手だて ① 基礎縫いの練習時に使用する練習布を開発した。 ② 基礎縫いのパーツを組み合わせると作品になるよう題材を工夫した。 ③ 裁縫箱に常時入れておくことで縫い方の確認ができるようにした。 3
5,かがり縫い いちご(せんべい)をかがり縫いで付ける。 6,返し縫い 縦に2つに折り、まち針をうってから本返し縫い。次に 反対側にまち針をうって半返し縫い。 7,始末 ピンキングばさみで返し縫いの外側0.5~1㎝のとこ ろを切ってできあがり。 3,成果と課題 実際に授業でこの教材を使ってみたところ、「こんないちごになったよ。」「玉どめ ってこんなんでいいんだっけ?」「この色の組み合わせでどう?」などと言いながら、 意欲的に基礎縫いの練習に取り組んでいた。 また、基礎的な技能を習得し、「次は自分なりにこのような物を作ってみたい。」 「衣服のボタンがとれたら、自分でつけてみよう。」などの目標をもつことができた。 今回の作品を裁縫箱に入れて、常時基礎縫いの復習ができることは、中学での技能 の習得の時でも役立つと思う。(6年生でこの時期、5年時に使用した市販の練習布 をとってあるのは、半数以下であった。) この教材を実際に授業で使っていくにあたっては、型紙を熱転写シートに写し、 さらにアイロンでフェルト(18㎝×18㎝)に写して使っていく。(アイロンは子 どもまたは家庭にお願いできる。)市販の物より手間はかかるが、児童が意欲的に取 り組める教材である。今後、より簡単に授業で利用していく方法について、さらに 検討していきたい。
小学校の家庭科で学習する縫い方を組み合わせて、はさみカバーを
作っています。玉止めで作ったイチゴの種、様々な縫い方を組み合わ
せ上手にできました。
指導の実際と生徒の変容 (1)生徒の実態 ・ものづくりに対する興味は高いが、学習が生活の場で生かされていない。 ・家庭での役割が少ない。(作業を任されていない) ・部活動、学習塾等で家族の一員としての生活体験が少ない。 ・物が豊かで、身に付いた技術を生かす場面が少ない。 ・コンピュータ等情報機器の活用能力は高い。 ・インターネットによる検索などは日頃から活用している。 ・メールや掲示板への書き込みなど個人的な行動が多い。 ・コンピュータを利用した発表などを行う生徒が多くなった。 (2)3年生による照明機器の学習 ① 電気回路の学習(照明器具) ② 保守、点検方法の確認と指導 ③ 家庭での実践(家庭での照明器具の清掃・点検)・・・実践場面 ④ 報告書の作成 (3)家庭での実践 資料1は、家庭の中にある照 明器具の点検を実施する上で計 画を立てて取り組ませたもので ある。生徒はそれぞれの理由で、 点検場所を決める事になってい る。多いのは、「汚れが目立つ」、 「暗くなっている」などがあっ た。事前に準備する物の中には、 点検後の掃除用具や安全確保の ための軍手なども挙げられてい た。 資料2、3、4、5は、作業前 の照明器具の様子と照明器具の 取り外し方を記入させたもので ある。取り外し方を記入させるこ とにより、単純に分解するだけで なく、手順を踏まえて作業をさせ ている。このことにより、組立て の方法も確認できる。 資料1 【実践事例4・中学校】 題材名 『身近な電気製品を理解しよう』 ~中学校2学年~ 視点② 家庭と学校との連携による実践場面の拡大 家庭での仕事を分担している児童生徒は年々少なくなり、授業で学習した事柄も実践する機会 が少なくなっている。そこで、授業で学習した事柄を家庭で実践し家庭と連携を進めることとし た。 手だて ① 照明器具の清掃・点検を身近な電化製品の理解のきっかけとなるよう設定した。 ② 学校での学習内容の実践の場を家庭に設定した。 資料2 5
資料3 資料4 資料5 資料7 資料6 資料6、7は、点検作業を実施する上で自 分が重要とすることを記入させた物である。 「安全について」や「蛍光灯が点灯しない理 由を解明したい」といった生徒の疑問や課題 が記入されていた。また、点検後の掃除の仕 方について記入も多かった。 授業で学習した基本を基に家庭で実践する様子 資料8 資料9
資料10 資料8、9、10は、点検作業中の報告をしているものである。生徒によって照明器具や点検場 所は異なるので、授業では全てを網羅することは出来ない。そこで、基本となる取り扱いは授業で 指導し、実際にはそれぞれの照明器具に合った作業を行える力が必要となった。今回の家庭での実 践では、家族の協力が不可欠である。保護者が子どもを見守りながら、作業を経験することが、よ り生活に役立つ知識と技能を高めたといえる。 成果と課題 生徒の感想では、作業を体験したことにより多くのことを発見し、さらにやってみようという 思いも発生してきた。「はじめは面倒くさい」と思っていた生徒も、「やっているうちに楽しくな ってきた。」と変化が見られた。 保護者の感想では、「定期的にやってほしい」、「年末の大掃除の時に手伝って欲しい」、「家中の 照明器具の点検をやって欲しい」、など要望が多く寄せられていた。 感想 はじめは面倒くさいと思っていたがやっているうちに、楽しくなってきた。照明器具の仕組みも分かったし、照明器具は 見かけよりとても汚いと分かった。とても大変だった。 感想 ランプの掃除は初めてで、少し緊張したけど、何とかつけられてよかったです。すごくきれいになったと思いました。家 の手伝いもできてよかったです。ちがうランプの掃除もしてみようと思いました。 感想 今回初めて蛍光灯をとりかえたのですごくとまどってしまいました。しかし今回やったおかげでできるようになったので とてもよい経験となったので良かったです。今までは全て親まかせだったけれどこれを機会に蛍光灯含めて自分のことは 自分でやりたいと思います。 保護者の感想 宿題になったことで初めて交換することを体験でき、良かったと思います。 掃除をすることで明るさが増し、目にもいいことに気づけたのではないでしょうか。 これからもぜひ定期的にやってくれると助かります。 保護者の感想 高い所にあるので手入れがついおっくうになっていたところ、丁寧に手入れしてくれて助かりました。 身近な電化製品は生活から切り離せないだけに、こまめに自分できちんと手入れしておく事が気持良い 生活のポイントだと気付かされました。 保護者の感想 蛍光管の交換などこのような課題が与えられな ければまず経験させる機会はなかったと思う。家 の中の身近なことにもっと興味をもってもらえ るきっかけになればよいと思う。 保護者の感想 宿題のおかげで、台所全体が明るくきれいに見えま す。天井からはずしたり、機具を分解する作業が初 めてこの体験だった事に気付き驚き反省して居り ます。出題のされ方に、心より感謝申し上げます。 7