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(シンポジウム スポーツ医学の現在と未来)スポーツと健康管理

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シンポジウム 〔東女医大誌 第64巻 第5号頁339∼348平成6年5月〕

スポーツ医学の現在と未来

スポーツと健康管理

膠原病リウマチ痛風センター  イノ   ウェ    カズ   ピコ

井 上  和 彦

(受付平成6年4月1日)    スポーツは健康によいことなのか  「スポーツさえやっていれぽ健康である」とい う迷信に似た考えがある.身体を動さかずじっと しているより,軽快に動かすスポーツをやってい る方が健康である』ことは感覚的にわかるが,本当 にスポーツは身体にとってよいのであろうか.身 体を肉体的および精神的な両者を含んで考えてみ る.  それでは“健康”の概念について考えてみなけ ればならない.健康とは病気をしないで生きてい くことなのか,それとも心肺機能が改善し,筋力 が増強すること,つまり運動能力が増加し,スト レス解消が起こった状態をさすのかにより“健康” に対する考えは異なる.とりあえず健康を“病気 しないで生活する”と定義する.なぜならスポー ツをやろうとする人の半数以上は,スポーツによ り筋力アップや心肺機能増進を目的とするのでな く,病気をせず,元気で暮せる,つまり,健康を 目的としているからである.  それでは,スポーツは本当に健康によいのであ ろうか?極論すると,スポーツをしている人は外 傷以外の病気にならない.“病気になったらスポー ツをしよう”ということになる.しかし,ここま で極端な言い方をすると問題であるが,スポーツ が絶対的に身体によけれぽ病気の回復期はスポー ツをすれぽ回復が早くなることになる.しかし, 一般的には身体が完全によくなってからスポーツ をするのが普通であろう.病気の時はスポーツは しぼらくの間控えるのが一般的でもある.そうな ると,“スポーツをやっていれぽ健康である”を考 え直さなければならないであろう.  スポーツを適度に,定;期的に実施すれぽ,病気 になりにくいという報告も散見されるが,“適度 に”が非常に問題である.  動物実験でスポーツの健康への効果を検討した 報告がある.スポーツは特殊な身体活動なので, 動物実験がすぐあてはまるとは考えられないが, 参考にはなると思われる.人間のスポーツを動物 では動くこと,活動性と置換し,健康は寿命と置 き換えてみる.  イエ・ミエの活動性と寿命の実験がある.イエ・『 エの活動性,いい換えると,酸素消費量と寿命の 関係をSohalらの報告(表1)で検討してみる. イエバエを小さな250mlのビンと271(1辺30cm) の立方体の大きなカゴの中に一匹ずつ入れて寿命 を比較してみる.ビンに入れたハエは狭いために 自然と運動が制限され,運動量が減る.結果的に 呼吸量も酸素消費量も低下することになる.それ に比較し,広い容器に入れたハエは飛び回り,運 動量は増加し,酸素消費量が著しく上昇すること になる.その結果を比較してみる.予想としては 狭いビソで飼われたハエは,狭いためストレスが Kazuhiko INOUE〔lnstitute of Rheumatology, Tokyo Women’s Medical College〕:Sports and medica} check

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表1 イエバエの活動度と酸素消費量と寿命の関係 飼育器の容積 @ (」) 平均寿命 @(日) 最大寿命

@(日) 歩行度i相対値) 飛翔度i相対値)  酸素消費量iμ1/時間/mg体重)

0.25 38。5±2.5 78 50±2 0 7,6±1.0 27 16.2±2 33 52±3 289±4 11.2±1,2 (Sohal, 力軍機作表) かかって早く死に,広い箱で飼われたハエはのび のびと飛び回りストレスもなく長生きしそうであ るが,結果は,予想に反して,最大寿命,平均寿 命ともに広い容器で飼ったハエのほうが実際には 短命であった.歩行度は両者間に差はなく,飛翔 度は圧倒的に広い容器が大きく,それに相関して 酸素消費量も約47%に増加している.飛翔度つま り運動量が増加するとなぜ寿命が短縮するかの原 因では次のようなことが考えられる.まず,呼吸 により体内にとり込まれた酸素から発生する活性 酸素によるもの,また運動により代謝回転が早く なり,つまり早く時間が経過したことになり寿命 が短かくなることが考えられる.  ネズミの運動と寿命に関係した実験でも,運動 により寿命が延びるとか,運動により寿命が短縮 するとか種々の実験結果がある.しかし,これら の実験において共通して言えることは,①over・ workとなるような運動をさせ始めるとネズミは 死亡し始める,②若い時代に運動させないで,し ぼらくしてから(中高年になってから)運動をさ せると,寿命は短縮する,の2点である.  ハエの実験でも代謝率の上昇,つまり運動をし て酸素吸入量が上昇し,多量の活性酸素が発生す る.活性酸素量が増加すればするほど寿命は短か くなっていくようである.  哺乳動物のトルコハムスターは冬眠する動物で あるが,十コ口よく冬眠するグループとあまり冬 眠しないグループ,そして,その中間のグループ の3グループに分けられる.当然ながら冬眠する と全体的に代謝が低下し,呼吸量などは約30分の 1と著しく低下する.3グループの寿命を図1に 示す.よく冬眠し,代謝や呼吸量の低下した時期 の長かったグループの寿命は長く,あまり,冬眠 をしないで動き回り,代謝や呼吸量の低下する時 100  75 生 存 率50 露 )25 一一_  よく冬眠したもの 中程度に冬眠したもの あまり冬眠しなかったもの 0 400 800 日齢 1200 1600 図1 トルコハムスターの冬眠度と寿命の関係    (Lyman,加藤作図より引用) 期が短かったグループの寿命は短く,冬眠の期間 の中間のグループは寿命においても中間の位置を 示した.動き続ける動物は一定期間の安静をとる 動物に比し短命であることがわかる.  人間については“スポーツは健康に良い”とさ れているが,スポーツを職業とする相撲力士やプ ロの野球選手は,しっかりした報告はないが,一 般人より短命のようである.“スポーツ,運動を行 うと健康に良いのか,悪いのか”という問題はレ クリエーションレベル,アマチュアレベルからプ ロ選手レベルまで種々の段階のスポーツ選手や健 康目的の一般人まで統計調査が行われているが, スポーツが健康に良いのか悪いのか確定的な結果 は出されていない. 竜  では,スポーツ,運動したことが身体,健康に 良くないとすれぽどんな原因が考えられるのであ ろうか.一つは動物実験のところで述べたように 呼吸により体内で発生する活性酸素である.通常 は活性酸素は体内処理機構があり,身体に障害を 与えることはないが,呼吸の2%が発生率と言わ れる活性酸素は呼吸量の増加につれて増加し,体 内で処理範囲を越えると障害を起こす.  次いで,運動による精神的および身体的ストレ

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スである.プロ野球選手がキャンプでカゼをひい て,コンディションを悪くしたという話をよく聞 く.あれは,プロ野球選手がたるんでいるのでは なく,激しい練習のため免疫能が低下して,カゼ などの感染症にかかりやすくなっているためであ る.そして,激しい運動(早いスピードのジョギ ングなど)では内因性のモルフィンといわれるβ一 エンドルフィンが血中に増加し,中枢神経系に作 用して,陶酔状態に置いて激しい運動を継続させ て生体リズムも狂おせることとなり身体の障害を 発生させる.  それではスポーツは身体に悪いことぽかりかと いうとそうでもなさそうで表2に示すような効用 も報告されている.  1)Paffenbargerら1)によると60∼69歳,70∼84 歳では1週間の身体活動によるエネルギー消費量 が500kcal以下の人と比べ,日常生活動作や身体 運動により2,000kcal以上消費している人では死 亡率が半減し,慢性心疾患も毎週2,000kcal以上 運動している人は500kcal以下の運動群に比し, 39%少ない.Blainらによるとトレッドミルによ る最大運動テストでは,体力水準の高い群では低 い群に比し年間死亡率は低吟を示した.特に心血 管系疾患および癌の死亡率が低い傾向にあった.  2)先に述べたように激しい運動・スポーツの継 続で免疫不全を一時的に惹起し,カゼをひきやす いなどの影響が出る. 表2 スポーツの効用 1)適度なスポーツは寿命をのばす   スポーツでの消費力Pり一が週・500kcalと2,000kca1   では差,2,000kca1では寿命がのびる 2)スポーツの継続は免疫能に影響する 3)スポーツの継続は発癌予防の可能性がある   女性運動部員は乳癌,生殖器癌の発生率が低い 4)スポーツ継続は活性酸素消去作用を充進ずる   「活性酸素でリン脂質→過酸化脂質」を抑制 5)スポーツ継続は抗動脈硬化作用を充進ずる   定期的ジョギングで30%高い最大酸素摂取量,10%高   い心拍出量 6)スポーツ継続は脳神経活動へ効果がある   セカンド・ウインド,ラソナーズ。ハイ→β一エソドル   フイン (浅野より引用)  3)身体活動の多い仕事の人は少ない仕事の人 に比し結腸癌の発生率は低い.身体運動による便 秘減少と蠕動充進による食物結腸通過時間の短縮 が原因として考えられる.  乳癌および生殖器の癌と運動スポーツとの関連 についても,Frischらは運動部経験の女性は,癌 の発生が少なく,その原因としてスポーツによる 性ホルモン分泌の維持をあげている.  4)Yagi2)によると60歳男性の9ヵ月間のス ポーツ継続により,血清過酸化脂質は半減し,そ の後も漸減している.活性酸素の存在下で不飽和 脂肪酸の多いリン脂質は酸化され過酸化脂質とな りDNAを障害する.運動の継続は血清過酸化脂 質を抑制し,活性酸素防御機構が十分に機能して, 活性酸素を消去する.SOD(superoxide dis− mutase)が運動により高値になっている.  5)Woodらによるとマラソン愛好家は一般人 に比し,総コレステロールは低く,HDLコレステ ・一ルは高く,動脈硬化指数は低値を示した.松 田によるとスポーツ・運動の継続は動脈中膜のエ ラスチンへのカルシューム沈着を抑制し硬化を予 防している.浅野ら3)によると1回4個月以上の ジョギングを,週3回以上,2年以上継続してい る40∼80歳の人達と一般人をトレッドミル走最大 運動下における,最大酸素摂取量および最大心拍 出量を計測した.ジ・ギソグ受好家は一般人より 25∼30%高い最大酸素摂取量および10%高い最大 心拍出量を示し,心肺機能の強化が認められた. 心臓病,高血圧,そして糖尿病の予防に貢献する と考えられる.  6)マラソン等の長時間の持久的運動では,運動 者の一部に運動開始後30分位で胱惚,陶酔状態を 経験する人がいる.ランナーズ・ハイともいわれ, 脳で分泌される内因性モルヒネのβ一エンドル フィンによると考えられている.脳波上ではθ波 優位であり,精神的ズトレスからの解放と関連す ることになり,うつ病の治療にも可能性がある.  動物実験では身体活動は健康に悪い可能性が示 唆されたが,人間では健康によい報告が多くみら れる.しかし,現実問題としてスポーツを行う人 が増加しつつあるおけであるから,どのように対

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表3 体力について (猪飯より引用) 訂していこうかという問題になる.     スポーツとメディカルチェック  “スポーツさえやっていれば健康である“のも 迷信であるが,適度に身体を動かすのも健康維持 によい効果があるのも事実である.特にスポーツ を職業とする人達,職業でないとしても会社や学 校等において生活の大半をスポーツに費している セミプロの人達は,潜在化している身体の変化を 把握し,競技能力を維持,増進させるための体力 を知る上でメディカルチェックは必須である.  それでは体力とはどのようなものを指すのか表 3に示す.体力とは身体的意味だけでなく,精神 的意味も含まれている.  1.メディカルチェックの項目  一般的に行われている静的状態におけるチェッ クの他に,スポーツ時における身体状態把握のた めに動的状態におけるチェックも必要となってく る.  1)静的状態におけるメディカルチェック  通常のメディカルチェックとほぼ同様である. 問診(既往歴,現病歴,スポーツ歴,スポーツの 嗜好,タバコ,アルコール嗜好),内科的診察(聴 診,心拍数血圧,眼底所見など一循環系,呼吸系 チェック),整形外科的診察(筋・骨格系の機能評 価),精神・心理的状態のチェヅク(心理テストな ど),形態的計測(身長,体重,体脂肪率など), 臨床検査(尿,血算,血液生化学,心電図,肺活 量および1秒率),関節X写像などがある.  2)動的状態におけるチェック  トレッドミル,自転車エルゴメーターなどを使 用して負荷試験を行い,試験中の自覚的,他覚的 症状,血圧,心肺機能を検査し,呼気,ガス分析’ も行う.特殊条件下(水中,高気圧,低気圧,低 酸素状態下)で体力テストを行う.  3)メディカルチェックの限界  動的状態下のメディカルチェックでは施行上危 険を伴うので注意を要する.スポーツ種目とメ ディカルチェックの目的と合致しない場合が多 く,単なる検査に終始することがある.これらの 点を注意しながら,メディカルチェックをスポー ツ選手に対して行う必要がある,  2.女子ハンドボール選手,プロ野球選手の健康 管理について  女子としては最も激しいスポーツであるハンド ボール選手とプロ野球選手の健康管理を行った.  1)女子ハンドボール  中国遠征のための合宿を行った全日本女子ハン ドボール選手16名について,合宿前に診察,体力 測定,血液,尿検査を行った.10日間の合宿終了 後には診察を行い,同時に血液および尿検査を施 行した.  合宿前データを表4に,最小値,最大値,平均 値,標準偏差値の順で示す.身体形態,いわゆる 体力は女子としては高い値を示した.血液所見は ほぼ正常範囲内であったか,赤血球数,血色素で は低値を示し,一般人でも治療が必要と思われた 例が二二認められ,ポジションはゴールキーパー であった.筋由来酵素のCPKも激しい運動を裏 付けるように高値を示す例が多かった.本健康管 理の課題である女子運動選手で練習により尿酸値 は上昇するかでは,通常の会社チームの練習にも かかわらず,合宿前は最大値でも5.8mg/dlと正 常値域内で変動していた.肝機能,露命機能,脂 質,尿も正常値域内で推移していた.  合宿後データを表5に示す.白血球数は増加, 赤血球数,血色素,ヘマトクリット,MCV, MCH,

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表4 合宿前データ Min Max 又 SD 身 長   cm 154.0 172.0 164.1 6.1 体 重   kg 53.0 73.0 61.2 6.5 血圧max mmHg 104.0 138.0 115.5 8.3 min  mmHg 62.0 80.0 68.9 6.8 短期スタミナ 99.0 121.0 115.2 5.6 協応力 25.4 33.7 29.0 2.3 “      自 Vヤソフ   m 2.3 2.9 2.6 0.2 50m走   秒 7.2 8.2 7.6 0.2 12分一走  m 2,540.0 3,025.0 2,781.9 131.0 ハンドボールm 28.9 36.9 32.8 2.3 投げ 背筋力   kg 88.0 150.0 123.2 18.6 垂直とび  cm 41.0 53.0 47.3 4.0 握力(R)  kg 30.0 45.0 37.2 4.0 (L)  kg 25.0 41.0 35.0 4.1 WBC   /μ1 3,800.0 10,900.0 6,026.7 1,779.4 RBC   ×10伽1 319.0 462.0 412.5 34.2 Hb    g/d1 8.8 14.2 12.0 1.4 Ht    % 27.2 43.0 36.6 4.0 MCV    fl 73.0 95.0 88.4 5.8 MCH    p9 23.2 32.3 29.2 2.4 MCHC  % 31.5 36.6 33.1 1.2 CPK   U〃 29.0 323.0 123.2 85.4 BUN   mg/d1 8.4 21.6 14.4 3.5 Cr.@  Ing/d1 0.5 1.0 0.82 0.1 UA    mg/dl 1.2 5.8 3.7 1.1 Ca    mg/d1 9.0 10.1 9.5 0.3 P     mg/d1 2.8 4.7 3.7 0.6 GOT   U〃 17.0 46.0 25.4 7.7 GPT   .U〃 5.0 28.0 15.4 6.2 A1−P    U〃 110.0 231.0 161.3 32.0 LDH    U〃 346.0 759.0 499.9 105.3 Ch−E    」pH 0.5 1.0 0.7 o.1 γ一GTP  U〃 7.0 21.0 11.8 4.6 Amy   U〃 80.0 238.0 139.3 41.0 TTT    U 0.7 7.0 2.2 L6 ZTT    U 2.3 7.9 5.3 1.7 T−Bil  mg/d1 4.0 7.0 5.8 0.8 T−Cho  mg/d1 132.0 288.0 211.6 38.8 TG    mg/d1 55.0 171.0. 95.9 32.4 U・ph 5.0 7.0 6.2 0.8

MCHCには変化はほとんどみられなかった.

CPKはやや減少傾向にあったが, BUN, Crは上 昇傾向,UA(血清尿酸値)は上昇傾向, Ca, Pは 変化がほとんどなかった.GOT, GPT, LDH, γ一GTPには上昇傾向を認めるものの,Al・P, Ch・E には変化がほとんどなかった.Amy, TTT, ZTT にはほとんど変化が認められず,T−Bilは減少傾 向にあった.T−Choは増加傾向, TGは変化なし, U−phは低下傾向にあった. 表5 合宿後データ Min Max 又 SD WBC   /μ1 5,300.0 9,000.0 7,080.0 1,029.0 RBC   ×104/μ1 377.0 461.0 412.4 22.0 Hb   g/dI 9.3 13.4 11.8 1.1 Ht    % 30.2 41.7 36.7 2.8 MCV   fl 72.0 96.0 88.7 6.4 MCH   p9 22.4 31.9 28.9 2.6 MCHC  % 30.8 33.6 32.3 1.0 CPK   U〃 44.0 223.0 117.7 61.7 BUN   mg/dl 9.G 30.3 16.9 4.9 Cr   mg/dl 0.5 1.2 0.9 0.2 UA   mg/dl 3.4 5.3 4.3 0.6 Ca    mg/dl 8.9 9.7 9.3 0.2 P    Ing/dl 3.5 4.6 4.0 0.3 GOT   U〃 18.0 51.0 28.0 8.1 GPT   U〃 6.0 37.0 16.3 8.6 A1・P   U〃 111.0 211.0 160.9 27.8 LDH   U〃 390.0 721.0 536.7 88.2 Ch−E   」pH 0.5 1.0 0.7 0.1 γ一GTP U〃 5.0 28.0 13.1 5.9 Amy   U〃 77.0 179.⑪ 119.0 29.9 TTT   U 1.0 6.6 2.3 1.5 ZTT    U 2.7 8.1 5.6 1.8 T−Bil  mg/dl 3.0 6.0 4.6 1.1 T−Cho  mg/dI 150.0 282.0 223.6 33.7 TG    mg/dl 49.0 248.0 94.6 45.9 U−ph 4.5 6.5 5.3 0.6  合宿前後の血液データを図2に示した.赤血球 数では大きな増加,減少各1例,減少は6例,増 加は5例,血色素では減少は3例,増加は1例, 減少傾向は6例,増加は1例,増加傾向は4例, ヘマトクリットでは増加,減少とも各1例,他の 例の変化は軽度であった.血清尿酸値では増加2 例,減少1例,増加傾向は6例,減少傾向は4例 であった.GOTでは大きく変化している例が多 く,GPTは変化の小さい例が多いが,一定の傾向 はない.  選手の試合後半の持久力低下が問題であったた め心筋代謝改善剤のCoQ、。をdouble blindで投 与し(つまり薬剤を投与するコーチは薬剤の種類 を知らず,我々はプラセポ等が誰に投与されるか を知らない),薬剤による体力増強効果を測定し た.CoQ、。 Omg群(プラセポ群)は5例で投与前 の血清中のCoQ1。は0.56∼0.93μg/ml,平均0.73 μg/mlが投与6週後は0.52∼0.83μg/ml,平均 0.66μg/mlと変化がなかった. CoQ、。100mg/日

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500 400 300 (RBC) BEFORE (SUA) 14.0 13.0 12.0 11.0 6.0 5.0 4.0 3,0 2.0 10.0 9.0 8.0 (HB) 1.0 AFrER  BEFORE BEFORE 50 45 4G 35 30 25 20 t5 AFTER   B∈FORE (GO丁) 45 40 35 30 25 20 (HT》 AFTER   BEFORE 40 35 30 25 20 15 (GPT) AFTER 10 5 AFTER   BEFORE 図2 合宿による血液検査の変化 AFTER 投与群では,投与前は0.33∼0.68μg/ml,平均0.51 μg/mlであったが,投与6週後には1.60∼2.71 μg/ml,平均2.17μg/mlと約4倍にCoQ、。値は増 加した.CoQ1。200mg/日投与群では,投与前は 0.59∼0.75μg/ml,平均0.65μg/mlであったが, 投与6週後では,2.28∼4.20μg/m1,平均3.23μg/

mlであり,約5倍のCoQl。値上昇を認めた.

CoQ、。投与後に持久力を中心に体力測定を施行し た.項目は50m走(50mを何秒で走れるか),5,000 m走(5,000mを何分で走れるか),12分間走(12

分間で何m走れるか),最大酸素摂取量(VO2

max)である.  瞬発力の指標である50m走では, Omg群,100 mg群,200mg群の間に差異は認められなかった.

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表6 CoQ、。投与と5,000m走 CoQ、。 蒲^量 対象 瘰 投 与 前 投与2週後 投与6週後 Omg 5 1,361.4±62.2 1,338,2±97.2 1,349.6±76.0 100mg 5 1β84.4±86.4 1,333.3±75.2 1,325.0±66.7 P〈0,0 200mg 6 1,344.2±68.9 1,306.5±75.4 1,290.3±45.0 P<0.1 表7 CoQ、。投与と12分間走 (秒) CoQID 蒲^量: 対象 瘰 投 与 前 投与2週後 投与6週後 Omg 5 2,878,0±269.5 3,030.2±162.3 3,044.8±120.0 P〈0.1 100mg 5 2,911.9±125.3 3,065.3±132.3 3,023.6±146.0 200mg 6 2,964.3±151,1 3,032.5±178.2 3,11L5±112.3 p<0.01 表8 CoQl。投与と▽02max (m) CoQID 蒲^量 対象嚼 投 与 前 投与6週後 Omg 5 43,3±6.0 41.7±4.0 100mg 5 42,1±2.7 37.1±2.0(P〈0.05) 200mg 6 413±4.5 41.6±3,5 (ml/kg/min) 投与前,投与6週後も7.50∼7.70秒の間に位置し, CoQlo投与による影響は認められなかった.  5,000m走ではOmg群ではCoQ1。投与により記 録に変化は認められなかったが,100mg群および 200mg群において投与により明らかな記録短縮 が認められ,投与2週後には統計学的差を認めな かったが,投与6週後には5%,10%の確率で統 計学的有意差を認めた(表6).  12分間走は12分間でどれだけ長距離を走れるか であり,各糸間に投与前値に有意差を認めなかっ た.投与100mg群は投与により有意差を認めな かったが,Omg群および200mg群において投与6 週後に有意差をもって走行距離の延長を認めた (表7).  最大酸素摂取量へのCoQ、。の影響をみた(表 8).CoQ1。100mg投与により最大酸素摂取量の 有意な減少を認めた.  2)プロ野球  在京プロ野球選手のレギュラー選手とファーム 選手の健康管理と体力測定を定期的に行い,選手 管理の資料としている.検診は問診に始まり→体 重・身長測定→血圧測定→内科的診察→採血・採 尿→心電図→整形外科的診察→X.線撮影→各関 節筋力測定(Cybex IIによる)の順序で行ってい る.  検診受診者は58名,18∼34歳,平均26歳,体重 は66∼85kg,平均76kg,身長168∼190cm,平均178 cmである.  」血液検査における平均値と標準偏差を示すと白 血球数6024±943.4/μ1,赤血球数502±30.1×104/ μ1,血色素15.1±0.8g/dl,ヘマトクリット46.4± 2.5%,総蛋白7.5±0.4g/dl, A/G 2.1±0.5,総ビ リルビン0.8±0.2mg/d1, BUN16,7±2.9mg/dl, クレアチニン1.2±0.1mg/dl,尿酸6.0±0.9mg/ dl, CPK 792±596.8, GOT 27±11.5U/1, GPT 15.8±7.2U〃, LDH 260.4±58.3U/1, Al−P 7.0±1.8,γ一GTP 17.1±11.6U/1,アミラーゼ 62.0±15.5U/1,コリンエステラーゼ1.2±0.2 ∠pH,総コレステロール170,0±34.8mg/dl,中性 脂肪81,3±22.5mg/dlめ各検査値を示した.  整形外科診察においては58畠中25名(43%)に 何らかの障害が認められた.1選手が複数の障害 を有することもある.各部位別には肩関節4名 (7%),肘関節13名(22%),手関節1名(2%), 足趾・足関節3名(5%),腰部11名(19%),そ の他2名(3%).腰はあらゆるスポーツについて 共通することであるが,肘関節障害は野球特有で ある.症状としては肩関節では運動痛,可動域制 限,肘関節では運動痛,圧痛,可動域制限,外反 変形,手関節では運動痛,圧痛,足趾,足関節で は足部知覚障害,足趾変形,運動痛,圧痛,腰部 では運動面,圧痛,前蛮減少,傍脊柱筋拘縮,等 が存在した.X線像上の変化では肩関節では,骨 棘形成,軟骨下骨骨硬化,肘関節では骨棘形成, 関節裂隙狭小化,骨変形,軟骨下直骨硬化,手関 節では骨変形,足趾・足関節では骨変形,腰部で は腰椎分離,椎間板狭小化,前変減少,骨棘形成,

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k9−m  13 12 11 10 9 8 7 6 5 4 ←一国肩伸節 ,一司 ィ屈伸      13

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9  12  15rpm 図4 肘関節筋力 椎間板関節変形,等が認められた.  次いでファームチームの選手を中心に肩関節屈 伸筋,肘関節屈伸筋,手関節掌屈,背屈筋,膝関

節屈伸筋,足関節底屈,背屈筋の筋トルクを

Cybex(等速運動機器)によって測定した.測定は プロ野理選手は19名(18∼28歳,平均21.5歳),コ ントロール群として男子医学生(21∼25歳,平均 22.5歳)にも施行した.測定時のCybexの角速度 はスポーツの筋運動のスピードを考慮して,9,12, 15rpmの3スピードで行った.各グラフ上の太い 実,破線は男子医学生の平均値である.  両側肩関節の屈伸筋力を図3に示した.野球は 主として上肢帯を使用するスポーツであるために 両側肩関節屈伸筋力は男子医学生平均より全選手 強かった.  両側肘関節筋力について図4に示した.両側性 に屈伸筋力ともに男子医学生平均より筋力低値を 示した例が認められた.肘屈伸筋は小さく,トレー ニングによっても強化には限度があり生まれつき の要素が大きいようである.  両側の手関節掌屈,背屈筋力について図5に示 した.肘関節屈伸筋力と同様に男子医学生の平均 より筋力低値を示した選手が存在した.肘関節屈 伸筋と同様に生まれつきの要素が大きいようであ る.  両側膝関節屈伸筋力について図6に示した.両 側性に膝関節伸筋力は1選手を除いて男子医学生 平均より高値を示したが,膝関節屈筋力において は男子医学生平均より低値を示す例があり.ト レーニング効果は膝関節伸筋に効率よく現れ,膝 関節屈筋力への効果は伸筋力ほどではなかった.  両側足関節底屈,背屈筋筋力に関して図7に示 した.足関節底屈筋力において,左側では男子医 学生平均より低値を示す例が多いが,右側ではほ とんどの選手が男子医学生平均より強かった.足 関節背屈筋では両側ともに男子医学生平均を越え て強い筋力を示した.

(9)

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 健康管理の第一の点には突然死の死因の最多を 占める心臓疾患の把握があるが,他に今回の報告 では興味があったのは女子のスポーツ貧血と男子 の高尿酸血症であった.  女子の全日本ハンドボールチームには高度な貧 血例を認めた.激しいスポーツといわれるハンド ボールでこのような貧血でスポーツ活動が継続可 能であるのか?とポジションを検討すると試合で の動きの少ないゴールキーパーであった.他のポ ジションで貧血が進行すると持久力が低下し競技 能力を維持できず,全日本チームからはドロップ アウトしていくのであろう.貧血は鉄欠乏性であ り,鉄剤の1∼2ヵ月の投与で貧血は改善し競技 能力は改善した.恐らく他のチームにも貧血の選 手は多数存在し,貧血進行と競技能力の低下によ り,チームをやめるケースもあることは容易に想 像できる.原因としては,①食事での蛋白質,鉄 の不足,②スポーツによる赤血球の機械的衝突に よる溶血などが考えられるが確定的でない.  プロ野球選手の健康管理では高尿酸血症が認め られた選手の存在が興味がある.スポーツ選手の 高尿酸血症は力士ではよく知られており,超肥満 による結果とされてきた.プロ野球選手の肥満は 競技能力に影響し,ほとんど存在しない.また, 尿酸値はキャンプ前後を比較するとキャンプ後に 著明に上昇していた.激しい筋運動による尿酸代 謝の上昇,尿酸産生の上昇,さらに筋運動で産生 される乳酸増加,腎血流量の一時的低下等により 腎における尿酸排泄が低下する.産生増加と排泄 低下の混合型によって高尿酸血症が発生するので あろう.興味をひくのは,レギュラー選手の方が ファームチームの選手より尿酸値が高く,レギュ ラー選手の中でもピッチャーに高尿酸血症が高い 選手が多かった.尿酸は脳血管関門を通過し脳内 に入ることが可能であり,人間の攻撃的性格に関 与しているといわれる.野球では攻撃的性格がレ ギュラーのピッチャーに最も強く要求される自然 陶汰の原理であろうか.女子では最も激しいとい われるハンドボール選手でも尿酸値は練習の全経 過を通じて上昇していなかった.  単に健康診断を行い数値を知らされるだけで は,選手は興味を持たない.その数値が明日から の競技能力向上につながれば,注意を払って健康 診断を受ける.健康診断では体力測定として筋力 測定は重要である.筋力を知り,体重,体脂肪率 などから単位体積あたりの筋力を推量することが 可能である.高い競技能力を持つ選手の筋力検討 により,筋力のパターン化を作成し,良い選手の 必要条件としての筋力強化が少なくともケガをし ないための筋力強化や指導が可能となる.トレー ニング効果の出やすい筋と出にくい筋があること も競技能力向上にとって注目すべぎ点である.          文  献  1)P誼enbarger RS, Hyde RT, Wing AL et al:   Physical activity, a11・cause mortality and lon,   gevity of col玉ege alumni。 N Engl J Med 314:   605−613, 1986  2)Yagi K:Lipid peroxides and exercise. Med   Sports Sci 37:40−44, 1992  3)浅野勝己:スポーツと健康一健康増進と予防治療   のスポーツ医学一.治療 75:7−15,1993  4)加藤邦彦:健康維持にスポーツは必要か.東京体   育学研究1993年報告:19−24,1993

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