124 8.肝門部胆管癌の肝側癌進展に対する胆管造影診 断に関する研究 (消化器外科) 森山 宣 〔目的・対象・方法〕肝門部胆管癌における肝側癌 進展範囲の胆管造影による診断能を検討する目的で, 三葉切除7例の区域・亜区域グリソン枝57枝について, 病理組織所見とゼラチンバリウムによる標本胆管像所 見さらに術前胆管像所見を対比した. 〔結果〕標本胆管像上,上皮内進展は100%,垣外進 展は75%,壁内外進展は100%に異常所見を認めた.し かし,病理組織学的癌進展範囲と標本胆管像が「致し たものは68%,不一致は32%であった.不一致例は上 皮内進展と壁外進展であった.その不一致の距離は平 均14.6±2.5mmであった.標本胆管像と術前胆管像の 所見は88%の割合で一致し,即時癌進展範囲について のsensitivityは標本胆管像で68%,術前胆管像で60% と低率であった. 9.進行胆嚢癌に対するリンパ節郭清のための膵頭 十二指腸切除の検討 (消化器外科) 武藤博昭 〔目的〕進行胆嚢癌において膵頭周囲リンパ節の転 移率は高率であるため,術中の完全郭清が必要である. 同部の完全郭清がPDを行わないで可能であるかを検 討した. 〔方法〕摘出標本上で膵頭周囲リンパ節(13a・b, 17a・b)の徹底郭清を行う.膵頭部組織のプレパラー トを作製し,摘出リンパ節と遺残リンパ節,癌病巣の 遺残の有無について検討した. 〔対象〕リンパ節遺残については胆道癌16例,癌病 巣の遺残については胆嚢癌10例. 〔結果〕リンパ節遺残例は16例中13例(81%),摘出 リンパ節の平均は7.4mm,遺残リンパ節の平均は2.9 mm.3mm以下のリンパ節に限ると摘出リンパ節では 11%に対して遺残リンパ節では76%を占めた.癌遺残 は3例に認め,リンパ節,隔り’シバ管内,一’静脈内に遺残 を認めた. 〔結語〕PDは膵頭周囲リンパ節の徹底郭清のみなら ず,リンパ管侵襲,静脈侵襲の郭清のためにも不可欠 と考えられた. 10.全心幽門輪温存膵頭十二指腸切除術後遠隔時の 栄養状態に関する検討 (消化器外科) 福田 晃 〔目的〕全胃幽門輪温存膵頭十二指腸切除術(PPPD) 後長期遠隔時の栄養状態を明らかにする. 〔対象〕PPPD 3年以上経過例14例をPD 3年以上 経過例17例を対照に比較検討した.慢性膵炎がPPPD
群,膵頭部癌がPD群に多く,術前膵機能はPPPD群
で低下例が多かった. 〔成績〕ビタミンA,B12とコレステロール,中性脂 肪はPPPD群で高かった.アルブミンに差はなく,コリンエステラーゼはPPPD群で高かった.亜鉛は
PPPD群が有意に高かった. TIBCはPD群で有意に, 血清鉄はPPPD群で高値であった. PTHはPD群で,CaはPPPD群で高値で, Pに差はなかった.術前
PFD値はPD群で高かったが,術後はPPPD群が有
意に高かった.体重増減率に差はなかった.〔まとめ〕術後遠隔時の栄養状態はPPPDがPDに
比べ良好に保たれていた. 11.粘液産生膵病変における癌遺伝子産物,癌関連 形質の発現に関する研究 (消化器外科) 宗像 茂 〔目的〕癌遺伝子産物および癌関連形質の発現が, 腫瘍,非腫瘍の鑑別の指標と成り得るかを検討した. 〔対象〕粘液産生膵病変16症例の50領域をHE染色 し顕微鏡観察にて非腫瘍19領域,境界型5領域,腫瘍 26領域とした. 〔方法〕Ki−67, p53, EGFR, c−erbB−2遺伝子産物, CEA, CA19−9の発現をSAB法で免疫組織化学的に検 討した. 〔結果〕Ki−67標識率は,非腫瘍平均7%,境界型平 均15.1%,腫瘍平均14.6%と腫瘍は非腫瘍に比し有意 に高かった.p53蛋白の陽性率は,非腫瘍0%,腫瘍 57.7%と腫瘍は非腫瘍に比し有意に高かった.EGFR, c−erbB・2遺伝子産物, CEA, CA19−9の陽性率は,非腫 瘍,腫瘍問に有意差はなかった. 〔結語〕Ki−67標識率とp53蛋白は,腫瘍非腫瘍の鑑 別の指標として有用であると考えられた. 12.食道静脈瘤結紮術と硬化療法併用療法の臨床的 検討 (消化器外科) 中村真一 今回我々は食道静脈瘤結紮術(EVL)と1%aethoxy− sklerol(AS)の静脈瘤外注入併用療法(EVL−AS療法) を試みた.対象は肝硬変症による食道静脈瘤患者で, F2∼F3RC(+)の11症例である.方法は治療1回目に Stiegmann ligatorを使用し,概ね7カ所程度の静脈 瘤結紮術を施行する.約1週間後に治療2回目として 食道胃接合部から下部食道を中心に,ASを1∼2m1ず つ計20mlを静脈瘤外に注入する.治療終了後,全例で 一594一125 FICwRC C一)以下となった.本法はEVLで大きな静 脈瘤を消失させた後,硬化療法を施行するので,出血 の危険が少なく安全である.食事制限もほとんど不要 で,苦痛も少なく,短期間で治療が完了できた.重篤 な合併症は認めておらず,これまでの硬化療法に比べ 優れていると考える. 13.胃・大腸腫瘍浸潤におけるcathepsin Dの免疫 組織学的検討 (消化器内科) 杉山茂樹 癌の浸潤,転移に関与するECM分解酵素の一つで あるcathepsin Dの発現を胃・大腸の腺腫と高分化腺 癌を対象に粘膜下浸潤や予後の判定因子について考察 した. 〔対象〕胃は腺腫(粘膜内癌を含む)14例,早期癌 16例(penetrating early carcinoma(PEN)7例, Non−PEN 7例),進行癌8例,大腸は腺腫12例,早期 癌18例(表面型12例,非表面型6例),進行癌12例,免