316 氏名(生年月日 本 籍
学位の種類
学位授与の番号 学位授与の日付 学位授与の要件学位論文題要
論文審査委員
フ キヨウ付 強
博士(医学) 乙第1344号 (97)平成5年1月22日
学位規則第4条第2項該当(博士の学位論文提出者)
ヒト膵臓におけるsuperoxide dismutase(SODs)の免疫組織化学的局在と糖 尿病におけるその変動 (主査)教授 小林 愼雄 (副査)教授 笠島 武,澤口 彰子論 文 内 容 の 要 旨
目的 Superoxide dismutase(SOD)はoxygen radicals の一つであるsuperoxide radical(02)を消去するこ とにより,02の引き起こす細胞障害から生体を防御す る酵素で,糖尿病における膵島のβ細胞障害との関連 が最近注目されている.本研究ではヒト膵島細胞にお けるSODs(CuZn SOD及びMn SOD)の分布を免疫 電子顕微鏡学的に検索し,またSODsの局在の変動と 糖尿病発症との関連性を免疫組織化学的に検討した. 対象と方法 免疫組織化学的検索の対象とした膵組織は胎児,新 生児,幼児,成人及び糖尿病例を含む73例の人体剖検 例の膵で,酵素抗体法(PAP法)を用いて,連続切片 により免疫染色を行い,膵島の内分泌細胞におけるペ プチドホルモンとSODsの局在を対比観察した.3例 の膵手術材料については,プロテインA一心コロイド 法を用いた免疫電子顕微鏡により,CuZn SOD及び Mn SODのそれぞれとinsulin, glucagon, somatos- tatinとの二重染色を行い,膵島細胞内のSODsの局在 を超微形態学的に観察した. 結果 1)免疫組織染色では膵島の各細胞においてCuZn SODが陽性であったが, Mn SODは殆どの例で,陰性 であった.免疫電顕ではCuZn SODの陽性構造は,β 細胞の核,基質に漁漫性に分布していたが,分泌穎粒, ミトコンドリアには散在性で,ライソゾームには認め られなかった.ミトコンドリア内のMn SODの免疫局 在は確認できなかった. 2)CuZn SODは胎齢22週から膵島に発現し,出生 後,徐々に染色性は増加する傾向があり,年齢による 著しい変動は認められなかった.3)糖尿病(IDDM及びNIDDM)例の膵島における
CuZn SODは,非糖尿病例に比較して,明らかに染色 性が減弱していた.特に膵島の硝子化を伴う糖尿病例 では染色性が著明に低下していたが,罹病期間とは明 らかな相関が認められなかった. 考察及び結論 β細胞のミトコンドリアとライソゾームにおける SODsの減少は膵島がoxygen radicalsによる損傷を 他の組織,細胞より受けやすいことに関連していると 思われ,糖尿病の症例,特に膵島に病変を有する症例 では膵島内のCuZn SODの染色性が対照群より減弱 していることが明らかとなった.以上の所見から,糖 尿病例の膵組織ではoxygen radicalsを介して,膵島 細胞の障害を生じやすい状態におかれている可能性が 示唆された. 一950一317