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分子精神医学 Vol.19 No.3 特集:女性のライフステージと精神医学:基礎と臨床 「特集に寄せて 性差とライフステージを踏まえた医療は個別化医療の第一歩」(PDFファイル149KB)

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Academic year: 2021

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分子精神医学 Vol. 19 No. 3 2019 11(11)  名古屋大学の病棟は,「ハードな精神科医療が出来る病棟の構造や体制ではない」ということもあり, 入院患者の女性比率は高い状態で維持されている.女性入院患者の大半を占めているのは,小児から始 まる摂食障害,月経周期や周産期とリンクした気分障害,閉経期前後の気分障害や認知症,であり, reproductive period を中心とする女性の各ライフステージの特性を有している.二次性徴に伴う女性性 の自覚を切っ掛けとして,若年女性一般の過度な痩せ指向の影響を受け,栄養不良が脳に影響を与えた 結果,自己身体像の歪みを来した摂食障害患者.出産後のホルモン変動とともに生じる母の役割付与が 負荷となり,「母として為すべきことが出来ぬ自分は母親失格」と語る産後のうつ病患者.漸く子も巣立 ち,「女性としての自分に戻ることが出来る」と思っていた矢先,迎えた閉経期に生じた抑うつから,女 性性の深い喪失感を訴える気分障害患者.いずれもライフステージ毎に生じる生物学的であると同時に 心理社会的な変化が引き起こす,心的な変調である.  入院患者はそれぞれの有り様で悩んでいるのだが,われわれの対応は個別化されたものになっている だろうか.個別化の第一歩とも言える,女性であることや,どの様なライフステージなのか,を考慮し た精神科医療は必ずしも実現していないのが現状である.2004 年,WHO は性差を考慮したメンタルヘ ルス対策の重要性を強調し1),それ以降,性差が精神障害に与える影響に関する研究が促進され,様々 な精神障害に関して,その発症率,発症年齢,症状,経過,予後度に男女差が見られることが報告され ている.  精神障害の性差を規定する要素として,性ホルモンがもたらす神経回路構造や神経伝達物質への影響 といった生物学的な因子とともに,ジェンダーに関わる社会文化的な因子があげられる.本特集で取り 上げられた,各ライフステージの女性に生じる精神医学的な問題に関する,基礎と臨床の知見が,読者 の方々にとって有益であると同時に,今後より一層深められ,個別化された精神科医療が患者にもたら されることを願うものである.

1) WHO Department of Gender, Women and Health:Gender in mental health research. 2004 https://apps.who.int/iris/bitstream/handle/10665/43084/9241592532.pdf?sequence=1

特集:女性のライフステージと精神医学:基礎と臨床

特集に寄せて

性差とライフステージを踏まえた医療は個別化医療の第一歩

尾崎紀夫 名古屋大学 大学院医学系研究科  精神医学・親と子どもの心療学分野 BUSE03JO再上.indd 11 2019/06/24 9:16:48

参照

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